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  • 愛に時間をⅡ

愛に時間をⅡ

最終更新:2023年07月07日 03:52

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だれでも歓迎! 編集

愛に時間をⅡ ◆LXe12sNRSs




  我がタイガー道場では、体操服とブルマとローラースケートこそが正装であ~る!

  ローラースケートはお喋りができればなお良し! べるか式を教えてくれればさらに良し!

  持つべき友は、熱いハートを持った熱血デバイスと心せよ!


  ■語り――タイガー道場のロリブルマ



 ◇ ◇ ◇


 具足。
 その個体を表す上で、なんとも単純明快な記号を与えられたマッハキャリバーは、傍観者としてこの闘争を見届ける。
 闘争……いや、こんなものは路上の喧嘩と大差ないだろう。
 真っ向から向かってくるカミナは正にチンピラ、それに付き合うギルガメッシュもチンピラ同然と言えた。

「こっ、のっ……人のこと見下してんじゃねえ蹴りぃいいい!」
「ふん。馬鹿の一つ覚えだな」

 瓦礫の町で出会った二人は、顔を合わせて早々にいがみ合い、極自然な流れで火花を散らすに至った。
 喧嘩っ早いのはどちらも同じ、ギルガメッシュにはなにか考えがあるようだが、マッハキャリバーとしてはこのような戦いに意義があるとは思いがたい。
 対するカミナも、なんらかの目的意識を持ってこの辺りを徘徊していたに違いないはずだ。
 残り十二名、残り十二時間の終盤で、無駄にしていい機会など存在しないというのに。

(Teacher……あなた方はこの傲慢なKingを抜きにして、この先を歩むつもりなのですか?)

 マッハキャリバーの主観では、ねねねはギルガメッシュの力を必要としているように思えた。
 協定を結ぶにしては扱いに困る傲岸不遜な輩だが、彼の保有する戦力、知力は所持品含め有益だ。
 彼が手の平を返し、ねねねたちと親愛の握手を交わしてくれるのならば願ってもない……が、それは所詮、願いだ。

 ギルガメッシュは弱者など歯牙にもかけず、他者を対等に置くこともしない。
 あの、忠義の限り尽くし逝った結城奈緒ですら、彼は対等などおこがましいと断言している。
 仲間という言葉の意味からして、ギルガメッシュと他者では捉え方に開きがあるのだ。
 彼の助力を願うなど、絶望的とも言える。
 それでも、なくてはならない力であることには間違いない。

 ねねねの才力がそのあたりをどうにかするものと思っていたが、どうやらここにきてアクシデントが生じてしまったらしい。
 ジンはギルガメッシュの要求どおり王の財宝を返し、猶予を欲した。
 与えられた時間で彼らがなにを成すのか、興味はあったが具足を務める今のマッハキャリバーに、関与のチャンスはない。

「気にいらねぇ……テメェの目、見てるだけでむかむかしてくんだよ!」
「はっは。吠えるな雑種。駄犬と称すに相応しい吠えっぷりだ」

 ギルガメッシュの脚部から、マッハキャリバーは未来を案じ続けた。
 残り十時間で、いったい誰が光明を切り開くというのか。
 いざ臨界点を前にしたとき……この英雄王はいったいどんな行動に出るのか。
 考えても考えても不安しか湧かず、マッハキャリバーは機械の身でありながら心労に苛まれた。

「……こちとら、テメェなんぞに構ってやれる暇はねぇんだよ!」

 人間の肉体を持つならば溜め息の一つでもつきたいところ――ふと、カミナの動きが変わりつつあることに気づいた。
 今までのがむしゃらな動きから一変し、泰然とした流水のように構えを得る。
 様になっているなどとは言えなかったが、その体位からは力が漲るようにも見えた。

(手を抜いていた……というわけではない。Kingに遊ばれる内に、感覚が冴えてきたということだろうか?)

 カミナ――明智健悟たちと行動を共にしていた時点で把握済みの男の目には、野心のようなものが垣間見えた。
 手放すことのできない野望を目指し、ただひたすらに奔走を続け、しかしいつまでも馬鹿ではいられない。
 静かに湛えた水のごとき心……とでも形容すべき風格が、カミナの全身から漂っていた。

「ほう、纏う空気を一変させるか。さすがにここまで生き永らえただけあって、無為の周遊を続けていたわけではないようだ」
『King! いつまでこのような茶番を続けるのですか!? 意地を張らず、ここは皆と協力して……』

 好機と捉え、マッハキャリバーはギルガメッシュへの進言を試みる。
 だが、

「我に意見するのは何度目だ、具足よ。それに意地を張るというのも、なかなか愉快な冗談だな。
 我は機会を与えてやっているのだ。曲がりなりにも〝王〟の名を揃える者たちにな。
 あそこまで豪語してみせたのだ。我は遥か高みから、奴らの業績を待つのみよ」

