注意
- 「」はゆっくりの発言です。
- 『』は人間の発言です。
- ゆっくりが死にはしませんが、ひどい目にあいます。
- 独自設定があります。
「ゆっくりめをさますぜ。…ゆ?」
ゆっくりまりさは目が覚めた。そして周りを見渡す。
見たことがない場所だった。コンクリート打ちっぱなしの床、壁、
そして壁の大人のゆっくりでも届かないところに窓がある。
窓とは反対の方向は人間が座る用の椅子がある。
そしてその向こうには曇りガラスのずらすタイプの扉がある。
この景色にまりさには見覚えはなかった。
「ゆっくりめをさますよ。…ゆ?」
番であるゆっくりれいむが起きたようだ。
「れいむ ゆっくりしてってね!」
「ゆっくりしてってね! ここはどこなの?」
「わからないぜ。」「おちびちゃん どこなの?」
まりさたちは周りを見渡しおちびちゃんを探す。
いた。子まりさと子れいむ。生存している2匹の子供も近くで寝ていた。
よくみると自分たちの下にはバスタオルが引かれていて冷たくはない。
一安心するまりさだが、次に考えたのは「自分たちがなぜここにいるか」である。
昨日の夜は、家族と公園の片隅の段ボールのおうちで、
「ゆっくりおやすみなさ~い」
をしたはず。それがなぜ?
「「ゆっくりおきるじぇ(よ)。…ゆ?」」
二匹の子供も両親と同じような反応をする。
ここがどこだかわからないのだ。
季節は初春。春とはいえ、外である公園は寒い。しかしここは暖かい。
そしてタイル張りと曇りガラス。
まりさは餡子の奥にある記憶を引っ掻き回す。
「! もしかしたらここは…。」
「にんげんさんの…」
「「ごはんしゃんがあるのじぇ(よ)!」」
子供たちの視線の先には、たしかにお皿の上に乗ったゆっくりフードがあった。
一目散に駆け寄る子供たち。後からついていく両親。
少し警戒をする両親、だがお腹の空腹には勝てない。
「「「「いただきまーす むーしゃむーしゃ…しあわせ~」」」」
久々に食べた生ゴミでも雑草でもない食事に舌鼓をうつ親子。
「ゆゆゆ もうなくなっちゃのじぇ…」「ごはんしゃんいじわるしてないででてきてにぇ~」
しかし、その量は決して満足できるものではなかった。
「おちびちゃんたち ごはんさんはここまでだよ」
多くはなかったとはいえ、久々の安定した環境下での食事後に、
まったりとする両親。二匹はこの場所がどういう場所であるかを確信していた。
「「きょきょを まりしゃ(れいみゅ)たちの ゆっくりぷれいすにするのじぇ(よ)」」
親二匹の考えは子二匹の宣言で中断された。
「ちょ ちょっとまつのぜ おちびちゃんたち」
「そ そうよ ここは にんげんさんの ゆっくりぷれいすよ」
「にんげんさんの?」
親たちの考えはこうだ。
ここは人間の家。自分たちがここに入った記憶がないっていうことは、
自分たち一家はここの家の人間に拾われたということ。
そして飼いゆっくりになったのだと。
ただ、人間の家でおうち宣言をしたゆっくりがどうなるかは
昔から嫌というほど話を聞いていた。
「にんげんさんの おうちで おうちせんげんは ダメなんだぜ」
「どうして?」
「それはね…」
そこで曇りガラスの扉がガラガラと空く音がした。親子は扉の方を見る。
そこには一人の人間の青年が立っていた。
「「きょきょはまりしゃ(れいみゅ)たちの ゆっくり…むぎゅ」」
青年に早くもテンプレ発言をしようとした子供たちを抑え、
親たちは青年の前に移動する。
「まりさたちを かいゆっくりにしてくれて ありがとう。」
昔の癖で人間の前だと、話し方を変えるまりさ。
「すみません おちびちゃんたちは まだあまりにんげんさんに なれていないので」
すると青年は
『いやいやいや、僕は飼い主じゃないよ』
とにっこり笑いながら右手を振る。その笑顔はとてもゆっくりしているように見えた。
「「ゆ?」」
『えっと、そうだなぁ。僕はお客さんといったところかな。』
青年は左手で自分の顎を触りそう答える。
『さて、おちびちゃんにはお近づきの印としてあまあまさんをあげよう。』
というと青年はポケットからお菓子の袋を出し、子供たちにお菓子を与えた。
「「あまあましゃーん!」」
子供たちはよろこんで食べ始めた。
「「むーしゃ、むーしゃ、にゃんだきゃにぇみゅい…zzzzzzzzz」」
子供たちは眠りに落ちた。両親にはわからなかったが、青年があげたのはラムネである。
