グラスに注がれたワインで唇を赤く湿らし、大魔王バーンは第一回放送をバトルロワイアルの参加者に伝えた。
「定刻になった。これより放送を行う。なに、そう警戒する必要もない。余はただそちらに事実を伝えるだけだ。このバトルロワイアルを円滑に進めるための事実を、な。では、まず禁止エリアの発表といこう。最初のエリアは――
7時よりA-3
8時よりB-2
9時よりC-9
10時よりF-2
11時よりF-4
――だ。
刻限を過ぎても、その場に留まれば、あの愚か者のようになることは言うまでもなかろう。続いて死者の発表だ。この放送までに死んだものは――
――以上12名だ。
殺し合いは順調だ。弱者は淘汰され、強者が生き残り、愉悦を得る。多少の大番狂わせはあったとはいえ、そちらの働きは実に見事なものだ。だが、まだ余の前に立つのには足りない。この程度の屍の上に立ったくらいでは、余の足元にも到達しない。余の計らいに不満を持つものは、それを重々に理解せよ。そして最後の一人になって、余の前に現れるがいい。その時こそ、そちらの言葉耳を傾けてやると約束しよう」
大魔王バーンは放送を終えると、乾いた喉を癒すようにワインを口にした。
そしてグラスを空にすると、潤った喉を確かめるように彼はゆっくりと呟いた。
「弱肉強食。それこそが世の理だ。幾ら気に入らないと言ったところで、余の言葉を覆すのにもまた余を凌ぐ力必要となってくる。それこそが何よりもの余の言葉の証左と言えるだろう。なあ、そう思わぬか、光魔の杖よ?」
「Yes, My Lord」
杖と呼ばれながらも、不思議と大魔王の首に飾ってあったペンダントが光を発し、女性の声に似通った電子音声を発した。大魔王バーンのその現象に僅かに首を傾げることなく、滑らかに舌をまわしていく。
「太陽は神々に奪われた。彼奴らの勝手な考えで、彼奴らの傲慢とも言える力で。そちらが弱肉強食を肯定したのだ。ならば、余にも……」
その先の言葉は暗闇に溶けて聞こえなくなった。だが、それを傍らで聞いていた光魔の杖はバーンの考えを賛美するように、何度も眩しく煌いていた。
最終更新:2013年02月17日 22:28