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  • ディナータイムの時間だよ(食前)

ディナータイムの時間だよ(食前)

最終更新:2023年05月15日 00:37

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だれでも歓迎! 編集

ディナータイムの時間だよ(食前) ◆AZWNjKqIBQ



あー、やっちゃったなぁ……と、それが結城奈緒の第一の感想であった。

真夜中の、古びた街燈の光だけが頼りの薄暗い道端。
そんなところで自分が吐き出したゲロに塗れ寝っころがっている、まるで馬鹿な酔っ払いの様な有様の女。
彼女――柊かがみが起きて、そして目の前にいる自分達を見たらどう思うか?
助けにきた正義の使者か? それとも、さらに自分を痛めつける悪漢か?
どっちだろうか……と、今彼女の顔を覗きこんでいる白服――といっても真っ赤に染まったソレを着ているラッドは言った。
どっちにしろ殺すとは彼の発言だが、奈緒としては彼の姿を見るにどう考えても前者はないだろうと思う。

で、柊かがみは起きた。
ラッドが繰り返し刺激を与えていたせいか、それとも元々眠りが浅かったのかは不明だが、とにかく起きた。
そして――……

「……ふあぁ……………………誰あんた? さっきのチンピラは……?」

……――朝のベッドの上でならよく似合ったであろう大あくび。そして、至極暢気な言葉。
例えそれを見ていたのが奈緒でなかったとしても、ラッドを知っている者ならば最悪の選択だと思っただろう。
喜ぶでもなく。恐れるでもなく。ましてや驚くでもなく。ただの暢気。殺人鬼を前にしての、ただの暢気である。

ご愁傷様でした――と、奈緒は心の中で、柊かがみの冥福を一足先に祈った。
なんとなくむかつきもするが、あるところで同調というか同情もする相手であったが、さすがにフォローはできなかった……


 ◆ ◆ ◆


眠り姫に迫った、賞品が死。罰ゲームも死。な、必死の二択。
その結果がどうなるかわくわくと殺意ゲージを溜めていたラッドであったが、予想もしない第三の選択に驚いた。
でもって、その第三の選択は彼の殺意ゲージを満杯にするのに充分以上だった。
勿論、その賞品は――『完全にぶっ殺す!』だ。元々そのつもりだが、いくらかのおまけもつくだろう。

目をぱちくりとさせ、半分寝ぼけ、半分混乱しているかがみに、ラッドは賞品贈呈の辞を読み上げ始める。

「いやいやいやいや――それはないだろうよ、かがみちゃんよぉ!
 ここでボケを取りにくるんなんざ、どこのコメディアンだよ。
 普通はありえねぇ! いや、絶対にありえねぇ! そんな場面じゃねぇと言い切れる!
 殺し合いの舞台でよ、目の前には殺人鬼な訳よ、起きたらさぁっ!
 悪夢じゃねぇ? だって、俺でもベッドの枕元に暗殺者が立ってたら驚くぜ! いや、喜びもするが!
 つか、俺を殺すことにチャレンジしたその精神を称えながら殺すと同時に、
 絶対的な優位の上で殺そうとしたことを後悔させながら殺すけどよ!
 やっぱ暗殺者って不意を討つからには、絶対的な状況を作るからにはユルいんじゃねぇかなと思うし?
 いや待てよ。それともそれぐらい慎重だってことは、常に相手からの反撃を恐れているからってことになるのか?
 ヤバイヤバイ! そうだよ、ユルいはずがないよな。プロだもん。ユルかったのは俺か? プロを侮辱したらだめだよな?
 いやまぁ殺すことにはかわりないけどよ。これからは敬意を持って殺すことにする!
 でさぁ! 話はそれたけど、俺もいっぱしな殺人鬼なわけなのよ? わかるかがみちゃん?
 だから! そんな! よくわかりません! ってな、顔されるとさぁ! そりゃあもう、殺意ゲージが……」

マシンガントークが目覚まし代わりになったのだろうか、かがみの頭に思考能力が戻ってくる。
目の前の、恐らくは返り血で染めたのであろう白服っぽかった赤服を着ている男は、自称殺人鬼らしい。
なんだ、そうだったのなら――……

