【あずぶさん相談】@TC
NPC2は死にかけてる時に辻ヒール貰ったのが出会いかなー
女キャラにしよう
リアルは喪女と会社に疲弊する男
どっちがいいかな
ドワーフ娘的な感じで制作系にする
こざっぱりした性格でいこう
アルカナ選びの未来は「こうなりたい」で大丈夫かしら
アルカナを選ぶのはPCとplどちらかしら
→そだねー
→PLかなー
@トキ
こんばんは、エルミィ。
どうやらキミとオレは旧知の仲みたいだね。
オレが辻回復でピンチを救った、という素朴な話でももちろんいいんだけど、これから沢山話すことになりそうだから、もう少し思い出を語っておきたいんだけど、どうかな。
お互い世界観エンジョイ勢みたいだから、もともと気は合うんだろうなって勝手に思ってる。
無理のない範囲で前日譚作れたら楽しいんじゃないかな? っていう提案だよ。
そこまで手が回らなさそうならスルーしてくれても構わない。
まずは、ご挨拶までに。
@エルミィ
こんばんにゃー!
辻回復してもらったのを考えてたにゃ。
トキとあちこちお散歩しながらいっぱいおしゃべりするの大好き。
エルミィはPTお誘い多くてフレンドはたくさんいるけど、なんだかてきとーに扱われて楽しくない事もちょいちょいあるにゃ。
皆が喜んでるのが嬉しくって、いい武器とかでてもあげちゃう事が多いからかもしれないにゃ。
トキはドロップとか関係なく遊んでくれてる気がして、嬉しいの。
エルミィの秘密の場所、教えたのはトキだけにゃ。
@トキ
■エルミィとの出会い
橋を渡ったら生息エネミーレベルが上がるとか、柵を越えたら生息エネミーレベルが上がるというのは、MMOユーザーの常識だ。
だから、皆、自分のレベルを考えて行動範囲を決める。
ソロプレイの時は、特に。
死んでもリスタートが可能だとはいえ、それまで得た沢山のものを失うことになる上に、やはり、効率や名誉を差し置いて誰だって本能的に「死にたくない」。
しかし、いくら気をつけていても、ピンチは唐突に訪れる。
「ウソだろ……」
トキは、明らかに自分よりランクが上のエリアに立ち入ってしまい、途方にくれていた。
わざとではない。
崖から落ちたのだ。
運営が意図したことではないとは思うが、カメラワーク的に解りにくい場所が崖となっていて、踏み出して滑り落ちてしまえばそこは別エリア、という、トラップのような箇所があった。
とにかく、逃げ回って生存帰還するしかない。
アクティブメニューにセットしてあるアイテムを再確認して、キャンプメニューを閉じた、その時。
モンスターとの交戦音がした。
近くで誰か戦っているようだ。高レベルユーザーだろうか、と、そっと近づく。
……違った。
視界に飛び込んできたのは、トキと同じレベル帯の獣耳の少女。仲間らしき者は傍にいない。
群れをなすエネミーに捕まってしまったらしく、囲まれて苦戦している。
このままだとジリ貧に見えた。
トキは、咄嗟に回復を飛ばした。
少女はこちらに気が付くと、「えっ? こんなところに何故人が」という顔をした。
「走って!! こっちだ!!」
トキは少女に移動力アップのバフをかけ、自らは盾をかまえながら言った。
それから、少女と共に無言で走った。
死にたくない。
それから、数時間。見慣れない地形に悪戦苦闘しながら、何度もエネミーに遭遇し、助け合った。
ゲーム内の命ではあるが、2人になると尚更死にたくないと思った。
チャットウィンドウに余計な文字を打ち込んでいる暇など、なかった。
途中で、雹が降ってきた。珍しい天候だ。
2人でほぼ同時にスクリーンショットを撮った。
こんな時なのに。顔を見合わせて、笑った。
やっと安全地帯に辿り着いた時は、お互いに張りつめていた緊張の糸が緩み「少し休憩」となった。
改めてチャットを開始して、挨拶を交わす。
少女はエルミィと名乗り、多弁で、「にゃー」という語尾つきで喋った。
トキは、人懐っこくいたずらっぽい口調が、とても彼女に似合っていると思った。
聞けば、彼女もトキと同じ地形から落ちて危険エリアに放り込まれたらしい。
エルミィは、トキに「本当に感謝してるにゃ!」と何度も忙しく感謝のモーションやスタンプを送ったあと、お礼に何かしたいと申し出た。
「エルミィはドロップ率が自慢なのにゃー。だからエルミィ連れていけば役にたつにゃ!
お礼にトキのパーティでたくさんサポートするにゃー?
あ、今までのドロップで拾ったレア素材も譲渡できるにゃー!
あとはあとは……」
トキが生返事をすると、エルミィは首をかしげた。
「あ、ごめん。その申し出は魅力的なんだけど……
なんか、こうやってただ喋ってる方がいいよ。
お礼とか気にしないで。っていうか、オレも助けられたんだから、お互い様だと思うんだよね。
すごくハラハラしたし心臓に悪かったけど、なんだかんだで楽しかったね!
