親友である南斗白鷺拳の
シュウと南斗聖拳最強である南斗鳳凰拳の
サウザーの死の知らせ、そして秘孔心霊台による苦痛。
それらが容赦なくレイを襲い、大地へとうずくまらせた。必死に閉じた口からも漏れ出てしまう苦悶の声は、聞くだけで痛々しいものだ。
そんなレイに対して、慰撫する言葉がインテグラの脳裏に掠める。だけど、それを口から出すのには、どうにも躊躇いを覚えてしまう彼女だった。
裸なのだ。だって、レイは素っ裸なのだ。
その姿が情けないのは、本人だって知っていることだろう。
そこに新たに女から同情めいた言葉を頂いては、レイのプライドを必要以上に傷つけてしまうのではないか。
そう判断したインテグラは優しい言葉を飲み込み、代わりに檄を飛ばしてやることにした。
「立て、レイ! 貴様の命数を、この場で使い潰す気か?」
ナイフのように尖った言葉だ。
思いやりが欠片も見当たらないそれは深々と突き刺さり、レイに更なる出血を強いようとする。
だがその痛みは、内に向かわせていたレイの意識を、何とか外に向けさせることに成功したようだった。
「フ……他人事だと思って、無茶を言ってくれる。だが、おまえの言うことも尤もだ」
インテグラの言葉に頷き、レイはよろよろとその場を立ち上がった。
相変わらずレイの肉体を成す筋肉や骨は悲鳴を上げ、その持ち主に猛然と抗っている。
無理をするな、身体を動かすな、このままでは壊れてしまうぞ、と。
耳を澄ませば、他人であるインテグラにも聞こえてきそうな金切り声だ。
だが、レイはその一切を捻じ伏せ、大地へと自らの二本の足を立たせたのだった。
「このままの姿で倒れてしまったのなら、確かにおれの命は無意味……いや、それ以上の恥辱となる。それではケンやマミヤに顔向け出来ん」
自らの姿を省み、レイは苦痛に歪めた顔を僅かに赤らめ、自嘲するように呟いた。
今は夜や洞窟の中にあったような暗闇がなく、太陽の光が余す所なくレイを照らし出している。
これでは否応にも羞恥心が湧き出てくるというものだ。
「……どうやら私の言葉は必要ないみたいだったな」
凄惨とも言えるレイが無事に立ったのを確認すると、インテグラはそれを可能としたレイの意志の強さを素直に称賛した。
それに対してレイも柔らかな笑みを携え、素直な気持ちをぶつける。
「いや、ちゃんと背中を押してくれたさ。ついでに服を返してくれると、もう少し楽に前に進めるのだがな」
「フン……そんなに恥ずかしいか、レイ?」
「こう日の光を当てられてはな。幾らおれでも人並みの恥ずかしさはある」
ふむ、とインテグラは頷いて、鞘から自らのサーベルを抜き放った。
その剣の輝きに、堪らずレイの額から冷たい汗が流れ出る。
「ま、待て! インテグラ! その剣で何をするつもりだ!?」
まさか羞恥の元となるものを切断して無事に解決ということなのか。
思わず両手で股間をガードし、レイは抗議するように声を高くして叫んだ。
「黙って見ていろ」
インテグラはそう言うと、近くにあった木に向け、剣を二度振った。
パサリ、と木に巻きついてた蔓が、地面に落ちてくる。
そしてそれを拾い上げると、インテグラはバッグから石の仮面を取り出し、それと一緒にレイへ手渡した。
「何だ、これは?」
インテグラの意図が掴めず、レイは疑問の声を上げた。
「石仮面。それを被ると吸血鬼になれるそうだ」
「……何を言っている。そんなバカなことがあるわけあるまい」
「ああ、そうだな。そんな手軽に吸血鬼になれるわけがない。だが……貴様の粗末なものを隠すのには十分なものだろう?」
成る程と思い、レイは石仮面の目の部分に蔓を通し、早速それを腰に巻きつけた。
まるでそのために作られたかのように、石仮面はレイの股間にピッタリとフィットする。
しかし、それでもレイの顔は変わらず晴れないものだった。
「これは、この姿は……裸よりも恥ずかしいような気がするのだが。これでは何というか……その……」
「……変態か?」
「くっ!」
第三者からの痛烈な指摘とは、中々心にくるものである。
その内容は本人も思っていることとなれば、痛みはより苛烈なものとなる。
誇りある南斗水鳥拳の伝承者として、レイはあまりの恥辱に顔を上げることが出来なかった。
だが、そんなレイの頭にふと疑問が思い浮かんできた。
「インテグラ……何故おまえが変態などという言葉を知っている?」
高貴の出自を匂わせるインテグラである故、レイの疑念はますます強くなるばかりである。
「さて……」と、唐突にインテグラは口を開いた。
「何だ、インテグラ?」
「先を急ごう。我々には時間を無駄にしている暇はない。先程の大きな爆発音に、森から上がる炎に煙と、知らぬ間に次々と戦闘が起きている。
この馬鹿げたゲームをひっくり返すに当たって、到底看過できるものではない。行くぞ、レイ! グズグズするな!」
インテグラは一気に捲くし立てると、逃げるかのように足早に歩を進めていった。
その様子にレイの顔から、思わず笑みが零れる。
「フッ……インテグラ、ひょっとしておまえ…………」
同行者が見せてくれた意外な一面に、レイは哀しみと苦痛を、ほんの一時だが、確かに忘れることが出来た。
【一日目 朝】
【現在地 C-8】
【
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@ヘルシング】
【状態】健康
【装備】インテグラのサーベル@ヘルシング、レイのコンバットスーツ@北斗の拳
【道具】支給品一式、眼鏡@不明
【思考】
基本 殺し合いの打破
1. 爆心地、火災地、市街地のいずれかへ行く
【レイ@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】股間に石仮面@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険、武器支給品、支給品一式
【思考】
基本 インテグラの言葉に従う
1. 自分が着る服を探す
<支給品情報>
血液に反応して骨針が突き出し、被っている者の脳を刺激して吸血鬼に変える。
元は柱の男カーズが究極生命体になるため製作したもの。
最終更新:2013年11月06日 23:07