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  • 『真偽』と『真意』~危うい■■(前編)

『真偽』と『真意』~危うい■■(前編)

最終更新:2022年08月26日 22:22

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『真偽』と『真意』~危うい■■(前編)  ◆WcYky2B84U



空港、格納庫内。
幾多ものコンテナが格納されているその倉庫の一角に、シャマルは立っていた。
つい先ほどのヴィラルとの対話からは、もう2時間程の時が経過している。
と言っても、2時間もの間、延々とその場に立ち尽くしていたわけではない。
シャマルは、その時間をこの空港内の探索に充てていた。
未だ非道になりきる事も出来ぬまま、ゲームに乗ることを決意した彼女にとって幸か不幸か、
空港内部及び、周辺からは人の気配を感じる事は出来なかった。
本来ならばそのままこの格納庫の中に隠れて、失った魔力を回復させる為にも睡眠を取りたかったのだが、
パートナーとなったヴィラルが休息の為に先に眠ってしまっている今、その手段を取る訳にもいかない。
二人一緒に睡眠を取った挙句、他の参加者に寝込みを襲われては堪った物ではない。
というか、そもそもこんな薄暗い場所で、若い男女が共に寝るという状況が、その、少なからず倫理観に引っかかると言うか、
私まだそういう経験とか無いのに、それにそんな、主を差し置いて自分だけ抜け駆けなんて…ああいや、そうじゃなくて。
まぁ、とにかく。
かくしてシャマルは、『もし誰かが来たら起こしてくれ』と言い残して勝手に先に寝てしまった、
存外に可愛い寝顔の相棒に心の中で謝罪しつつも、空港内の探索を決行した訳である。
なお、当たり前の事だが彼女はきちんと制服を着衣した上で行動を開始している。
『幾らこんな状況下でも、下着姿で歩き回る人間なんていないわよね…』と何気なしに彼女が呟いた瞬間、
彼女が敬愛している主と、その主に熱烈な想いをぶつけた不届きな男と、
さらにそれとはまた別のとある馬鹿男が同時に盛大なくしゃみをしたかどうかは、定かではない。

流石に無防備に睡眠を取っているヴィラルをそのままにしてじっくりと調査を行う訳にはいかず、
シャマルは手早く空港内を見回るだけで探索をすませようとしたのだが、残念ながら収穫はほぼ0と言ってよかった。
『螺旋空港』なる珍妙な施設名を目にした時には思わず眉根を寄せてしまったが、内部は驚くほどに普通の空港として稼動していた。
最も、空港の一番の目玉(?)とも言えるであろう飛行機械の類は、シャマルの探した限り空港内のどこにも発見できなかった。
確かにこの会場内は速度に優れる飛行機械で移動するにはいささか狭すぎるであろう。螺旋王の気持ちもわからなくもない。
だが、空港内の扉、主に『関係者以外通行禁止』と分類されるタイプの物は幾つか施錠がされていた。
鍵が掛かっている、という事はこの先に見られたくはない物があると察しは付くが、その鍵が無くてはどうしようもない。
自分達に支給された武器を使えば強行突破も可能であろうが、貴重な弾丸を使用した挙句肩透かしでは目も当てられないだろう。
結局そのまま、簡単な探索を終えたシャマルは格納庫へと舞い戻り、車内にて未だ深い眠りについているヴィラルを見て、
『随分、よく寝てるわね…』と感心ともなんとも言えぬ物を呟いた後、ふと後部座席にあったディパックに目を留め―――

ある事を思い出し、自分に支給されていた『それ』を取り出した。

かくして、場面は冒頭部へと戻る。
ゴーカートのすぐ近くに設置されていたコンテナに持たれかかりながら、シャマルは腕につけた『それ』を見つめていた。
その顔に浮かぶのは、深い悲しみの色。儚げな表情のまま、そっと『それ』に手を添えた。

