「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ッ!!!」
「よしよし、もう大丈夫だからね」
僕はありすを慰めてあげるとドスまりさ達に向き直った。
「すまないけどこのありすは僕のペットなんだ。だから連れて帰るね」
僕はそうしてありすを抱えて帰り支度を整えようとする。
しかし、
「まつんだぜ!!」
目の前を通常よりまあまあデカイ成体まりさが道を塞いだ。
「どいてくれないかな?お兄さん帰りたいんだけど」
「ダメなんだぜ!そのありすのせいでまりさのいもうとがゆっくりできないめに
あったんだぜ!!そのつぐないはしてもらうんだぜ!!」
「そうだよ!れいむのおちびちゃんをころしたじじいはありすといっしょにしん
でね!!」
「たんしょう!いんぽ!!」
僕達を囲むようにゆっくり達が並んでいく。
「むきゅ、だめよ!にんげんさんにこうげきするとゆっくりできなくなるわ!!
」
やっと我に返った側近ぱちゅりーは暴徒と化したゆっくり達を諌める。
だが暴徒は言葉じゃ収まらない。
止めるには力づくだね。
「ゆ、そうよ!おにいさんにてをだしたらにんげんさんたちがだまってないわ!
!
ゆっくりりかいしてね!」
ありすはもう完全に助かった気でいる。
さっきまでドスの後ろ盾で僕から逃げようとしてた癖に…。
「いや僕がここに来たの誰も知らないし、僕が死んでもここに来たって事を知っ
ている人は誰もいないから人間は多分来ないよ」
嘘は良くないから僕は正直に言うことにした。
「どうぢでぞれをいっぢゃうのお゛お゛お゛お゛ッ!!?」
ありすが絶叫しているが嘘はいけないから仕方がないよね。
「ゆゆ!ならだいじょうぶだね!!」
それを聞いてドスがこちらへ向けて叫ぶ。
「ゆっくりできないにんげんさんとありすをせいさいするよ!!」
「ゆ、やっちゃえドス!!」
「むきゅ、あとかたもなくドススパークでたおせばだいじょうぶよ!!」
「びっぐまら!!ぜつりん!!」
周囲の声援に後押しされ、口からドススパークを放とうとするドスまりさ。
迷わず横へ跳躍して回避する。
溜め無しとは中々に優秀なドスみたいだね。
「ゆゆう、にげないでゆっくりドススパークでしんでね!!」
そう言ってドススパークを連射するドスまりさ。
連射機能付きとは結構やるみたいだね。
横っ跳びの連続で回避する事にする。
「やべでゆぎゃあ゛!!?」
「ゆっぐりぃ!!?」
「わ゛がら゛な゛いよ゛ー!!?」
逃げ遅れたゆっくり達がどんどんドススパークの餌食になっていくが僕に当たら
ず興奮したドスは気付いていない。
「おにいさんどうするの!!?」
抱き抱えたありすが心配そうにこちらに問い掛ける。
「大丈夫だよありす」
僕は優しくそう告げるとドスまりさにある包み紙を投げた。
するとその包み紙はドスまりさの口の中に入っていった。
連射で口を開けていたのが運の尽きだ。
そして、
「ゆぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」
ドスまりさの顔が爆発した。
僕がドスまりさに投げたもの、それは火薬だ。
それを包み紙に包んで投げてドスまりさに誘爆させたのだ。
「いだいよお゛お゛お゛お゛ッ!!!?」
「むっぎゅううん!どうじでどすがあ゛あ゛あ゛ッ!!?」
残念ながらドスまりさを殺すまでには至れないが大分ダメージを与えられたよう
だ。
「よくもドスをおおあッ!!」
先程こちらに対して文句を言って来たまりさが体当たりして来たのでミドルシュ
ートで蹴り飛ばす。
「ゆべッ!!?」
そのまま木にぶつかり餡子を垂れ流す。
「ゆ、れいむはにげぎゅ!!?」
逃亡しようとするれいむを踏み潰す。本来はこんな事する趣味じゃないんだけど
恨まれたら何をされるかわからないから後顧の憂いは断っとかないとね。
可哀相だけどこれも運命ってことで許してね。
「ごべんなざい!せめておちびちゃんだけはたすけてください!」
「断る」
「みゃみゃたじゅげびゅ!!?」
「でいぶのがわい゛い゛お゛ぢびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」
「大丈夫。すぐお前も後を追うから」
「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」
さっきまでの楽しいお祝いの席が今では阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
一体誰のせいでこうなったのかな?