「お おちびちゃん!?」
『安心してくれ、毒じゃない。ちょっと眠ってもらうだけだよ。さて、僕は君たちに話をしに来たんだ。』
青年はそういうと人間用の椅子に座る。
『僕と話を聞いてくれたら…』
青年はそこで言葉を区切ると持っていたリュックサックから何かを出す。
『おいしいあまあまさんをあげよう』
それはゆっくりフードの箱だった。箱は金色に輝いている。
「ゆゆゆ! あれはきんいろのゆっくりフードさん!」
れいむが驚く。
「知ってるの? れいむ!」
「にんげんさんが たべさせてくれる フードさんのなかで いちばんしあわせーできる
フードさんだよ でもれいむはまだたべたことないよ」
れいむが答える。
『よく知ってるね。』
青年は感心する。まりさも番を褒められて悪い気はしない。
『さっきの僕への対応でも思ったんだけど、もしかして君たちはもと飼いゆっくりだったのかい?』
「「ゆゆゆ! どうしてわかるのぉ!?」」
まりさとれいむは、また驚いた。
青年の指摘通り二匹は金バッチの飼いゆっくりだった。
しかし同じ家で飼われていたわけではなく、隣同士で飼われていた。
二匹とも家の外には出られなかったが、晴れている日には庭で遊ぶことができた。
ある日、まりさは隣の家への金網がほつれていて隣の家の庭にいけることがわかり、
探検がてら庭に行ってみる。
そこには見た目麗しき美ゆっくりがいた。それが今の番のれいむだった。
「それは うんっめいっのであいだったよ!」
まりさは鼻息(?)を荒くして語る。
まりさはれいむに一目ぼれし、それから家人には内緒でちょこちょこと遊びに行った。
ところでこの二軒の家、仲は良くなかった。
それはペットであるゆっくりたちにもわかるほどだった。
二匹は憂えた。そして二軒の仲を良くするための方法を思いついた。
二匹はある日、まりさの家の人にれいむの額から生えたおちびちゃんたちを見せた。
これでまりさの家の人はゆっくりする。そしたら次はれいむの家の人をゆっくりさせよう。
そうすれば二軒の家の人たちは仲良くできる。
『でも、人間は理解してくれなかったわけだね。』
青年は腕を組んで残念そうにいう。
結局2匹そろって捨てられることになった。
おちびちゃんが生まれるまで家の倉庫に居られたのは、家人のせめてもの情けだったに違いない。
そのあとは野良落ちし、公園で生活をはじめるも野良生活に慣れていなく、
はじめは5匹いたおちびちゃんも2匹になってしまった。
まとめるとこういった話なのだが、ゆっくりの話だ。そんなに上手く伝えられるはずもなく、
たくさんの時間もかかったのだが、青年の誘導もありなんとか伝え終わった。
おちびちゃんはというと、まだすーやすーや眠ったままだ。
『なるほどね。君たちはおちびちゃんでそれぞれの家を仲良くしようと思ったんだね。
君たちはゆっくりのロミオとジュリエットだよ!』
青年は目をきらきら輝かせる。
「ろみおさんとじゅりえっとさん?」
『お話の世界だけど、人間でも君たちと同じようなことをした人たちがいるんだよ。
まあ、最後は悲劇だったんだけどね。…さて、今度は僕の話を聞いてもらおうか。』
青年はリュックの中からお茶のペットボトルを取り出すと、キャップを開けて一口飲む。
『君たちは、“愛で派”と“虐待派”って知っているかな?』
「まりさは ならったことあるよ ゆっくりにたいして かわいがってくれるにんげんさんと
いじめてたのしむ にんげんさんのことでしょ?」
『そうだった。君たちは元飼いゆっくりだったね。
その“愛で派”なんだけど、ゆっくりを飼いたいが、
お家が、ゆっくり禁止のアパートだったり、ゆっくり嫌いの人間と同居していたりと
いろんな理由があって飼えない人がいる。
そういう人たちのために、ゆっくり達と触れ合える場所があるんだ。』
ここで青年はまたお茶を飲んだ。
青年の話をまとめるとこうである。
「ゆっくりカフェ」
ここは、“愛で”派でゆっくりを飼えない人がゆっくりと触れ合えるゆっくりプレイス。
来店したお客が好きなゆっくりを指名し、一緒にお菓子を食べたり、遊んだり、おしゃべりしたりできる。
場所代はかからず、料金がかかるのは自分の飲む飲み物と、ゆっくりに与えられるお菓子類なんかだ。
この話を青年はゆっくりにもわかりやすく丁寧に教えてくれた。
