ずっと考えていた。
ゆっくりフラン、ゆっくりれみりゃを繁殖させるにはどうしたらいいのだろう?
事の発端はこうだ。
俺はゆっくりが大好きで、家でゆっくりれいむ、魔理沙たちにゆっくりアリスをけしかけて繁殖しては、食べたりつねったり沈めたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりしていた。
俺の行動一つで表情が極端に変わり絶叫するゆっくりが可愛くて仕方なかった。
とくにお気に入りなのがゆっくりれみりゃことゆっくりゃだ。しかしこのゆっくりゃは紅魔館付近でないと見つけられない貴重種。命がけで紅魔館に侵入し手に入れたこの一匹が、俺のそばにいる唯一のゆっくりゃだった。
「うー! うー!」
もちろん大事にしている。
他のゆっくり以上に、千切って食べたりつねったり沈めてみたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりして可愛がった。比率でいうと、他のゆっくりが1ならゆっくりゃは10だろう。とくにいくら千切っても再生してくる肉まんの生地は最高だ。
「も゛うやめでー!!」
ああ、可愛いな泣き顔。
そんな風にゆっくり達を可愛がりながら過ごしていたある日。
発情したゆっくりアリスがゆっくりゃに襲いかかっていた。
「れっ、れっ、れみりゃっ!」
「お゛、お゛う゛ち゛か゛え゛し゛て゛ー!」
思わず、手荷物を床に落としてしまう。
普通なら襲われてもゆっくりゃは飛び立ち、そのまま返り討ちだろう。
しかし今のゆっくりゃには羽がなかった。正確にいうと昨日俺が千切ってまだ再生しきっていなかった。
飛べないゆっくりゃはただのゆっくり肉まんだ。不意を突かれたらどうしようもない。
なんでだ……なんでゆっくりアリスがここにいるんだ……ちゃんとドアに鍵を閉めて隔離しておいた筈だぞ……。
「ゆ、ゆっくり! ゆっくりぃぃぃっ!」
「い゙い゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!」
呆然とする俺の前で痙攣するゆっくりアリス。普段の声からは想像できない絶叫を上げるゆっくりゃ。ゆっくりゃは絶叫も可愛いな……。
とりあえず落ち着こうと、痙攣してゆっくりしているアリスを鷲づかみで持ち上げ、そのまま串に刺し、火で炙ることにした。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! あ゙づい゙よ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」
やっぱり冷静になるには甘味が一番だよな。
甘露、甘露。美味しかった。
どうにか冷静には慣れたが、現実の重さが俺を押しつぶそうとする。
ゆっくりゃは目を見開き、口を開いたままぴくりとも動かない。絶叫を上げたまま逝ってしまっていた。
ああ、ゆっくりゃ……俺の唯一のゆっくりゃが……。
また紅魔館に侵入するしかないのか……。
がっくりと項垂れながら動かないゆっくりゃに手を伸ばす。
あらためてゆっくりゃを見ようとそのまま持ち上げた時、ふと疑問が浮かび上がった。
「……なんで茎が生えないんだ?」
普通ゆっくりは、繁殖が終わると母体の体から茎が生えてきて、そこへ実をつけるように赤ん坊のゆっくりが生まれてくるものだ。少なくとも家で試したゆっくりはそうだった。
しかしれみちゃの体には茎なんて生えてくる様子がまるでない。仮にも繁殖行為だったのだから、何か生えてきてもおかしくない筈だ。
「……」
ゆっくりれみりゃは希少種だ。他のゆっくりに比べて非常に数が少ない。
それはもしや、繁殖方法が特別だから……?