まぁ起きてしまったものは仕方ないよね。
「わがらないよ゛お゛お゛お゛ッ!!?」
ちぇんを潰しながら僕は結論付ける。
「むきゅ、どす!ゆっくりオーラを使うのよ!!」
側近ぱちゅりーが叫ぶ。
確かにこの状況を打破できるのそれ位だな。
「ゆうぅ…いじゃいけどやるよ!ゆっくりオーラ!!」
顔が焼け焦げたドスの掛け声と共にドスの近くにいたゆっくりから順々にゆっく
りしだす。
何だかこっちもゆっくりしてきた。
「ゆっくりできるんだぜ~」
「ゆっくりできるよ~れいむのおちびちゃんもとってもゆっくりしてるよ~」
「ゆっくりできるんだねわかるよ~」
「むきゅうこれでにんげんさんもゆっくりさせられるわ~」
これがゆっくりオーラか…確かに抗いがたい力だ。
虚脱感にも似た感じが体中に走る。
「とってもとかいはね~」
懐にいるありすも既にゆっくりオーラの虜だ。
「ゆっふっふ、これでにんげんさんはてもあしもでないよ!」
勝ち誇った顔をする焼け焦げドスまりさ。
確かにゆっくりしたくなってきた。
だから僕はゆっくりありすを地面に下ろし、ゆっくり懐から二つのサバイバルナ
イフを取り出し、ゆっくりドスまりさに近付き、
「みんなのかたきだよ!!ゆっくりしんでね!!」
体当たりしようとするドスまりさの両目にゆっくりナイフを刺し込んだ。
そしてゆっくり捻った。
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?
ドスのお゛べべがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ッ!!!?」
途端体当たりどころか痛みにのたうち回るドスまりさ。
「ゆっくり~ぶぎゃ!!?」
「ゆっくりできぶべ!!?」
ドスの周囲でゆっくりしていたゆっくりが次々と潰されていく。
「むっきゅうういん!!?どうぢでゆっぐりオーラがぎがないの゛ぼお゛お゛!
!?」
いやさ、思ったんだけどね。ゆっくりとだらけるって違うと思うんだよ。その場
でゆっくりするってだらけてるだけだと思うんだよね。
ゆっくりってのんびりしてるさま。あくせくしていないさまって辞典とかにも書
いてあるからさ、別にゆっくり動いてても殺せる事は出来ると思うんだよ。そう
思ってチャレンジしてみたんだけど上手くいったよ。
「ぞんなのでなっとくできるわげないでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!?
」
側近ぱちゅりーが叫ぶ。
おや、台詞として言ってないのに聞いてちゃだめでしょ。
そんな悪い子にはお仕置きだ。
ぱちゅりーの髪を掴み、
「むきゅ、はなして!?
いやあたすげでどすうう!!?
むっぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ううううううぅぅぅぅぅ…!!
