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  • 本を取り戻せ

本を取り戻せ

最終更新:2007年10月16日 00:16

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だれでも歓迎! 編集

本を取り戻せ  ◆ARkjy9enog



かつて人は、物事を伝えるために口伝を用いるしかなかった。
だが当然のように人から人、その人からまた別の人へと1つのことが伝わっていくにつれ、
やがて情報は今で言う伝言ゲームのように誰の悪意を一切受けることなく、自然と元ある形を歪ませていく。
このままでは間違った情報が蔓延してしまうことになると、当時の人々は頭を悩ませた。
そこで発明されたのが、本である。
様々な知識を正確に伝えるものとして歴史上他に類のないほど画期的な発明だったといえるこれは、
古代インカ帝国の石版を起源とし、中国における竹札、メソポタミアにおける粘土板文書、古代エジプトにおけるパピルス書物という風に
全世界に爆発的に広まっていった。
仮に世界中全ての本を読みつくすことが可能であれば、恐らくその人間は神と並べるほどの全知を有するであろう。
それどころかもしも運命的な本と出会えたならば、それまで自分が世界と信じてきたものの殻を一瞬で突き破り、新たな地平を見渡すことすらできる。
本とは世界。世界とは宇宙。宇宙とは全て。全てとは人。
嗚呼、神様。この世に本と、そして私をお作りくださって本当にありがとうございます。



「…………で?」

何やらどこぞの危ない宗教家のように語りだした眼前の女を、スパイクは冷めた視線で眺めていた。
工業区の波打ち際。コンクリートと海の段差はざっと見て2メートル前後か。
間違って足でも踏み外して落ちようものなら、少なくともここらへんでは二度と地上に上がってこれないだろう。
なのでスパイクは、海を背にして多少離れた位置にあぐらで座り込んでいた。
右手には相変わらず最初に支給された道具の1つであるやけに分厚い本を持っている。
昔の連中にとって画期的な発明だろうが至高の文化的財産だろうが、彼にとっては少なくともこの本は
せいぜい角で殴れば少しは武器になるくらいのただのゴミという認識でしかない。
それこそ古本屋に売るしか価値がない。
ただ、そんなゴミを意地で渡そうとしないというのもまた滑稽な話ではあるのだが……

ともあれ、まだ辺りは暗いというのにそこだけ天から光が舞い降りて輝いているように見える女……読子・リードマンは
先刻まで胸のあたりで指を絡めて明後日の方向を向きながら陶酔していたが、スパイクがそう半分投げやりな言葉をかけると
くるっとその長い黒髪を翻してこちらに向き直り、まったく邪気のない笑顔で要点を告げた。

「というわけでその○極○彦先生の本、読ませてくださいっ」
「なにが『というわけで』だ!? 前後関係まったくわかんねえよ!」

思わず体を前に乗り出して怒鳴り返す。
だが本人は特にその勢いに怯んだ様子もなく、形の良い眉を八の字に曲げつつ両手で黒縁メガネの端を押さえると
どこか舌ったらずな口調で先ほどの論調について解説し始めた。

「えー? ですから私が言いたいのは本というものは素晴らしきものであって、読むことに価値があるっていうか読ませてくださいっていうかむしろ読ませろっていうか……」
「ダメだ。何度も言うが、これは俺のモンだ」
「そんなケチなこと言わなくてもいいじゃないですかぁ……」

大きな愛嬌のある瞳を涙で潤ませている。大抵の男ならここで思わず胸打たれるところだろう。
だが色々とスレきった半生を送ってきたスパイクには、女の涙は通用しない……ある程度までならば。
半泣きになっている彼女から顔を背けると、小さく舌打ちして毒づく。

「ちっ、これだからガキは嫌いなんだよ」

ガキという人種はスパイクの嫌いなものベスト3にランクインしている。
言うこと聞かないわ、無邪気に邪悪なことをやってのけるわ、すぐ泣くわ。まったくもってこちらとしてはいい迷惑でしかない。
ちなみにベスト3の他の2つは蓮っ葉な女とケダモノだ。
……その割に彼は普段ビバップ号にてそれら全てと同居生活を送っているのだが、それはまた別の話。
読子はなおも涙ぐんでいたが、スパイクのその誰に聞かせるつもりでもなかった言葉を耳ざとく聞き取ると、
不思議そうな顔をして彼の前に座り込んできた。そしてその顔を覗き込むように凝視してくる。
彼は思わずたじろぎ、少しだけ後ろに後ずさる。