「おにいさん ゆっくりかふぇさんには れいむはいるの?」
れいむは尋ねる。
『ん~、残念ながら普通のれいむ種やまりさ種なんかはいないね。
胴付きれいむなら見たことあるけど。』
青年は残念そうに答える。
基本種でいるのは少し珍しいちぇん種や、ゆっくりにしては頭がいいばりちゅりー種である。
しかし人気はにとり種や、もこう種、ちるの種などの希少種なんだそうだ。
キモカワイイの評判のきめぇ丸、
じゃおーんしか言えないが人懐っこいめーりん種も人気と聞いてまりさは少し驚いた。
ゆっくりの中での人気と違っていたからだ。
「ゆっくりかふぇさんでは みんなゆっくりしているの?」
というまりさの問いに、青年はちょっと考えて、
『ま、大体ね』と答えた。
『今度は“虐待派”の話だ。』
“虐待派”は“容認”はされているが、“歓迎”はされていない。
“虐待派”であることは、おおっぴらに世間に公表できないのである。
就職面接で、「私はゆっくり“愛で派”です。」といえば、
同じ“愛で派”の会社の人と話が合うかもしれないが、
「私はゆっくり“虐待派”です。」といっても、
「いやあ、実は私もなんだよ。」なんて言ってもらえるわけはなく、
ドン引きされて試験も落とされるのがオチである。
せいぜい入社した後の同期の飲み会なんかで
お酒の勢いに任せてカミングアウトすれば、
「俺も俺も」って言ってくれる人がいるかもしれないといった程度だ。
虐待も大変である。
まずは場所。ゆっくり達の中身で場所が汚れてしまう。
これらはシートを引くなどすれば少しは軽減できる。
次に騒音。赤ゆぐらいなら環境によっては問題なかったりするが、
成体ゆっくりの悲鳴は防音の環境でないと隣の家まで響いてしまう。
そして処分。終わったあとのゴミをゆっくり専用のゴミ入れに入れなければいけないが、
これが意外とめんどくさい。
そして掃除を完璧にやらないと虫が寄ってきて大変である。
ふき取り忘れの餡子に蟻がたかり、うわぁぁとなってしまう。
虐待用具をそろえるのもお金がかかる。
これも青年がわかりやすくまりさ達に説明した。
ここでまりさは違和感を感じた。体の中枢餡をちくっと刺されたような感じ。
(にんげんさんは なんでこんなはなしをするんだぜ?)
社会的地位のある人、教師などの虐待派がバレると名誉が傷つく人もいる。
“愛で派”と同じように虐待できる環境にない人もいる。
虐待してみたいが、どうしたらいいかわからない人もいる。
『そんな人たちのためにあるのが、通称「ゆっくりハウス」なんだ。』
青年は語る。
ここではもちろん秘密厳守。
入り口で受付しお金を払い、部屋に案内される。中には、ゆっくりがいる。
そのゆっくりをどうしてもいいのだ。
まりさの違和感は徐々に大きくなっていく。
それは既に違和感というよりは悪夢の予感というべきか。
『料金はゆっくりの数や種類なんかで決まるけど、親二匹子二匹の平均的は家族の値段は8000円だ。』
そこで青年は一呼吸置く。両手で隠している口元が歪んだ、気がした。
『君たちは10000円だった。』
「え? どういうこと? いちまんえんさんって?」れいむはわかっていないようだ。
まりさは言葉を出すことができなかった。
『平均よりも少し高いんだよ。なぜだかわかるかい?』
「ねえ しかとさんはゆっくりできないよ。」
「……」
まりさは答えられない。
青年はれいむの発言を無視して話を続ける。
『お店がお客のニーズに合わせて、どんなゆっくりがいいか決めてくれるんだ。
ゲスなゆっくりを制裁したい人、善良なゆっくりを虐殺したい人、
希少種を虐殺したい人なんかもいる。まあ、希少種は値が張るけどね。』
そして青年は壁をペタペタと触る。
『この壁だと壁や床に餡子やクリームがついても丸ごと水洗いできるんだ。
もちろん洗うのはお店の人だけどね。』
「にんげんさん さっきから はなしが…」
そんなれいむの発言を遮って、まりさが口を開く。
「にんげんさん もしかしてここは ゆっくりハウスさんなの?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青年はまりさの発言に驚く。
『その通りだよ。まりさ。』
青年はまさかゆっくりの方からそう言ってくるとは思わなかったのだ。
『素晴らしい、素晴らしいよ。この時点でわかるなんて、まりさ君はなんて頭がいいんだ!