「殺すんだったら、そうしてみれば? かまいはしないわよ。別に死なな――……」

ドカン――と、とても肉と肉をぶつけあったとは思えない様な音が、その薄暗い路地に響き渡った。

 ◆ ◆ ◆


古いアニメや、カートゥーンならよく見る光景だが、実際にされるとこんな感じなのか……
そう、場違いなことを思いながら顔面を陥没させたかがみはアスファルトの上を転がってゆく。
その脳を揺さぶる衝撃に、彼女は最初後頭部を打たれたかと思ったのだが、
転がる内に、上顎ごと前歯が舌の付け根あたりまでヘコんでいることに気付いたのだ。

ゴロゴロとボールの様に10メートルほど転がりきったあたりで、飛んでいったパーツが戻ってきて再生が始まった。
頬骨の辺りから割れてヘコんでいた上顎が持ち上がり、まるで風船に息を吹き込むかの様に顔が元に戻る。
目の前に迫る男も同じ印象を抱いたのか、『笑わせるな』『コメディアン』『殺す』『殺す』『殺す』などのワードを彼女にぶつける。
脳が揺れたせいで聞き取りづらく、また聞くつもりなども彼女にはなかったのだが、彼は喚き散らす。

目の前の男がトークを楽しみながら人を殺す狂人だと彼女が気付いたのは、それから4,5発殴られた後であった。

再生する様が面白いのか、それとも彼がジャック・デンプシーを尊敬するからなのか、拳は顔面に集中した。

ジャブ。ジャブ。ジャブ。小刻みな左拳の連打。折れている腕でラッドは拳を刻む。
鼻が潰れる瞬間の、ワサビを食べた時にも似たツンとする感覚。そして、直後に溢れる血の感覚。
痛みもそうだが、それよりも思いっきり鼻をかみたくなるようなその感触がいやだなぁ……と、かがみは思う。

ショートストレート。モーションを最小限にした射る様な拳。ジャブからのコンビネーションでそれを打つ。
バシッという小気味よい音と共に頬骨が砕け、頭の中にパキリという音がはっきりと響き渡る。
耳を脳も頭蓋骨の中にあるからか、顔面への打撃は思いのほかよく響く……と、かがみは思う。

左フック。反射的にあがったガードを迂回するように拳を叩き込み、逆の頬を打つ。
柔らかい頬に拳がめり込んで口の中が圧迫され、拳と口内の歯に挟まれた内頬が鋭い痛みとともに切れる。
しかし、それより勘弁して欲しいのは歯医者から出てきた直後の様な奥歯の鈍い痛みだ……と、かがみは思う。

ボディアッパー。続けて、がら空きのボディへと右のストマックブローをめり込ませる。
ポンプの様に潰された胃から、食道を通じて酸味の強い液体が逆流し舌と鼻の粘膜に嫌な刺激を与える。
気持ち悪さには慣れた。それよりも、胴を持ち上げられて足をピンと伸ばしている格好が恥ずかしい……と、かがみは思う。

ショートアッパー。落ちてきた無防備な顎を拾うように半径の狭いアッパーカット。
ガチンという音と共に半開きだった口が無理やりに噛みあわされ、上下それぞれの歯の付け根にじんわりとした痛みが発生する。
それに加えて、突き抜けた力が額に得もいえぬ感触を残す。それを、カキ氷を急いで食べた時みたいだ……と、かがみは思う。

右フック。頭の真横。耳の上を叩き、そしてそのまま振りぬいて顔の向きを90度以上変える。
耳の中で圧縮された空気が反響を起こし、頭蓋の中を駆け巡り脳を――思考を揺らす。
ブレブレに見える視界に一瞬思考を奪われ、ああ、こういうのはいけないな……と、かがみは思う。

ボディブロー。頭を揺らされふらつき無防備なところへ再度のボディ。今度の狙いはレバーだった。
突然、身体の中に鉄の錘が出現したんじゃないかと思うような感触。決して外に逃げ出してゆくようなものではない痛み。
あまりの違和感に四肢が痺れ身体が砕けそうになる。やっぱり、これが一番クる……と、かがみは思う。

ストレート。一時的な不明の状態へと落とし込んだところで、渾身の右ストレート!
ついさっきの様に、再び鉄拳――いや狂拳が、音を立て骨という面を破って頭の中へとめり込む。
目が眼窩の奥へと沈んでゆく感覚に、背筋が凍る。不死と解っていても目や指は怖い……と、かがみは思う。