「な、なんだよ」
「いえ……ただ私もう30歳なんですが、それで子供っていうのならあなた実は相当お年を召してらっしゃるんですねえ」

一見皮肉とも取れる言葉。だが彼女は真顔で……混じりっ気なしの真顔でそう言ってのけた。
その言葉の意味するところを理解するため、スパイクは数秒の時間を要することになる。
……やがて。

「30……ってアンタ俺より年上!? その面でか!?」

スパイクは目を見開いて彼女の顔を見る。それに驚いた様子で、今度は読子が少し後ろに後ずさった。
30歳。自分よりも3つ年上。
この女、どう見ても10代後半かハタチそこそこだと思っていた。
トーヨー人というものは見た目よりずっと若いとはよく聞くが、これほどまでに顕著な例は見たことがない。
そういえばトーヨーに出没するセンニンとかいうのは数千年も同じ姿で生き続けるものらしいとジェットあたりが言ってたような……
対して自分が妖怪か何かの類だと疑われているとも知らず、読子はまた両手でメガネの位置を直すと笑顔で口を開いてきた。

「そういえば、自己紹介がまだでしたよね。私、読子・リードマンといいます。今は……無職です」
「……無職、ねえ」

多少落ち着きを取り戻すと……30という年齢に関しては多少疑いを持ちつつも……
相手に気づかれない程度にスパイクは読子をじろりと観察する。
無職。道理でこんな野暮ったい服を着ているはずだ。曲がりなりにも女なら、少しは見た目に気をつかったらどうなんだ。
髪は寝癖がついてボサボサだし、微妙に埃でまみれているようにも見えるし……
……………………。

「アンタ……リードマンだっけか? 言っちゃ悪いが、ちゃんと風呂入ってるか?」
「え? ああはい。ナンシーさんもいますし、ちゃんと毎日入ってますよ。
 あ、でもここ3日くらいは引きこもってずっと本読んでたから……」
「…………」

あまり考えないほうがいいのかもしれない。
さりげなく本に伸ばそうとしていた彼女の手を払いのけると、スパイクもまた簡単に自己紹介をする。

「俺はスパイク・スピーゲル。賞金稼ぎをやってる」
「スパイクさんですか。かっこいいお名前ですねえ」
「そりゃどうも」

両の手のひらを合わせてわけのわからない褒め方をしてくる読子を適当に、本を狙おうと死角から伸ばしてきた彼女の左足と共にあしらう。

「それはともかくリードマン……アンタ、ここがどこかわかるか? 俺にはどうも見覚えがない場所なんだが」
「すみません私にもわかりません……いつものように本読みながら寝てたら、いつのまにかこんなところに来てまして」

目の前のこのリードマンとかいう女も、気づいたらここにいたらしい。
力づくで本を奪おうと、自分を押し倒して馬乗りの体勢になってきた彼女の両手を抑えながらスパイクは分析する。
あの時のヒーロー戦隊ごっこみたいなのは夢じゃなかったとしても、ならば何故このようなわけの分からない状況に陥っている?
何かのゲームの一環だというのならまだなんとか納得のしようがあるが、
だがそれにしたって強制的に、かつ気づかない内に一瞬で妙なところへ飛ばされたとあってはどうにも腑が落ちない。
あの禿オヤジの話していたことをもうちょい真面目に聞いておくべきだったと、今更ながらに少しだけ後悔する。

まあいずれにせよ、いつまでもここにいる義理はない。とっとと帰って相棒の作る不味い飯でも食べるに限る。
そう決めると、本を掴む右手の指を懸命にこじ開けようとしている読子を押し戻して立ち上がる。
「あ、本~」などとわめいてくるがその声は当然無視する。

「ったく本、本ってうるっせえなあ。アンタずっとそればっかだけど、帰りたくねえのかよ」

なおも右腕にナマケモノがごとくしがみついてきて
いい感じの重みを自分に与えてくれる女を呆れた目で見つつ、問いかけとも愚痴ともつかぬことをこぼす。
すると彼女はキョトンと首をかしげ、即座に首を横に振ってきた。
……中身が耳あたりからこぼれてくるんじゃなかろうかと他人事ながら心配してしまうほどに。

