女神転生


アトラスから発売されているゲームシリーズ群。略称は「メガテン」。
西谷史氏の伝奇SF小説『デジタル・デビル・ストーリー』シリーズを原典としており、「女神転生」というタイトルも元々は原作小説1巻のサブタイトルである。
サブタイトルは原作のヒロインが日本神話の女神イザナミの転生体だった事に由来している。

当初は任天堂に依頼したが、当時の任天堂の役員会で「女神転生には教育上よろしくない記述がある」と却下され(何せ原作はエログロ小説である)、
代わりに当時ダンジョンRPGのゲームシステムを作りつつシナリオの作り手を探していたアトラスが、ナムコを通じて名乗りを上げ、*1
その後も長きに渡り続くアトラスの看板作品となったのである。
余談だが、同時期に日本テレネットからPC-8801、MSX、X1、FM77AVといったパソコン用の俯瞰型アクションゲームとしても発売されており、
ストーリー的にはファミコン版よりも原作に近い(そもそも原作で悪魔の使役は行っていない)。
なお、こちらの開発にもアトラスが協力として関わっている。

アトラス自体は一時会社が無くなったり他メーカーの傘下に入って社内ブランドになったりなど紆余曲折を経ているが、
ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』と同様ファミコン時代から今日までほぼ絶え間無く継続しているシリーズであり、
「三大JRPGと言えば?」と問われればこれを挙げても何ら問題無いレベルと言えるだろう。

世界観としては、シリーズごとに細かい違いはあるが、
基本的には異形の存在「悪魔」に関わってしまった人々が物語を通じて戦い生き抜こうとする物語となっている。

また、その人気から派生コンテンツが多数存在している。

  • 『真・女神転生』シリーズ
  • 『デビルサマナー』シリーズ
  • 『ラストバイブル』シリーズ
  • 『魔神転生』シリーズ
  • 『デビルチルドレン』シリーズ
  • 『ペルソナ』シリーズ
  • 『デビルサバイバー』シリーズ
  • 『幻影異聞録#FE』(『ファイアーエムブレム』シリーズとのコラボ作)

また、PC9801とWindows95用ソフトとして『偽典・女神転生 東京黙示録』という派生作品もある。
こちらは当時のアスキーが開発しており、アトラスとの直接的な関係は無いが、
鈴木一也氏や増子司氏といった、アトラスの女神転生での主要スタッフが制作に関わっている。
こちらはコンシューマ機での規制・制限がほぼ無い事から、
原作小説のエログロテイストをかなり汲み取る形で表現しているため、表記はされていないものの実質18禁レベルである。
『真・女神転生』の主人公が金剛神界に留まっていた間の「現実世界の30年間」を舞台としており、
間接的ながら本シリーズとの繋がりも持たせてあったりする。

他にも同社製作の『キャサリン』の主人公らしき人物が『ペルソナ3ポータブル』で存在が示唆されており、
同作も世界観を共有している可能性がある。……もちろん単なるお遊びの可能性もあるが。

余談だが、『ラストバイブル』は『ポケットモンスター』より早く(1992年12月)、
敵としても登場する魔獣を仲間にするシステムが採用されている。
同年9月発売の『DQ5』(仲間モンスターシステムがある)にはやや遅れたが、
元々『初代』から悪魔を「仲魔」として引き込む要素はあったので、発売時期が近すぎることから言っても『DQ5』をパクったわけではない。
当然『デビルチルドレン』がポケモンのパクリとか言ったらいかんぞ。色別で出したのは真似したが

用語

  • 悪魔
同シリーズでは神も魔王も天使も精霊も超自然的な存在は全て「悪魔」と総称される。
戦闘を介して敵と交渉したり道具で捕まえるなどしてスカウトした悪魔は「仲魔」と呼ばれ、
パーティメンバーとプレイヤーが操作することが可能になる。

  • 悪魔召喚プログラム
本シリーズを「デジタル・デビル・ストーリー」たらしめる極めて重要なガジェット。
月齢や星の並び、魔法陣の描き方、召喚呪文の詠唱などの様々な要因をすべてコンピュータの演算により完全再現し、
必要となる生贄をマグネタイトと呼ばれる生体エネルギーで賄うことで、誰であっても悪魔を召喚可能とするプログラム。
ただし「召喚」であって「支配・使役」ではないため、自身の力量に見合わない悪魔を召喚すれば破滅が待っている。
その容易さ故に様々な事件の原因となり、同時にこのプログラムを手にした主人公の最大の武器ともなる。
そしてこのプログラムをインストールした携帯端末は「COMP(コンプ)」と呼称される。
ハンドヘルドコンピューター、ニンテンドーDS型、スマホ型、メリケンサックやパラソル型など様々な形状のものがあるが、
中でも有名なのが『デビルサマナー』シリーズの主人公らが持つGUNタイプPC「GUMP(ガンプ)」である。

ちなみにこの悪魔召喚プログラム、悪魔の召喚術式をデータ化しているのか悪魔そのものをデータ化しているのかは曖昧だが、
プログラムを用いない伝統的な悪魔召喚師達は、封魔管という金属の筒にしばき倒してゲットした契約した悪魔を収納している
だからポケモンとかポケモントレーナーとか言うなって!こっちが元祖だっつの!