さて、ここで僕は宣言する。君たちが僕に襲い掛からない限り、僕は君たちに危害を加えない。』
ここで青年はれいむの方を向いた。
『れいむ、君にも説明しよう。ここは人間が君たちゆっくりをいじめて殺す。そんな施設さ。
もっとわかりやすくいうと、君たち家族はえいえんにゆっくりする。
すぐにではないけど、おそらく今日中にはね。』
「お おちびちゃんも?」
流石にれいむも状況がわかったようだ。とはいえ、ゆっくりとしてはこれは平均的だろう。
『うん、そうだね。』
「どぼぢでーーーーーーっ」
『あんまり大きな声を出すと、おちびちゃんが起きちゃうよ。
それともこの話、おちびちゃんにも聞いてもらうかい?』
「おにいさん それはおちびちゃんがゆっくりできないから やめてね。」
『まあ、僕がわざわざ起こすことはしないよ。…そうだな。』
青年は一旦虐待ルームから外に出るとあらかじめ置いてあったモノをとってまた戻る。
青年は右手で持っていた、虐待グッズの基本である透明な箱(Sサイズ、防音仕様)を
床に置き、ラムネですやすや眠っている2匹の子ゆっくりを起こさないように
慎重に透明な箱の中に入れ、蓋をしめる。
さらに、透明な箱(Lサイズ)を床に置き、その中に親ゆっくり二匹と子ゆっくりが入った
箱も入れる。ただ蓋は開けたままにしておく。
「おちびちゃんになにをするの!?」れいむが抗議の声をあげる。
『いや、おちびちゃんが起こさないように、音が聞こえない箱の中に入れてあげたんだよ。』
青年は説明した。
「れいむ おにいさんは まりさやおちびちゃんに ひどいことはしないっていってくれから
だいじょうぶだよ。』
『危害を加えないって言ったんだけどね。まぁいいや。』
青年は、2匹の目の前に扉の外から持ってきたものを置いた。
また、リュックの中かられいむ種のぬいぐるみを取り出す。
『さて、ここにあるのは皆、君たちのあんよさんを動かなくさせてしまうモノだ。』
青年はチャッカマンを取り出し、火をつける。
「ゆゆゆ ひさんはゆっくりできないよ」
子供を起こさないようにか、まりさが小さくつぶやく。
青年はぬいぐるみの持ち上げ、その底部にチャッカマンを当て『カチッ』と口で言う。
『こうして念入りに足を焼いてしまうと、君たちは動くことができなくなってしまう。』
「ぬいぐるみさんが いたがってるよ やめてあげてね」
同じ種のぬいぐるみだからか、れいむがぬいぐるみを労わる。
『本当に焼いてるわけじゃないってば。…次だ。』
今度はホットプレートを二匹の前に出す。
『これもさっきのと同じように、君たちのあんよさんを動かなくさせてしまうようなもんだ。
ホットプレートさんだよ。』
ホットプレートのスイッチをひねる。もちろんコンセントを入れてはないので温度は変わらない。
また、さっきのぬいぐるみを持ち上げ、ホットプレートの上で押しつける。
『ジューーーー。ジューーーーー。』青年は口真似をした。
ぬいぐるみを細かく揺らす。
『あじゅい! あじゅいよ! あんよさんがあじゅいよー!』
青年はゆっくりの物まねをしながらぬいぐるみを押しつける。
「おにいさん ほっとぷれーとさんがゆっくりできないのはわかったからやめてね」
今度はまりさがいう。
その声はもちろん青年には届いている。だが、
『あじゅいよ! いちゃいよ! やめてね! やめてね!』
青年は続ける。そしてホットプレートからぬいぐるみを離すと床に置く。
その場でぬいぐるみを左右に揺する。
『あんよさん! うごいてねっ! ゆっくりしないでうごいてねあんよさん!!』
ちらっとゆっくりの方に視線を動かすと、れいむはおそろしーしーをしている。
「おにいさんもういいよ! ゆっくりしないでやめてね!」
まりさは顔を振って懇願する。
『その質問に1回だけ答えるよ。断る。…だけど、実際に君らを虐待はしない。
安心してくれ。さて、君たちのあんよさんを動かなくさせるのはこれだけじゃない。』
青年はそれから部屋にある虐待道具を、ぬいぐるみに虐待する振りをしながら説明をした。
聞きたくない音は人間だったら、手のひらで耳を覆うなど何かしらの対抗手段を取れる。
だが、ゆっくりには耳がない。全身で音を聞いているともいわれている。
だから聞きたくない音への対抗手段は遠ざかるしかない。
しかし、親ゆっくり2匹は透明な箱で囲まれているので逃げる手段もない。
青年が一通り虐待道具を説明し終わった時、
れいむは青年と反対方向を向いていて、顔の下にはしーしーと思われる液体がこぼれていた。
動いていないところをみるとまた気絶してしまったのかもしれない。
このれいむは先ほども餡子を少し吐いて気絶してしまったが、
青年によって餡子を口の中に入れられ、オレンジジュースで強引に回復させられた。
まりさは帽子を目深にかぶって視界を消しているが、しーしーは漏らしていないようだ。
『君たちゆっくりがこの世界で見つかって、一番売れるようになったものは何かわかるかい?