「そんなわけないじゃないですかスパイクさん。
私、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとも~っとも~っとも~~~~~~っと!
たっくさん色んな本を読みたいんですから。なんとしてでも帰らないと!
……それにナンシーさん1人を放っといたままこっちに来ちゃいましたからね」

……そのナンシーというのが誰かは知らないが、
まあともあれ彼女の帰りたいという意志が常人には理解しがたいベクトルで強固だということはわかった。
完全に右腕から読子をひっぺがすと、スパイクは1つ大きなため息をついた。

「ああ、そうかいそりゃよかった。んじゃ俺はこのへんで……」
「へ?」

突然自分から離れて適当に歩き出したこのスパイクの行動に、読子は目が点となる。
2秒ほど何が起こったのか理解できずに硬直していたが、やがて突然バッテリー満タンの電池が入ったおもちゃのように
やけに素早い動作で離れて行こうとするスパイクの前に回りこんだ。

「なんだよ」

不審な目で見下ろしてくるスパイク。
それに対して読子はとりあえずスパイクの進行方向を阻もうと全身をあたふたさせる。

「スパイクさん、1人で行っちゃうなんてひどいじゃないですかぁ~」
「あん?」

この言葉に、今度はスパイクのほうが目が点になる。
一体何を言っているんだこの女は。

「おいおい俺とアンタが一緒に行動するなんていつ決まった? そこらへんのガキじゃないってんなら、1人で行動くらいできるだろ。
 別にとって食われるわけでもあるまいし」

まさかこの空間で参加者同士の殺し合いが行われているとは夢にも思わず、スパイクは自身の頭を手に持った本の角でボリボリと掻く。
普通に考えればこんな暗い夜道に女性を1人置いていくという現代男性におけるあるまじき行為をしているのではあるが、
彼の場合周りにいる女性が女性なため、そのような考えが基本的に欠落していた。
それに彼の信条として『自分のことは自分でやる』というものがあることも起因しているかもしれない。
読子は困ったように両の人差し指をクルクルさせながら、上目遣いでもごもごと言葉を発する。

「決まってはないですけど……そっちの方が楽しいじゃないですか」
「楽しい……ってアンタなあ」
「それに、本もまだ読ませてもらってませんし」
「だーかーら! これは俺のだ!」

もう完全に無視を決め込んで強行突破してやる。
そりゃ多少はこの場に彼女を残すことに抵抗を感じないこともないが、男だろうが女だろうが自分の身くらい自分で守るべきだ。
そう決断して、前方を塞ぐ読子の身体をどけようとスパイクは空いている左手で彼女の肩を掴もうと腕をあげた。
と、その拍子に彼女のメガネに指が軽く触れる。

「あ、悪り……」

瞬間。
スパイクの全身に『何か』が走った。
後から冷静に判断してみればそれは悪寒というものだったのだろうが、脳がそうと認識するよりも早く身体が動いていた。
上体をギリギリまで逸らし、直後に数瞬前まで顔があったところで空気を切り裂く鋭い音がしたのを聞く。
何が起こったのか把握できない。ただ彼にわかることは、今何か身の危険に晒されるようなことが起きたということくらいだ。

「あ! す、す、す、すみませんつい条件反射で……あの、メガネはちょっと」

一拍遅れて、慌てたような読子の声がやってくる。
だがスパイクもそれがわざとだろうがそうでなかろうが
いきなり攻撃されたとあっては「いや~別に構やしないさハハハ」と笑ってすますのは無理というものだ。
先ほどの音は経験上、刃物で切りつけようとした音だとわかる。
刃物なんてどこに隠し持っていたのか知らないが、とにかく一言怒鳴らなければ気が済まない。
どんな文句を浴びせてやろうかと思案しながら逸らしていた上体を元に戻す。

