最近、全国で流行っている遊びがある。
うー競争と呼ばれる遊びだ。
虐待の延長上から、全国大会まで、規模も大きい。

今日はそのうー競争について説明しよう。



まず用意するのは、胴体のないれみりゃである。
これらを捕まえるのは意外と簡単で、森の木の枝にでも適当なゆっくりを吊るしておけば
すぐに捕まえられる。
今も一匹のれみりゃが、私の目の前の木に吊るされているまりさを捕食しようとやってきた。


「れみりゃはこっちこないでね! ゆっくりできないよ! やめてね!」
紐で吊るされ、ガタガタと震えながら必死に叫ぶまりさ。野生動物になら或いは通じるかも知れない大声も
ゆっくりが主食のれみりゃには通じない。むしろ鮮度をが良い事を知らせているだけである。
「うー! あまあまー!」
ぷっくらとした体のれみりゃは、申し訳程度にしかない羽を動かしながらホバリングしていた。
口から涎を垂らしている。
私は羽の部分を両手でしっかり掴むと、用意しておいた透明ケースにれみりゃを入れ、素早く蓋を閉じた。


「うー? ここどこー?」
何が起きたのかわかっていなのだろう。不思議そうな顔でこちらを見ているれみりゃ。
持ってきたバックにケースを入れると、私はそのまま山を下りた。


「おにーさん! まりさをここからおろしてね! あんよがゆっくりできないよ! ねえおにーさん!
おねがいだからおろしてね! おねがいだからね! おねがいだからおろじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」


家に着いた。バックを部屋に置いて中からケースを取り出す。
その中でれみりゃはすやすやと寝ていた。
さて、次にこのれみりゃをレース用に"加工"する。
加工などと言うと少々大袈裟なのだが、ゆっくりに肉体的改造を施したり、そこまでいかなくても
体に何らかしらの処置をすることを、加工と言うことが多いので、あえて加工にしておいた。

やる事は実に簡単である。まずはれみりゃの後ろ側に、小さく穴を開ける。
だいたい人間でいうお尻の辺りだと言えば分るだろう。
「うー!いだい゛ー!」
痛みで跳ね起きた。この時暴れると、そのままれみりゃが死んでしまうので
片手でしっかり押さえつけるか、他に人がいればその人に押さえつけて貰おう。

穴を開けたら、次はそこに少々長めの釣り糸を通す。
通したらすぐに穴の部分を小麦粉で塞ごう。

ここまで来たらもう完成まじかだ。後は釣り糸の先っぽに釣り用のオモリを結びつけるだけだ。
重さはその時々で違うので、参加する時に確認しておこう。
後は、このまま3日ほど透明ケースの中に放置するだけである。


このまま三日待つのもアレなので、今日は事前に用意しておいたれみりゃを使おう。
「う・・・うー! れみりゃおなかすいたー!」
まだ鳴く気力はあるが、確実に弱っている。
そのれみりゃを先ほどのバックに入れ、今日のレースが行われる会場に向かうことにした。




会場は近所の空地である。子供たちがよくサッカーや野球に興じているその場所は
今日に限っては子供からいい大人まで沢山の人で賑わっていた。

知人と立ち話をしていると、すぐに開始の合図が出された。
私はスタート地点に行き、ケースかられみりゃを取り出すとそこに置いた。
私のれみりゃの他に6匹ほどのれみりゃがいた。みな同じように糸とオモリを付けている。
れみりゃ達の前、100mほどの場所に椅子が置かれ、そこにプッチンプリンが一つ置かれた。
皿の上に落とした時にプルンと揺れた。


「うー? うー! あまあまー!」
「ぎゃおー♪たーべちゃうぞー♪」
「れみりゃはぷでぃーんだいすきー!」
「あかちゃんにあげるのー♪」
ありすの姿を見ると、腹を空かせたれみりゃ達は皆一斉にありすに向かって飛び出した。



否、飛びだそうとした。


「うー!うーうわあああああああああああああああ!!!!」
最初に飛び出したれみりゃが叫び出す。
れみりゃが勢いよく飛び立った瞬間、れみりゃの後ろに取り付けられた糸が外れた。
いや、正確に言えば、れみりゃの体が千切れたので糸が外れたのだ。
勢いよく飛んだはいいがオモリのせいで早くも高くも飛ぶ事はできず。無理して飛んだせいで
糸を接着していた皮が破けたのだ。


