会場を激しく流れる海流の中を二人の剣士が斬りあっている。
完現術使い(フルブリンガー)月島秀九郎と魚人等最強の剣士ヒョウゾウである。
だが勝負はまったく平等とは言い難い。自由自在に海水の中から飛び出して
奇襲を掛けれるヒョウゾウに対して月島は土台になっている丸太の上から碌に
動くことができない。地の利は圧倒的にヒョウゾウの側にあった。

「……ぐぬぬ。」

にも関わらず、水中から顔を出したヒョウゾウの顔は険しい。
絶妙のタイミングで奇襲をかけているにも関わらず、
先ほどから月島に決定打を与えられないでいるのだ。
気を取り直して現在自分から背を向けている月島を四本の刀を振りかざして襲い掛かる。

「―――今は高いところに居る人が勝ち、かな?」

ヒョウゾウが斬りかかった瞬間、月島が跳躍した。
斬撃は一時的に回避されたものの、落ちてくるまでの間月島は完全に無防備。
致命的な隙。そのはずだった。

「な、なんだぁ?動けん!?」

だがなぜか膠着し、致命的な隙を造り出したのはヒョウゾウの方であった。
頭上から攻撃してくる月島の刀を避けることが出来ず、遂に腕の一本を斬りおとされる。

「うおぉ!?」

首を斬られる前に海の中に潜って逃げ延びるヒョウゾウ。一体なにが起こっているというのか?
理由ははヒョウゾウが使っている斬魄刀、花天狂骨にあった。
童の遊びを現実化するというこの刀の能力は気まぐれであり、
霊圧領域に入った者に影響するルールを斬魄刀が勝手に決めてしまうのだ。
「影鬼」が発動しているときは影を通じて攻撃できるようになり、
「艶鬼(いろおに)」の最中は参加者が宣言した色でしかダメージを受けなくなる。
そして現在発動している「嶄鬼(たかおに)」のルールは高いところにいる者を強くするというもの。
月島は一合目に刀をすれ違いざまにかすらせた際、ヒョウゾウ及び彼の持っている斬魄刀に
存在を挟み込むことに成功した。それによって刀の特性を完全に知り尽くした月島は
ヒョウゾウが現在のルールを把握するより先回りして自分に有利な攻撃を繰り出し続けていたのだ。



「お、おのれぇ……!!」

思わぬ苦戦にヒョウゾウは怒りを露わにする。
その様子を嗜むように月島は口を開いた。

「ヒョウゾウ、実力では僕のはるか上を行く筈のあなたが、なぜここまで僕に後れを取るのか。
 ―――恐らくこれだろうね。」

斬り落とした腕にぶら下がっている海水ディバッグを見せつける。

「自分の技以外の何かに頼るというその性根。それが技を腐らせて隙を生じさせているんだよ。
 現にほら、今も海水ディバッグの最後の一つを僕に向けて解き放とうとしている。」

触手をファスナーに掛けていることを見抜かれヒョウゾウは動きを止める。

「さあ、終わらせようか。」
「え?――――し、しまったぁ!?」

ヒョウゾウより先に奪い取った海水デイバッグのファスナーに手を掛けていた月島は、
躊躇なく蛸剣士に向けて解き放った。


ザッバァァァァァァァァァン!!!!!

ゲーム参加者に甚大な被害を与えた恐怖の災害がヒョウゾウを飲み込む。

「うおおおおおおぉぉぉぉ!!??」

成すすべもなく海水に流されていくヒョウゾウ。勝負はついた……その筈だった。
蛸剣士はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「馬鹿め!流す方角を誤りおったな!!これがワシの逃走経路じゃぁぁぁぁ!!!!」
「なんだって!?」

先ほどからずいぶん流されていた二人は既にMAPの端までたどり着いていた。
ヒョウゾウが流されていくその先にあるのは、無限に広がる海面!