?」
遥か彼方のお空へ投擲してあげた。
何だか吐いてる生クリームがカラーボールの煙幕みたいだ。
面白いから他のぱちゅりーでも試してみた。
「ぱちゅりーどこにいるのおおおおおおッ!!!?」
ドスまりさは側近ぱちゅりーがいなくなったのにも気付かず暴れ回っている。
「ドスやめちぇえぶッ!!?」
「んほおおおおこうなったらさいごにいっしょにすっきりしまじょうまりざあ゛
あ゛あ゛あ゛ッ!!」
「やだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?まりざにはでいぶがいるのにい゛い゛い゛い゛
ッ!!?」
暴れ回るドスまりさに潰されたり、混乱の中れいぱー化したりして群れの数はど
んどん数を減らしていく。
何と無く気持ち悪いのでれいぱーは優先的に殺しておく。
「ときゃいはッ!!?」
変な断末魔だね。
中には目から上が無くなっても気付かずレイプしようとするありすもいたから凄
かった。
「おうちにはいればもうあんしんだよ!」
「きょわきゃったよおきゃーしゃん!?」
一方、木の根にあるお家に逃げ込むれいむ一家。
親れいむが入口を塞ぐようにしている。
僕はその隙間に足を突っ込む。
親れいむは子ゆっくり達を守るため目の前に置いていたのが仇となり、横に逃げ
る暇もなく巣の壁に押し付けられた。
「ゆぎい゛い゛い゛ッ!!?」
「いぢゃいよおきゃあしゃん!!?」
親れいむ越しに痛みを訴える子ゆっくりの声がする。
別にここまでする必要は無いんだけど人間に恨みをもたれたら僕だけじゃなくて
他の人に迷惑がかかっちゃうから後顧の憂いを取り除く為に死んでもらうよ。
「ゆぎぃ!!?」
「おきゃあしゃんいちゃいよぉ!!?」
段々親の身体で圧迫されてく子ゆっくり。
「ゆぎいい…ッ!!」
我が子を潰されないように必死で押し返そうとする親れいむ。だがそんなのに意
味はない。
「たぢゅ…げで…ゆぴゅ!?」
赤ゆっくりの潰れる音がした。
陶器を包んだりするプチプチを潰したみたいな音が連続して聞こえ、
「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」
親れいむの悲痛な悲鳴が響き渡った。
勿論そこで終わらない。僕は更に蹴る力を強くする。
「ゆぼげぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」
親れいむの断末魔を聞いてようやく足を穴から出す。
周囲を見回すと阿鼻叫喚のゆっくりにとっての地獄絵図。
訳も分からず暴れ回るドスまりさにそれから必死に逃げるゆっくり達。
さっきのれいむ達みたいに巣に逃げ込むゆっくりも多い。
そんなゆっくり達にはこれ!
そう心の中で呟きながら取り出すのは煙玉。
大量にあるからそれを巣と思わしき穴に放り込む。
すると、
「ゆゆ!けむりさんがきたよ!!?」
「ゆっくりできないよ!?」
「ゲホ!ゴホ!ゆっくりしないででるよ!」
と、目の前の煙に気を取られて急いで巣から飛び出すゆっくり一家。
「いえーいあぶり出しー♪」
「ゆげぇッ!!?」
家族を省みず我先にと飛び出した親まりさを筆頭に次々と潰していく。
それを何回か繰り返していれば結構な数が潰せた。
「ごべんなざいゆるじでぇッ!!?」
「ゆるさないわ!とかいはなありすをころそうとしたいなかものはゆっくりしん
でね!!」
一方ありすは衰弱したゆっくりれいむを攻撃していた。おそらくありすを攻撃し
てたゆっくりなのだろう。
逃げ惑う途中で怪我を負って動けなくなったのをありすに見つかってしまったの
だろう。
「ゆびぃ!!…もっちょ…ゆっくり…」
「いなかものはしんでとうぜんよ!!」
身体に餡子を張り付かせてありすは何度も何度もゆっくりれいむだったものを踏
み付けていた。
辺りを見回すと一通りのゆっくりは死んでいた。何匹か逃がしてはいるだろうけ
どその程度なら大したことない。
「みんな゛ぁ~どこいるのおお!!?」
ただ一匹ドスまりさだけがまだ暴れ回っていた。
「てい」
また包み紙をドスの口に放り込む。
次の瞬間、
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!?」
断末魔の悲鳴を上げて二度と動かなくなった。
流石にオブラートで包んだ唐辛子凝縮エキスの威力は強大だね…。
これで一通りの殲滅は終わったみたいだな…。
「それじゃ帰るかありす」
「ゆ、わかったわおにいさん!」
満面の笑顔でありすは答える。
ああ全然自分の状況を理解してないねありすは…。
そんな馬鹿なところも可愛く…ないな。うん。
「ゆ…どぶぢで…」
ん?おや一匹殺し損ねてたみたいだ。
「ありすと…ただゆっくりしたかったのに…」
譫言のように呟くまりさ。
もしかしてこいつがありすと番になろうとしてたまりさか…。
「きもちわるいむしをたべるいなかもののまりさなんてとかいはのありすにはふ
さわしくないわ!!