またしても、かがみはラッドの狂拳によって宙を舞う――……

 ◆ ◆ ◆


ただ嬲られるだけのかがみに、それを見ていた奈緒は居た堪れなさを感じていた。
不運ではあっても自業自得であるし、何よりこれが殺し合いの舞台となればそういった道徳観に意味は無い。
なによりも、自分は一度彼女を八つ裂き以上の目に遭わせているのである……が。
それでも女の子が男から一方的に暴力を……それもとびきりの暴力を受けているというのは目に毒だった。

だが、続けて見ていく内に何か違和感を感じる様になってくる……
何かがおかしい。どこかがおかしい。その凄惨さに紛れて、何か見落としがあるように思えてくる。
その違和感の根源は何だろうか――?

(……そういえば、なんでアイツは斬られたり殴られるままなんだろう?)

いや、彼女は不死身という点を除けば一切普通の少女でしかない。
しかし、だとしたらなお不思議であった。何で斬られたり殴られたりする必要があるのか?
抵抗もできない。相手に対し倒すことはおろか反撃することさえままならないというのに。

(おかしい……どうして? どうして、あの時も……)

前回、かがみと相対した時、奈緒は完全に騙され、気圧され、屈服してしまった。
それは不死身という現象に驚いたせいもあるが、彼女には自分達の様に何らかの力があると思い込んでいたせいでもある。
が、結果としてそれはただのハッタリであった。やはり、彼女はただの女の子なのである。

(……意味が無い。なのに、なんでこんな事を繰り返す?)

先刻、彼女を発見した時の様子を見るに、またしても誰かに痛めつけられたらしい。
そして、目覚めてからもラッドに対し挑発的な態度を取って、自分を殴らせて……いる?
自棄になっている? 気が狂った? いや、そうでないことは謀られた自分が一番知っている。

(意味が無い……んではなく、意味があるとしたら……?)

バキリ――と、乾いた音を立てて暗い宙へと、かがみの口から折れた歯や血が吹き上がる。
何度も繰り返し見た光景。これは、この後地面に落ちると再び彼女の元へと――――!

「――あぁっ!」

驚きのあまり、思わず口から声が漏れる。
目の前で宙にばら撒かれた歯や血は、地面に――落ちず、放物線の孤を描ききることなく彼女の元へと、戻った。
さっきは地面に落ちた。だが、今は落ちなかった。つまり、それは――……

(再生する力が強まってる?)

そうだとするならば、彼女は、柊かがみはそのために――それは――?

 ◆ ◆ ◆


実際には、柊かがみの身体に起こっていることは不死の身体特有の『慣れ』というものなのだが、
端から見れば再生力が強まっているとしか見えないだろう。
だが、それがどちらだったにせよあまり大差はない。

唐突だが、不死者となった錬金術士の一人に、セラードという老人がいる。錬金術の頂点。全知を目指した男だ。
彼は、他の錬金術士が為し得なかった、いや考えもしなかったある一つの境地へと到達していた。
完全な痛みの克服――である。元々が老体であっただけに、彼は己の道を邁進するのに手段は選ばなかった。
他者だけでなく、己の不死の身体すらも実験の材料として研究と実験を繰り返し、
遂にはマシンガンで蜂の巣にされても全く動じない……そんな身体を手に入れたのである。
彼はこの体質とその狡猾な頭脳で、18人の錬金術士とその何倍もの不死者を『喰う』ことに成功している。

セラードが克服した『痛み』とは何か?
痛みとは――感情である。痛覚の反応を受け取った脳がそれをどう解釈するのか、ということである。
通常、痛覚はネガティブな情報として脳内で処理される。そして、それに伴い脳はストレス回避のために動き出す。
本人が痛覚を避けるために、脳は不安や恐怖という感情を生み出し痛覚を忌諱するよう働きかける。
それが『痛み』という感情だ。

ならば、それを……『痛み』をただの痛覚のままでおかせる為にはどうしたらよいのか?

