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殺す。


そのための攻撃は、ついぞ止むことなくウルフウッドに加えられた。しかも、その一撃一撃は、死をイメージさせるほどに鋭い。そんな激烈たる嵐の中で、まともな説得の言葉など、さすがのウルフウッドにも思いつけるはずもなかった。


「わいや、わい! ウルフウッド! 忘れてしもうたんかいな!?」

「おまえみたいなゴミなんぞ、知るかよ!! プロテスタント!!」

「あ~、あれや! 孤児院! 孤児院で一緒やったやろ!?」

「まだこの俺を嬲るか!! クソ雑巾!!」


耳を劈(つんざ)くような怒号と共に再びアンデルセンの銃剣が振るわれた。もう既に何度も見た攻撃である故に、それは容易にかわせる代物だが、そこに闘い以外の思考をするだけの余地は与えられない。それなら最早仕方ない、とウルフウッドは眼前を通り過ぎる銃剣を眺め、意識を切り替えることにした。


とりあえず、ぶちのめす。戦闘が続けられない程に、身体を痛めつけてやれば、話をするだけの時間が持てるだろう。「ミカエルの眼」が施した超回復があるから、どうせ死ぬことはあるまい。ウルフウッドは頭の中でそんな結論を導き出すと、すかさずパニッシャーでアンデルセンの身体を弾き飛ばし、銃口を容赦なく向けた。


「は~……ほんまにここは地獄なんやな」


銃弾の代わりに出されたのは、ウルフウッドの溜息交じりのそんな言葉だった。ウルフウッドとアンデルセンとの間に、空から異形が舞い降りてきたのだ。頭に三本の角を生やし、装甲のような厚い身体と、人とはかけ離れた青い肌を夜気に晒す。その佇まいは、まさしく地獄の鬼に相応しいものであった。


「おまえたち、勇者ダイを見かけなかったか? 正直に答えれば、命は助けてやる」


異形たるハドラーは、二人を冷徹に見据えながら訊ねた。虚偽は許さない。その意志が、言葉以外のもので、ハッキリと二人に伝わる。しかしウルフウッドはともかく、もう一人のアンデルセンはハドラーのような化物を眼前にとらえて、律儀に問答に付き合うだけの寛容さは持ち合わせていなかった。


「エイメンッ!!」


ハドラーの横合いから、アンデルセンの全体重を乗せた銃剣が、上から振り下ろされた。僅か一瞬でハドラーに肉薄して放たれたアンデルセンの一撃は、ウルフウッドの目からしても、息を呑むものだ。しかし、その必殺を期した攻撃はハドラーが持つ覇者の剣で簡単に受け止められ、単にハドラーの怒りを買うだけのこととなった。


「死にたいのか、人間?」

「舐めるなよ、化物! 我はイスカリオテのユダ!! 時至り、地獄に落ちた今、七百四十万五千九百二十六の地獄の悪鬼と合戦を所望するなり!! 黙示録の日まで、我が神に逆らう愚者をその肉の最後の一片までも絶滅するものなり!!」


アンデルセンは銃剣により一層力を込め、声も高々に捲し立てた。その言葉を放つアンデルセンの顔には、死を厭う気配は微塵もない。その苛烈なまでの意気込みを宣戦布告として受け取ったハドラーは、顔に僅かな笑みを浮かべ、アンデルセンと向き合うことにした。


「面白い。だがこの俺の身体、そう容易く滅びはせんぞ!」


言葉と共に一気に魔炎気を開放。迸る気は、その勢いのままにアンデルセンを後方へ吹き飛ばす。暗黒闘気の炎を間近で受けたアンデルセンの肌は、余りの熱量に焼け焦げてしまったが、その程度で彼の気勢が削がれることなどはない。身体を走る痛みを怒りに変え、その激情をたっぷりと注いだ銃剣を神速で投げ飛ばす。その威力はアンデルセンの憤怒の形相を見れば、容易に察せられるものだ。しかし、そこにどれだけの力を込めようが、当たらなければ意味がない。アンデルセンの銃剣は、ハドラーの放った爆裂呪文――イオラで容易く相殺された。


爆発により生じた煙が辺りを蔓延する。夜ということも相まって、相手の姿は確認しづらい。そしてハドラーの姿を僅かに視界から逸した瞬間、アンデルセンはその一撃を貰った。ハドラーの覇者の剣が、彼の身体を切り裂いたのだ。


血しぶきが上がり、ハドラーの身体を朱に染める。寸前でハドラーの攻撃に気がついたアンデルセンは咄嗟に銃剣を掲げたが、それは何ら意味するところはなかった。ただの鉄と魔炎気を纏ったオリハルコンの剣。そのどうしようもない差は、決して埋められるものではない。銃剣は美しさを感じさせるほど綺麗に切断され、アンデルセンの足元に落ちたのだった。


これで闘いは終幕。ハドラーは、それを知らせる止めの剣を、頭上に構える。そしてその瞬間、もう一人の男が動いた。ウルフウッドはパニッシャーという超重兵器を、軽さを感じさせるほど滑らかな動作で構える。目標はアンデルセンを殺さんとしているハドラー。今の状況で慈悲をかけてやる余地など、どこにもない。パニッシャーの銃口は吼えるように火を噴き、銃弾は余すところなくハドラーに浴びせかけられた。