ゆっくりできないいなかものはゆっくりしんでね!!」
そう言ってただでさえ衰弱しているまりさに体当たりをする。
見るからにもう助かる見込はない。
「ゆぅ…どうぢで…」
確かにまりさに非はない。
悪いのはこのありすだ。
「ありす。やめろ」
「ゆ!でも…」
でも何だ?他人の心情も理解しないれいぱーになりやすいありす種の中でも思い
込みの激しいカスタード脳がどんな戯言をほざくのかな…?
おっといけない、怒ってないってありすに言ったんだっけ。怒っちゃダメだね。
ありすの反論に耳を傾けず僕はまりさに視線を向ける。
「残念だけど君はもうゆっくり出来ないよ。
こんな状況を作った分際で言うのもなんだけどもし望むなら一瞬で死なせてあげ
られるけどどうする?」
「ゆ…おねがい…」
そっか…それじゃあバイバイ。
最後に一言。
しかもありすには聞こえないように。
「このありすはね…ゆっくり殺しなんだよ…。
だから…後でちゃんと殺しておくよ…」
「ゆ…」
まりさはそれだけ答えると無表情のまま目を閉じた。
最後のまりさの思考は群れの壊滅を招いた自責の念か、死ねる事への安堵かは分
からなかった。
ありすは嬉しかった。
ゆっくりできない田舎者共からお兄さんに助けてもらって尚且つお兄さんはゆっ
くりできるお兄さんに戻ってくれていた。
死んで当然の田舎者達は皆死んだ。当然だ。ケーキさんも用意出来ないような無
能なんだから生きていても意味が無い。
あの赤ありすだって同じだ。
あんないつまで経ってもちゃんと喋れないいなかもののありすなんてとかいはな
ありすのおちびちゃんには不適合よ。
ありすに殺してもらえただけでも幸せよ。
お兄さんもきっとその事を理解出来たんだ。
全てがうまくいっている。
ありすはそう本気で思っていた。
優しくお兄さんに抱き抱えられてお兄さんの温もりを感じられてありすはご満悦
だった。
あんな芋虫なんて食べる汚らしいいなかもののまりさの事なんて忘れてお菓子を
食べてゆっくりしよう。
そう考えたありすは、
「おにいさん、ありすおうちにかえったらけーきさんをたべたいわ!!」
とお兄さんに言った。
それに対してお兄さんは笑顔で、
「ダメだよ」
と返した。
「…ゆ?」
ありすはそれが驚きだった。
今までお兄さんは頼めば何でも言う事を聞いてくれた。
それなのに今は聞いてくれない。
「ゆ、ならしゅ~くり~むさんがたべたいわ!」
ありすは何か嫌な予感を感じながら告げた。答えは、
「ダメだよ」
何一つ変わらなかった。
「どうじでええええ!!?」
ありすには訳が分からなかった。
どうしてお菓子をお兄さんが用意してくれないのか。
とかいはなありすが頼んでいるのに断るなんて!!
お兄さんはそんな混乱しているありすを優しく抱き抱えたまま、
「だってありすはお家に帰ったら死ななくちゃいけないんだもんね」
「……ゆ?」
ありすの顔が混乱から呆けに変わっていく。
「約束したよねありす。
お日様が三回上る前にいいゆっくりにならなきゃ殺すって…」
お兄さんは優しく…しかしありすが絶対に脱出出来ないように抱き抱える。
「え?でもおにいさんもうおこってないて…」
どうやら怒っていないといわれた事で許してもらえたと勘違いしたようだ。
いやもしかしたら怒られた意味さえ理解していなかったのかもしれない。
「怒ってないよ。けど許した訳じゃないからね。だからありすはゆっくり死のう
ね」
「う、うそよね!おにいさんがかわいいありすをころせるわけないわ!
