ゆっくりいじめ系3200 TIE④

TIE4

ゆっくりたちの食費がかさむので、改善策を練らねばならなかった。
安く手に入るものから順に、様々なものを食べさせてみた。
好物はやはり飴玉に勝る物がなかったし、代替できる食事を見つけることは叶わなかったとみていいだろう。
しかし、逆に与えてはならないものを見つけることが出来た。

カリッ
ぼべらろろろろろっ!!
くたっ

食べた瞬時に嘔吐する。苦しむことも叫ぶこともままならない。
ただ体内にあるすべての餡子を吐き散らかし、絶命する。

ケシの実
七味唐辛子やアンパンなどにも使われている。
この植物は麻薬の材料であり、栽培すると犯罪である。
最寄のスーパーで買ったアンパンにいくつも付いていたこのケシの実が
まさか彼らにとって即死級の劇薬だとは思いも寄らなかった。

孫世代は親を踏み殺したせいか。
自分以外の死というものに恐怖を感じないようだった。
数匹が吐き散らかされた餡子に群がり、死体を気にもせずにすすり始めた。
僕は、一匹一匹引き剥がした。
毒を食べて死んだのだ。その体を食べたら二次被害が出るだろうと思ったのだ。

「あまあま」

しかし、死体の皮を残して綺麗に食べた。
即死する様子はなく、手から離せば元気に跳ねてドスのほうへ向かっていくではないか。
要らぬ杞憂と思ったのもつかの間。
跳ねていく孫世代のうち1匹の動きが途中で鈍くなり、止まったかと思えば吐き始めた。
11匹いる中で2匹しか居ないまりさ種の1匹だ。
吐いた餡子にはケシの実の破片が見える。
僕はすぐ破片を含んだ餡子を拭き取った。

ピュッ 餡子を吐く。
こちらを向いて、何か言いたそうな顔をしている。
喋ろうと口を開くと ピュッ 喋ろうとすると吐く、この絶望にまりさ種のゆっくりはどうすることも出来ないでいた。

「ま”り”ざああああ!!」

まりさ種をとりわけて溺愛していたドスが部屋の端から叫んだ。
呼ばれたまりさはじりじりとドスや皆のいる方へ向こうとする。
口は自分の餡子をこれ以上吐くまいと必死につぐんでいる。
つぐむ口元が揺れ始めている。堪えるのも限界が来ているようだ。

「ま”り”ざぁじっがりぢでぇ!」

今まで、その巨体に相応しく落ち着いた性格だったドスが取り乱している。
クッションからぼとっと降りる。孫が一匹下敷きになったのも気付かない。
のぞり、のぞりと跳ねることもできないその鈍重な体を摺るように移動させてくる。

ぎぎぎ――、ぶぺっ。

あと一歩という距離までドスが寄ったとき。
目の前でまりさは口に溜まった餡子を吐き出して力尽きた。

「どうじでぇ!! ゆっゆっゆゅ……。にんげんざんどうじで、ま”り”ざがああああ!!」

まりさの亡骸の先をドスは見たが、僕は居ない。
ドスはきょろきょろと、涙を振り飛ばしながらボクを探す。
僕はというと、さっきまでドスがいたクッションのところでしゃがんでいる。
僕の周りで、普段見ないドスの取り乱しように怯えた子や孫達が震えている。

「なんでぇぇえ! ひどいゆぅ!! ゆうう!!」

僕は顔色こそ変えなかったが、目の色は明らかに変わっていた。
ふつふつと、こみ上げてくる怒りを確かに感じていた。

ドス、酷いのはお前だ。そう言いたかった。

僕の手にはドスが踏み潰した孫れいむがいたが。
潰れた衝撃で半分近くも千切れていて、もうすぐ死ぬ。

「いだいよぉ、いだいよぉ……」

手が餡子に塗れていた。
それをおいしそうに見るほかの孫。
やりきれない。
僕はここにきて何か冷めたが、自身ではまだ気付けていない。
知れば知るほど、ままならない気持ちになる。
僕は手に付いた餡子を手ぬぐいで拭き、床に放った。
当たり前のように群がる饅頭たち。

僕はなんだか脱力を感じた。
ぼうっと、窓を見る。もう夜なんだ。



――目が合った!