「ほほほほっ!ここまで運んでくれて礼を言うぞぉ!また海水を補充してくれるわぁ!」

津波の勢いに身をゆだねるまま、勢いよく海面にダイブするヒョウゾウ。
再び二つの空のディバッグに海水を詰め込もうとする。―――そこで異変に気付いた。

「な、なんじゃぁ?」

海にたどり着いたはずなのに、流されているのが止まらないのだ。
むしろより高速で海水に流されていく。瞬く間に会場から遠ざかっていくヒョウゾウ。
このままではMAP圏外へ出てしまい首輪の爆弾がが発動してしまうだろう。
だが、首輪が起動する前に、それは唐突に終わりを迎えた。

「―――――ば、馬鹿なぁぁぁぁ!?」




「チクショー!ルフィのヤツ、一体どこへ行っちまったんだよー!?」

偉大なる航路(グランドライン)の海上に浮かぶとある一隻の海賊船。
麦わら海賊団の船医トニートニーチョッパーはサウザンドサニー号の甲板の上を
元気に走り回りながら数日前に失踪した船長の姿を探して回っている。

「ゾロとサンジの姿も見えないわね。あいつら、どこ行っちゃっらのかしら?」

航海士ナミは甲板に設置したパラソルの下でゆっくりくつろいでいる。

「なんだよー。ナミは心配じゃないのかよー?」
「心配?アイツらを心配する必要なんてどこにあるのよ?」
「そうだぜチョッパー。どうせすぐふらっと帰ってくるさ。」

チョッパーの肩にポンと手を置くウソップ。

「うーん。やっぱそうかなぁ?」
「ま、帰ってきたら相談もせずに勝手に出て行った分のおしおきはしてあげなくちゃね。」
「――――おい!なんだあれは!?」

船大工フランキーが突然空の方を指さして叫んだ。
なにか、炎に包まれた光の球が勢いよく海上に向かって落ちてくるのが見える。

「なにあれ?隕石?」

ナミが目撃した次の瞬間、光の球が海に落ち、巨大な爆発を起こした。
衝撃で海が荒れ、激しく波に揺らされるサウザンドサニー号。

「うわぁぁぁぁ!!」
「みんな!何かに掴まって!――――え?」

柱に抱き着くナミは信じられない光景を目にする。
海が、まるで滝が出来上がるかのようにゆっくりと割れていくのだ。
その海水の割れ目は赤道線上を真っ直ぐ走るグランドラインに沿って、どこまでもどこまでも広がっていき、

「――――わあああああああああああ!!!!!!!!!」

サウザンドサニー号は滝の中へと吸い込まれていった。













「海が―――――無い!!!!!??」


ヒョウゾウが見た光景は、グランドラインの上を水平線の果てまで走る無限の滝だった。
滝の底は何も見えない。あるのはどこまでも続く永遠の闇のみ。

「う…………うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!?????」

魚人島最強の剣士は、偉大なる航路上に存在する、ありとあらゆる生とし生ける者と共に、
無限の宇宙空間へ放流されていった。



◆ ◆ ◆


「あーあ、やっちまったなカカロット。」

月面で孫悟空と戦闘を続けるブロリーは目の前に広がる光景を見てせせら笑う。

彼らの真下にある地球が、赤道線に沿って横なぎに亀裂が走り、真っ二つに割れていた。
地球の割れ目から、宇宙空間へ海水が流れ出している。

そう、彼らは先ほどから惑星破壊級の攻撃を連発している。
すぐそばにいる地球に流れ弾が当たらない筈がなかったのだ。
その阿鼻叫喚の地獄絵図をみても悟空は顔色一つ変えない。

「でぇじょうぶだ。ドラゴンボールでみんな元に戻せる。」
「俺のことを攻めてるが、貴様もずいぶん罪のない人々を殺しているじゃあないか。」
「だからサイヤ人は滅びた。てめぇも滅びるんだ、ブロリー。」

砕けた地球を尻目に、再び拳をぶつけ合うサイヤ人達。






土御門は衛星に映っていたこの光景の映像をモニターで見物する。

「なんかえらいことになってね?」
「ふむ、やはり我々の世界に会場を設置しなかったのは大正解だったな。」

アレイスターは逆さまに浮かんだまま不敵な笑みを浮かべる。

「何を動じる必要がある土御門?制限でこの会場は絶対に壊れん。
 会場の外がどうなろうが、このゲームは問題なく続行されるさ。」
「……やれやれ、どこまであんたの計算の内なんだか。」

土御門は深く溜息をついた



◆ ◆ ◆



「いやぁ、壮観だねぇ。」

月島は串焼きにして焼いたヒョウゾウの腕をブックオブジエンドで刻みながら、
全ての海水が急速に干上がっていくこの世の終わりのような光景を眺めている。
これで海水ディバッグを作ることはもう誰にもできなくなったのだろう。
なんかそういうレベルの問題じゃないような気がするが。