例えば自分で自分の頬をつねってみるとする。そこに『痛み』はあるだろうか?
いや、無いか、もしくは著しく弱い『痛み』であるはずだ。他人からつねられたのとは格段に低いただの痛覚。
これは痛覚が完全なコントロール下に置かれていることが原因である。
忌諱すべき状況に至ってない故に、脳はその痛覚に対して恐怖や不安という処理を取らない。

同じ程度の痛覚であっても、それがコントロール下に置かれていれば平静を保ったままでいられるのだ。
そして、他からの痛覚も制御できれば……一度経験し、それを正確に測っていれば、それはもう『痛み』ではない。

そして現在、柊かがみもそれと等しい状態へと近づきつつある。
これをいつから彼女が意識していたのか。それは、確かには分からない。
少なくとも、最初にニコラスという男から斬りつけられていた時は考えてもいなかっただろう。
だが、その次の結城奈緒から切り刻まれていた時にはそう考えていたかもしれない。
そして、再びニコラスの前に立った時はどうだったろうか……
今、ラッドという殺人鬼に殴られているのは……

皮膚を切り裂かれる痛み――既知。
筋肉を断絶される痛み――既知。
四肢を切断される痛み――既知。
骨を折られる痛み――既知。
内出血を起こす痛み――既知。
肉を潰される痛み――既知。
内蔵を破壊される痛み――既知。

――既知――既知――既知――既知――既知――既知――既知――…………――既知。

人間は慣れる生き物だと言われる。
瞬間的な負荷には脆いが、絶え間ない負荷に対しては――至極、強いのである。


 ◆ ◆ ◆


端から見ていた奈緒がソレと気付くと同時に、ラッドの最後のストレートがかがみを吹っ飛ばした。

今までだったら派手に転がっていただろう。普通なら転がり終えても意識が戻ってくるか怪しい威力の拳だ。
……だが、彼女は堪えた。空中にいる間に回復を済ませ、アスファルトの上に着地して見せた。

「……どういうことだ?」

ラッドがそう呟く。
奈緒は、彼もかがみが狙っていることに気付いたのかと思った。――が、違った。
ラッドの目には不死身の少女は映っていない。彼が見ているのは渾身のストレートを放った己の拳だった。

「……なんだよ。こりゃあ、一体なんの冗談なんだよ?」

誰も見ず、一人ぶつぶつと呟きながらラッドは壁際により、そこに――鉄拳を叩きこんだ。
まるで火薬を破裂させたかの様な音と共に、打ちつけたところから真っ赤な華が広がり、コンクリートの壁に亀裂が走る。
尋常ではない、人間離れしたパフォーマンスではあったが、見ていた奈緒にはそれが何を意味するのか全く解らなかった。

「オイオイオイ……マジかよ。マジなのかよ……」

真っ赤な華は彼の血で、半ばまで埋まった様に見える腕が実はそうでなく、文字通りに破裂していたのだと奈緒は遅れて気付く。
ただの人間であっても身体を犠牲に、全くの手加減。無意識下でかかる様なセーブさえもしなければこんな威力が出せるのかと。
しかし、やはり意味は解らない。何故こんなことを、しかもただの壁に向かって――いや……


「なんで、俺が不死身になってんだよぉおおおおぉぉぉおおおおおお!!!」


真っ赤な華は萎み、ラッドの右腕がそこに還ってきていた。


 ◆ ◆ ◆


ラッドがそれに気付いたのは、ゆるみきったガキを殴っている最中のことだった。
普通なら、素手で相手の骨を砕く様なパンチを打っていれば、拳も痛めるものなのだ。時には骨が折れ血も流れる。
元々腕はどちらもボロボロだったので最初は気付かなかったが、途中で拳がこれ以上壊れないことに気付いた。

そして、試しに腕をぶっ壊してみた結果。自分自身が何時の間にかに不死者になっていたことを彼は知る。

ついさっきまでは、普通に傷を負いそして今もその傷は残ったままである。
という事は、こうなったのはつい最近のことだろう。ならば、それは――……

「……あの酒が? 俺を、不死身の………………」

ラッドはつい先刻に地面へと叩きつけた酒瓶の残骸を見る。
ただ地面に転がっていただけの、お世辞にも美味いとは言えないあの酒が……?
そんなわけがない。そんなご都合が、落ちてた酒が不死の酒だったなんて偶然があるわけがない。
そう否定しようにも、不死者となった事実は覆せない。
本当は、あの酒は関係無いかも知れないし確かめようもないが――……