湧き出てきた疑問をきっかけに、俺の頭は回転し始める。
頭へ栄養をまわそうと、手に持っていたゆっくりゃを丸呑しながら、俺は考えを巡らせていった。肉まん美味しいです。
夜も耽り、辺りが真っ暗になった頃。
草むらで音が立たないように忍び足で進みながら、俺は紅魔館の庭を歩いていた。
結局いくら考えても実際に試さないと埒が明かないものだ。まずは色々試してみよう。
ちなみに探しているのはゆっくりゃともう一匹、ゆっくりフランことゆフランだ。
下手にゆっくりゃで実験し、またすぐにゆっくりゃを失うのは困る。まずはゆフランで実験し、それからゆっくりゃだ。
二匹を捕まえるのは一見大変に思えるが、実はゆっくりゃを捕まえたらゆフランは釣られて出てくるのだ。前回ゆっくりゃを捕まえた時がそうだった。あの時はせっかく捕まえたゆっくりゃを食われそうで焦ったが、おかげでゆフランの対処法はわかっている。
だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば話は早いんだが……。
「うー! うー!」
……噂をすればなんとやら。
声に反応して振り向くと、にこやかに笑っているゆっくりゃがいた。口にあんこがついているので餌にありつけたばかりだったのだろう。
それにしても……可愛いな。
満腹そうな顔が可愛くて思わず蹴り飛ばしたくなる衝動を必死で堪えた。さすがにこれまでの苦労を一蹴りで水の泡にするわけにはいかない。
俺は忍び足を止めて、そのまま自然にゆっくりゃへと近づいていった。
「う?」
こっちへ顔を向けるゆっくりゃ。
近づいてくる俺に気がつくと、嬉しそうに近づいてきた。
「がぁおー。たーべちゃ~うぞ~!」
他のゆっくり達ならこの言葉に恐怖するだろうが、俺からするとまたじゃれついてきたなと思う程度だ。
紅魔館のゆっくりゃは可愛がられた結果、人慣れしすぎたのか、人を見つけるとそのまま無防備に近づいてくるのだ。
だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば、後は近づいていってそのまま手で捕まえてしまえばいい。
「うー! うー!」
知らない人の手で掴まれているのに、遊んでくれると思っているのか喜び始めるゆっくりゃ。
さて、あとは……。
がさがさっと、木の枝が揺れる音がした。
「うあ!」
腕の中のゆっくりゃが声を上げる。近づいてきているモノがなんなのか、本能的に理解しているのだろう。
ゆフランはゆっくりゃに気がつくと飛び立ち、そのまま一直線にこちらへと向かってくる。その際に羽が木の枝に当たって音がするので、どこから鳴ったかさえしっかり聞いていれば飛んでくる方向は分かるのだ。
ギョロりとした目をゆっくりゃに向けて、勢いよく正面から突っ込んでくるゆフラン。
「うあ! うあ!」
だから、こうして勢いよく近づいて来た所を──
「ゆっくりしね!!!」
「断る」
撃退すればいい。
俺のかかと落としをまともに喰らい、ゆフランは地面にめり込んだ。
後頭部にはくっきりとかかとの跡が残っている。
あ、拙い、微妙に餡が出た。ちょっと強くしすぎたか……。
ゆフランの回復力を信じて、痙攣したままのゆフランを持ち上げ、持ってきたかごの中に放り込んだ。
「うー! うー!」
痙攣するゆフランを見ながらはしゃぐゆっくりゃ。はしゃぐのは良いけど、あまり暴れられると羽が体に当たって……。
「ぎゃおー!」
……ん?
ゆフランの入っているかごに向かって叫ぶゆっくりゃ。これは……?
「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」
……。
……もしかして勝ち誇ってるのか、これは?
ゆっくりゃは何もしてないのに?
「ぎゃおー!」
叫んでいる意図に気づいた瞬間、反射的にゆっくりゃの顔に拳をぶち込んだ。
……あ。し、しまった。つい勝ち誇ってる顔を泣き顔にしたくて……。
「う……」
ヤバイ、可愛い! じゃなくて!
「うわああああ!」
大声で泣き始めるゆっくりゃ。この声でまたゆフランが近づいてくる筈だが、泣き声が大きすぎて枝の音が聞こえない。不意を突かれたらそのままゆっくりゃを食べられてしまう。自分で自分の身を危険にしてどうするんだこの愛玩饅頭!
ええぃ! 落ち着けおれ! こういう時こそこれだ!
俺は懐からホッチキスを取り出し、ゆっくりゃの口を塞いだ。
「……! ……!」
愛くるしい顔になったねっ!
途端、四方八方から聞こえてくる物音。
多いし! そんなにいらないのに!
……ええぃ、やったらーーっ!