「形見、みたいになっちゃったわね」

シャマルの腕にある『それ』は……ブーストデバイス、『ケリュケイオン』。
彼女の良く知った人物であり、共にこの殺戮の宴に巻き込まれた人物であり……
つい先ほど、その死を告げられた少女、キャロ・ル・ルシエの愛用していたデバイスであった。
今まで、彼女がそれを装備しなかったのには、幾つかの理由がある。
まず第一の理由は、ケリュケイオンはミッドチルダ式のデバイスであり、
古代ベルカの眷属・ヴォルケンリッターであるシャマルには、その性能を完全には引き出す事は出来ないからだ。
そして第二の問題は、ケリュケイオンの性能。
ブーストデバイスという名が示す通り、このデバイスが得意としているのは、ブースト…つまり、強化魔法である。
だが、強化魔法は基本的には自分以外の者を対象とする物。術者自身に強化魔法を掛けてみても、大きな効果は望めない。
強化魔法以外にも、ごく簡単な射撃魔法の発動も可能だが、それらの攻撃力は低い。
それは、相手を殺す際には出来るだけ苦しめず、即死に近い状態で仕留めたいシャマルにとっては望ましい事ではなかった。
さらに、第三の障害として挙げられるものは、ケリュケイオンと共に自分に支給された武器、ゲイボルグだった。
デバイスとはまた違った存在でありながら、同一の物を動力源とするそれを扱う為には、無駄な魔力消費は抑えたかったのだ。
……結局の所、ゲイボルグはいかな仕組みかは知らぬが『咄嗟の時に役に立たない』ハズレアイテムであったようだが。
閑話休題。とにかくシャマルは、ここまでに挙げた複数の要因からケリュケイオンを自らのディパックの中に眠らせていた。
ただ一つ、この会場で一刻も早くキャロと合流し、彼女の大切な相棒を送り届ける事だけを胸に留めて。
………だが、しかし。

「…………結局、間に合いはしなかった」

世界は、いつだって…こんなはずじゃないことばっかりだ。
僅かな願いでさえも容赦なく打ち砕かれ、無残に切り裂かれ、後に残るものは仄暗い絶望だけ。
しかしそれでもなお、シャマルは未だ消えぬ願いを胸にただ修羅の道を行く。
仲間を、自分の大切な主を守る為ならば、修羅にでも羅刹にでもなろう。
その目的を成す為ならば、どんな物だって利用してやる。
そう、どんな物でさえ……大切な仲間の形見でさえ、殺す為の、道具として?

「使う、わ。そうしなくては、いけないのなら」

心の奥に芽生えた痛みを、無理やりねじ伏せる。
考えてみれば、自分が今までこのデバイスを使わなかったのには、まだ大きな理由があったのではないか?
これの使い手である彼女は、心優しい少女だった。召喚師として、子竜と戯れる姿に微笑ましい物を感じたのは一度や二度ではない。
健気で慈愛の心に満ち溢れていた少女。この殺し合いに、最も向いていないタイプを挙げるとすれば彼女のような人物だろう。
その彼女の愛用していた道具を、血で汚す。
自分は、自分でも気づかぬ無意識の内に、それを避けようとしていたのではないか?
唇を、噛み締める。振り払わなければ、この感情を。これ以上仲間を失わないためにも。大切な主を、失わない為にも。

「ごめんなさい、キャロ。私は……私にしか出来ない事を、やらなきゃいけないから」

瞳を閉じ、一言だけ謝罪をする。
刹那の暗闇の中で垣間見た、かの少女の顔は……彼女の目に、ひどく哀しそうに映った。







「………う…」
「…?」

突如耳に入ってきたうめき声に反応してシャマルは目を開き、声のする方――すなわち、眠っているヴィラルを見やった。
ピク、ピクと瞼が動いているのが確認できる。彼が寝入ってから相当に時間も経っている事だし、そろそろ起きる頃合か。

「ヴィラルさん?」

無理に起こしてしまわないように、近寄ってから小声で声を掛けて反応を見る。
が、予想に反して彼は、しばらく寝言のような唸り声を発した後、再び寝息を立て始めた。

「ま、まだ寝るのね……?」

思わず引きつった笑みを浮かべながら呟くシャマル。
仲間達を助ける為にも、ここから移動して参加者達の始末を行いたい、という気持ちはあるが、
そろそろ放送も近い事だし、それまでは寝かせてあげても良いかもしれない。
それに、何となく起こすのをためらってしまうほどに、ヴィラルは無防備な寝顔をさらけ出していた。