 ギルガメッシュからの返答に変わりはなく、しかしマッハキャリバーは折れない。

『異なる王が協力し合うことで、拓ける道もある――道を違えた結果、訪れた破滅を受け入れるというのですか、あなたは!』
「……破滅か。螺旋王の言が真実というのなら、あるいはそれもやむなしか。綴り手たちにも言ったがな、具足よ」

 ギルガメッシュは声を潜め、天を仰ぎながら告げる。

「――王は決断を誤らぬ。そして全ての結果を平等に受け入れる。王足り得ぬ身でどこまで足掻けるか、我にとくと見せてみよ」
『……ッ!』

 先刻ねねねたちに宛てた言葉を、ギルガメッシュは一字一句違えることなくマッハキャリバーに向けた。
 このまま調和を図らずとも、どうにかしてみせるという絶対の自信があるのか。
 それとも、自身の死とも言える破滅を受け入れる覚悟が既にあるというのか。
 スバル・ナカジマを軸として、一種の信頼関係しか見てこなかったAIには……ギルガメッシュの心理が読み切れない。

「さあ雑種よ、我に貴様の意地を見せてみろ。〝衝撃〟にも劣る武芸の才が、この我を満足させられるとは思えんがな」
「ほざいてんじゃ……ねぇええええええ!!」

 咆哮と同時、カミナがギルガメッシュに殴りかかろうとして――地鳴りが木霊した。

「むっ……?」

 ギルガメッシュの意識が、わずか後方に向く。
 カミナも同様の方向に視線を転じ、地鳴りの正体を掴み取る。

「んなっ……あの野郎、まだ……!」

 崩壊著しい市街の先、遠目からでも視認容易い位置を、レッドカラーの巨大兵器が歩んでいた。
 二足歩行の巨体は、ねねねの所持していた支給品リストにもなかった代物だ。
 フォーグラーのように、どこかに隠されていた兵器か……だとすればその操縦者は何者か、とマッハキャリバーは思案をめぐらせる。

「フハハハハハ! この期に及んでまだあのようなものを借り出す輩がいるとは……笑い話にしても大概だな」
『King、あの機動兵器に搭乗しているのは、もしや……』
「答えなど一つであろう。生き恥を晒す愚者二人……よほど破滅が恋しいと思える」
『ですが、容認できる戦力ではありません! 菫川女史たちが成果を得る前に、障害と成りうることも――』
「再三申したぞ、具足。それまでのことだ、とな。愚者の対応など、壊す者たちに任せておけばよい」

 ギルガメッシュは背後の機動兵器など歯牙にもかけず、改めてカミナの前に向き直った。

「さて、興醒めにはまだ程遠い。余興を続けようではないか、雑種」

 道を阻まれ、カミナは苦い顔を浮かべる。
 マッハキャリバーには、ギルガメッシュの人柄がまるで理解できない。
 傲慢を通り越して、彼の行動は狂気の沙汰とも思えてならなかった。


 ◇ ◇ ◇



  所詮この世は等価交換。なにかを得るには、それ相応の代価を支払わなければならない。

  けど、この世ってやつは不条理だ。代価を払ったって、なにも得られない場合だってある。

  そういうときどうするかは人それぞれだけど……あいつみたいに、とりあえずぶっ壊す!ってのもアリかな。


  ■語り――エドワード・エルリック



 ◇ ◇ ◇


 赤い巨体が、迫る。
 頭部を持たぬ人型兵器は、胴体部に人の顔を模し、サングラスのような兵装まで備えている。
 一軒屋ほどの背を持ち、備えた手足は城砦の支柱に匹敵するほど太く、たくましかった。
 その名、通称をガンメン、愛称をグレンと呼ぶ。

 比較対象となるビルが軒並み倒壊し、荒涼とした戦場を闊歩するには、嫌がおうにも目を引く巨体だ。
 発見は容易く、またグレンの搭乗者自身も、標的を探して彷徨い歩いていたことだろう。
 なればこそ、隠れてやりすごすことも容易だが……迎え撃つのはさらに容易である。

 まずは障害の駆除に徹することを決めた者たちが、たった二人の外敵に相対す。
 八人の戦力の内、尖兵として躍り出たのはわずかに一人……それも無手で。
 否、彼に武器など不要だった。無手で多くの憲兵を抹殺し、異能を持って異能を制してきた彼には――

『……ほう。こんなところで立ち往生とは、いったいどういうつもりだ?』

 眼前まで迫った赤い機体の中から、拡声器のようなものを通して搭乗者の声が響く。
 生身でも一度相対したことのある敵、名はヴィラルといっただろうか。
 あの頃よりも強大な力を得た獣人は、どのような戦法で打ってくるか。
 ……考えても仕方がない。己はただ、この右腕に殉ずるのみ。
 そう――グレンの眼前に立つ傷の男は、自らに言い聞かせる。