泣き顔のゆっくりゃを脇に抱え、俺は飛んでくるゆフラン達と対峙した。
数時間後。
ようやく家に帰ってきたと腰を下ろす俺、同時に地面へ置かれたかごの中にはゆフラン達がぎっしりと詰まっている。元々少なめに考えていたので明らかに許容量を超えているが、全員がぐったりしているので無理矢理詰め込む事ができた。
ゆっくりの中で危険な種とはいえ結局は饅頭、押したら潰れるものだ。
「うー? うー?」
突然、紅魔館から別の場所に連れてこられ、不安そうにゆっくりゃが声を上げている。
……さすがにここで泣かたり、暴れられるのは困るので。
俺は大きく息を吸った。
「ゆっくりしていってねっ!」
「ゆっ!」
「ゆっくりしていってねっ!」
「ゆっくりしようよっ!」
俺の声に反応して、隠れていたゆっくりれいむが3匹出てきた。普段は帰ってきたら何匹かは近づいてくるのだけど、今日は連れてきたゆっくりがゆっくりなので隠れていたのだろう。それでも声に反応するのがやっぱりゆっくりだが。
あ、1匹親れいむだ。あれは食い出があるぞーっ。
途端、ゆっくりゃの表情は輝き、れいむ達の表情は凍り付いた。
「がぁおー! たべちゃうぞー!」
「やーっ!」
「ゆっくり出ていってねっ!」
逃げるれいむに追いかけるゆっくりゃ。今の内にドアに鍵をかけて……と。
さて、それじゃ早速試してみるか。
俺はかごから一匹ゆフランを取り出す。丸い顔が変形し四角くなっていた。これはこれで可愛いな。
とりあえず手でこねるように形を丸くしてみた。
「ぁ゙っ、ぁ゙ぁ゙っ」
あれ? なんだ、意識あったのか。てっきりまだ戻ってないと思っていたんだが。
それじゃ回復を待つ必要はないな。
俺は両手で羽を持ち、そのまま思い切り毟り取った。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!」
途端、普段から見開いた目をより見開き、さっきとは比べものにならない大きさの声を上げるゆフラン。
初めてゆフランの絶叫を聞いたけど……これはこれで甘美だなぁ。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! ざぐや゙ー! どごー!」
泣き叫ぶゆフランに、俺は魔法の言葉をかけてみた。
「これからたくさんゆっくりのいる場所に行くんだけど、来るかい?」
「……うー?」
興味深そうにこっちを見る。いいなぁこの変わり身の早さ。これからゆっくりは可愛い。
「ゆフランのためにたくさんのゆっくりを用意しておいたんだ、食べにいかないかい?」
「……う~♪」
泣いた饅頭がもう笑った。あとはこっちのものだ。
「それじゃ連れて行ってあげるよ」
そのままゆフランを抱えて、移動する俺。「うー♪ ゆっくりしね!」とはぎゃぐゆフラン。その目はもういつもの通り瞳孔が開き、赤く輝いている。
やがてドアの前へ来ると、鍵を開け、ゆフランを中へと入れた。
気配が分かるのか、入った瞬間からゆフランは視線をあちこち移している。
「みんな怯えて隠れているかもしれないけど、ゆっくりしていってねっ!」
「ゆっくりしね!」
飛び跳ねるゆフランにそう声をかけ、俺はドアを閉め、また鍵をかけ直した。ドアには窓がついているので開けなくても中の様子は伺える。
ゆフランは相変わらず、楽しそうにあちこち見ながら飛び跳ねていた。毟り取った羽はまだ回復していないが、背中についた跡はもう消えてしまいつつある。
実際、この部屋にはゆフランの期待通りゆっくりが大量にいた。ゆフランのお腹をいっぱいにするなら充分な量だろう。
「ゆっ、ゆっ、ゆっ」
「うー♪ ゆっくりしね!」
「フっ、フっ、フっ、フランっ!」
ただ俺は、今まで発情したゆっくりアリス10匹に勝ったゆっくりを知らない。
襲いかかってくるアリスに噛みつくゆフラン。その瞬間、残りの9匹に押しつぶされた。
「ゆっ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆっ!!」
「ゆっくり゛ぃぃぃぃっ!」
悶絶するゆフラン。おおっ、ゆフランってこんな顔で悶絶するのな。いつかゆっくりゃと一緒に悶絶させたいものだ。
どうにか振り解こうと抵抗するが、1匹を振り解いてもすぐに別の1匹が襲いかかり、かまわず交尾を続けていく。
次第にゆフランの動きは止まり、だだ悲鳴だけが響くようになっていった。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」