「うー☆ うーー☆」

窓の先には細い木が植えてあり、2階を越すくらいの長さがある幹とその枝の間に挟まるようにとまっている。
れみりあ種。いつから、どうしてここに。
こいつは、ゆっくり達を拾ってきたあの日に遭遇した、あいつなんだろうか。わからない。

窓を閉めている以上は入れはしないだろう。
そう思ったが、馬鹿だった。
なびくカーテンを見て。開いていると気付いた時にはもう遅い。

「うー☆」

入ってきた。目にも留まらぬ速さで部屋の中央でまだ悲しんでまりさの死骸の横にいるドスへと飛び掛る。

「ぎぃやぁああ! いだいゆ”ぅ」

切り裂かれている。背中にあたる部分にぴっしり切り口が入り、ドスのが動くと同時にパカパカとひらく。

『ドス、動かないでくれ』

僕は駆け寄り、ベッドしたにあるガムテープをべったり貼る。応急処置にしては雑かもしれないが。
これ以上動けば餡子がでる。助けたかった。
皮が張り、不満をもらすドスだが、死ぬよりはマシだ。

貼りながら僕はやつを探す。
バカな、上を探すんじゃない。
ヤツは捕食者だ。

クッション横にかたまっていた子と孫たちを見る。
1匹、無残に噛み千切られては啜られていた。
残りはガタガタと口をあけ、自分が後ろだ自分こそが奥だと
助かりたい一心でクッションの下の隙間におしくら饅頭をしている。
自分以外の死は無頓着であっても、自身への危険は察知したらしい。

バサッ。
窓の方だ、羽音が一度だけ聞こえた。
高速移動は音を聞くことも難しい。まるでこっちを見ろとばかりに一度だけ。
窓の下、床にれみりあ種。1匹口に咥えているのは孫れいむ。

「たじげ……」

言い終える前にれみりあ種は吐き捨てるようなしぐさで孫れいむを横に投げた。
同じくらいの大きさなのに凄い力だ。
幸いつぶれはしないが、泣き崩れて逃げようともしない。

僕は手に持っていたガムテープを投げるも、簡単に避けられてしまう。
れみりあ種はそのまま窓の外へ飛び立った。
僕は急いで窓を閉める。

「死んでね!!」「ゆっくり死んでね!!」

訳の解らない罵声が聞こえる。
窓が閉まり、安全だと解ったゆっくりたちは、投げ飛ばされたが一命を取り留めたゆっくりを囲んで。
ひたすらに、必死に、のべつ幕なしに死を要求していた。

『おいおい、君たち。何を言ってるんだ!? 止めろよ』

罵声を止めない。
なにより、そろそろ静かにしないとまた……。
僕自身別のところで、不安を感じていた。お隣さんに注意された後だ、夜に騒ぐのは控えたいと思っていた。
罵声を受けているゆっくりが、起き上がり、僕はその顔を見て納得した。

発芽している。

伸び続ける芽を僕はどうして良いか解らなかった。れみりあ種の種であるというのは察しがつく。
それでもこの場合はどうすればいいのだ。と、僕は咄嗟に行動を取る事はできないでいた。

「死んじゃえ!!」

2匹が歯を剥いて飛び掛る。うち1匹は親れいむだった。僕はもはや混乱していたといっていい。
僕は腕を振り上げる形で、噛み付こうとした親れいむを払い飛ばした。
予想以上に力が伝わり、床に当った衝撃で片目がつぶれている親れいむ。

「いっだい”!? なにするの!!? にんげんさん、ゆっくりたち悪くない!」

……ピキーーッ。
生まれた。れいむやまりさと違い、実ってから目を醒ますまでが異様に早い。
見間違うはずがない、コウモリようなの羽が生えている。

僕は、れみりあ種を実らせているゆっくりごと、両手で持ち上げて机の上の箱の中へと入れた。

『僕は……仲良くしたかった。死んで欲しくなかったんだ』
「うそだゆ。にんげんざん。ゆっくりたちを殺すゆ」

ドスは背中に貼ってあるテープの張力で引きつった顔で僕に訴える。

『助けたかった。一言だって良い、ありがとうって言われたかった。感謝されたかったんだ』
「お礼がほしいゆ? 当たり前の事をしてゆだけ――」
『――僕わかった』
「殺されるゆ。ゆっくり達、ここに来なければよかったゆ」「にんげんさん。ゆっくり死んでね!」
『君たちはクソだ』

僕はドスの頭部を掴んでは手前に倒す。
上からぐっと、床に口を押し付ける。
露になった背中のテープの端を、皮を抉るように指を突っ込んでつまむ。
モゴモゴと床から聞こえるのを鼻で笑い
思い切り背中のテープを引き剥がした!

