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carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth- 後編
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| 106 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/11(木) 23:52:08 ID:VPSD71aI0 |
その後、四人は5分だけバレンタイン姉弟を待つことにした。
トルセの時間の都合上、14時までに恐らく22時前後に襲来すると予測される敵勢力を
どう迎え撃つかという作戦を伝えるブリーフィングを始めたり、
他にユール達に見せたい物があるそうなので
それを見せるための時間というのも必要だった。
トルセの都合で仕方がないとはいえ、そんな重要な事を伝える時間が
たったの一時間弱しかないというのも変な話ではあるが。
トルセの時間の都合上、14時までに恐らく22時前後に襲来すると予測される敵勢力を
どう迎え撃つかという作戦を伝えるブリーフィングを始めたり、
他にユール達に見せたい物があるそうなので
それを見せるための時間というのも必要だった。
トルセの都合で仕方がないとはいえ、そんな重要な事を伝える時間が
たったの一時間弱しかないというのも変な話ではあるが。
3分が経った。「あと1分とちょっとね」とトルセが呟く。
ユールはバレンタイン姉弟が来てくれると思っていたのだが、
その期待は裏切られそうだと思い、その一方でまだ希望を捨て切れていなかった。
ユールはバレンタイン姉弟が来てくれると思っていたのだが、
その期待は裏切られそうだと思い、その一方でまだ希望を捨て切れていなかった。
「きっと来るよ」
「来ないわ。あの二人はこの手合いの話は信じないようだったし」
「来ないわ。あの二人はこの手合いの話は信じないようだったし」
それはユールも知っていた。怪談やら伝説やらお伽噺やらは
あの二人には一切通用しない。迷信も持っていない。彼らは彼らの信念で生きているのだ。
だが、その信念の中には友の危機を救うということも含まれているはずだとユールは考えた。
信じがたい話ではあろうが、それでも自分の所に来て欲しいと居もしない姉弟に願った。
あの二人には一切通用しない。迷信も持っていない。彼らは彼らの信念で生きているのだ。
だが、その信念の中には友の危機を救うということも含まれているはずだとユールは考えた。
信じがたい話ではあろうが、それでも自分の所に来て欲しいと居もしない姉弟に願った。
その願いは通じた。信仰深い人ならば「きっと神様が聞き届けて下さったのだ」
とでも思うのだろうが、ユールには信じる神も悪魔もいなかった。
だから、彼女の喜びは素直な形を取って表に現れる。
とでも思うのだろうが、ユールには信じる神も悪魔もいなかった。
だから、彼女の喜びは素直な形を取って表に現れる。
「アリスー!アルー!来てくれたんだねー!!」
どうしたらよいか分からないといった表情で名を呼ばれた姉弟は四人の元へ近づく。
頭を掻きながらアルベルトが口を開いた。
頭を掻きながらアルベルトが口を開いた。
「ユール、別に信じたわけじゃねぇんだよ、その女の言っていた事をよぉ」
「うん。信じられないのも無理は…」
「だからよ、剣を見せてくれよ」
「うん。信じられないのも無理は…」
「だからよ、剣を見せてくれよ」
アルはそう言うと目でホラ、とユールに促してきた。
ユールは人の多いこの場所では無理だと判断し、トルセの横顔を見た。
やはり彼女も同じ事を考えたらしく、ユールの目を見つめると首を横に振った。
ユールは人の多いこの場所では無理だと判断し、トルセの横顔を見た。
やはり彼女も同じ事を考えたらしく、ユールの目を見つめると首を横に振った。
「ここじゃ無理よ」ユールが言う。
「危ないからか?冗談言うなよ?剣ってのは、普通目につくもんなんだぜ。
それなのにユールの格好見りゃ、帯剣してないときてる。それじゃ見せらんないよな」
「危ないからか?冗談言うなよ?剣ってのは、普通目につくもんなんだぜ。
それなのにユールの格好見りゃ、帯剣してないときてる。それじゃ見せらんないよな」
アルベルトはそう言うと、チッと舌を鳴らしてユールを少しだけ睨んだ。
ユールはそれに少しだけ怯み、そして反論を始めた。
ユールはそれに少しだけ怯み、そして反論を始めた。