「ゆ゛っ゛く゛ぅ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」
「ゆ゛っ゛く゛り゛ぃぃし゛ぎね゛ぇえ゛え゛っ!」
……そろそろ終わりそうだな。
「うー♪」
聞き覚えのある声に振り向くと、いつの間にかゆっくりゃがそこにいた。
口に大量のあんこをつけて。
「……美味かったか?」
「うーうー♪」
顔面を蹴り飛ばす。
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
やっぱり満足顔からの泣き顔が特に可愛いな。
結果として。
ゆフランには茎が生えてきた。
しかし生まれたのは1匹だけだった。
その1匹は、今、俺の手の中で遊んでいる。生まれたてで小さく、言葉も親ゆフランの「ゆっくりしね!」は言えず、ただただ「うー♪」と呻くだけだ。このまま丸呑みしたいな……。
しかし試しにと子供を持っていた親れいむに子ゆフランを預けた所、そのゆっくりれいむを子も含めて全部平らげてしまったので、小さいながらもやっぱりゆフランは違うというのを思い知らされた。
ここで問題なのは、子ゆフランを生んで親ゆフランは絶命してしまった事だ。以前、ゆっくりアリスに襲われたゆっくりゃのように朽ち果て、死んでいってしまった。
せっかく繁殖したのに一人の親で1匹では意味がない。そもそも他のゆっくりはだいたい4匹は繁殖していたのに、ゆフランだけ1匹なのはおかしいだろう。
一応、ゆっくりアリス以外のゆっくりも発情させて試してみたが、ほとんどの場合は子供は生まれず、ゆフランは最初のゆっくりゃのように絶叫したまま死んでしまった。
やっぱり繁殖の仕方が違うんだろうか……?
そうして俺が悩んでいると、れいむが必死の形相でこっちに向かって来ていた。
「ゆっくりやめてね! ゆっくりさせてね!」
その後を追うように、ゆっくりゃが飛びながら追いかけている。
「がぁおー!」
ますます顔が涙で濡れるれいむ。しかし突然、目を輝かせて叫んだ。
「ゆっくり助けて! おじさんゆっくりさせて!」
どうやられいむは、俺に希望を求めたらしい。
「……」
そのまま足下へ駆け寄ってくるれいむ。このまま俺の後ろにでも隠れようと思っているのだろう。
ふむ……。
れいむをゆっくりゃに向けて蹴り飛ばした。
「ゆ゛っ!」
空を飛ぶれいむ。飛んでいく先では、口を大きく開き、ゆっくりゃがしっかりと待ちかまえていた。
「たーべじゃーうぞー!」
「ゆ゛っぐり゛ぃぃぃぃっ!」
にこやかにれいむを食べていくゆっくりゃ、凄く嬉しそうだ。
泣き顔もいいけど、たまには笑顔もね。……なんてな。
もちろんこれには事情があった。
この食べられているれいむ、実は隔離していたれいむと魔理沙が勝手に発情して作ってしまった子供なのだ。家の部屋にも限りがあるので繁殖する時もいろいろ考えて数を増やしているのに、勝手に増えたりすれば住めるスペースがなくなってしまう。
とりあえず親れいむと魔理沙はまだ生き残っているゆフランに食べてもらい、そして今、残りの子供達をこうしてゆっくりゃに食べてもらっていたのだ。
「んまんま♪ んまんま♪」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!」
しかしいきなり部屋を覗いたら子供が増えていたのはびっくりした。俺の手で無理矢理揺らして発情させない限り交尾なんて滅多に行わないので油断していた。やれやれ。今度からはもうちょっと気をつけないとなぁ。
「んまーーーっ♪」
「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛さ゛せ゛て゛ぇぇっ!!」
……。
……ん?
そういえば……。
食事を済ませ、その辺りを楽しそうに飛び回るゆっくりゃ。その楽しげな様子に思わずバレーボールのようにたたき落としたくなるが、今の俺にはそれ以上に浮かんだ疑問が頭の中をしめていた。
ゆっくりゃって……。
「うー♪ ……う?」
もしかして、発情するのか?
気づけば、両手でしっかりとれみちゃを捕まえていた。
法悦とした様子だった。
「う゛っ……う゛っ」
どちらかといえば幼さの残るあどけない表情なゆっくりゃが、今はゆっくりアリスもびっくりなほど欲情した顔つきをしている。頬は赤くなり、口からはいつものあんこじゃなくよだれのような何かを垂らしていた。なんなんだこれ? 肉汁か?