「言葉など不要」

 上着を脱ぎ捨て、風に流す。
 肌着一枚の軽装となって、右腕を露出する。
 仰々しい刺青の彫られたそれは、未完成の賢者の石とも言われている。

 ただ、行うべきは『創造』ではない。
 理解、分解、再構築を経て成す錬金術を、彼は忌む。
 この場においては、錬金術師でもなく、復讐者でもなく、ただの破壊者として。

「我らに仇なす俗物二人――その鎧ごと、この右腕が破壊するッ!」

 宣言を成し、傷の男(スカー)が右拳を固めた。
 瞬間、その身が飛ぶように、グレンへと疾走を開始する。

『身の程知らずが……あの頃とは違うのだ、あの頃とはなァアアア!!』

 ヴィラルが操縦席から蛮声を上げ、小さすぎる標的へと攻撃の意を示した。
 巨体の誇る質量を頼りとしての、豪腕。
 殺傷兵器とするにも十分すぎる圧力が、スカーの頭上から振りかかる。

(歩数にして二、三、いや四……回避は可能だ)

 人の身と比すれば巨大、しかし決して避けきれない攻撃ではない。
 スカーは足を加速させ、さらに前へと踏み込む――
 巨腕が振り落とされるよりも速く、相手の懐へと踏み込む――
 絶対にして唯一の武器を敵にぶつけんと、さらに力強く踏み込む――

「なっ――チィィィ!!」

 小さすぎる的は、逆に当てづらい。動く的は、さらに当てづらい。
 巨体というアドバンテージを逆手に取り、スカーは機動力を持ってグレンを制す。

 一跳び、二跳び、三跳び――破壊された街路を幾度となく跳躍し、スカーの後方でグレンの巨腕が落ちた。
 全力疾走によって近接戦に持ち込む。危険を孕んだ戦法は単純だからこそ効果があり、なによりスカーの性に合っている。

 ヴィラルが次なる攻めに転じる間際、スカーの右腕がグレンの左脚に触れた。
 一刹那、雷光にも似た輝きがスカーの右掌から迸る。
 錬成反応を意味するその光は、しかしスカーの目論見とは食い違う色を見せた。
 触れた右掌が、弾かれる。

(やはり……か。初手は失敗だな)

 グレンの足元からわずかに飛び退き、スカーが敵を分析する。
 スカーの破壊の右腕は、触れた物質を内部から滅ぼす、必殺の一撃だ。
 錬金術における三大要素――『理解』『分解』『再構築』を『分解』の過程で止め、結果としての破壊を残す。
 人体であろうと機械であろうと、無機物であろうと有機物であろうと、彼の右腕に抗えはしない。

 しかし、『分解』に至るには『理解』を経なければならない。
 対象とする物質を破壊するためには、そのものの根源を見極めなければならないのだ。
 人体を壊そうとしては機械は壊せず、機械を壊そうとしては人体は壊せない。
 グレンを破壊するに不足しているもの……それはスカーの『理解力』だ。

 彼の住む世界とは別の宇宙で生まれた兵器。
 石や鉄ではなく、銅や鋼でもない、異種たる素材。
 ロージェノムが反螺旋族に対抗するため造り出したガンメンは、スカーの知る物質ではできていない。

(鎧や大砲を壊すのとはわけが違うということか……だが!)

 敵兵器の直接破壊は不可能。だからといって、攻め手を封殺されたとは判断せず、退きもしない。
 一瞬で分析を済ませたスカーの頭上、グレンの左脚が高々と上げられる。
 振り下ろし、踏み潰すつもりか――スカーは回避に努め、疾走を再開した。

『どうしたァ!? このグレンを破壊するんじゃなかったのか、傷の男ォオオオ!!』

 士気を高めんとする咆哮に受け答えはせず、スカーは回避に徹し続ける。
 グレンの巨体は動くだけでも矛となり、距離を取るにも一苦労だ。
 とはいえ、距離を取ったところで新たな攻め手が生まれるわけでもない。
 スカーが得意とするのはあくまでも近接戦――右腕による直接破壊を封じられたとて、それは変わらない。

 何度目かになるグレンのフットスタンプが、スカーの身を掠め大地に叩きつけられる。
 叩きつけた足は再び持ち上げられ、再度スカーを狙うだろう。
 スカーはその間隙を縫い、右腕を崩壊著しい大地へと向けた。
 錬成の光が、音をたてて迸る。

