俺が家で昼寝をしていると、ペットのれいむにたたき起こされた。
「おにーさん!れいむにめがねをかってね!!」
俺の目の前には
ゆっくりれいむのケツが乗っかっていた。
うんうんの跡と思われる餡子カスがばっちかった。
ゆっくりこんたくと
「で、俺の顔面にケツ乗せてたたき起こして第一声がそれとはどういうことか納得の逝く説明を頂けません事か?」
「い、いだいよおにいさん・・・あやまるからゆっくりゆるしてね〜」
れいむの頭を掴み、少しゆがませて軽いお仕置きをする。
れいむも誤っているし許してやろうか。
俺が手を離すと凹んでいた炭酸飲料の缶が「ぽこん!」と元に戻るような感じで、凹んでいたれいむがきれいな丸に戻る。
「まりさがね!めがねだったの!とてもゆっくりしてたの!!」
まりさ、というのはおそらく近所の飼いまりさだろう。
近所を通るたびに先日やっていたアニメの感想を聞かせたがる元気な子だ。
1時間近く前・・・
「ゆゆっ!?まりさどうしたの!?」
「ゆへへん!これはまりさのめがねなんだぜ!」
「とてもすてきよ!とかいてきだわ!」
「そうほめられるとてれるんだぜ」
「ゆ〜ん・・・まりさ、かっこよくゆっくりしてるね!れいむもいっしょにゆっくりしたいよ!」
「じゃあれいむもめがねをつくってもらうといいんだぜ、まりさはおにいさんにめがねをつくってもらったんだぜ」
今・・・
「つまり、めがねを作ってくれと?」
「ゆん!」
自信満々に答えるれいむ。
つまり、感化されたのだ。
子供がよくやる「みんなが持ってるから僕にも買って」である。
ゆっくりが人間に飼われるようになり、当然ゲームをしたりテレビを見たりするゆっくりというのも増えた。
そこで飼いゆっくり界に起きた問題が目の悪くなるゆっくりの出現である。
そう、今まで誰も考えなかったであろうことだが、ゆっくりも近視になるのだ。
だがここで、ゆっくりが人間に似ているということがひとつのポイントとなった。ゆっくりもメガネをかけることが出来たのである。
今ではゆっくりのための視力検査を行う眼科も増え、飼いゆっくり雑誌ではゆっくりに似合うメガネ、ゆっくりとおそろいのメガネの特集が組まれるようになり、
メガネはゆっくりファッションのひとつとなった。
そんな中で、親友がメガネをかけ始めたのだ。好奇心旺盛なれいむとしては見過ごせない。
「おにいさん!れいむにめがねをつくってね!」
「れいむ、この絵のゆっくり、なんだかわかるか?」
「まりさだよ!」
「じゃあだめだ」
「ゆがぁ〜ん!!」
一度びっくりした後、れいむはなきながらあたりを転がりだす。
「なんでなんでおにいさん!ゆっくりしてよ!ゆっくりめがねだよ!?」
こいつ、駄々をこねながら逃げればゆっくり世界陸上優勝するんじゃないだろうか
「馬鹿抜かせ!てめーの視力は全く持って正常なんだよ!」
「ゆ?しりょく?」
泣き止む。ゆっくりは泣くのも早ければ泣き止むのも早い。
「そうだ、メガネってのはな?目が悪くなってからつける物なんだ。」
「めがわるい?わるいってことはゆっくりできないの?」
「まあ、ゆっくり出来ているとは言いがたいな・・・」
れいむは「ゆぐぅ・・・」とうつむき、しばらく何かを考えているようだった
「それじゃあしかたないよ・・・ゆっくりできらいのはれいむきらいだよ・・・」
れいむはそう言って、とぼとぼと歩きながら寝床へと戻って行った。
翌日
「まりさ!」
「ゆ?どうしたんだぜ?れいむ?」
「まりさはゆっくりできなくなっちゃったからめがねをかけているんだね!」
「ゆ?」
「だいじょうぶだよまりさ!まりさがゆっくりできなくてもれいむはまり「まつんだぜ、れいむ」ゆ?」
「たしかにまりさはめがわるくなってすこしゆっくりできなくなったんだぜ、でもおにいさんにめがねをつくってもらってからちゃんとゆっくりできるようになったんだぜ」
「よかったわね!まりさ!」
「おにいさんはほんとうにゆっくりしているんだぜ」
「まりさ!」
「なんだぜ?」
「どうしてまりさはおめめがゆっくりできなくなったの?」
二週間後
今日はれいむの健康診断の日だ。
本来なら定期の健康診断は二ヵ月後なのだが、最近れいむがよく転んだり、物忘れが激しくなったりしている気がして急遽、予定を入れたのだ。
「○○さーん」
「あ、はい!」
呼ばれたので返事をすると看護士さんがれいむを抱っこしてやってきた
「おにいさん!ただいまだよ!」
「おぉ、ちゃんとけんさされてきたか?」
「ゆっくりけんさされたよ!」
元気そうである。なりより。
「で、どうでした?」
看護士さんに聞く。
「そうですね、体も消化機能も、知能も問題は見つかりませんでした。」
「それはよかった」
「ただ・・・」
「ただ?」
「視力がかなり悪いです。最近よく転ぶというのは急激な視力の悪化に対応しきれず、正確に認識できていないからでしょう。
記憶能力は問題が見られなかったので物忘れが多いというのも知り合いの顔を認識できないからそのように思えたのではないかと思います」
れいむの目が悪い?あいつそんなにテレビとか見るほうだっけ?
