アイネイアス

   トロイア落城の後に複数のエピソードを持つ。

  • ヘクトルはアイネイアスの妻の兄にあたる。

  • ホメロス風讃歌』所収「アプロディテ讃歌」によれば、神の身でありながら人と交わったことで
   「ひどい悲しみ(アイノン・アコス)」に襲われたことにちなんで、生まれる子をアイネイアスと名付けようと
   アプロディテが述べるシーンがある。

   ポセイドンにも助けられており(特にポセイドンは通常ギリシャ側贔屓の神であるのに)、
   神々から特別の寵愛を受けている事が察せられる。


   シビュラの言葉に従ってプロセルピナに捧げられた森にある「黄金に輝く枝」を折り取った。
   これにより、エリュシオンにいる父アンキセスの霊に出会ったという。
(zsphereコメント:無論、これが有名な、フレイザー『金枝篇』で言及される金枝)

  • また、アイネイアスはトロイアの船団を率いて遠征し、アルデアの都を落としてここに植民、
   これが後のローマであると、『変身物語』は伝えている。
   またこの一連の物語が、ウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』の主題。
   またアルデア攻略の後、ウェヌス女神の懇願によってアイネイアスは人の身を清められ神となり、
   ローマ人の信仰の対象となった事も同書に見える。
(zsphereコメント:つまり、ローマ神話において、ローマ帝国はその起源をトロイアに持つ、
             という事が強調されていた、と。この点すこし注意を要する。
             また、ワシの項目も参照)
  • プリニウス『博物誌』第三巻、イタリアのカンパニア地方に住む諸部族を列挙した中に、
   「トロイ人のダルダノスの末裔コラニ族」という記述が見える。


  • 『アエネイス』第五巻にて、父アンキセスの墓にてその慰霊のために競技会が行われる場面で、
   船の競争の際に選ばれた一行の船の名前に「プリスティス号」、「キマイラ号」、「ケンタウロス号」、「スキュラ号」とあり、
   彼らがイタリア植民のために用いた船に上記のような名前をつけていた事が知られる。


      参考文献

『四つのギリシャ神話
『変身物語(下)』オウィディウス
『アエネーイス(上)』ウェルギリウス
『プリニウスの博物誌 Ⅰ』



最終更新:2016年02月18日 22:58