『――ッ!?』

 瞬間、グレンの巨体がグラついた。
 振り上げた右脚、巨体を支えらるのは左脚一本。その一瞬を狙い、スカーは周囲一帯の地面を破壊した。
 炭化水素、鉄筋、煉瓦、砂、水……成分的にもアメストリスと大差もない路面は、十分破壊の対象として理解が追いついている。
 加えて、幾多の闘争の余波を受けたせいか非常に脆くもなっている。
 そんな状況下で足場を崩されれば、巨体の制御も覚束なくなるのが自明の理。

『う……おぉおおおおおお!?』

 ヴィラルの絶叫と共に、グレンの巨体が横に倒れ込む。
 スカーは逸早く、足場の崩落とグレンの転倒から逃れ、距離を取った。
 耳を劈くほどの轟音が鳴り響き、グレンは完全にひっくり返った。


 ――そのとき、グレンの背部に小さな光が宿る。


『……だから、どうだと言うのだァアアアアア!!』

 転倒して隙を生むグレンだったが、転倒させただけでは大したダメージには至らず、スカーでは隙を活かすこともできない。
 せいぜいが距離を取る時間を得られたくらいで、戦況はまったくと言っていいほど好転していなかった。

 グレンが矢庭に立ち上がり、スカーは改めて、自身の手には余る巨躯を正面に据えた。
 怨敵と定めた国家錬金術師、己を害意と見なし襲ってきたホムンクルス、いずれとも異なる脅威だ。
 されど屈する気は毛頭なく、むき出しにした右腕は矛としてグレンに翳し、不意に、

『アー、アー、マイクの点検中、マイクの点検中』

 戦場の一端に、機械的な音声が轟いた。
 グレンを通したヴィラルのものではない、飄々とした少年の声が、どこからともなく発せられている。
 左方を見やると、そこには倒壊を免れた小高いビルの群集があった。
 その内の一軒、グレンの高さとほぼ同位置の屋上から、拡声器を手に叫ぶ少年の姿がある。

(己れの役目はひとまず終了ということか。ならば、この場は同志に任せ退こう)

 戦場吹き荒ぶ風にオンボロコートを揺らすその少年――ジンを旗印と捉え、スカーはグレンの視界から消えた。
 グレンに搭乗するヴィラル自身、既にスカーを見失い、注意は遥か右方のジンへと向けられていた。


 ◇ ◇ ◇



  あの子はとても勇敢、それ以上にやさしい子。

  幼い頃から私の傍にいてくれて、辛いときは励ましもしてくれて。

  人懐っこくもあるから、気に入った人の言葉なら、きっと聞き入れてくれると思います。


  ■語り――キャロ・ル・ルシエ



 ◇ ◇ ◇


「ジンが動いたみてぇだな」

 グレン駆るヴィラルと、それに対するスカー、横槍を入れるジンという戦況の端で、傍観に努める者たちがいた。
 健在なビルの屋上から、被害の及ばぬようにと十分な距離を保ち、双眼鏡でもって戦局を見るのは、スパイク・スピーゲルだ。

「本当に上手くいくのかしら……やっぱり、あたしがカグツチ出したほうがいいんじゃ」
「そりゃ最後の手段だ。例のブツを奴さんが持ってたとしても、舞衣のカグツチじゃまるっと燃やしかねねぇからな」
「それに、敵は一人ではない。アレを操縦しているのはヴィラル一人で、シャマルという女が別行動を取っているとも限らん」
「私たちは、不測の事態に対応するための奥の手……なんですよね」

 スパイクの他にも、鴇羽舞衣、ドモン・カッシュ、小早川ゆたかの三名がここに集っている。
 そしてもう一頭――いや一匹、無垢なる瞳で戦況を見つめる者がいた。

 その竜の名を、フリードリヒ――元の世界では『白銀の飛竜』とも称された、若齢竜だ。

 キャロ・ル・ルシエの使役竜として、誕生から今日に至るまでを人と歩んできたフリードは、知能も高い。
 一時はキャロを殺された憎しみに捉われながらも、ゆたかに付き従いながら様々な戦局を見極めてきた。
 この戦いがおそらくは最後の争いになるやもしれない、ということを自覚し、一員としてこの場に会す。
 魔法の恩恵を得られないこの身は、本来の姿すら晒せず。ほのかな歯がゆさすら覚えて。

「キュクルー」
「……君も心配なんだね。大丈夫。きっと、上手くいくから」

 ゆたかの腕の中に抱かれ、フリードは彼女らと視線を同じくする。
 我が身を包む腕は微かに震えていて、しかし包容力は確かなもの。
 震えながらも、不安を押し殺してこの場に立っているのだと、理解する。
 フリードは勇ましい鳴き声で仮初の主を鼓舞し、励まそうと努めた。