オレジンジュースだよ。今ではソフトドリンクで一番売れているそうだ。
他にもホットプレートやチャッカマン、鉄串などの売り上げも急上昇したそうだ。
これらを作っている企業はウハウハなんじゃないかな。
そこの企業で働いている人は、とてもゆっくりできることを君たちに感謝しているかもしれないね。』
青年はもはや何のリアクションも示さない親ゆっくりに向かって語る。
『さて、君たちがこれからどうなるか教えてあげよう。
僕がこの部屋から去ると、次にこの部屋に人間さんがやってくる。
だけどこの人間さんはゆっくりハウスの人で君たちには危害を加えない。
君たちの様子を見に来るだけだ。そのあとは少し間があくだろう。
そのあとに来る人間。彼らは君たちを虐待するつもりで来る。
その時が君たちのゆん生が終わる時だ。…ここまで話を聞いてくれたお礼だ。
約束通りさっきのおいしいゆっくりフードさんをあげよう。』
青年は横に置いてあった、ゆっくりフードヘブン味の袋を開ける。
「おにいさん おねがいがあるよ」
まりさに声をかけられた。
『なんだい?』青年は手を止めてまりさの方を向く。
「まりさとれいむは しかたないけど おちびちゃんはたすけてほしいよ」
(まあそもそも何が仕方ないのかわからないが、いいところをつくな)青年は思う。
たしかに、ゆっくりハウスで処置を施し、自宅に持ち帰って放置したり、
公園の野良に制裁させたりするためにゆっくりの持ち帰りはOKである。
だから、おちびちゃんだけじゃなくて家族そのまま持ち帰ることはできる。
『あー、それはダメなんだわ。僕は実家暮らしだし、親がゆっくり嫌いだから。
ここから連れ出してほしいっていうなら聞かないことはないけど、
そのままゆっくり用ゴミ箱に入れるだけだよ。どっちがいい?』
青年がそういうと、まりさは深くため息をついた。
「…おちびちゃんは まりさたちといっしょでいいよ」
『んじゃ、先にれいむを起こすかな。また気絶してるかな?』
青年がれいむの正面に回るとれいむは餡子を吐いて再び気絶していた。
青年は先ほどと同じように、餡子を口に押し込みオレンジジュースで起こす。
「ごべんだざいごべんだざいごべんだざいごべんだざい。」
何故か知らないが、れいむはいきなり謝り始めた。
『いやいや、君たちは何も悪いことはしてないから。落ち着いてね。』
青年は手を振る。
「れいむ おにいさんのはなしは おわったからだいじょうぶだよ。」
まりさはれいむの頬に頬を寄せすーりすーりする。
「ううううううううううぅぅぅぅぅぅ」
れいむは震えている。
『さて、今度はおちびちゃんに目覚めてもらうよ。』
青年は子ゆっくり二匹が入っている透明な箱を開けると、
寝ている二匹をタオルの上に置き、気付けがわりにオレンジジュースを一滴ずつ垂らした。
「ゆ? ゆっくりおはようだよ。」「ゆ? ゆっくりおはようだじぇ。」
二匹に目覚めるが、隣で震えている母親に驚く。
「お おかーしゃん ゆっくちちてね ゆっくちちてね」
二匹は泣きながら母親をぺーりょぺーりょする。
青年はそんなゆっくりたちに構わず、ゆっくりフードを開け、お皿の上に載せる。
『ここにフード置いておくよ。ということで僕はここで帰るから、後は家族でゆっくりしてってね。』
青年は「ゆっくりしてってね」の声を背に部屋を後にした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(今回はまた新たな楽しみ方ができたな。)
青年は帰りの電車で回想する。
青年がゆっくりハウスを利用するのは3回目であった。
1回目は、要領が良くわからず、虐待用具の説明がうまくゆっくりに伝わらなく
襲い掛かってきた親まりさを叩き潰してしまい、あとはもうグダグダになってしまった。