……――ラッド・ルッソがもう不死者であるということに変わりはない。

 ◆ ◆ ◆


更に唐突ではあるが、ラッド・ルッソが現在の様な狂人になった経緯を説明しよう。

彼は幼少の頃より、『人を殺せる』人間だった。
ただの単純な好奇心。人を殺せるのか? それが、彼を人を殺せる人間に変えた。
何ら特別なことがあったわけではない。些か特殊な環境にはいたが、切欠は誰でも一度は思うような単純な事だった。

彼は、自分が人を殺せる人間であることを知ると同時に、それに気付かない大人達に強い怒りを覚えるようになった。
自分だけではない。事故、病気、その他なんでも、世の中にはありとあらゆる死の切欠が溢れている。
だが誰もそれに目を向けようとはしない。目の前の安息が急に途切れることなど考えてもいなかった。

死ぬということはとても恐ろしいことだ。だから、それに対しては真摯に立ち向かわなくてはならない。
なのに世の中の人間の大半はそれを誤魔化して、見てみぬ振りをしている――それが許せなかった。

ある種の義憤であったとも言える。強い憤りが彼を突き動かす原動力だったのだ。

彼は死を軽んじる者。死に立ち向かわない者。死を誤魔化し見ない振りをする者に自分の怒りをぶつけた。
無理矢理に死を突きつけ、死を実感さえ、死を認めさせ――まぁ、ほとんどはそのまま殺してしまった。

逆に死に向かい合う者を賞賛した。それがどういう形であれ、死を知るものには彼なりの敬意を払った。
そして彼は、死に立ち向かいながらもなお死を望む。そんな儚げで真摯な一人の女性を婚約者とする。

一言で言えば、彼とは人間の限界をよく知る者なのだ。
死という絶対に外せない枷があるからこそ、彼はその中で輝き、その限界へと、天元へと上り詰めてゆこうとする。


そんな彼が、己の中から『死』を奪われたら――?

 ◆ ◆ ◆


おっさん――その禁句を、奈緒は思わず零しそうになった。
そう思ってしまうぐらい、振り返ったラッドの顔から生気が失われていたのだ。

「ありえねぇ……ありえねぇよ……おいおい、どーすんだよ、コレは。
 俺が死なない人間になってどうするんだよ。
 これから俺は死ぬことができる人間に対しどう振舞えばいんだよ。
 死なないっつー、人間でもない俺が、死ぬことなんて考えてないユルい人間にどう接すればいいんだよ?」

ラッドの心に宿った、緑色の螺旋が静かにゆっくりと消えてゆく。
彼が立ち向かう者であった故に、その行き先を奪われた心は萎み輝いていたものが色褪せてゆく。

「てめーが死なないのに、お前は死ぬことを考えてないって怒るのは筋違いじゃねぇのか?
 つか、俺が最も嫌悪すべき死ぬことなんか考えてないヤツになっちまったんなら、
 まず俺は俺を殺さなきゃならねーんじゃないのか?
 でもでも、俺死なねーじゃん。自分で自分を殺せねーじゃんかよ。
 どこまで、どこまで、どこまで、どこまでいっても自分を殺し続けるのか?
 いや、これもねーよ。俺には俺を殺す資格が……ねぇ」

輝く意志に支えられていた身体が本来の重さを取り戻す。
骨は軋み身体を揺らし、垂れた血が身体を地へと引っ張る。

「……だったらよ。割り切って死神でもなってみるか?
 自分は絶対死なねーんだけど、人間に死を齎す神様によ――って、冗談じゃねぇ!
 俺は……俺は……俺は……俺は――……」


――だったら、神様になればいい。

 ◆ ◆ ◆


「――だったら、神様でもなんでも、なってやればいいじゃない」

そう言い放ったのは柊かがみだった。
ラッド・ルッソの前に仁王立ちし、強い眼差しで彼を睨み付ける。

「ぐだぐだ、ぐだぐだ……言ってても、こうなっちゃったもんはもう仕方がないのよ!」

瞳の中でグラリと……何かが回り始める。

「わたしは――! わたしは、つかさとこなたが死んだことを絶対に認めない!
 こんな殺し合いも何もかも、絶対に――認めない!」

あの時。妹を下に眠らせる巨大な墓標――水に映った螺旋の観覧車が、再びその瞳の中にあった。

「でも……立ち止まりもしない。もう、戻ろうとは考えない。そんな無意味なことはもう……しない。
 振り返っても意味はないから……だから、前に進んで、進んで、進んで、進むだけよ。
 どんだけ痛くたって、どんだけ辛くたって――道は前にしかないんだから!」