自分の考えがあっていた事を喜びたい。……しかし疲れた腕はそれを許さず、ただ痙攣しているゆっくりゃをゆっくりと運ぶだけだった。
あれからゆっくりゃを抱え揺さぶり続けると確かに発情はした。しかし3時間振動させ続けてようやくだ。
他の種と違い、ゆっくりゃは性欲が薄いのか、軽く振動させただけではまるで反応はなく、暴れるゆっくりゃを押さえながら振動させ続けた結果、ようやく発情してくれた。おかげで腕は棒の用だが、必死で暴れるゆっくりゃがだんだん法悦としていく様子は俺の心に潤いを与えるには充分だ。
今のゆっくりゃはイキそうなところで揺らすのを止められ、触れたら暴発しそうなぐらいの興奮状態になっている。これから後の事がなければこのまま弄り回したいところだが、それは後に取っておこう。
もちろんこれから試すのは繁殖だ。しかし今までゆっくりアリスに襲わせて駄目だったものが、ゆっくりアリスを襲ってどうにかなるとは思えない。
ここはちょっと危険だが、賭けてみよう!
ゆっくりゃをその部屋へ放つ。その部屋にはれいむのリボンや魔理沙の帽子や、ゆっくりアリスの食べカスが落ちている。
「……うー? ゆっくりしね!」
そこはゆフランの部屋だった。
無謀だと自分でも思う。
普通ならゆっくりゃはゆフランに食われて終わりだろう。そうなったらとてもとても悲しい気分になりながらゆフランを殴って泣き叫ばし、そのまま食べて落ち着こうと思うが、しかし発情したゆっくりゃならどうにかしてくれると、俺はどこかで期待していた。
「ゆっくりしね!」
大好物の登場に、ゆフランは赤い目をギロりと光らせながら近づいていく。
ゆっくりゃはピクリとも動かない。俺がまるで予想していなかった状況だ。睨まれた恐怖で竦んでしまったのだろうか?
口を開けて、食べる準備は万全なゆフラン。
そこで初めて、ゆっくりゃが動きをみせた。
「う゛……」
「う?」
まるで声も上げなかったゆっくりゃを不思議に思っていたのか、ゆっくりゃの上げた声にゆフランが反応する。
ゆっくりゃが続けて声にした。
「う゛……う゛ま゛せ゛て゛っ」
「ううっ!」
その時、始めてゆフランがゆっくりゃに対してたじろいだ。おおっ! スゲェ!
「う゛ま゛せ゛て゛ぇぇぇっ!」
「うーっ!!」
いつもと違う様子に慌てて逃げ出すゆフラン、それを上回る速度で追いかけていくゆっくりゃ。
その時によく見えたゆっくりゃの表情は、まるでゆフランのように目を見開き、赤く光っていた。
次第に追いつかれ、ゆフランはゆっくりゃに後ろから組み付かれた。
「ゆ、ゆっくりしね! ゆっくりしね!」
「う゛う゛う゛う゛っ!」
「ゆ゛っく゛り゛し゛ね゛ぇぇぇっ!」
どんどんゆっくりゃの体が激しく振動していく。
お互い、ゆっくりアリスに犯された時のように絶叫しながら、果てていった。
ドアの向こうで様子を見続ける。これが成功なら、後はゆフランに茎が生えて赤ん坊達が生まれてくる筈だ。
高まる期待。そんな俺の気持ちに合わせるかのように、ゆフランから茎が伸びてきた。
「きたきたきたきたぁーーーっ!」
思わずドアを開けて中に入る。
「うー♪ すっきり」
さっきまでゆフランのように変貌していたゆっくりゃは、何もなかったかのようにいつも通りの表情に戻っていた。
「う゛ー……う゛ー……」
「おぉっ! ゆフランも生きてる!」
今まで一度も生き残らなかったゆフランが生き残っている。俺は期待を一気に膨らませていった。この茎からたくさんの子ゆっくりゃが……!!