「お前なあ!」

ビシッと右手に持った本を人差し指がわりに突きつけ、抗議の意を示さんとする。

……が、そこでスパイクはあることに気づいた。
1つは読子は刃物なんて持ってなく、かわりにメガネにかけた右手の指に1枚の紙が挟んであったこと。
先の攻撃は、たしかに刃物だったはずだ。まさかそんな、ペラペラの小さな紙で攻撃してきたわけじゃあるまい。
そりゃあ紙だってうまくすれば物を切ることだってあるかもしれないが、それにしたって先ほどの風切り音はあまりにも鮮やかすぎた。
そしてもう1つ……彼女が、時が止まったかのようにぴくりとも動かずにじっとただ1点を見つめていること。
その両の視線が注がれているのは、突き出している自分の右手。

(……あ)

と思った時には既に彼女は行動を開始していた。

「はあああぁぁぁぁ~~~本! ○極○彦先生の本~~~~~!」

歓喜の奇声をあげながら右手の本を両手で掴み、そんな小っこい体のどこにそんな力があるのかと思うほど全力で引っ張ってくる。
相当見境がなくなっているが、腹を空かせた猛獣の目の前にいきなり小鹿が現れたようなものだろう。無理もないかもしれない。
たかだか本1冊に小鹿ほどの価値を見出すその気持ちは到底理解できないが。

「んなろっ!」

だがスパイクもむざむざこれを人にくれてやるわけにはいかない。
たとえ自分にとってただのゴミだとしても。他人にとってどれだけの価値があろうとも。
こちとら賞金稼ぎだ。少しでも金になりそうな可能性を捨てることなどできようか!
ありったけの握力を右手に込め、一気にそれを後方に引っ張る!

……結論からいえば、それは成功した。
本とセットでそれを掴む読子も引っ張る羽目になるんじゃなかろうかと一瞬思ったが、幸いにも彼女の指から本は離れて右腕が一瞬で軽くなる。
だがそれは勢いが余ったためか、はたまた彼女に渡さずにすんだという油断があったためか、またはその両方か。
不覚にも後方にやった自分の手からもまた、本は離れていってしまった。

まるで時間がスローになったかのような錯覚。
スパイクからも読子からも自由となって空中に羽ばたいたその本は、後方……すなわち暗い海へ吸い込まれるように向かってゆく。
スパイクはそれを呆然と眺めていたが、視界の端から何か黒い影が躍り出たのを捕らえていた。
それは……いちいち確認するまでもなくわかってはいたことだが、まさしく読子・リードマン。
既に本は海に飛び出している。掴もうとするためには、自身も共に海へと投げ出さなければ無理だろう。
そしてこの女は間違いなくそれを何の躊躇もなくやってのけるであろうことを、既にスパイクは知っていた。

「本~~~~~~~~~っ!」

案の定、読子は地面を蹴ると海なんて眼中になく、本しか目に映っていないかのごとく……実際そうなのだろうが……飛び出していった。
伸ばした手が本に触れると、次の瞬間にはそれを
苦渋の選択で遠くに捨てたのに、帰巣本能で戻ってきた愛犬を涙ながらに迎える飼い主以上の愛情をもって抱きしめた。

先ほども述べたが、海とコンクリートの地面の差は2メートル前後。落ちたらここら辺では上がってこれない。
だがこのままだとそうなることは目に見えている。
いくら自分のことは自分でやれというスパイクでも、目の前で死地に向かう人間を助けないほど冷血ではない。

「くっそ、これだからガキは嫌いなんだよ!」

吐き捨てると全速力で海に駆け、なんとかギリギリ読子の右足を引っつかむ。
その時に彼女のデイパックから何かがこぼれ落ちていったような気がしたが、それを確認する暇などない。
さすがに女とはいえ人1人分が飛び出す勢いを止めるのは容易なことではなかった。
自身も彼女に引っ張られ、海に落ちそうになる。

(冗談じゃねえ! 今時無理心中なんて流行らねえんだよ!)

意地でも落ちまいと全身に力を込めるが勢いは止まらない。どんどん暗い海が近づいてくる。
これは本格的にやばいと、本能がそう告げてくる。
手を離せば自分だけは助かるのかもしれないが、その時は何故かその可能性については考えもしなかった。
もはやスパイクが地面に足をつけている部分はつま先しかなく、そして次の瞬間にはそこに感じる地面の堅い感触も消え去ることは決定事項だ。
これは本当に、落ちる……!