螺旋は緑の光を増し――あの観覧車の様に、車輪の様に、力そのものの様に、――回る。

「こんなわたしだけど……わたしは辿り着いてみせるわ。わたしの願いが叶うところまで。
 なれるもんなら神様にだってなってやる。神様になってぜんぶ! ぜんぶ! ぜんぶ――取り戻す!
 螺旋王を喰って! わたしは――……」


……――新しい世界の神様になってやる!


「よくぞ言うたな。不死身の柊かがみよ! ワシはその言葉を待っておった!」

宣言を成し遂げ、螺旋力を覚醒させたかがみの後方。電柱の頂に衝撃のアルベルトが立っていた。
かがみは振り返らない。まるで始めからそこに彼が居る事が分かっていたと言うかの様に。

「ならば! まずはその男を手始めに喰らってみせよ!」

応!――と、かがみが……いや、『不死身の柊かがみ』がその命に答えた。

 ◆ ◆ ◆


外野の位置で、これまでの一部始終を見ていた奈緒は、未だ自分がここに残っていることを後悔していた。
柊かがみがいるのなら、その相棒である衝撃のアルベルトも近くにいるはずだと、思いつかなかった自分を叱責する。
マテリアライズしたとはいえ、ギルガメッシュを退けた男と互角以上に戦えるとは思えない。
かといって、今から逃げ出せば助かるというとそれも怪しい……
ただ今は機を待ち、事の推移を見守ろうと――ラッド・ルッソと柊かがみの戦いの終着を見届けようと、そう判断した。
勿論。彼女はそれを後に大きく後悔することになる。あの時、無理にでも逃げ出しておけば、と……


真っ黒な学ラン姿のかがみが長い髪をたなびかせ、雄叫びと共にラッドへと突進する。
半ば呆けた状態にあったラッドではあったが、所詮は一女子高生にしかすぎない彼女の突進に気圧される訳もなく、
重く垂れ下がっていた右腕を持ち上げ、それを強く握って迎撃の態勢を取った。

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁあぁあああああああああ!」
「――っクソがあああああああああああああああああああああああああああああ!」

バンッ!――という激しい破裂音と共に赤い血がフラッシュの様に広がり、かがみの顔の右半分が夜空に散った。
だが、それでも彼女の勢いは止まらない。
素人である彼女にできたのは、辛うじて直撃を避けることぐらいだったが、もうそれだけで充分だった。
右ストレートを振り切ったラッドにしがみつき――……

ドンッ!――と、二度目の爆発音。折れたままの左腕からの渾身のボディアッパーが、かがみの身体そのものを浮かせる。


奈緒はその次の瞬間にありえないものを見て、我が目を疑う。
アッパーブロウで浮かされ、空中で『へ』の形になっているかがみと一緒にラッドの身体が持ち上がったからだ。
世の中には作用反作用というものがあり、どんな力で打とうとも、打った者がそれに引きずり上げられることなんてありえない。
しかし、実際に目の前で……と、次の瞬間に彼女はそれに気付いた。

柊かがみが――彼女の右手が、ラッド・ルッソを『吸い上げている』んだと。

打ち上げられた勢いのままにかがみは放物線を描き、それに引き摺られてラッドも宙を追う。
空中でクシャクシャになりながら、ラッドの――ラッド自身のみが血染めの服だけを残し、かがみの手に吸われてゆく。
奈緒がスローモーションで見ている中、かがみはそのままアスファルトに落ち、続けて真っ赤な服がひらひらと振ってきて、
最後に銀色の首輪が地面でキーンという音を立て――その勝負は決着した。



【柊かがみ@らき☆すた  螺旋力覚醒】

【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!  死亡】

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236:PRINCESS WALTZ of 『Valkyrja』 (後編) 結城奈緒 ディナータイムの時間だよ(食後)
236:PRINCESS WALTZ of 『Valkyrja』 (後編) 柊かがみ ディナータイムの時間だよ(食後)
221:病ん坊麻婆転機予報(後編) 衝撃のアルベルト ディナータイムの時間だよ(食後)

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