そうして生まれてきた子供は。
ある意味、俺の期待を半分裏切ってくれた。
疲れた体を引きずりながら、部屋へと入っていく。
「あ、おじさん!」
「おかえり! おかえり!」
「ゆっくりしていってね!」
「みんなでゆっくりしようね!!」
一気にわき上がるれいむの声。大量にいるゆっくりが一度に喋るから、後半はもうなんと言っているのか聞き取れない。
ここは俺がれいむを繁殖させていた部屋だが、他の部屋には移さずここでひたすら繁殖させていたために、気づけばどこを見てもゆっくりの顔があるぐらいぎゅうぎゅう詰めの状態になっていた。
「おじさん狭いよ、外に出してよ!」
「ゆっくりドアを開けてね!!」
ゆっくりしていってね!と言って間もなく、そんな要求をしてくるれいむ達。いつも餌を持ってきている俺に対しても、相変わらずの傍若無人っぷりだ。
「そうだな……今日はその事でいい報告をしに来たんだ」
「ゆ?」
「今日からは外に出て遊んでもいいぞ」
「ゆっ!」
れいむ達から驚きの声が上がる。無理もないだろう、今の今まで何があっても外には出るなと言い続けてきたのに、いきなり外に出てもいいと言われてたのだから。
「本当に? ゆっくりしてもいいの?」
「ああ、本当さ。外でゆっくりしてもいいんだよ」
「ゆっくり外に出るね!」
ゆっくり達が外に出られるようにと、まず仕切りになっていたシャッターの鍵を開け始める俺。こいつら全員を移動させるには、ここを開けるのが一番だろう。
「おじさん、ゆっくりいそいでね!」
「おそとであそんでね!」
「おじさん大好き! 早くあけてね!」
「分かった分かった」
鍵を開け、そのまま両手でしっかりとシャッターを掴む。
「それじゃ開けるぞー」
「早くゆっくりしてねっ!!」
「おそとであそばせてねっ!!」
「ゆっくりしないでねっ!!」
俺は渾身の力を込めて、シャッターを一番上まで開けた。
勢いよく飛び出していくれいむ達。
そして、ほとんどのれいむは硬直して動けなくなった。
「うー! うー!」
「ゆっくりしね!」
「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」
シャッターの向こうでは大量のゆっくりゆフランとゆっくりゃが待ちかまえていた。
「そいつらの向こう側に外へ出るドアがあるから、みんな頑張ろうー」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
いち早く反応した親れいむの絶叫を合図に、大混乱が始まった。
食べられ襲われ逃げまどい追いつかれる中で、俺は一人ドアを開けて部屋を出た。
廊下には机と椅子を用意してあり、座ったまま部屋の中を覗くための窓も
ある。
この日のために用意した部屋での光景は、俺の気持ちを高ぶらせるには充分な光景だった。
子れいむはゆフランとゆっくりゃ、そして身内である筈のれいむからも噛みつかれあっという間にいなくなっていた。普通のれいむも食べていたのは、混乱の中で側にいたからとりあえず食ったのだろう。食べたれいむは笑顔のまま口を動かしている。あ、ゆフランに噛みつかれた。あはは、絶叫してるや。
親れいむは必死に子供たちを守ろうとするが、それが仇となって集中砲火を浴び、もはや中身の餡もほとんどない状態で床に倒れ、痙攣を繰り返していた。10匹を超えるゆっくりゃとゆフランに襲われてるなんてここでしか味わえないだろう。貴重な体験だったね。
そんな親れいむを見て子れいむが「お゛があ゛ざん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」と泣き叫んでいるがまるで反応はない。子れいむはそのまま泣き叫び、近くに来たゆっくりゃに食べられていった。
あの時、ゆフランの茎から生まれてきた赤ちゃんは4匹、ゆフランとゆっくりゃで2匹ずつの子供が生まれていた。
てっきり襲ったゆっくりゃの子供だけ生まれてくると思ったので最初はびっくりしたが、どうやらゆフランとゆっくりゃの組み合わせだとお互いの子供が生まれるらしく、ゆフランを欲情させてゆっくりゃを襲わせても、場所や時間を変えてみても変わらずお互いの子供が生まれてきた。