おにいさんだってありすがかわいいからたすけてくれたんでしょ!!?」
「だって殺すって約束しちゃったからね。約束は守らないとダメだよね。
だからありすにはお兄さん以外の誰かに殺される訳にはいかなかったんだよ。
だから、助けたんだよ。お兄さんがしっかりありすを殺せるように、ね♪」
「ゆ、ゆゆ…ならどうしてあのいなかもののゆっくりたちをやっつけたの!?あ
りすがだいじだからじゃなあの!!?」「ああ、ありすをそのまま見逃してくれ
たら殺すつもりは無かったけど、僕を殺そうとしたからドスは殺さなくちゃなら
なかったし、後々逃がして他の人間やいいゆっくりに迷惑かかるのも嫌だからや
っつけさせてもらったんだよ。
でも彼等はただありすのせいで巻き込まれた被害者だから出来る限り苦しまない
ように一撃で殺してあげたつもりだけどね。
ドスはちょっとそういう風に出来る余裕は無かったから苦しめちゃったのが申し
訳なかったけどね。
ああ、安心してねありす。ありすはそんな風に楽に死なせないから。群れの皆よ
りもあのありすよりもうんと苦しんでゆっくりできなくなって死んでもらうから
」
お兄さんは笑顔のまま、ありすに死刑宣告をした。
ありすはようやく理解した。
お兄さんは最初からありすを殺すつもりだった事を。
だから約束した手前、お兄さん以外にありすを殺させる訳には行かなかった…。
だから、ありすを助けたのだ。
ちゃんと自分の手でありすを殺せるように…。
「ゆ…ゆ…ゆわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!
やだあ゛あ゛あ゛ばなじでえ゛え゛え゛え゛ッ!!!
やだあ゛あ゛あ゛!!あ゛り゛ずじに゛だぐな゛い゛ッ!!!
お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
「そうだね。早く帰ってありすを殺さないとね」
じたばたとお兄さんの抱擁…いや拘束する手でありすの逃亡を防いでいる。
「どう゛じでえ゛え゛え゛!!?
あ゛り゛ずばどがい゛ばな゛の゛に゛い゛い゛い゛い゛ッ!!!?」
「都会派ならお兄さんとの約束を守って死のうね♪」
「やじゃあ゛あ゛あ゛!!ゆっぐりじだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ッ!!?
あ゛りずいながぼのでい゛い゛がらだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」
「田舎者なら死んで当然なんだよね。
ありすそう言ってたよね。だから死のっか♪」
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!?」
鼻歌まじりでお兄さんとありすは夕焼けの中家路に着く。
それは端から見れば仲のよいペットと飼い主に見えるだろう。だがそのお兄さん
の腕に抱えられているありすの未来は絶対的に暗かった…。
「どうじで…どうじで…」
ありすは譫言のように呟く。
どうしてこんな事になったのかありすはわからなかった。
ありすはつい最近までとてもゆっくりしていた。
なのに今は全然ゆっくり出来ない。
どうして…。
そしてありすは気付いた。
お兄さんがどうしてゆっくり出来無いお兄さんに変わったのか…。
『ありすが…あのちいさいありすをころしたからだ…』
ありすが小さいありすを殺した事によってお兄さんはそんな教育でいいと判断し
たのだ。
ありすの思考はそこまで至っていないが、あのありすを殺した事が起因であると
理解した。
「ごべ…んなざい…いいごになり…まずがら…ゆるじでぐだざい…」
ありすは泣きじゃくりながら命乞いするしか出来なかった。理由がわかった所で
どうにかなる訳でもなかった。
「ダメだよ」
それにお兄さんは優しく答えた。
「もう手遅れだよ。ありすはお兄さんに殺される。それはもう決まった事なんだ
よ。ゆっくり理解してね」
そして命乞いした程度でどうにかなる訳でも無かった。
「さて、ありすは焼かれると冷やされるのどっちがいい?答えても答えなくても
両方やるけどね」
「ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…
」
「だからもう何してもありすが死ぬのは決まってるからゆっくり理解してね」
譫言のように謝罪を繰り返すありすを大事そうに抱えてお兄さんはお家へと帰っ
ていった。
END
最終更新:2022年05月21日 22:39