「う゛ー! い゛だい゛ー! ざぐや゛ー!」
オモリから解放され、体が軽くなったお陰で飛行速度は上がったれみりゃ。
ただその代償に、敗れた穴からは具の肉まんがボトボトと垂れ落ちている。
これでは死ぬのは時間の問題だろう。
「う゛ー! れみりゃのな゛がみがー! い゛や゛ー!」
それでも必至に羽を動かすれみりゃ。しかし体が軽くなるにしたがって、羽根を動かすパワーも無くなっていった。
そしてぷりんの目の前30cmのところまで来ると、遂に失墜した。


「あ゛がじゃーん゛・・・う゛ー・・・」
地面に落ちたれみりゃは少しピクピクと動いた後、完全に動かなくなった。れみりゃの飛んだ後には
大量の肉まんだけが残っていた。



「「「「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」」」
れみりゃ達は一斉に悲鳴をあげた。


だいたい分かってもらえたであろう。
うー競争とは、れみりゃにオモリをつけて、競争させる。実にシンプルな遊びである。



この悲惨な光景を目の当たりにしたからか、れみりゃ達も能天気な顔から
真剣な顔になった。
本人たちは、なぜ体が重くなっていてるのか分かってないが、無理に飛ぼうとすると死ぬことは理解できた。

なので静かに、かつ他のれみりゃ達よりも早く、あのぷでぃんの元へ向かおうとした。


「うー! おじりがおもい゛ー!」
「ゆっくりできないー!」
地面から10cmちょっとのところをパタパタと飛行するれみりゃ達。
オモリを引きずりながら飛ぶその姿は滑稽である。


「う゛ー! ぱだぱだでぎないー!」
一匹のれみりゃが徐々に下降し始めた。体力がないせいであろう。
「うー! すこしきゅうけいー!」
そうして地面に降りたった。
「うーうー!うあうあー!」
地面に降りて楽になれたのか、にこやかに鳴くれみりゃ。
そこへ男が一人近づく。
「うー? おにーさんぷでぃんちょうだいー♪」
そういって甘えてくるれみりゃの糸を掴み、ブチッ!


「う゛ー!!! いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」
そして男は元の場所に戻っていった。
この競技に置いて、ゴール以外への着地は認められない。
着地すればどうなるか・・・こうなるのである。



「う゛う゛う゛う゛ーざぐやああああああああ!!!!」
「だづげでー!!!」
「ごわ゛い゛びどがいるう゛う゛う゛う゛!!!!」
その怖い人にこんな風にされたというのに、今まで気付かなかったのだろうか。

れみりゃ達は小さい羽を必死にパタパタさせながらゴールへと向かっていく。
いつもならすぐに行ける距離。しかし今回はゆっくりと行かなければならない。


「う゛う゛う゛う゛!!!!」
「ゆっぐりじだいー!」
空腹状態で更にこの激しい運動。れみりゃ達は次々に失速していった。
ある物は急ごうとして愚かにも糸を切り
ある物は他のれみりゃに乗っかり楽をしようとして、罰を受けた。




そして、一匹だけ残ったれみりゃが見事ゴールまで到着した。
私のれみりゃである。


「うっうー♪ うまうまー♪ ぷっでぃーんうまうまー♪」
ガツガツとプリンを頬張るれみりゃ。よほど空腹だったのかものの数秒で平らげた。
「うー! れみりゃはもっとたべるのー!」
はいはいと誰かがれみりゃに更にプリンを与えた。

そろそろ第二レースが始めるらしい。
こっちは私のような暇人とは違い、本格的な競争である。
れみりゃ達もこの日の為に、生まれた時からオモリを付けての生活をし、厳しい特訓を積んだのだとか。
私はれみりゃをケースに入れるとその場を後にした。





ここは森の中。あのれみりゃを捕まえた森である。
私は頑張ったものは報われるべきだと考えている。
故にこのれみりゃも自然に返そうと思う。


ケースを開けた。れみりゃはまた寝ていた。
しかしケースから取り出すと、すぐに目を覚ました。

「うー♪ れみりゃのもりー! ありがとうおにーさん!」
俺はケースをバックにしまうと後ろを振り返り歩きはじめた。


「うー? おにーさん! れみりゃのこのしっぽはずしてー! おもいのー♪
ひっかかるのー♪ うー! はやくはずしてー♪」



さて、明日は月曜日だ。憂鬱な日だ。





【あとがき】
従業員さんからのお題「れみりゃ」と「うー競争」です
色々と想像力をかき立てられたお題でした。
ただし筆者はゆっくりれいむ並に腕がないのでこのような形になってしまいましたが
読んでもらえれば幸いです



by  バスケの人

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最終更新:2022年04月16日 23:30