2回目は、前回の反省をふまえ、ゆっくりのぬいぐるみを用意した。
部屋にいたのはゲスで、最初こそ威勢よく「さっさとあまあまもってこい!」と勢いこんだものの、
虐待用具を説明するうちに態度を変え、最後は「たすけてほしいのぜ」と土下座する様に満足した。
ただ、子供を隔離をしなかったので、子供を非ゆっくり症にしてしまい、
間接的とはいえ、子ゆっくりを殺すことになってしまった。
青年はこうして恐怖を植え付けたゆっくり達がどうなるのかを店員に聞いたことがある。
「生き残った分は、またハウスに入れたままにしますよ。
恐怖を植え付けられたゆっくりたちは人間を恐れるんですよ。
人間を見ると震えて逃げる。そんなゆっくりたちを虐待するのを好むお客さんがいるんですよ。
まあただ、他の人間の手がかかってしまっているので値下げをさせてもらいますけどね。」
(しかし、面白いなこれ。また給料が出たら来ようっと。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゆっくりカフェ「ゆっとぴあ」内――
シュッシュッシュ
「どうも! 清く正しくきめぇ丸です。」
『わはは、今日もキモカワイイよ、きめぇ丸』
「おお、恐縮恐縮」
土曜日の午後ということもあり、お客さんがたくさん入っている。
青年は、トレイにコーヒーと砂糖水、そしてクッキーを載せて運んでいる。
『お待たせいたしました。アイスコーヒーに砂糖水、クッキーでございます。』
青年はトレイに載っていたものをテーブルの上に置いた。
『おお、ありがとう。』
『ご注文は以上ですか?』
『あ、はい。』
『それではゆっくりしてってくださいね。』
『めーりん、今日はクッキーを頼んだから、一緒に食べようよ。』
「じゃおーん、じゃおーん」めーりんが甘えるようにお客さんの胸に飛び込み頬をこすり付ける。
『こらこら、コーヒーこぼしちゃうだろう? もー。』
青年はテーブルから離れた。
ちなみにクッキーは基本的にはゆっくり用だが、人間も問題なく食べられる。
問題ないどころではない。甘さ控えめでおいしいのである。
青年はトレイを脇に挟み、次の注文を運ぶために調理室へ戻る。
調理室へ近づくと声が聞こえる。
「ちょっと、私のお客さんが注文したアイスティーまだ?」
青年がどうしたんだろうと思い入ると、
店のゆっくりである胴つきゆうかが青年の後輩店員に怒っているところだった。
『すいません。すぐ作ります。』
青年はこれまたお店の子ゆっくりのらんの面倒を見ているところだった。
このらんは下痢状態で、誰かが面倒を見ていなければならない。
どうやら昨日、お客さんの持ち込んだ食べ物を食べてこうなってしまったらしい。
本来、お客が自分で持ち込んだお菓子などをゆっくりに食べさせるのは禁止だが、
その禁止事項を破ってしまったお客さんがいたらしい。
本ゆんは大変そうだが、あにゃるからおかゆを出す様はシュールである。
『僕がすぐ作るよ。ゆうかさん、ちょっと待っててくださいね。』
青年が素早くアイスティーを作る準備を始める。
「お早くお願いしますね。」
ゆうかはぷりぷり怒りながら戻っていった。
「ぽんぽんいちゃいよー」子らんが苦しそうにいう。
『はぁ~』後輩はため息をつきながら、うんうんの処理をする。
『お前も大変だな。』青年は同情する。
この後輩は一番後輩ということもあり、
また本人の性格上ゆっくりにあまり強く出られない性格ということもあり、
どうしてもゆっくりからナメられ易い。
特にさっきの胴つきゆうかから目をつけられている。
(そうだ、彼にゆっくりハウスを紹介してみようかな。
それで無事に仕事ができれば何より、副作用が起こったらそれはそれで面白いかもしれないぞ。)
青年は密かに思うのであった。
最終更新:2013年01月10日 22:24