「ふん、恐らくあの男が空で暴れてやがんだろ。」

酒の宴に誘われたように、一人の男、範馬勇次郎が月島の横に座っている。



「地球割り、くだらぬショーだ。もの言わぬ決して反撃せぬ物体を相手に、
 思う存分 殴り叩き蹴り……壊す。無抵抗をいいことに。」

この男はたとえ弱くても抵抗する人間の方が好きらしい。
地球を叩き割るくらいならムエタイ選手を思う存分殴り叩き蹴り壊す。
それが勇次郎の試割りである。

「まあ、いいや、はい出来たよ。」

月島は焼いたヒョウゾウの腕をチート級に美味いおろし醤油ポン酢ダレにつけて
勇次郎に差し出した。

「うむ、旨いな。しかしまだ神経毒が残っている。」
「え?大丈夫かい?」
「うむ、防腐剤、着色料、保存料……様々な化学物質、カラダによかろうハズもない。
 しかしだからとて健康にいい物だけを採る。これも健全とは言い難い
 毒も喰らう栄養も喰らう。両方を共に美味いと感じ、血肉に変える度量こそが食には肝心だ。」

そういいながら勇次郎は毒抜きしてないフグ鯨のヒレ酒をストレートで飲み干した。


◆ ◆ ◆


「う……うぅ……?」

甲板の上で気絶していたナミは目を覚ました。

「な、なんで生きてるの?私たち?」
「し、知らねぇよ、何が起きてんだか。」
「おい!見ろよー!二人とも!」

チョッパーは立ち上がって船の外を指さす。

「こ、これは……!!」

そこに広がっているのは無限の闇ではなく、どこまでも広がる青空だった。

「飛んでいる!サニー号が空を飛んでるぞーーー!!」
「助かったんだ!俺たちは助かったんだよ!」
「凄いわ!やるじゃない!フランキー!」
「いや、さすがのサニー号も雲の上までは飛べねぇ。これは奇跡だよ!」
「なんでもいいや!俺たちは生きている!本当の冒険はこれから














ぽいっ。











クリームヒルトの触手に掴まれたサウザンドサニー号は、そのまま天空の結界の中へ放り込まれた。

―――その後の麦わら海賊団の消息を知る者はいない。



◆ ◆


「あーあ。ゲームが終わるよりも、世界が滅びる方が早かったわね、まどか。」

基本支給品に入っていた干し肉をチート級に美味いおろし醤油ポン酢ダレにつけて
モシャモシャ食いながら、地面に寝転がったほむらは空を見上げてつぶやいた。
この会場では何らかの制限がかかっているのかあまり元気よく参加者に襲い掛かからない
まどかだったが、どうやら上空は制限の範囲に入ってなかったらしい。
というわけで雲の上から触手を伸ばしていたクリームヒルトは現在絶賛人類を救済中だ。
地球上の生物を根絶やしにするまでそう時間はかからないだろう。
寝ているほむらのそばに近づく一つの影があった。

「あら、久しぶりね。どう?人類最後の男になった気分は?」
「……貴様ら……!」

長い間休息を取っていたが未だに疲労が残っている海軍元帥サカズキである。
さすがに怒りを隠せない彼に向かって上半身を起こしたほむらはクスクス笑って話しかける。

「なにも心配することは無いわ。あなたも滅びの運命を受け入れなさい。
 すべての生き物は偉大なる神によって救済されるのよ。」
「ふざけるなぁ!」

サカズキは両腕からマグマを噴出させる。
ここは冷酷無比な殺し合い会場。しかし運命に立ち向かう権利を持つ彼らは、
ただ一方的に殺されるだけのゲーム不参加者よりもある意味幸運なのかもしれない。