「このままだと屋外での生活に問題が出るかもしれません、眼鏡か手術を検討されたほうがよいかと・・・」
看護士さんに礼を言い、受付で清算する。
帰りの道中れいむの「けっかゆっくりしてた?」という問いに適当に返事をしながら考える。
俺は目はいいほうだから、メガネ何てしたことはない、俺と同じ生活をしているれいむもこんな急に目が悪くなるなんて考えられない。
看護士さんはメガネか手術と言っていたが、派手に転んでメガネのフレームが眼球に突き刺さり、そこから餡子を流して死に掛けたという事故もある。ゆっくりにしてはアウトドア派なれいむには少し危険だ。
かといって手術なんてもっと無理だ。ゆっくり用のレーザー治療は片目でも20万は下らない。俺にそんな金はない。
「どーしたのおにいさん?」
妙にうきうきしているれいむを見ながら俺は困った。
翌日
「まりさ!」
「どうしたんだぜれいむ?きょうのれいむはいつもいじょうにゆっくりしてるんだぜ」
「みんなきいてね!れいむはあしためがねをつくりにいくんだよ!」
「ほんとうなの?それはとかいはなことね?」
「それはほんとうなのぜ?れいむはめがねがなくてもゆっくりできるとおもうんだぜ」
「おにいさんがおめめのえーりんにいくっていってたからめがねにちがいないよ!まりさのおかげだよ!ほんとうにまりさはゆっくりしたゆっくりだよ!」
「どういうことなんだぜ?」
「まりさのいったとうり、いつもよるおそくまでおきてごほんをよんでたんだよ!」
さらに翌日
れいむはなんどか病院に来たことがある。でも今日は始めての病院だ。
れいむは椅子に座らされ、白衣をきた女性と話している。
「じゃあれいむちゃん、あそこにいるのはだれだかわかるかな?」
れいむの正面、数メートル離れたところにイラストが表示される。あれはゆっくりれいむだ
「おねえさん?すこしいろがかかれただけのおえほんなんてみせないでね!」
「ごめんねー、じゃあこれはだれだかわかるかなー?」
れいむの絵が消え、次はれみりゃの絵が出てくる
「おねえさん!あんなぼんやりしたものをみせられてもわからないよ!?」
「じゃあこれは?」
次にさっきのれいむよりおおきいまりさの絵が表示される
「おねえさん!さっきよりすこしくろくなっただけだよ!かりんとうさんのえをみせられてもこまるよ!いくらおんこうなれいむでもおこるよ!ぷんぷん!!」
「ごめんごめん!今度はちゃんとした絵を出すからね!」
まりさの絵が消え、かなり大きなれみりゃのえがでてくる
「れみりゃだぁあああああああ!!!?!?!??」
れみりゃの絵が消える
「お、おねえさん!れみりゃのえなんかださないでね!?ゆっくりできなくなるとこだったよ!?」
「ごめんね、れいむちゃん、じゃあ今度はこれをつけてもう一度絵を見てくれるかな?」
そういって女性が出したもの。それはれいむが夢にまでみた「めがね」だった。
30分後
れいむが紙を持ってやってきた。
俺にはよくわからんが、これをもって眼鏡屋さんに行けば眼鏡を作ってもらえるらしい。
しかし・・・れいむに眼鏡とは・・・
あのまりさは眼鏡が結構似合っていたが、うちのれいむには似合うようには見えないなぁ・・・
底まで考えたところで、俺の頭にある考えが浮かんだ。
なにも目が悪い奴がつけるのは眼鏡だけではないのだ。
店に行き、眼科でもらった紙を店員に渡す。
店員が持ってきたものを受け取り、代金を渡しれいむの元へ行く。
「おにーさん!めがね!めがねはゆっくりしてる!?」
れいむが俺の元に駆け寄ってくる。心なしかうれしそうだ。
そりゃそうだ、今まで見えていたものが見えなくなってしまう。それがまた見えるようになるというのだから、その喜びは強いのだろう。
ちょっとした出費にはなったが、れいむの笑顔が見られるならそれも悪くないだろう。
「おにーさん!眼鏡を見せてね!!ゆっくり見せてね!!」
「まて、れいむ。俺は君のために眼鏡よりいい物を持ってきた・・・」
「いいもの?」
「そう、その名もコンタクトレンズだっ!!」
そう、コンタクトレンズ。
これなら似合う、似合わないなんて問題じゃないし、レンズが割れるとかフレームが刺さるとか言う心配もない。
「おにーさん・・・?」
なんだ?俺の心遣いに感動したか?
