おれはユリアのためなら、何だって出来る!
身体が動かないから、何だというのだ。トキが施した秘孔縛だから、何だというのだ。この程度で、おれのユリアへの愛は否定されるわけにはいかない。例えこの世の全ての人間がトキの考えに頷こうと、俺は認めん。このような結末など、断じて認めん。
「ぬぅ……おおおおぉぉぉッッ!!!」
身体中にある神経、筋肉に呼びかけを行い、トキの呪縛への反旗を促す。だが、トキの命令は至って冷酷。おれの意志が、僅かにもそこに入る余地はない。だけど、その隷従が如何に絶対的なものであっても、諦めるわけにはいかん。
思い出せ。サザンクロスでユリアが身を投げた時の絶望を!
ユリアの死を実感した時の、あの身を切り裂かれるような悲痛な想いを!
おれはユリアのためなら、何だって出来る! 何だってしなければならないのだ!
「ううぅ、おおお!! おおおおお!!」
命を差し出す。その覚悟でもって、おれは再び自らの身体に動くように命令する。トキの秘孔縛により、血が、骨が、筋肉が、一気におれへと反逆を起こす。皮膚は裂け、血は体外へ飛び出し、筋肉は痙攣を起こし、骨が軋み始める。だけど、そんなことは知ったことか。おれはその全てを捻じ伏せ、再度檄を飛ばす。
「う……動け!! うご……くのだああ!!!」
おれのユリアへの愛は、こんなことでは決して終わらない。おれはユリアを今度こそ守り抜くのだ。
「ハァ……ハァ」
ユリアへの愛。その一念が通ったのか、ようやくおれは指一本動かすことができた。いまだ身体を全てを動かすには至らないが、おれはトキの秘孔縛を破ったのだ。そしておれは少しずつ指から、腕へと可動範囲を広げていき、数十分という時間をかけて、おれはようやくバッグの中から支給品の団子を取り出すことに成功した。
にやり、と口が綻ぶ。これでおれはトキの秘孔縛から、完全に解放されるのだ。
無論、こんなものに頼るのは、躊躇いもある。自らの培ってきた拳法を否定し、更には自らの身体を作り変えてしまうものだ。否応にも、拒否感は湧き出てくる。だが、こんな所でいつまでも足踏みなどはしていられない。今こうしている間にも、ユリアに危険が迫っているかもしれないのだ。そして意を決したおれは、それを勢いよく口にした。
たちまち、おれの身体は変貌を遂げた。筋肉は隆起し、爪が伸び、白い髪は黒くなり、身体中からは黒い体毛は生えてきた。人間から、それ以外への変化。そして今までの自分の確かな否定。思っていたより、それへの拒絶が強く、胃から気持ち悪いものが込み上げてくる。だが、おれはそれを強烈な意志によって飲み込み、気炎を上げた。
これでユリアを守れるのだ! 現におれの身体は自由に動くようになり、その内には力が漲ってきている。今は
ラオウすら倒せそうなほど、身体が軽い。試しに近くの木に、貫手を放ってみる。常なら、それは手が音もなく木を貫き通すだけだ。だが、今は轟音と共に木が粉々に砕け、遠くへ吹き飛んでいった。
「フフフ、フハハハハハ!!!」
ああ、おれはこの力で全てを変える。
ユリアにもたらす全ての悲劇を取り去ってくれる。
今度こそ、おれはおれの愛でユリアの救ってみせるのだ。
【一日目 早朝】
【現在地 D-8】
【シン@北斗の拳】
【状態】健康 、武獣装甲其の一魔猿の装(猿の姿)
【装備】妖気計@幽遊白書、奇美団子@幽遊白書(残り二個)
【道具】支給品一式
【思考】
基本 ユリアを最後の一人にする
1.
ポップ、トキを殺す
2. 人を見つけ次第殺す
【備考】
※北斗神拳の秘孔縛に耐性を得ました
【支給品説明】
一個食べるごとに猿、雉、犬へと変化し、使用者の力を飛躍的に高める。また食べる前に受けた攻撃に対しては、耐性を得ることが出来、その際に負った怪我も完全に回復することが出来る。
最終更新:2013年10月28日 00:13