 ゆたかはそんなフリードを見て、儚げな微笑みを見せてくれた。
 その傍ら、観戦を続けるスパイクが言う。

「……で、キングオブハートはこっちの側でいいのか? おまえ、ああいうのとやり合うのが専門なんだろ」
「ガンダムファイターの領分はガンダムあってこそだ。荒くれ者のカウボーイこそ、あっちの方が性に合うんじゃないか?」
「言ったろ。一回殺されそうになった相手に背中預けるほど、俺は人がよくない」
「……その左手か」

 フリードを抱くゆたかの身が、また軽く震える。
 ドモンが指摘したスパイクの左手、彼が双眼鏡を片手で持たなければならない理由は、誰もが理解していた。
 片手の喪失。命にも関わる重傷を、スパイクはほんの応急処置で留め、あとは放ったままにしている。
 手を失うという喪失感がどれほどのものか、苛まれる激痛がいかほどのものか、ゆたかは想像し身震いしているようだった。

「……否定はしねぇさ。これじゃジークンドーも形無しだし、銃撃つにもいろいろ不便だ。
 家に帰ったら腕のいい技師を探さなきゃな。でなけりゃ、賞金稼ぎも廃業だ」

 さほど深刻でもない風にスパイクは言うが、彼が前線を辞退したのには、間違いなく手の怪我が一因となっているはずだ。
 事態はまともな治療を許さないほどに切迫している。フリードも、輪の中に組み込まれた一匹として自覚する。

「ま、いざとなりゃ頼らせてもらうさ。とりあえず、俺たちゃバックアップだ。いつでも動けるようにしとけ」

 そう言って、スパイクは右手に持った双眼鏡を目元にあてがう。
 ドモンもそれ以上なにも言わず、ゆたかの震えも止まった。
 舞衣と並んで屋上の際に立ち、遥か先の激闘に意識を注ぐ……


 ◇ ◇ ◇



  はぁ? 俺に男について語れって? イヤだよ気色悪い。



  旅先で出会った麗しき淑女たちとの思い出なら、夜通し語りつくしてやってもいいぜ。

  ま、俺が語らなくたってアイツは行動で示すさ。ジンってのはそういう奴なの。


  ■語り――キール



 ◇ ◇ ◇


 漆黒のサングラスが睨むビルの屋上。
 拡声器を構えたジンは、ストライキを訴える労働者のように、高らかな宣告を開始する。

『パーティーもそろそろ終焉だ! 係員が料理を片付け始めてるってのに、いつまでも駄々こねてちゃマナー違反だぜ!
 主催の席は未だに盗めてないが、目先のものを片っ端から盗んでいくってのも王ドロボウとしてはアリかな?
 とりあえずは、マナーの悪い客を締め出すための専用口から――盗ませていただきます! HO! HO! HO!』

 若輩の身に百戦錬磨の風格を漂わせ――ジンは〝王ドロボウ〟として屹立する。
 拡声器から流される挑発は相対したこともないような怪物に浴びせ、しかし微塵も怖気づかない。
 揺るがぬ泰山が如く、ジンは自由奔放に己の役割を果たす。

『吠えたなニンゲンが……! ならば、まずは貴様から殺してやるッ!!』

 ヴィラルの狂気が、ジンに向けられる。
 グレンの歩の向きがジンの立つビルへと転じ、走り出した。
 すかさず、ジンは拡声器をデイパックに収め、代わりに迎え撃つための武器を取り出す。

「装備の分配は計画的に……ってね」

 デイパックの狭い口から飛び出すようにして出てきたのは、一丁のライフルだった。
 モデルガンとも思えるような異型はスペシャル・オーダーの証であり、唯一ガンメンに対抗し得る武器でもある。

「相棒が健在なら、もうちょっと派手にいきたいんだがね。今回は〝ヨーコ〟や〝ラッド〟の置き土産に縋るとするよ」

 得意技のキールロワイアルを封じられた王ドロボウは、この一時のみスナイパーへと転職を果たす。
 リットナーの名狙撃手のように、武器を選ばぬ殺人狂のように、引き金の絞り手となる。

 その武器、ガンメン殺しの特注品――超電導ライフルでもって。

「まずは一発――BANG!」

 ジンの手元から轟音が木霊し、放たれた弾丸がグレンに命中、進行を止める。


 ――そのとき、グレンの左脚部に小さな光が宿る。


「続いてもう一発――BANG!!」

 間断なく放たれた二射目が、グレンの装甲を穿ち、軽く仰け反らせる。


 ――そのとき、グレンの右脚部に小さな光が宿る。


「ケチらずもう一発いこうか――BANG!!!」

 勢いに乗せた三射目、正確無比な狙撃はグレンの眉間を撃ち、さらなる隙を作るが、

『こっ……の! 調子に乗るなぁあああ!!』

 ヴィラルもされるがままではおらず、グレンのバランスを強引に修正、強く大地を踏み締める。
 続けて四射目を許さぬようにと、腕部のコントロールを胴体のサングラスへと持っていった。

