ゆっくりの中でも希少種中の希少種
下手すりゃ売った金で小さな城が建つ
(ゆっくりの中では)美しい


そんな様々な噂があるのものの、捕まえた人はおろか姿を見た人にもあったことがない
そんなゆっくりかぐやを捕まえられそうだという期待に、おそらくゆっくりかぐやが居るであろう
洞窟の少し手前で俺は焦る気持ちを抑えていた
何せ希少種中の希少種
元来強いゆっくりほど数が少ない。例外は某瀟洒なメイドが甘やかすため数が増えるゆくりゃぐらいであろう
その中でも不死という特徴はさらに同種が増えることの必要を無くす
ゆえにゆっくりえーりんやゆっくりもこうも相当な希少種である
そしてその二匹のゆっくりよりもさらに珍しいのがゆっくりかぐやである
ゆっくりかぐやかと思ったらゆっくりてるよだったりにいとだったりと、ギャンブル的な要素もあるらしい
まぁ、それでも相当にレアなのだが
ちなみにゆっくりてるよは頭だけで、ゆっくりかぐやは体つきだという


俺が参考にしているこのゆっくり図鑑
ゆっくりかぐやの項よるとゆっくりかぐやはゆっくりえーりんが世話をしている場合が多く、
自分で外に出ることは少ない。というか出してもらえないらしい
どうやらゆっくりえーりんにとってゆっくりかぐやの世話をすることは至高の喜びであり
それだけで飲まず食わずで過ごせるという
故にゆっくりえーりんの住処を突き止めることがゆっくりかぐやを捕まえる第一歩なのだという


「焦るな俺…この前の二の舞はゴメンだ」
一人つぶやく
ゆっくりかぐやとゆっくりするには様々な障害がある
まずは(ゆっくりの中では)知性があり、また戦闘能力も高いゆっくりえーりんをどうにかしないといけない
恥ずかしい話
というか恥ずかしすぎるんだが、俺はこのゆっくりえーりんに二回知恵比べで負けており
危うく罠のサビになるところであった。思い出すだけではらわたが煮えくりかえる
流石にガチンコで戦ったら勝てるんだが…
たかだかゆっくりがッ!!人間であるこの俺にッ………俺がアホなだけともいう
俺がゆぐやを捕まえた暁には、縛って身動きの取れないゆえーりんの前で非道の限りを尽くしてやるぜぇぇぇ
そしてさらにゆえーりんをどうにかしたとしても次は難題をふっかけられる
人間ならなんとか解けるような難度らしいが、何でこいつだけこんなにめんどくさいんだ…
しかし、死なないので虐待できるだけ虐待できるし
飽きたら売れば一財産築けるとあれば狙う価値はある
そんなわけで最初にゆえーりんを見つけ住処を突き止め、どうやら奥にゆぐやがいるかもしれないという機会に恵まれた今、
どんなに押さえても心は焦る
今日こそ幾多の罠をかいくぐり、ゆぐやをモノにしてやるぜ


