虐待表現がひがえめだど〜☆



ここのところ仲間の数の減りが早いな、とぱちゅりーは感じていた。
ぱちゅりーは群の中でもブレインとして働く(ゆっくりにしては)とても優秀なゆっくりだった。
増える速度が普通の生き物と比べて速いはずのゆっくりの数が減る。
これはどう考えてもおかしいことだ。
でもゆっくりの間で病気がはやっているという話も聞かないし、でんじゃらす・すぽっとが増えたという話も聞かない。
となると、答えは自然と1つに絞られる。人間の捕獲スピードが上がっているのだ。
むきゅん、とぱちゅりーは嘆きの声を上げた。
どうにかして人間につかまらないようにしなければならない。
ぱちゅりーはそれでなくとも無い脳みそ……ではなく脳クリームもフル回転させて考えた。

一番いいのは人間をやっつけることだが到底自分たちの力ではかなわない。
人間は自分たちゆっくりを捕まえたらどこに連れて行くのか……それは加工所だ。
最近では潰されるだけだったドスですらも加工所に連れて行かれるのだそうだ。
……あぁ、そうか!人間がやっつけられないなら加工所をやっつければいい!
そうすれば人間もゆっくりの処分に困って手を出さなくなるだろう!

……と、この結論に至るまで1ヶ月ほどかかった。
それでなくても回転の遅いゆっくりブレイン。
食う間も寝る間も惜しんでその上5分考えるたびに2時間ものゆっくりタイムを挟んでいればこうなる。

さっそくぱちゅりーは加工所にスパイを送り込むことにした。
加工所はゆっくりできない所なんて事はいくらアホなゆっくりにも遺伝子に組み込まれるほど強く認識されていた。
従って加工所に自ら飛び込むような真似をするゆっくりは一匹もいなかった。
そもそも近づこうとするものさえ居ない。
その逆を突いた……と、そこまで深く考えていたわけでは全く無かったが、加工所の周りのゆっくり対策はやはり手薄だった。
逃げ出し防止の為のトラップは多く仕掛けられていたが、進入防止のトラップは皆無と言っていい。
「あいてをやっつけるには、まずあいてをしることからなのよ!」
「さすがはぱちゅりー、あたまがいいぜ!」
しかし残念ながらぱちゅりーはスパイを送り込んだ後のことを何も考えていなかった。
ただ加工所をやっつけるという野望にまるで空飛ぶ肉まんのようにほくほくとしていた。
いったい君たちは何を知りたかったのかな?

一方でスパイとして送り込まれたありすは中に入るときょろきょろと辺りを見回した。
いたるところで絹を……いや皮を裂くような叫び声があがり、ごうんごうんと大きな音がしていた。
大きな黒いベルトの上で足を焼かれたゆっくり達が思い思いの叫び声をあげていた。
「ゆぎいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」
「あぢゅいよおおおぉぉぉぉ!れいぶうううぅぅぅぅぅぅぅ!」
「わがらないよーーーー!あんよがうごがないよぉぉぉぉぉぉぉ!」
悲鳴が上がるたびにありすは驚きすくみあがった。
また、白い服を着て白い手ぬぐいを口元にまいた男たちがその叫び声のベルトを囲みせっせと種族ごとに仕分けをする。
さらに種族ごとに分けられたゆっくりはかごに放り込まれ、かごがいっぱいになると別のテーブルに運ばれる。
テーブルの目の前には別のラインが横たわり、そのラインでは大きな回転する刃でゆっくりを粉々にしていた。
このラインはゆっくりを加工すると同時にちょうどかごの中でその光景を嫌でも目の当たりにするゆっくりに更なる恐怖を与えるという優れものだ。
このようなサイクルをDFC(Double Fear Cycle)工法(意匠申請中)と呼ぶが、それはまた後日ゆっくりと説明しよう。
そしてテーブルの上では大量のゆっくり霊夢たちが食用乾燥饅頭となるべく加工を受ける。
目の上下部分の皮を無理やりあわせ、水溶き片栗粉でよく接着した後に、乾燥台の針の上に突き刺していく。
針の上では無数の霊夢が自分の足がなくなった事と暗闇の恐怖をのろった。
「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!」
「ぎゃぼおおおおぉぉぉぉぉ!おがあじゃああああぁぁぁぁん!」
「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!」
後ほど乾燥機の中で干からびるほどゆっくりできるというのに真にせっかちな連中である。