「おっと、こりゃやばい」

 グレンの挙措からなにがくるかを察したジンは、超電導ライフルを掲げ退散の用意をする。
 間に合うものか――と言わんばかりにグレンは激しく動き、胸部に備えられたサングラス型のブーメランを取り去った。

『これで真っ二つだぁあああ!!』

 間髪入れず、それをジンのいるビルへと放る。
 その武器、グレンブーメランは弧を描いて宙を滑り、通過地点のビルを縦に両断した。
 威力は衰えることなく、空中で軌道を変更し、ブーメランはグレンの手元へと帰還する。
 ブーメランがサングラスとして胸部に戻る頃、両断されたビルは音をたてて崩れていった。
 ジンもその倒壊に巻き込まれたかと思いきや、

「ヒュー! センスは悪いが大した切れ味だ。買い手はつきそうにないけどね!」
『なにィ――ッ!?』

 両断されたビルの付近、健在の様相を見せるジンが、空に浮いていた。
 もちろん、翼や浮遊能力を得たわけではない。
 介した道具は、カプセル型の自立行動型ロボット。
 それがさながらバルーンの役目を果たし、ジンはケーブル越しに中空を漂っているのだった。

 宙を舞うジンを見て、ヴィラルは驚きのあまり操縦を中断する。
 しかしより強い驚きを得ているのは同乗者のほうのようで、その証として女声が響き渡ってきた。

『あれは……ガジェットドローン!? あんなものまで支給されていたなんて……』
「おや、さっきとは似ても似つかぬ麗しいお声。相方のシャマルってお嬢さんも、一緒に操縦席にいるのかな?」
『余裕を……! このまま握り潰してやるッ!』

 未だのんきに中空を漂うジン目掛け、グレンの手が掌握を為さんと伸びる。
 ジンは即座にガジェットドローンのケーブルをパージし、ひらりと大地に降り立った。
 直後、ガジェットドローンがグレンの掌に衝突し、墜落する。
 即席の飛行道具としていた精密機械も、ガンメンの衝撃には耐えられなかったか。

 もったいねー、とジンは小声で零し、着地した地点から移動を開始する。
 肩から提げた超電導ライフルの残弾は二発。しかしデイパックの中には、まだありったけの予備弾丸が入っていた。
 使う機会に恵まれず、今の今まで死蔵品となっていたガッシュの支給品……それが、予備弾丸のセットだったのだ。
 今さら9ミリパラベラム弾など得ても戦局に大きな変化はないが、ご丁寧なことに超電導ライフル用の特注品まで入っていたから僥倖だ。
 必殺には至らないが、この対ガンメン用兵器なら時間稼ぎには十分である。

(おや……?)

 と、ジンは己の役割を再確認したところで、気づく。
 巨体揺るがすグレンの両脚部と、背中。それらの部位が淡い光に包まれている。
 箇所にして三つ、それらの意味するところを把握して、ジンはほくそ笑んだ。

「……手際がいいことで。んじゃ、俺もぼちぼち詰めに入るとするかな」

 言って、ジンは疾走の方角を変更する。
 進路は北、ヴィラルが会場端のループを利用してやって来たであろうルートを逆走し、グレンの股を潜る。
 その先はソルテッカマン等の被害から免れた地区でもあり、南のフォーグラー付近に比べれば崩壊も極一部だった。

 ヴィラルたちも小さな標的に躍起になっているのか、フォーグラーとは逆方向の北へとちゃんと追撃してくる。
 ジンは、鬼さんこちら、手の鳴るほうへ、と口ずさみながら、市街地に潜り込んでいった。

『ふん……! 建物の群集ならば、オレたちの行く手が阻めるとでも思ったか!?』

 ジンの算段を読み違えたヴィラルが、見当違いな雑言を吐く。
 返す言葉はなく、今はただ遁走に徹し、超電導ライフルも構えはしない。
 打ち合わせではもう一撃――ジンはその瞬間を駆けながら待った。

 そして、

『いつまでも逃げ切れると思うな小僧! ほうら、そろそろ疲れが出てきて――』

 グレンの中からヴィラルの余裕じみた声が漏れ――


 ――そのとき、グレンの左腕部に小さな光が宿る――


 ――操縦者の二人は滑稽にも、積み重ねられた予兆に気づけないでいる。

 大きすぎるのも考え物だな、とジンは嘆息し、足を止めた。
 わざとらしく膝に手をつき、肩で息をしているような〝フリ〟を見せる。
 それに気を良くしたお調子者は、すぐには襲わず一緒になって足を止める――そういう狙いだが、これは目論見どおり。