と意気込んできたものの、何か様子がおかしい
罠の気配が全くしない。ゆえーりんなら発見しやすい罠もあえてちりばめることで、
本命の罠を隠すようなことぐらいはしてくるのだが
そしてそのゆえーりんの姿も見えない。ゆぐやの餌でも取りに行っているのだろうか
まさか餌を取りに行く時にはずした罠をセットし忘れたのか?
罠は侵入者を防ぐと同時に、ゆぐやを外に出さない意味もあるらしい
そんな大事な罠をセットし忘れるとは、いくら元が月の頭脳とはいえしょせんはゆっくりよのう
ああ、愚か愚か
うひょおーーーーーーー
と千載一遇のチャンスに突撃する俺。
一応罠を確認しながら奥へと進む
あまり深くはない洞窟の奥から「ゆっくりしてくりゃれ」
と言う声が聞こえてきた
ゆっくりかぐやだ。ああ、俺もついに…
難題を出されても無視して連れ去ってやるぜ。待ってろよ、ゆぐや
しかし、俺の希望や未来は次の言葉で打ち砕かれる
「残念だけどここではゆっくり出来ないわね」
陰から覗く俺が観たもの。それは待ちこがれたゆぐやと、
間違いない、永遠亭の薬師、月の頭脳…八意永琳だ
おわった…相手が悪すぎる。どう足掻いても勝てない
この瞬間俺は理解した。俺の持つゆっくり図鑑の中でも、ゆっくりれいむやゆっくりまりさなみに
ゆっくりかぐやの項目が多いことを。そしていくら希少種とはいえゆぐやの目撃者すら居ないことを
ゆぐやは片っ端から永琳に連れて行かれているのだろう。ゆっくりとはいえかぐやをあの月の頭脳が見逃すはずはなかったのだ
そして、その永琳が図鑑にゆぐやの解説を書いていたのだ…どおりで詳しく書いてあるわけだ
「ゆ。かぐやを連れ出すつもり?なればかぐやが出す五つの難題をゆっくり解いていってくりゃr」
「はい。」
ゆぐやが言い終わる前に何かをゆぐやの前に出す永琳。ここからではよく見えないが
ゆぐやの驚いた表情を見るにおそらくそれが難題の答えなのであろう
まだ出してもない難題を解かれ呆然とするゆぐや
恐るべし月の頭脳
「さぁかぐや、あなたの永琳ですよ。好きなだけ思うだけ我が儘を言い私を頼りなさい
さぁ、お家に帰りましょうねうふ、うふふふふふふようやく三人目だわうふふふふ」
「ぐ、ぐやぁぁぁぁああああああああああああああん」
連れ去られるゆぐや
好きなだけ我が儘を言えるだなんてゆっくりにとっては最高だね!
と言いたいところだがあそこまで依存を強要されると帰ってストレスらしいな…
特に知性が高めのゆっくりだと…
恐るべし月の煩悩
………合掌

しかし、俺はどうすりゃいいんだ
流石にあの薬師と争う度胸はない。というか無理。マジ無理
しょうがない、その辺のゆっくりでも潰して鬱憤を晴らすかと近くを散策する
………異形なモノがあったので近づいてみると、それは矢が大量に刺さったあのゆっくりえーりんだった
チャンスである。動けない今のうちに連れ帰って散々虐待の限りを…とも思ったが、今回は違う虐待をしてみようと思い立つ
どうせゆえーりんは死なない上に精神力も高く肉体的な虐待は効果が薄い
俺は「大丈夫か!」と声をかけつつゆえーりんにささった矢を丁寧に抜いてやる
「まぁ、そう警戒するな。俺はお前の味方だ」
「かぐやーーーーー」
俺の話も聞かず一直線に洞窟へむかうゆえーりん。なんか俺さっきから完全に蚊帳の外
しかし、ゆえーりんの行き着く先はもぬけの殻となった洞窟
「か、かぐやーーーーかぐやーーーかぐやがいないとゆっくりできないぃぃぃぃ」
「ああ、かぐやなら難題を解いた人が現れて嫁に行ったよ」
とりあえず本当半分嘘半分をつく
「ゆ!?か、かぐ…や」
ぼろぼろ泣き出すゆえーりん
「おめぇのかぐやはもういねぇよぉぉぉ残念でしたーーーーゆっくり違うかぐやをさがしてね!!」
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆがぐやっぁぁぁあぁああああああ」
ゆえーりんのひとみがどろりと濁ってくる
「もう二度とかぐやには会えないね!ゆっくり違うかぐやを探してもきっともう二度と見つからないね!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛がががっがあががががががあがががああああが」
がたがたと震え出すゆえーりん
お互い希少種同士、ゆえーりんがゆぐやに仕えることなどどれほどの確率か、想像するに悲しい
故に大半のゆえーりんは、ゆっくりてるよに仕えることで幸福感を満たす
しかし、このゆえーりんが仕えていたのはほんもののゆっくりかぐや。その充実感は筆舌にしがたいものがあっただろう
でも、逸れももう終わり。あの月の頭脳でさえようやく3人目だといっていた
それだけのレアものに会える確率は永遠の命を使ってもゼロだろう
「あーあ、もうかぐやには二度と会えn……えーりん?」
死んでいた
不死身なのに死んでいると表現していいものかわからないがとにかく死んでいた
魂そのものが朽ちたのだ。ゆえーりんを襲ったストレスは永遠を軽く凌駕したらしい
不死の身さえ死すほどのストレス
なにか得も言われぬ恐怖を感じた俺はもう暗くなり始めた道を恐怖に怯えながら帰った

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最終更新:2022年04月14日 23:06