この光景を目の当たりにしたありすは絶望した。加工所を動かしていたのも人間だったのだ!
それにあんなにゆっくりできないものだらけのお化けに勝てるわけが無い。
加工所も人間だとしたら自分たちに勝ち目は無いじゃないか!
ぱぢゅりいいのうぞづぎいいいいぃぃぃ!
ありずはごんなにごわいおもをじだのにどうじでええええええええ!
ま、少し考えればわかる事だが。こいつらの頭の残念さも絶望的だ。
だが叫んだ瞬間にラインを外れたゆっくりだと思われ自分もベルトに放り込まれてしまうだろう。
ありすは人間がいなくなった隙を見計らって外に飛び出そうと身を構える。
と、そのとき一人の人間がふとこんな言葉を漏らしたのを聞いた。
「ふぅー、いやぁ電気で動くカラクリが増えてからずいぶんと楽になったなぁ」
「そうだな。ずいぶんと手間が省けるようになったな。
 だがその分俺らがゆっくりをぶっつす楽しみが減ったのが残念だがね」
「ま、そういうなよ。まだゆっくりなんて探せばいくらでもいるじゃないか。
 楽でも給料が変わらないんだから電気様様さ」
男たちはテーブルを離れるとおくに昼食をとりに行く。
その隙を狙ってありすは外へ出た。
生きた心地のしない加工所と打って変わり、外はお日様が照り、風はそよそよ、とてもゆっくりとした昼下がりだった。
「うめっ、シャバの空気めっちゃうめっ」
ありすは一目散に仲間の元へと帰っていった。

再び図らずしてぱちゅりーはおいしい情報を手に入れた。
別に今度新たに発売されるゆっくり特製ようかん(税込み\600)の事ではない。
最近は「電気」というものを使ってゆっくりを処分しているということである。
「でんきってなにー?わからないよー」
「れいむにもわかるようにゆっくりおしえてね!」
「むきゅっ!知ってるわ。でんきって言うのはかみなりさまのことよ!
 きっとにんげんさんはかみなりさまの力をかりているのよ。
 だからかみなりのかみさまがいけないの!」
「ゆゆっ、かみなりさま?」
「ゆぅ、まりさはかみなりさまきらいなんだぜ……」
「うるさくてゆっくりできないわ。きっといなかもののかみさまなのね!」
人間は雷様と結託してゆっくりを処分しているに違いないという結論になった。
だからいっぺんにたくさんのゆっくりが処理できるようになった分、捕まえられる個体数が増えたのだ。
「そんなゆっくりできないかみさまはゆっくりしねばいいんだぜ!」
「そうだね!れいむたちをゆっくりさせてくれないかみさまはかみさまなんかじゃないよ!」
「ひとのゆっくりをじゃまするなんてとかいはじゃないわ!いなかものね!」
みな口々に非難の言葉を口にした。
ぱちゅりーは誓った。この悪い悪い神様に抗議しにいかなくてはなるまいと。
ぱちゅりーは雷神を恐れなかった。なんといっても彼らには採られるヘソがないのだから。