勿論、その程度のことで魔炎気を身に纏うハドラーを死に至らしめることなど、出来やしない。しかし、それでも僅かな隙を作らせるだけの威力はある。そしてその直後、ウルフウッドの音を薙ぎ払って振るわれるパニッシャーがハドラーの身体を打ち叩いた。打撃音には相応しくない爆発音が鳴り響く。だけど、それは破壊力があることの何よりもの証左だ。それを示すかのように、ハドラーはその大きな身体を宙に浮かせ、遠くへ吹っ飛んでいった。その様を確認すると、ウルフウッドは急いでアンデルセンの元に駆け寄った。


「生きとるか?」

「何のつもりだ、プロテスタント!!?」


ウルフウッドの疑問に、アンデルセンは血を吐きながらも、銃剣と共に言葉を強かにぶつけた。自分が異教徒に助けられるほどの人格者ではないことは分かっているし、またそこまで落ちぶれているつもりもない。故にウルフウッドの行動は、アンデルセンにとって不可解なものでしかなかった。だけど、そんなことは知ったことかと、ウルフウッドは銃剣を平然とパニッシャーで受け止め、血塗れのアンデルセンの首根っこを掴んだ。


「大丈夫そうやな。ほな、逃げるで」

「逃げるだとッ!? どういうつもりだ!? ふざけるなよ、カスがッ!!!」

「誰がカスや! って、どうもこうもあるかい! 見てみい!」


猛烈な勢いでウルフウッドに引き摺られていく中で、アンデルセンは何とか彼が指差す方向を見てみる。そこにはウルフウッドが負わせた傷を瞬く間に再生させながら、両手で大きな光の玉を掲げているハドラーがいた。その不撓不屈の姿勢は、生半可な攻撃など通用しそうにないことを伝えてくれている。だけど、問題はそこではない。その圧倒的なエネルギーを、目視だけで分からせてくれるハドラーの手にある光だ。それはとてもではないが、諸手を挙げて歓迎などできるものではない。アンデルセンも逼迫したその事態を遅まきながら理解した。だがハドラーにとって、そんな彼らと事情など、何ら慮る必要などないものだ。だからハドラーは何の遠慮もなしにその光を、背中を見せて遠ざかっていく二人に向けて放った。


「喰らえ、人間共!! 極大爆裂呪文(イオナズン)!!」


強大なエネルギーを内包した光の玉は、逃げるウルフウッドたちの足元に追い縋るように着弾。途端に光は音と共にその場で溢れ返り、周囲にあるもの全てを吹き飛ばした。それは大きな爆発だった。大地を深く抉り、粉塵は高く舞い上がり、その威力を如実に物語る。後に残ったのは、隕石が衝突したかのようなクレーターのみで、ウルフウッド、アンデルセンの影一つ、そこにはなかった。その凄まじい破壊の痕に、それを成したハドラーでさえ、驚愕を露(あらわ)にした。


「呪文の威力が上がっているのか? 大魔王と縁を切った今、そのような施しを受けるとは思えんが……」


そこでハドラーは頭(かぶり)を振った。


「いや、今はそんなことを考えている暇などはない。俺の命は限りあるもの。ただ目的に向かって邁進するのみだ」


そう言えど、ハドラーの目的である肝心のダイの居所は依然と分からなかった。次はどこへ向かうべきだろうか。そのことを考えていると、ふと先ほどの人間たちにした質問の答えを、まだ聞いていないことを思い出した。周囲には全く人の気配はない。だが、それをあの人間たちの死に結ぶつけるほどの安易な考えを、ハドラーはしなかった。自分に手傷を負わせた相手は、あの程度で死ぬことはない。何ら証拠立てるものなどなかったが、ハドラーは確信を持って言うことができた。


「ならば、あいつらには、もう少しこの俺に付き合ってもらうとしよう」


ハドラーはそう言うと、ウルフウッドたちが逃げていった方向へ飛んでいった。



【一日目 黎明】
【現在地 E-5】
ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
【状態】健康、前髪パッツン
【装備】パニッシャー@トライガン・マキシマム(残弾95%)
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 トンガリとリヴィオをヒネる
 1. 逃げる
 2. アンデルセンを説得……できるんかいな!!?
 3. トンガリとリヴィオを探す
【備考】
※死んで、皆仲良く地獄に落ちたと思っています
※アンデルセンを「ミカエルの眼」の暗殺者だと思っています
※アンデルセンを自分より年下の子どもかもしれないと思っています
※アンデルセンを自分と同じ孤児院出身かもしれないと思っています
※上記二つのことから、アンデルセンを殺す気はありません


アレクサンド・アンデルセン@ヘルシング】
【状態】怒りMAX、肌露出部分(顔、首、両手)に火傷(回復中)、肩から胸に切傷(回復中)
【装備】銃剣@ヘルシング(残り90本)
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 化け物と異教徒は皆殺し
 1. 牧師を殺す
 2. 化け物を殺す
 3. 異教徒を殺す


【ハドラー@DRAGON QUEST-ダイの大冒険】
【状態】健康、魔力消費(少)
【装備】覇者の剣@DRAGON QUEST-ダイの大冒険
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 ダイと決着をつける
 1. ウルフウッドたちを追う
 2. ダイを探す
【備考】
※回復能力を有しています
※呪文の威力が向上しています



43:Smells Like Teen Spirit <BACK  NEXT> 45:Hello, Good Bye
14:Everyday Is the Winding Road アンデルセン 53:Livin' on a Prayer
14:Everyday Is the Winding Road ウルフウッド 53:Livin' on a Prayer
24:It's My Life ハドラー 53:Livin' on a Prayer



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最終更新:2012年05月20日 03:41