だがそれよりも、ゆフランもゆっくりゃも死ぬことなく繁殖を繰り返す事ができたのが大きかった。何度も何度も発情させて無事に生まれてくるのを確認した時、俺は喜びのあまり思わず生まれてきた赤ちゃんを全員そのまま食べてしまったぐらいだ。あんまんと肉まん美味しいです。
それにしても、この2匹が希少種になった理由もよくわかった。ただでさえ相手が少ないのに、ゆフランはさらにゆっくりゃを襲って食べてしまう。繁殖できる相手なのにお構いなしなのだ。これでは数は増えないだろう。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ! ゆ゛っぐり゛がま゛な゛い゛で!」
「うー♪」
部屋の中では子ゆフランが自分より大きなれいむを少しずつ食べて食べて消化していく。噛みつかれたれいむは、まるでシロアリに犯された柱のように徐々に削られ、穴が開いている。全部食べられるのも時間の問題だ。
そんな子ゆフランの横で、ゆっくりゃの側を離れずについていくゆっくりがいた。体は普通の大きさだが、他のゆっくり達が絶叫している中で、ひたすら楽しそうに笑っている。
それこそが子ゆっくりゃだった。
子ゆっくりゃは、他のゆっくりを食べるゆっくりゃの子供とは思えないぐらいに弱かった。
生まれたての割に体は大きいのだが、そのくせ子ゆっくりゃは赤ちゃんれいむにさえ勝てないぐらい弱いのだ。
それなのに目立つ体格なので他のゆっくりたちから狙われやすい。
生まれてから長い間、ゆっくりゃは子供の側から離れない事が多かった。まだ子供には自分を守れる力がないと分かっていてしっかり守っていたのだろう。
しかしそんな子ゆっくりゃは、こういう場所では足を引っ張る役目にしかならない。
「ゆっくりしねっ!!」
「う゛ーーーっ!」
守っていた親ゆっくりゃはゆフランに食い殺されてしまった。
そのまま子ゆっくりゃに近づいていくゆフラン。
「うー♪ うー♪」
しかし子ゆっくりゃはまるで状況を分かっていない。まるで遊んで欲しそうに手を伸ばして笑顔を向けようとする。それを見てゆフランの口が楽しそうにつり上がった。
結局、子れいむが危険だとようやく理解したのは、ゆフランに噛みつかれて餡を吸い出された瞬間だった。
「あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!」
叫んでみたものの抵抗らしい抵抗なんて出来はしない。そのまま吸い続けられ、全ての餡を全て吸い尽くされた。
まさか、ゆっくりゃの子供があんなに無力な存在だったなんて……素敵すぎる。
長い日をかけて準備してきたこの宴もそろそろ終わりが近づいてきた。やはり生き残っているほとんどはゆフランだが、れいむも僅かに生き残っている。
「ゆ……ゆ゛っく゛り゛ー! ゆ゛っく゛り゛し゛て゛ね゛ー!!」
部屋の隅に縮こまってガタガタと震えているが、もうお腹いっぱいになったのだろう。ゆフランもゆっくりゃも反応しなくなっている。
ゆっくりの色々な顔を見たくてやってみたこの宴だったが、俺的には大成功だった。あんな愛くるしい顔で絶叫されたり絶望に打ち震えたり恐怖に怯えたり嬉しそうにはしゃぎ回られる姿を大量に見られて俺はもうゲップが出そうだ。
「うー♪ うー♪」
「ん?」
向こうからとたとたと、ゆっくりゃが歩いてきた。他のゆっくりゃと違い、饅頭から体が生えており、羽より足を使って移動することが多くなったゆっくりゃだ。
このゆっくりゃは一番長生きしているゆっくりゃだ、どうもゆっくりゃは他のゆっくりとは違い徐々に成長して、立派な体が生えてくるらしい。このままさらに長生きさせたらどうなるんだろうな?
ゆっくりゃは俺の周りを走り回っている。どうやら駆けっこをして楽しんでいるようだ。
足を引っかけて転がしてみた。
「えぐっ! ……うぅーっ」
涙目になるが、涙は流れない。こうやって何度も転けさせたせいでちょっと慣れたのだろう。凄い我慢している。
ゆっくりゃが泣くのを必死で耐えるなんて……。
そんな新しい反応で、俺をまた喜ばせてくれるのかい!
嬉しさのあまり身を悶えさせながら、俺はゆっくりゃの頬を引っぱたいた。
「うぅ、う゛あ゛ーーーーー!!」
泣き声が俺の全身を燻る。
……今度はどうやってゆっくり達を愛そうかな?
明日のゆっくりに楽しみが止まらない俺だった。
by 762
最終更新:2024年11月29日 12:52