『そ~れ見ろ。ニンゲンの体力などでガンメンを振り払えるものか。観念するんだなぁ』

 勝利を確信しきった声。いや、あるいは相方のほうが警戒に努めているのか。
 どちらにせよ、ジンの仕事はこれでほぼ完了した。
 あとは次のフェイズに移行するために、〝きっかけ〟を用意してやるくらいだ。

「そうだね……手法としては、〝なぞなぞ〟なんていいかもしれない」

 ジンは一人そう呟いて、グレンに向き直る。

「まいった。降参だ。ところでこのまま死ぬのは悔やまれるんだけど、せめて末期の言葉くらいほざかせてもらってもいいかな?」
『……なに?』

 ジンの突飛な発言に、ヴィラルが怪訝な声を落とした。

「あの世へ旅立つ餞別っていうわけじゃないけど、ちょいとした謎かけを一つ。
〝それは誰をも輝かせることができる奇跡の照明持ち。だけど自分の体はライトアップできない。
 しかし照明担当は満足で、周りにはそれを愚かと罵る人もいる。飾り気がないって、自分が見えてないってことだから〟
 さ~て、これなんだ? ここまで生き残ってきた聡明な戦士様なら、そろそろ気づくと思うんだけど?」

 ジンの思わせぶりな態度に、ヴィラルは黙して苛立つ。
 熟考とも思える時間が経過して、やがてグレンの内部から笑い声が木霊した。

『フ……フハハハハハ! なにを言い出すかと思えば……そんなものは簡単だ、〝灯台〟だろう!?』
「当たり。けど、ヴィラルだっけ? お仲間が博識で優しいからって、こっそり答えを聞くのはルール違反だぜ?」
『なっ……なんだと!?』
「ルールを犯したペナルティは、もう課せられている。そのでかい図体をよく見てみな!」

 ジンに煽られ、ヴィラルはコクピットからグレンの全形をモニターで確認する。
 その姿、未だ健在だ。随所の装甲はへこみこそすれど、破壊に至ってはいない。
 所詮は死に際の戯言か――とヴィラルが叫ぼうとしたところで、シャマルが声を荒げる。

『こ、これは……!?』
「おっと、やっぱり相方のほうが聡明なようだ。女性は男性を高尚にするって言うしね」
『な……なんだ、グレンに取り付いているこの無数の〝光〟は!?』

 搭乗者二人がようやく気づくが、もう既に手遅れだ。
 背中と左腕、両足の計四箇所に見られる発光は、これまで地道に築き上げてきた布石。
 最後の一撃を決めるための下準備であり、ヴィラルとシャマルは操縦席にいたからこそ気づけなかった。

〝灯台下暗し〟のことわざのとおり――グレンの中からでは、巨体の各部位に灯った小さな光が見えなかったのだ。

 そしてその四つの光は、近くから見ればこうとも取れるかもしれない。
 バチバチと音をたてる火花、まるで放電しているようでもあると。

『まさか――傷の男も貴様も、全てはこれが狙いで……ッ!?』
「ビンゴ!!! LAST SHOTはあいにくとオレの役じゃあない。あんたはそのへんも見えてなかったのさ!!!」

 指で作った銃でグレンの眉間を撃ち抜き、ジンは最後の嘲りを見せ付ける。
 ヴィラルが激昂しようが、もうなにもかも遅い。
 ジンはすぐさまトンズラを図り、風のような速さでグレンの視野から消えた。
 ヴィラルはグレンのメインカメラをぐるりと回し、小さな影を探し回って――すぐ発見する。

 横合いのビルの上に立つ、新たな敵の影、計二つを。
 両者共に腕を組み、並び合い、仁王立ちしている。
 その表情からは勝利を見据えるような強さが滲み出ていて、
 目を合わせたヴィラルとシャマルは……本能的に、恐怖した。


 ◇ ◇ ◇



  王に必要な素質って、なんだと思う?

  肉体的な強さ、精神的な強さ、知恵や優しさ、時には厳しく徹する強さも必要かもな。

  全部兼ね揃えてる王は稀だが……王を目指す者にとってなにより必要なのは、決して諦めないっていう志さ。


  ■語り――高嶺清麿



 ◇ ◇ ◇


 初めから、想定していたことだった。
 放送前、ねねねとスカーが目撃したグレンとラガンの激突。
 それは消去法でいって、ヴィラルとシャマル、カミナたちによって引き起こされた闘争であったはずだ。
 結末までは見届けられなかったが、放送後も両者共に健在だというのならば、最悪のケースを想定する。

 ヴィラルとシャマルが、グレンという巨大兵器でもって襲撃してくる可能性。
 いかに人員を揃えようとも、火力で劣れば対処は困難になるだろう。
 スカーやドモンなどは生身でも渡り合えるだろうが、不利は拭えない。
 二人がルルーシュと行動を共にしていたというのなら、
 紛失したアンチ・シズマ管や『イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに捧ぐ』を持っているとも限らない。
 ともなれば、カグツチの劫火で滅却するというのも失策になりかねない。
 いくつかの手を潰し、選択肢は限られる。
 一つ、スカーの破壊の右腕による必殺――しかしこれは、本人曰く『おそらくは不可能』と却下された。
 そこで持ち上がった案が、