「そう―――あなたも、私の女神様(まどか)に楯突く気なのね。」

天空から無数の漆黒の触手がサカズキに襲い掛かる。

「しゃらくさいわぁ!!」

サカズキは火山弾を発射してそれらを薙ぎ払った。

「うん、焼き消すしかないわよね。――――でも。」

触手がほむらを抱くように包み込む。彼女はそれらを愛おしそうに抱き返した。

「私はまどかに触れる。あなたはまどかに触れることさえできない。この意味、分かる?」

「なにを










             カチッ






                       ―――言っている?……え?」



突然、目の前に視界が完全にふさがるほどの無限の触手が現れ、一斉にサカズキに襲い掛かった。。

「ぎ…………ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

唐突な出来事にまったく対応できず、全身を触手に包まれた彼は天空へ導かれていく。
こうして、地球最後の男は消滅した。



「…………くっくっくっ。」

ほむらの時間停止は自分の他に、能力発動前に自分に触っていた者も停止した世界へ連れて行くことが出来る。
強大な救済の魔女も例外なくその対象に入っていたのだ。

「あーーーーーーーーはっはははははははははははははははははははは。」

地面に大の字になって寝転がり、ほむらは狂ったように笑った。

今、彼女は幸せだった。

無限の時間軸を繰り返すうちに失った筈の笑顔を取り戻す程に。


【ヒョウゾウ@ワンピース 死亡】
【サカズキ@ワンピース 死亡】

【G-6/1日目・昼】

【月島秀九郎@BLEACH】
【状態】健康、主催者に強い怒り
【装備】ブック・オブ・ジ・エンド
【持ち物】 ランダム支給品1~2、基本支給品一式
【思考】
基本:殺し合いを打破し主催を倒し茶渡君の仇を討つ。
1:一護と合流したい。
2:殺し合いに乗った参加者は出来る限り無力化したい
※参戦時期は藍染戦終了後です


【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
【状態】
【装備】魔法少女服
【持ち物】ダイヤモンド、 ランダム支給品1、基本支給品一式
【思考】
基本: 不明
1: 強き者と戦う
【備考】
※参戦時期は書き手さんに任せます
※戦闘力に制限はありません
※魔法少女から人間に戻りましたが魔法少女服は気にいったのでそのまま着ています
※勇次郎が何を願ったかは不明です

【???月面/1日目・昼】

【孫悟空@ドラゴンボール】
【状態】 健康、スーパーサイヤ人3化
【装備】 胴着
【持ち物】ランダム支給品1~6、基本支給品一式
【思考】
基本: 優勝した後主催者を倒してドラゴンボールでみんなを生き返らせる
1:せっかくだからここで強い奴らとの戦いを楽しむ。
2:ブロリーを倒す。

【備考】
※連載末期の魔人ブウと戦ってた頃からの参戦です。
※ベジータの言葉の影響はありません。

【ブロリー@ドラゴンボール】
【状態】 胸に裂傷(シグナムに最後斬られた傷)、左腕骨折
【装備】 なし
【持ち物】ランダム支給品1~3、 基本支給品一式
【思考】
基本: 全員殺す
1: 全員を殺し主催もころす
2: 特にカカロットやべジータは絶対に
3: カカロットを倒す
【備考】
※会場の戦闘で惑星破壊レベルは制限されていますが宇宙空間では別に問題ないようです
※参戦時期はお任せします

【E―4/1日目・昼】

【暁美ほむら@魔法少女まどかマギカ】
【状態】 疲労、ダメージ(小)ソウルジェムに穢れ(小)
【装備】 トカレフ(3/8)、魔法少女服
【持ち物】 ランダム支給品1~4、基本支給品一式 ×3、予備弾薬32/40
【思考】
基本: まどかが世界を滅ぼすのを見届け最後に願いを叶えその先へ進む
1:もう油断はしない
2:まどか(クリームヒルト)の邪魔をする者を排除する
3:最後に願いを叶える
【備考】
クリームヒルトの麓に落ちていた鹿目まどかのディバックを回収しました。
※制限に気づきましたがどれくらいかは理解していません
※プリキュアに対し別の魔法少女と判断しました
※願いを叶えると言っていますが『まどかを殺さなければならない』という事実に気づいていません。
※垣根に対して異常な恐怖心と警戒心を抱いています。


【鹿目まどか@魔法少女まどかマギカ】
【状態】 魔女化(クリームヒルト・グレートヒェン) ダメージ(小)
【装備】 触手消費(回復中)
【持ち物】
【思考】
基本:世界から不幸を取り除き、生きているものを楽園へ導く
1:美樹さやかと彼女の周囲1マップ分を除く場所に居る参加者を天空に創った結界へ放り込む
【備考】
※全方位へランダムに攻撃を仕掛けてきます。攻撃は現在は緩やかです。
※現在は深夜なので遠くからは目視しにくいですが日が登ればマップのどこへ居ても目視できるようになるでしょう。
※制限で弱体化してるため物理攻撃で倒せます。
※動き始めました

※悟空の攻撃で地球が割れたことによりMAP周辺の海水は全て干上がりました。


師弟対決 時系列順 Love me do! Look at me!
投下順
TUNAMI 月島秀九郎 食戟-WILD FANG-
アルティメット・バウト3 範馬勇次郎
孫悟空
ブロリー
未元物質は砕けない 暁美ほむら サバトの女王
鹿目まどか
TUNAMI ヒョウゾウ GAME OVER
未元物質は砕けない サガズキ GAME OVER

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最終更新:2014年12月31日 20:09