さっそくぱちゅりーはドスと群の仲間とともに加工所へ向かった。
途中夕立にあってしまい足止めを食ったが、それ以外は難なく到着した。
もう日が傾きかけている。暗くなればさすがに人間も加工所をはなれて家でゆっくりするだろう。
工場の中が雷神だけになった瞬間を狙って直訴するのだ。
ぱちゅりーの計画はゆっくりの割りにはなかなか頑張ったもので、本人は完璧だと自負していた。
とてもゆっくりしている自分たちの言い分を聞き入れてくれるに違いないという煮ても焼いても食えないような無駄な自信もあった。
しかしぱちゅりーの予想に反し、なぜか加工所の中からは煌々とした光が漏れていた。
それでなくても朝早くから動き始めるというのに、夕方になった今も変わらず稼動しているのだ。
「ゆゆっ、なんだかかこうじょがあかるいんだぜ!」
「らいじんさんをこんなにこきつかうなんて、とかいはじゃないわ!」
「労働基準法違反だね、わかるよー」
ぱちゅりーは躊躇した。群の仲間は総勢30匹ほどで、そのうち1匹はドスだ。
だがこのまま直訴に行っても結局人間につかまってゆっくりできなくなってしまう。
ここで粘っていてもいいが、夕立後のせいかなんとなく雲行きが怪しのが心配だ。
てかここに来て怖い。
「むきゅぅ……」

その時、群の背後の草むらががさがさと揺れた。
場の空気がカチンと固まり、水を打ったように静かになる。
がさがさは次第に自分たちより遠ざかり、やがて再び静かになった。
ぱちゅりーは恐る恐る茂みから突き出た岩場によじ登った。
人間の子供が3人、100mほど先で遊んでいた。
すると、そのうち一人が近くにあった銀色の塔に登りはじめた。
後に続けと残りの2人も一緒に上り始めるが、突然後ろからやってきた男に引き止められたようだ。
「こらっ、鉄塔に登っちゃだめだって言ってるだろうが!何でお前らは毎回毎回……」
「えー、なんで?すっげー高いじゃんこれ」
「登るなっていわれると妙に登りたくなるよな」
「理由?そうだな、そこに高いものがあるから……かな」
「駄目な物は駄目だ!落ちて怪我でもしたらどうする!
 それに一番高いところには高圧の電気が流れてるんだぞ。
 触ったらどうなるか分かってるのか?
 まぁ高圧って言っても分からないとは思うが……」
「知らなーい」
「触ったぐらいで死ぬわけ無いじゃん!」
「僕のハートも……高圧だぜ」
「いいか?あすこに流れているものは雷と同じものなんだ。
 だからあれを触るってことは、体に雷が落ちるのと一緒なんだぞ!
 真っ黒こげになりたくなかったら金輪際鉄塔に近づいちゃ駄目だ!」
子供たちは返事をすると渋々と鉄塔を離れていった。

一方のぱちゅりーは男の説教が終わる前に目を輝かせて地面に降り立った。
具体的には「しらなーい」の「な」の辺りである。
「むきゅ!いいことをきいたわ!
 あのたかいところのせんにでんきさんがとおってるらしいの!
 だからあのでんきさんがとおってるみちをこわしちゃえば、かこうじょはうごかなくなるわ!」
「さすがはぱちゅりー、かしこいんだぜ!
「これでとかいはのありすもゆっくりできるわね!」
「さっそくそのせんさんをきっちゃおうね!」
「これでおちびちゃんたちともゆっくりできるよ!」
「にんげんにかてるよー。わかるよー」
わらわらと鉄塔の下に集まってくるゆっくりたち。
自分たちが加工所をやっつける瞬間を見ようと多くのゆっくりが押し合いへしあいドスを取り囲んだ。
「むきゅ!ドススパークでてっとうをたおして!」
「こんなほそいはしらさんはドススパークでいっぱつなんだぜ!」
ドスの口がキラキラ光りだす。
周りのゆっくりの瞳も期待でキラキラと光っている。キモい。
ドォーーン!と盛大な音とともにドススパークが放たれ、見事4本足のうちの一本を叩き折った。
それと同時にチカチカッという数回の点滅の後に加工所の光が途絶えた。