「……………」

何をするでもなく、じっとその寝顔を見つめてみる。
一瞬鼻をつまんでやりたい衝動にも駆られたが、『今はそんな事やってる場合じゃないでしょうに』と思い直した。
と、言ってもこのまま寝顔を見ている場合でもない気がする。
さて、ならば何をした物か。

「…………この人、どういう人なのかしら」

相変わらず視線は固定したままで、ぽつりと呟く。
成り行き上とは言え、おそらくしばらくは共に行動する事になるパートナーだ。
かの人物の人間性(いや、彼の場合は獣人性か?)について考察してみるのも必要かもしれない。
シャマルは、つい先ほど彼と会話した時に感じた印象を思い出す。

(……生真面目な人…かな)

腹部の怪我を処置した際に、わざわざ『この礼は必ずすると約束しよう』と言うような人物。
本人は戦士と名乗っていたが、どちらかといえば騎士のようなタイプに近いかもしれない。
騎士、という自分に馴染み深い単語を思い浮かべた所で、脳裏にある人物の顔が映った。
その人物の名は、シグナム。自身と同じヴォルケンリッターであり、剣の騎士の名を持つ女性だ。
考えてみれば、このヴィラルには彼女の性格に似たものを感じなくもない。
自分と付き合いの長い人物と似た人間…もとい、獣人ならば、接し方も今までの経験が生かせそうだ。

(…どちらかといえば、ストレスとかには黙って耐え続けるタイプかしら。
 上司から酷い仕打ちを受けてもただただ甘んじて受け入れて…体に良くないわね。
 溜まりに溜まって爆発なんかしたら大変……って、段々話が脱線してきたような……
 あ、もしかしてだから睡眠時間が長いのかしら…睡眠がストレス解消になってるとか…ってそんな事を考えてる場合じゃ…)

彼女が就いている医者という職業がそうさせるのか、徐々に人物に対する考察がカウンセリングの様になってきた。
流石に脱線しすぎだと思い直し、思考を中断する。

「ふぅ……それにしても、本当に良く寝てるわね…」

一息つきながら、何気なく寝ている彼に手を伸ばし、額に触れた瞬間――――
妙な違和感が手に残った。

「……汗…?」

べったりとはいかないまでも、妙に寝汗をかいているのがわかる。
ゴーカートの運転席に座りながら、という奇妙な体勢で眠っている事からくる寝苦しさからか?

「……う……む…」

そこまで思考した所で、ヴィラルが先ほどと同じようにうめき声をあげ、顔を歪める。
うなされている…いや、これはどちらかと言えば、もっと物理的な苦しみ…?……まさか。
シャマルが、ゴーカート内部を覗き込みヴィラルの体を確認すると、
彼の両腕がわき腹を押さえており、時折撫でられているのが見て取れた。
やはり……傷跡が、痛みを与えているのか。
つい先ほど応急処置を施したものの、きちんと傷跡を検診したわけではない。
もしかしたら予想外に深い傷跡だったのかもしれないが、
かと言って幾ら医者のシャマルとて医薬品も治療器具も皆無なこの状況ではどうする事も……

「………待って」

あった。一つだけ、現状を打破する方法が。
だが、しかし。この方法はいささかリスクが大きいのではないか?
いや、リスクより何より確実性に欠けている。そんな不安定な手段に余力を使う余裕は無い。

「………ぐ…」

大丈夫、応急処置は適切だったはずだ。痛みを消す事は出来なくとも、命に別状は無い。

「ぐぅ……く…」

落ち着け。冷静になれ。もしもそれを実行したならば、必ず一つの弊害が生じる。
その弊害は、下手をすればようやく手に入れたこの同盟すら破綻させてしまう。

「…がっ……」

どうしても気になるのならば……そうだ、病院。
確か、この会場の中には病院がある。そこで薬を調達するなりして、改めて彼の処置を行えばいい。

「……………」

考えるな。気に病むな。そこまで、彼の事を助けてやる必要は無い。
これでいいんだ。何よりも自分の事と、六課の皆の事だけ優先すべきだ。
この男の為に、無駄な労力を使うべきではないのだ。