これっていい思い出になるんじゃないかな。
あ、フレンド登録いい?」
エルミィは……あれだけせわしなく喋っていたエルミィは、少し沈黙した。
トキが少し不安になりかけた時、エルミィは大きく頷いてくれた。
[〆]
@エルミィ
フレンドになってから最初にトキにWisするのは結構ドキドキしたにゃ。
「今暇かにゃ!素材集めいくにゃん、付き合うのだ!」
なんて、軽い雰囲気だしてはみたけどにゃ。
レアドロップしょぼい場所だし、迷惑じゃないかにゃーって心配したにゃ。
トキは快くOKしてくれて、早速二人ででかけたにゃ。
おばかなおしゃべりばっかりしてて、気づいたら心配なんてどっかいってたにゃ。
それからしょっちゅうあちこちトキとでかけたにゃ。
INしたらすぐにフレリスでトキを探すようになったにゃ。
もともとMAOは好きだったけど、トキと一緒にでかけるようになってもっと大好きになったにゃ。
お礼がしたかったけどモノじゃ受け取ってもらえる気がしなくて、ずっと何がいいか考えてたにゃ。
それである日、スクショの撮影って言ってトキを連れ出したにゃ。
二人でエモして撮りたいからってお誘いしたにゃ。
「こっちにゃ。
落っこちないよう足元みて登るにゃ!」
いつもなら絶対行かないような殺風景な砦だったから、トキは不思議そうにしてたにゃ。
「ここをこう登って……そうにゃ、そこジャンプにゃ。」
えっちらおっちら道を少し外れたところを登っていくと、普通じゃいけない砦の裏側にでるにゃ。
森も城も平原もみんな見渡せる場所にゃ。
トキは「こんな場所があったんだ?」ってびっくりしてたにゃ。
「ミィの秘密の場所にゃ。
トキだけに教えるにゃ。
トキの回復スキル大台記念と……お礼にゃ。
いつもミィと遊んでくれてありがとう
――にゃ。」
そう言ってるうちに日が沈んできたにゃ。
オレンジの光が世界を照らすのが全部、全部みえたにゃ。
「ミィはトキのいるこの世界が大好きにゃ。
ミィは、トキが大好きにゃ。」
飛び切りの笑顔で言ったにゃ。
「トキ、これからもずっと、遊んでくれるかにゃ?」
言いながら、なぜか胸がちくりとしたにゃ。
かりそめの、いつか終わる世界。
ミィは何度かまばたいて、ちくちくを遠くに追いやった。
大丈夫、ミィがいる場所はほら、こんなにもキレイで幸せにゃ!
トキの返事は――ほら、今こうして一緒にいるのが答えにゃ。
それにしても、こんなにずっとハラハラしまくるハメになるとはトキも思ってなかっただろにゃ。
うん。ミィもにゃ。
[〆]
@トキ
フレンド登録はしたものの、それから数日エルミィから声はかからなかった。
初遭遇の時は知らなかったけど、エルミィは人気ユーザーらしかった。
なんでも、ドロップが強くて製作スキルが高いんだとか。おまけに、可愛い。
(なるほどね。オレに構ってる暇なんかないかなあ)
そう思っていたらwisが送られてきたので、嬉しくなった。
誘われたのは、素材集め。
ある程度慣れた者なら誰でも何回か行ったことがある地味な場所だったけど、それがいい。
レアにはなかなか会えないけど、堅実に、確実に、常に必要なものが手に入る。
それに、無理のない探索はチャットが楽しめる。
(人気ユーザーでも、こういうのしてくれるんだ。
まいっか、そういうのは気にしないでおこう)
ノリとじゃれあいに終始しながら、程よく疲れたところで、一旦さよならの挨拶をした。
――それから、こんなことを、何回も繰り返した。
――効率的な探索とは無縁だったけど、フィールドに出るたびに確かに強くなっていった。
そして、オレの回復スキルが中堅を越えた数字になったころ。
エルミィから、普段とは違った場所へのお誘いがかかった。
エルミィが希望したエリアは、殺風景な荒野に、せいぜい枯れた砦があるくらい。
誰にも注目されない場所だった。
何故いまさら、疑問に思ったけれども、ついて行った。
正直、だらだらと一緒に遊べるというだけで充分なので、断るという選択肢はなかったのだ。
エルミィの指示どおりに地形を移動する。
「あ、ここ、移動可能なんだ」と思うようなぼろぼろの足場を歩きつないでいく。
そうして、最後にたどりついた場所は……。
――!!
砦の裏側。
目の前に広がるのは、今まで一緒に歩いて来た、森と、城と、平原と……。
夕陽に照らされて強く光をはじきかえしている。
言葉を失っていると、エルミィが話しかけてきた。
ちょっと待って。
そんなこと、今言う?
ずるいな……。
「ずっと遊んでくれる?」の言葉には、強く頷きかえす。
あのね、エルミィ。こうして、ここで、キミに出会えて、オレは一層強く思ったことがあるんだ。
言いかけて、やめた。陽が落ちる前にベストスクショを撮っておこうと言ってごまかした。
言ってしまいたい、彼女になら言えるという幼い願望と、言うべきではないと厳しく律する理性が戦って、結局、理性が勝ってしまった。
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