ビリリリリシャアアアアアア!!!!

フルフェイスヘルメットを越える大きさのこの生き物の
びりびりに裂けた背中から餡子が勢い良く吹き出た。

僕の顔にかかる。孫達のところまでも飛び散る。
孫たちは怯えたままで、いつもは舐めるであろう足元の餡子には目もくれなかった。
僕は引き剥がしたガムテープをゴミ箱へ捨てて、机の方へ向かう。
箱を覗くと、れみりあの幼体がちまりとそこに居た。
苗床だった親を食べた後のようだ。
れみりあを掌に乗せて、ぶちまけているドスのところに戻ってしゃがんだ僕は一言。

『さ、れみりあ。ご飯だ。散らばってる餡子を全て食べろ』

黙々と飛び散った餡子を啜り始めるれみりあをと
一箇所に集まって言葉も出さずに震えているだけのゆっくり達。
ここ数日、こんなに静かな夜は無かった。
保護してからというもの、言うほど悪くはなかった。
が、これからもっと楽しくなると確信した。



数週間後、長期休暇も終わり。
僕は仕事が始まった。
帰りは夕方になるが、家の心配はしていない。

『ただいま。元気にしてたかな』

薄暗い部屋に業務用のライトだけが眩しく机の上だけを照らしている。
キャンドルに火を灯す。
スターリングエンジンが火の力で動き始めて、いくつか繋がった機械に動力を与えはじめた。
自動で飼料をつくる装置を造ったのだ。

飼料、ゆっくりたちに食べさせる餌のこと。BB弾くらいの大きさの飼料の粒が大量に瓶に貯まっている。
部屋には長テーブルが壁に沿うように並べられている。
さらにその横、壁の隅にはクッションが置いてあり、そこには片目の潰れたドスがいる。
テーブルの上にはガラスケースが二つ、一つには「交配用」と書かれ、様々な種類のゆっくりが居る。
その隣のガラスケースは周りが見えないように風景写真で囲み、中にはゆっくりが複数匹、快適に住めるような環境が整えてある。

『れみりあに餌をやらないとね』
「うー☆」

暗い部屋の天井側かられみりあの喜ぶ声が聞こえる。
注射器を手に取り、ドスの居るクッション前にやってきた。

「んーーー!!!」

壁にガムテープで固定してある片目のドス。
そのガムテープが口を塞いでいる。
注射器を注し、液体を入れると……。

「んーーー!!! んぅーーー!!」

ドスがもがきはじめ、腹部が凹み始める。
ミントやゆっくりの餡子、他に色々と薬品を混ぜたものをドスに注入すると
成体に近い大きさのゆっくりが生まれることを発見していた。
ぽーん。

「ちゅっくり!!」

れいむ種がまるでボールのように腹部から飛び出してきた。
生きる力と希望に溢れたその屈託のない瞳は
薄暗い中でも一際輝くので、掴みやすい。
僕は飛び出たゆっくりをキャッチしてそのまま上へトス。
落ちてくることは無かった。
天井にぶら下がっているれみりあがキチンとキャッチしたのだろう。

『あと、飼料用にもあとひとつな』
「んんんーーー!!」
『まぁまぁ、頼むよ』

ドスは潰れていない片目から涙で訴える他に出来ることなど無い。
注射。 暴れる。ぽーん。 キャッチ。 機械のふたを開ける。

ガガリガガガガリリリ

ふたを開けると、結構煩いこの機械、薄めで大きい歯車が数枚重なりばらばらに回転している。
ゆっくりを入れると、簡単にミンチができる。
僕はゆっくりを機械の中へ放ってフタを閉めた。

静かだ。
餌代もほとんど掛からない。
実験も捗る。

『なあ、ドス。お前のままが言ってたみょん、まだ見つからないんだ』



TIE 4完

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最終更新:2022年09月17日 21:28
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