「どうだ?」
「これめがねじゃないよ!?れいむはめがねがほしいっていったんだよ!?」
「まあ、まてれいむ」
「おにいさんはれいむのちゅうもんをまちがえたりしないひとでしょう!?」
「おちつけっ!!」
「ゆゆっ!?」
どうやられいむは眼鏡を相当楽しみにしていたらしい。だが、コンタクトだって眼鏡と似たようなものであるのだ。
「まあまて、れいむ。これはな、コンタクトレンズといって眼鏡のように目がよくなるものなんだ」
「ゆゆっ!?そうなの?」
「ああ、これでお前は前のように目がよく見えるようになるぞ」
そういって箱からレンズを取り出す。
「・・・なにこれ?」
「これがレンズだ」
「こんなのかっこよくな゛「早速つけてやろう」」
早速つけてやろう、れいむがなにか言いたそうにしていたようなきもするが、まずは漬けて見ることにする。
「よし」
れいむの頭を両足の太ももで押さえつけ、動けないようにする。
「まずは右目からな」
左手の指にレンズをつけ、右手でれいむの右目を開けさせる。
「いたいよおにいさん!なにするの!?」
「コンタクトをつけるんだよ」
あっさりと答える飼い主に対し、れいむは必死だ。
目を無理やり開けられるなんて今までなかったことだし、さらには指を目に突き刺さんと向かってくるのだ。
「いやだぁあああああ!?おびいざんごわあああぁああいいいいい!?!?」
今までにないほどの絶叫を上げ拒絶するれいむ。
何とかして飼い主の指から逃れようと、身をよじらせ、涙を流し、少しでも目に近づけさせまいと眼球をあちらこちらに動かす。
「おい、アヘ顔さらしながら涙流しても面白くないぞ」
「だってぇええ!」
「いいから、俺を信用しろよ。な?」
「ゆ・・・ゆぐっ・・・えぐっ・・・」
声にならないながらも肯定するれいむ。どうも飼い主への信頼が恐怖を上回ったようだ。
「よし、いいかれいむ俺の指を見るんだ、他のものを見るなよ?」
「ゆ・・・ゆっ・・・」
「よし!」
「ゆ!?」
れいむがしっかり目を動かさなかったこともあり、右目にコンタクトが入る。
「ゆ・・・うぅ・・・」
「どうだ?何回か目をぱちぱちして見ろ」
「ぱ、ぱ〜ち、ぱ〜ち、いわかん〜」
「なに、左目も入れればいいさ」
翌日
「まりさ!」
「れいむ?どうしたのぜ?めがねはかけてないのぜ?」
「ゆふふん!れいむはこんたくとれんずをしたんだよ!」
「こんたくとれんず?なんだかわからないよー!」
「きいたことがあるわ、おめめにいれるめがねのことよ!」
「おめめにいれたらゆっくりできないよ!?」
「だいじょうぶだよ!れいむはゆっくりしたゆっくりだからね!」
「だいじょうぶなの!?わからないよー!」
「まだちょっといわかんはあるけど、よくみえるよ!」
「ほんとうにおめめにめがねがはいっているの?」
「れいむのめをみるんだぜ!」
「ほんとうだよ!れいむのおめめになにかはいってる!」
「ゆっふっふ、そんなにみつめられるとてれるよ!」
「まって!ちぇん!おさないで!」
ゆー!!!
いきなり来客が来たと思うとそれはメガネをかけたまりさだった。
あわててて何があったのか要領を得ないが、どうもれいむが危ないらしい。
と、言うわけでいそいでいつもれいむが遊んでいる広場に駆けつける。
「れいむっ!?何があった!?」
「れいむのおにいさんだわ!れいむのおめめがねが・・・!」
見るとれいむが両目から黒いあんこを流しながら痙攣している
「いまおいしゃさんのところにはこぶところだよ!」
「ダメだ!動かすな!!れいむ!俺がわかるか!?」
「ゆっ・・・っぴ・・・お・・・にいざ・・・ぽぺっ!?!?」
頭を動かしこちらを見ようとした瞬間、電気が流れたかのような痙攣をした後、またぴくぴく痙攣するだけになる。
「待ってろれいむ!いま病院に連れて行ってやるからな!!」
20分後
れいむは再起不能だった。
詳しいことはわからないが、コンタクトを見ようと周りのゆっくりに押されて転んでしまったらしい。
その際、コンタクトが目の裏側に入りそうになってしまい、激痛と恐怖で怯え、暴れたれいむが木にぶつかってしまったらしい。
そしてその衝撃でレンズは目の裏側の皮を突き破り、れいむの中枢あんこへ進入。激痛にのた打ち回ったり、心配した仲間がゆすってやったりした結果レンズが割れ、人間で言えば植物状態に近い状態になってしまった・・・
レンズの破片自体は手術で取り除けたが、れいむはもうしゃべらず、動かない。
反応を返せないだけで自我は残っている可能性があるといわれ、安楽死をさせず引き取ったが・・・これでいいのだろうか?
俺の目の前には目のところにぽっかり黒い穴が開いた、アヘ顔をさらすれいむが時たまぴくぴく動くだけだ。
「なあ、れいむ・・・」
れいむの反応は、ない。
わざと目を悪くした結果がこれだよ!!
12月7日
最終更新:2011年12月08日 00:02