だって、この男はただの……『手駒』じゃないか。







気分が、悪い。
ここはどこだ?辺りは薄ぼんやりとしている。足元が覚束ない。自分が立っているのか、寝ているのかすらわからない。
何もかもがはっきりとしない、それが何よりも自分を苛立たせる。
ああ、いや。二つだけはっきりとした感覚がある。痛みと熱。……どちらも忌々しい。より一層、心の中をかき乱す。
最悪だ。頭がフラフラする。痛い。焼け付くような痛みだ。いや……実際に、焼けているのか?
意識が薄い。思考力が低下している。ああ、腹立たしい。憎らしい。
何がだ?痛みが。それだけか?この痛みを俺に刻み付けた、あの蛇が。まだあるんじゃないのか?
下水道で俺と戦った、あのハダカザルが。他にもだろう?最初に俺をコケにしてくれた、あの二匹。

忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい
忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい
忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい!!!!!!!!

この実験に参加してから、この殺し合いに参加してから、人間どもは俺を苦しめ続けている!
俺は何度尻尾を巻いて逃げ出した!?俺は何度手痛い反撃をこの身に受けた!?そして、奴らは何度俺を追い詰めた!?
この結果はまるで……まるで……ふざけるな!!人間どもが獣人よりも勝っている筈が無い!!!
だが……だが……ならば何故だ?何故俺は、人間どもを仕留められない?
今までに五匹ものハダカザルと戦っておきながら、始末できたのはたったの一匹だけ!
どうしてだ?どういう事だ?この身が……人間に近しい物となったからとでも言うのか!?
いや、違う、そんなはずは無い!その改造を施したのは、螺旋王自身!!
かの偉大な螺旋王が、獣人の能力を弱めるなどというミスを犯す訳が無い!!
じゃあ何故だ?何故俺は………人間どもに………?
わからない。何の理由があって…理由など、無い…のか……?
わからない………俺は……俺は……?頭の熱が、冷めていく…寒い……
ただ、傷跡だけが熱く、苦しい。この苦しみだけは、一生消えないとでも言うのか。
出口は、どこだ。俺は、いつこの苦しみから解放される?この、歪んだ苦しみから抜け出せる?出口は……
…………そんな物は……どこにも…?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ふわり。


……この感覚は、なんだ?体が、少し楽に……痛みはまだあるが…?
俺は……どうなって……寝かされているのか……?
………暖かい。頭に、熱が戻っていく。…誰かがいるのか?

『今……すから………願…………の風…』

声が聞こえる。何を、しているんだ?………風?
これは、風なのか?微かな、ほんの僅かにしか感じられない…だが、これもまた暖かい。
何だこれは…ん……?……痛みが、引いていく………

『…う、大……だか………う少し……我慢し…』

暖かい。心を苛んでいた痛みと熱が、少しずつ消えていく。段々と気分が落ち着いていく。
そして、それに伴って徐々に俺の体に感覚が戻っていくのを感じる。ふわりふわりと、少しずつ浮き上がっていくような感覚。
……そこにいるのは誰なんだ?



ゆっくりと、瞳を開く。その精神は未だまどろんだ状態のまま、それでも彼はそこにいる誰かを見た。
膝の上にヴィラルの頭を乗せているその人物の表情は、緊迫していたようだった。だが、それも徐々に綻んでいく。


「………よかった」


安心しきったその声を聞きながら、ヴィラルは久しぶりに感じたこの感情の正体に気付く。
それは…………この場所に来てから初めて感じる、心からの『安らぎ』だった。







シャマルが行ったのは、デバイス『ケリュケイオン』を起動した状態での、回復魔法の使用。
予想していた通り、古代ベルカ式の魔法を扱うシャマルがミッドチルダ式のデバイスを使用するのには多少の手間を要した。
それでも、使用した魔法がミッドチルダ式の中でも基本的かつ初歩的な物だった為か、どうにか一定の効果は見られたようだ。
少しずつ塞がっていく傷口を見ながら、シャマルから段々と緊張が抜けていく。