周囲からゆーっ!という大きな歓声が上がる。
「やったぜ!とうとうかこうじょをやっつけたんだぜ!」
「むきゅん!われながらかんぺきなけいかくだったわ!」
「これでみんなゆっくりできるよ!」
「おきゃーしゃん、いっしょいゆっきゅいいよーえ!」
「いなかもののにんげんに おにあいだわ!」
思い思いの喜びの声をあげる中、ドススパークを食らった鉄塔はミシッミシッと悲痛な悲鳴を上げていた。
そしてスコーンッという何かが吹っ飛ぶ音とともに一本の鉄骨がはね飛んだ。
「ゆぎゃぎぃっ!」
その鉄骨は見事にドスの背中から腹を貫通し、ドスを串刺しにした状態で地面に斜めに突き刺さった。
ドススパークで吹っ飛ばされた群に最も近い足側にゆっくりと倒壊していく鉄塔。
「ゆ゙ゆ゙ゆ゙っ!」
「てっとうさんがたおれてくるよ!」
「みんな!ゆっくりにげるよ!」
「ごわいよおおおおぉぉぉぉぉ!」
ギャーギャーと騒ぎ立てながらそろいもそろって鉄塔と逆方向に逃げるゆっくり達。
口の中に赤ゆっくりを匿うれいむ、我先にと他のゆっくりを踏み台に逃げるまりさ。
こんなはずでは!と顔を真っ青にしてよろよろと後に続くぱちゅりー。
鉄塔はゆっくりを串刺しにしながら地面に倒れこむ。
ある者は頭から真っ二つ、ある者は体の一部のみをけずりとられ、
ある者は口から鉄骨が飛び出し、ある者は挟まれ跡形も無く圧縮される。
砂煙が上がり鉄骨と生ごみの山が出来上がるとゆっくりたちは呆然とその山を見つめた。
中からは息のあるゆっくりたちが助けを求める声が聞こえてくる。
「おがあじゃああああああああぁん!」
「れいぶのあがじゃんがああぁぁぁ!」
「らんじゃまあああぁぁ!おぎでええええええぇぇ!」
そして彼らに追い討ちを掛けるかの用に山の頂上から切れた電線が弾性により地面に叩きつけられた。
ぱちゅりーは目の前にたくさんの星が、雷が、自分のクリームが、飛び交うのを見た。
「あびゃびゃびょよよよびびびびびびびび!」
「びょびゃびゃびゃびゃぶぶぶぶぶ!」
「りりりりりりりりりりびゅ!」
「でんこ!」
「えれぐどろにぐずー!」
夕立の後もあり鉄塔から逃れたゆっくりたちに満遍なく漏電した電気がいきわたった。
体中に張り裂けそうな痛みが走った。
平衡感覚が失われ目が焼け付くような痛みを訴える。
逃げようにも痙攣を起こし体は動かない。
だんだんと頭の中がめちゃくちゃになってゆく。
どうしてこんなことになってしまったのだろう?
ただぱちぇは、みんなとゆっくりするためにがんばっただけなのに。
その答えが出る前に、ぱちゅりーは跡形も無くふき飛んだ。


中途半端に頭がよかったためにすべてを台無しにしてしまったぱちゅりー。
ぱちゅりーの生クリームは何も生み出さなかった。
最新の技術も、群も、そして最もほしかったゆっくりでさえもなくなってしまった。
後に残ったのはかけつけた職員達の絶望に満ちた顔。
すでに炭化してなんだったのかよくわからない布のようなものや団子のようなもの。
そして真っ黒にこげてしまった月の形をかたどったアクセサリーだった。




おしまい







あどがぎ☆


うっうー☆ぱぢゅりーはばかなんだど〜♪
こーまがんのおぜうさまにはごんなごとすぐにわがっだど〜♪

(訳:どうもこんにちは。なんとなく頭のいいゆっくりについて書きたくなったので
 虐待表現が少なめになってしまうのですが、こんなんでいいのでしょうかねぇ?)

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最終更新:2022年04月15日 23:03