「えい!」
「!?」

読子が上半身の向きを陸地の方に変えたかと思うと、何やら白い紐のようなものが彼女の手から飛来した。
それはどこまでも伸びていき地面に立っている電灯に到達すると、見る見るうちに巻きついてゆく。
直後、先ほどまで海に引きずり込まんとしていた勢いが突然止まり、
電灯、紐を掴む読子、地面にギリギリつま先立ちしているスパイクの3点で支えられるトライアングルのような形で固定された。

「………………」
「大丈夫ですか? スパイクさん」
「……この体勢は大丈夫とは言いがたいな……」

つま先が震えてそろそろ限界が近いということを実感しつつも、
とりあえずスパイクはなんとか海に落ちるのだけは回避できたことを理解した……


◆

「つまりアンタは紙を自由に操ることができて、別に俺が助けにいこうがいくまいが大丈夫だった、と」

さっきの辛い体勢からようやく解放された2人は、最初にいた位置よりもさらに海から離れた場所に座り込んでいた。
確認してみたところ、読子のデイパックから海に落ちたのはどうやらあの飲みかけの酒だったらしいが、
まあ酒の1本や2本、命に比べればなくしたところで特に問題はない。

紙使い。その名の通り紙を色々な用途に扱える能力を持った人間。
正直どこのマンガの世界だと思ったが、実際見てしまったからには信用しないわけにはいかない。
それに紙を刃物と錯覚してしまったことについても、これで説明がつく。

「まあ、それでも結果的に俺自身もアンタに助けられた形になったわけで……いやどうなんだ?
 そもそもアンタが飛び込もうとしなきゃああいうことにもならなかったんだし……いやでも……」

彼の信条は『自分のことは自分でやる』というものだが、『受けた恩はなるべくできる範囲で返す』というのもまた存在していた。
この場合、自分は恩を受けた側になるのかそうでないのか、非常に判断が難しいところだ。

「まあでも、やっぱりこのまま放っていくのも寝覚めが悪いか……しゃあねえ、ついてってやるよリードマン」

決断を下すと、ここで初めて彼は読子に顔を向けた。
その彼女はというと……さっきからやけに静かだと思ったが、遂に奪い取った本を至福の表情で読みふけっていた。
スパイクの口元が軽くひきつる。

「……おい」
「あ~っ、何するんですかスパイクさん。本、返してくださいよぉ」

なんだか色々あって本に対する執着はもうあまりないのだが、これがあってはこの女、人の話を聞いてくれない。
読子から分厚い本を取っ払うと、再び彼女の手が届かない位置にまで持っていく。
当然本を取り返そうと躍起になってくるが、スパイクはそれを放って立ち上がるとさっさと歩いていく。
ただし、今度はちゃんと彼女に声をかけて。

「ほら、行くぞリードマン」
「へ? 行くってどこへですか?」
「あー……さっき地図があったから見てみたが、もうちょい歩けばオンセンがあるってよ。
 天然の風呂みたいなもんだって相棒が言ってたことがある。別にこれといった行き先もねえし……」

いつの間にか一緒に行動してくれることになったらしいことに『?』マークを浮かべている彼女に、スパイクはしっかりと言い切った。

「とりあえずアンタはそこで風呂に入れ」


【G-1 一日目・黎明】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
 [状態]:疲労
 [装備]:デザートイーグル(残弾8/8、予備マガジン×2)
 [道具]:デイパック
 [思考]
1.とりあえずオンセンに行ってから帰る。
2.読子と一緒に行動してやる。

【読子・リードマン@R.O.D(シリーズ)】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:デイパック、飛行石@天空の城ラピュタ、拡声器、○極○彦の小説
 [思考]
1.○極○彦先生の本を読破する。
2.スパイクと一緒に温泉に行ってから帰る。

※不死の酒@BACCANO バッカーノ!は海に落ちました。
 どこに流されるかは不明。


時系列順で読む

Back:業苦 Next:紙のみぞ知る

投下順で読む

Back:業苦 Next:その名は絶望

011:Cat Blues スパイク・スピーゲル 087:肉はない。が、監視はある
011:Cat Blues 読子・リードマン 087:肉はない。が、監視はある

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