「………よかった」

自然と、そんな言葉が口に出た。その事に何より自分自身が驚く。
結局、見捨てる事は出来なかった。目の前で苦しんでいる男を無視する事は出来なかった。
それは何故なのか。
癒し手として、医者としての彼女の精神が、そうさせたのか。
『手駒』を出来るだけ万全な状態にしておきたいという打算的な思考が、そうさせたのか。
それとも―――――

「…シャマル…か…?」

自分の名を呼ぶ声に、シャマルが下を見る。
寝かされているヴィラルの目が、うっすらと開き自分を見据えていた。ようやく目を醒ましたらしい。
そのままゆっくり起き上がろうとするヴィラルを、シャマルは押し留める。

「まだ動かないで。傷がきちんと塞がりきってないの」
「…いや…だが……」
「いいから。患者だったら、医者の言う事はちゃんと聞きなさい?」
「………むう……」

どこか不満げの表情をしながらも、ヴィラルはシャマルの言う通り再び体を横たえた。
何処と無くバツが悪そうに見えるのは……まぁ何となく理解できると言うか…シャマル自身も似たような物と言うか。
客観的に見れば、『妙齢の女性が男性に膝枕をしてあげてる』という、状態なわけで。
いや、そりゃ気恥ずかしいのはわかるけども、こうするのにはちゃんと理由もあるわけで。
治療する為にも、彼を運転席に座らせたままという訳にも行かず、床にとりあえずマントを引き、
その上に彼の体を横たえたまではいいのだが、流石に硬い床にそのまま頭を置くのは不味いと考えた物の、
手近に丁度いい枕代わりになる物も無く…仕方なくシャマルは自分の肉体の一部を提供する事にしたのだ。
というか、何ですか。人の体あれだけ平然と弄っといて今ここでその反応というのは何よ?
ちょっと順番違うでしょー…と、そこまで思考が回った所でシャマルは頭を振る。
今は、治療に集中しなくては……そして、もう一つ。そんな事よりも考えなければならない事がある。

(回復魔法の効きが、予想以上に悪い……しかもそれだけじゃなく、魔力消費がこんなに大きいなんて…?)

ヴィラルの傷はじわじわと塞がってはいる物の、その速度はシャマルが普段見慣れている物よりも遥かに遅い。
普段扱いなれぬ形式の魔法を使っている事を差し引いても、これは異常だ。
実際の効果の程にも不安は残る。傷口は塞がり出血は止まるだろうが、痛みは残るかもしれない。
さらに、もう一つ。魔力消費量もまた、異常な程に高いのが感じられる。
数時間前のあのサングラスの男達との戦いの結果、予期せず気絶という『睡眠時間』を取る事が出来た為、
ゲイボルグを二回使用したことによる魔力消費は多少回復していたのだが…その魔力が再び、どんどん失われている。
とりあえず魔力切れを起こす程ではないものの、治療が終わる頃には半分弱の魔力しか残らないだろう。
明らかに異常な事態だ……だが、今はその異常事態よりも先に対処すべき事がある。
回復魔法を行った事で突発的に判明した事実とは別の、使用を決意した時から危惧していた問題が。
彼女にこの行動自体を躊躇させた、もう一つの大きな問題が。

「……シャマル」

彼女に言われたとおり寝転がった体勢のままヴィラルが声を掛けてくる。
だが、現在の彼の状態からかけ離れて、その声は低く、重い。
シャマルを見る彼の瞳に浮かぶのは困惑と、先ほどと同じく疑惑の色。

「お前は、俺に何をしている?その力は……一体なんだ?」

ヴィラルの獣の様な姿が自分達の見慣れないタイプの物であると気づいた時から、彼が管理外世界の住人という事はわかっていた。
管理外世界、つまり…魔力の存在が人々に知られていない世界。
その世界の人間に魔力という未知の力を教える事は、難しくはあるが不可能ではないだろう。
だが、シャマルは彼に嘘をついている。
『自分が彼と同じ螺旋王の手の者である』。つまり、彼と同じく魔力を知らぬ管理外世界の住人であるという嘘。
その嘘をついた状態で、彼の疑惑を拭い去る為には、どうすればいい?
………また、嘘を重ねるしかない。
ごくり、とシャマルは彼に気づかれぬように唾を飲み込む。
さぁ――――ここからが、正念場だ。




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