  • ペルソナ能力
心の底に潜む「もう一人の自分」が実体化した存在「ペルソナ」を操る能力
ペルソナは神話に登場する神や悪魔、その他伝説や童話の生物・人物達の名前と性質を持つ。

ペルソナ使いは夢と現実、精神と物質の狭間にあるとされる「ベルベットルーム」にて、
作品によって細部は異なるが新たなペルソナの作成・降魔したペルソナの入れ替えなどができる。
本来のベルベットルームの主はフィレモンで、『異聞録』『2』では彼の認めた人間全員、つまりパーティ全員の入室が可能だった。
世界観が刷新されフィレモンがいなくなった『3』以降は、本来は職員の立場だったフィレモンの従者・イゴールが彼の役割を引き継いでおり、
ベルベットルームに入れるのも基本的には特殊能力「ワイルド」の使い手=主人公のみとなっている。

なお、『真・女神転生if…』ではこれの原型とされるガーディアンが存在しており
(こちらは戦闘不能になると悪魔が憑依合体しパワーアップして復活するというもの)、
この関連からか『異聞録』及び『2』では『if』の女主人公が「たまき」としてカメオ出演していたりする。

  • 悪魔合体
メガテンの代名詞ともいえるシステム。
一定の法則に基づき任意の仲魔数体を「合体」させて、全く別の新しい仲魔を作り出す。
基本的に合体で生まれる仲魔は合体元の仲魔よりも強化される他、
一部合体でしか生まれない強力な仲魔も存在する。
作品によっては、仲魔だけに限らず武器やアイテムと合体させることができる事もある。
ただし、稀に「合体事故」と呼ばれるアクシデントが発生する事があり、
これが起きると本来生み出される予定だった悪魔とは異なる悪魔が生み出される。
『ペルソナ』シリーズでも「ペルソナ合体」として受け継がれている。
ただしこちらも作品によってシステムは異なり、『異聞録』では悪魔から取得した「スペルカード」でペルソナを作り出す合体、
『3』以降の作品では所有するペルソナそのものを合体の素材として用いる、従来の悪魔合体に近いものとなっている。
また、『2』にはペルソナ合体というシステムそのものが存在しない。

  • シャドウ
主に『ペルソナ』シリーズに登場する、悪魔とは似て非なる存在。
作品によって細かい違いはあるが、基本的にシャドウとペルソナは鏡合わせの存在とされており、
精神の一部が本体から離れて独り歩きしている存在で、いわば人の制御下に置かれていないペルソナとも言える。


格ゲーにおける女神転生

関連作品の中でも頭一つ抜けて高い人気を誇る『ペルソナ4』の派生作品として、
アークシステムワークスと共同開発の2D対戦型格闘ゲームが発売されている。

  • 『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』(略称:『P4U』)
  • 『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(略称:『P4U2』)
【操作キャラ】
鳴上悠花村陽介、里中千枝、天城雪子、巽完二
白鐘直斗、クマ、アイギス、真田明彦、桐条美鶴
エリザベス、ラビリス、シャドウラビリス
<『P4U2』より追加>
岳羽ゆかり、伊織順平、皆月翔、ミナヅキショウ
久慈川りせ、天田乾&コロマル、足立透、マリー、マーガレット

シャドウラビリス以外の『P4U』キャラクターと『P4U2』の足立透は、
『BLAZBLUE』のクロスオーバー作品『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』にも参戦している。

この他、『グルーヴ・オン・ファイト 豪血寺一族3』のラスボスであるブリストルDが『女神転生』シリーズの悪魔を召喚している。
他にも『2』『最強伝説』の陳念ステージに『女神転生』シリーズのキャラがいたり、『女神異聞録ペルソナ』に『3』が登場するなど、
『女神転生』シリーズと『豪血寺一族』シリーズは多少の繋がりがある。


MUGENにおける女神転生

主に国内の製作者により多数のキャラが作られている。
一部を除き、基本的に手書きキャラが多い。
また、ジュブナイル系の『ペルソナ』シリーズのキャラはストーリー動画でも使いやすいらしく、
いくつかの作品でレギュラーとして登場している。

+ MUGEN入りしているキャラ一覧


*1
実はこの時アトラスは、ナムコだけではなくジャレコにも本作のプレゼンを持ち込んでいた。
現在、ジャレコ版権の全てを保有するシティコネクション代表取締役の吉川延宏氏は、
「ジャレコはアトラスから持ち込まれた『デジタル・デビル物語 女神転生』と、
 『バイオ戦士DAN』という2本の企画の中から、迷うことなく『バイオ戦士DAN』を選んだ」
という旨を証言している。


最終更新:2024年03月20日 23:24
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