「ねねね。いよいよ最後の一撃なのだ。心の力は残っておるな?」
「ザグルゼム四回とラウザルク四回……一緒に走らされてこっちもへとへとだけどね。まあ安心すれ」

 ビルの屋上で、白銀のマント靡かせる少年――ガッシュ・ベルと、
 ガッシュの隣で、赤い本を手に携える作家――菫川ねねねによる、

「シメの一発分は、ちゃんと取っておいてるさ。心の力とか気合とか、そういうのなら負ける気しないしね」

 呪文での一発撃破――ガッシュ最強の術を用いてのトドメだった。

『貴様らは、あの黒いガンメンにいたニンゲン――!?』

 ヴィラルがねねねとガッシュの存在に気づき、声を荒げているがもう遅い。
 この瞬間に至るまでに、下ごしらえは済ませておいた。
 スカーとジンは単なる陽動役にすぎず、本命はずっと陰から機会を窺っていたのである。

 全容としてはこうだ。
 スカーとジン、身体能力に卓越した二人が交代制でガンメンの対処にあたり、計四回の隙を作る。
 与えられた四度の機会に、ガッシュとねねねはヴィラルたちに気づかれぬよう、ザグルゼムを四発叩き込む。
 これがわりと重労働でもあった。なにしろ、巨体の周囲をバレないように徘徊し続けるのだ。
 運動神経に秀でたわけでもないねねねは根性で食い下がり、ほとんどはラウザルクで強化したガッシュに背負われての特殊工作だった。

 最強術を叩き込むのに、どうして四発のザグルゼムを当てる必要があったのか。
 それは、より確実を期すため。
 これまでにもガッシュの最強術に耐えうる力を持った者たちは多々おり、一撃必殺とはいかないこともしばしばあった。
 グレンの耐久力も未知数な現状、確実に相手を玉砕できるようにと推定した回数が、四回なのだ。

 もっとも、敵方であるヴィラルはグレンに纏わりついた光――否、電撃の意味などわかりはしないだろう。
 ザグルゼムが雷を蓄積させ、雷系の呪文の威力を倍化させる効果を秘めているなど……あるいは、もう間もなく知るやもしれない。

「約束覚えてるな、ガッシュ。あんたを王にする。清麿がいなくてもあんたは夢を目指せるってこと、証明してやるよ」
「ウヌウ!」

 静かに、二人が腕組みを解く。
 かつてのパートナー、高峰清麿がそうしてきたように……菫川ねねねが呪文詠唱の構えを取る。
 右手にページの開いた赤い本を持ち、左手は指で銃口を形作り、ターゲットに向ける。
 ガッシュは視線をターゲットに固定し、ねねねの言霊を座して待った。

「ありったけ味付けしてやったんだ! 残さず喰いつくせ――!!」

 ねねねが歯をむき出しにし、勇ましくその名を口にする。
 運命を打開する一手、カーテン・コールのベル代わりとして。


「バオウ・ザゲルガァアアアアアアアアアア!!」


 赤い本の輝きが一瞬、金色へと至り、ガッシュの口元から雷撃の竜が誕生した。
 グレンの身の丈ほどもあるその竜、金色のバオウは、ザグルゼムの雷に反応して体積を増していく。

『お……おぉおおおおおおお!?』

 その体躯は蛇のように長く、その顎は樺のように大口で、グレンなど一呑みにしてしまえるほどに膨れ上がった。
 霞を吹き飛ばし、灼熱の電流を帯び、食い尽くすものすべて掻き消さんと、バオウは猛る。
 グレンの抵抗むなしく、ヴィラルの奮戦かなわず、シャマルが対策を練る間もなく、
 金色のバオウは、紅蓮冠さす顔面兵器を喰い滅ぼした。


 ◇ ◇ ◇


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282:愛に時間をⅠ ヴィラル 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ シャマル 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ ジン 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ ガッシュ・ベル 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ 菫川ねねね 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ スカー(傷の男) 282:愛に時間をⅢ
282:愛に時間をⅠ スパイク・スピーゲル 282:愛に時間をⅣ
282:愛に時間をⅠ 鴇羽舞衣 282:愛に時間をⅣ
282:愛に時間をⅠ 小早川ゆたか 282:愛に時間をⅣ
282:愛に時間をⅠ ドモン・カッシュ 282:愛に時間をⅣ
282:愛に時間をⅠ ギルガメッシュ 282:愛に時間をⅣ
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