| 107 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/11(木) 23:54:37 ID:VPSD71aI0 |
「人が沢山いる。こんな所で剣を出すなんて無理よ」
「だから持ってねぇじゃんって言ってんだろ」
「ちゃんと持ってるわ。ただ、今は小さくしているってだけで」
「だから持ってねぇじゃんって言ってんだろ」
「ちゃんと持ってるわ。ただ、今は小さくしているってだけで」
「小さくぅ?」「小さく?」とアルベルトとアリスはハモった。綺麗なオウム返しだ。
「とにかく」ユールが続ける。
「だから、まずは人のあまりいない所に行かなきゃ」
「そんな所なんてねぇだろ。カーニバルだぜ?そんなとこある訳ねぇよ」
「だから、まずは人のあまりいない所に行かなきゃ」
「そんな所なんてねぇだろ。カーニバルだぜ?そんなとこある訳ねぇよ」
「あるよ」とトルセがアルベルトの主張を真っ向から否定した。
何処にだ、とアルベルトが問うとトルセは確かな答えを返した。
何処にだ、とアルベルトが問うとトルセは確かな答えを返した。
「ユールの剣を封印していた場所。そこなら誰もいない」
一行はターミナルタワー地下にあるメトロステーションの
プラットフォームに降り立っていた。そこでトルセが先頭を切って歩き、
ユールを導いた時のように一行を案内する。
周りに人はいないので、誰かに姿を見られる心配はなかった。
この場所を知らない一行のメンバーは
うわすげぇだのナニコレだの何だのと喋りながらトルセの後ろについていった。
プラットフォームに降り立っていた。そこでトルセが先頭を切って歩き、
ユールを導いた時のように一行を案内する。
周りに人はいないので、誰かに姿を見られる心配はなかった。
この場所を知らない一行のメンバーは
うわすげぇだのナニコレだの何だのと喋りながらトルセの後ろについていった。
| 108 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/11(木) 23:58:22 ID:VPSD71aI0 |
そして一行はユールが剣を抜いた場所に出た。
ユールが訪れた時からこの空間の様相は全く変わっておらず
辺り一面が真っ白であったことに一切の変わりは無かった。
ユールはここで剣を抜いた事をユール自身が語り、
そしてネックレスを再度乱暴に切り、それを上に放り投げた。
一瞬、という言葉がこれほど似つかわしい状況は無いだろう。
ユールが空高く放り投げた小さな剣のついたネックレスの
速度がゼロになり、重力にのみ従って降下し、次の瞬間には大剣がユールの足元の近くに深々と突き立った。
ユールはそれを手にし、台座に歩み寄って元の場所に大剣を突き立てた。
両手を剣の柄に添えながらユールは言う。
ユールが訪れた時からこの空間の様相は全く変わっておらず
辺り一面が真っ白であったことに一切の変わりは無かった。
ユールはここで剣を抜いた事をユール自身が語り、
そしてネックレスを再度乱暴に切り、それを上に放り投げた。
一瞬、という言葉がこれほど似つかわしい状況は無いだろう。
ユールが空高く放り投げた小さな剣のついたネックレスの
速度がゼロになり、重力にのみ従って降下し、次の瞬間には大剣がユールの足元の近くに深々と突き立った。
ユールはそれを手にし、台座に歩み寄って元の場所に大剣を突き立てた。
両手を剣の柄に添えながらユールは言う。
「アル、アリス、お願い。これでも信じてくれないって言うの?」
「あ、あぁ…今の、一体今のは何なんだよ」「信じられない。こんな事が…ユール」
「………」
「あ、あぁ…今の、一体今のは何なんだよ」「信じられない。こんな事が…ユール」
「………」
数秒の沈黙が漂う。
種も仕掛けもありません、と言って手品師が奇術を披露するのと
ユールがやった事はある程度は似通っているが、それとこれは全く別の次元の話だ。
不意に決意を決めたようにアリスが右足を一歩前に出してユールに言った。
種も仕掛けもありません、と言って手品師が奇術を披露するのと
ユールがやった事はある程度は似通っているが、それとこれは全く別の次元の話だ。
不意に決意を決めたようにアリスが右足を一歩前に出してユールに言った。
「ユール」
「…なに?」
「ごめん。ユールの事を信じる事が出来なかった。
でも決めた。私はユールと一緒に戦う」
「…なに?」
「ごめん。ユールの事を信じる事が出来なかった。
でも決めた。私はユールと一緒に戦う」
これを聞いたユールはアリスに向かってゆっくりと深く頭を下げた。
そのやり取りをみたアルベルトは居心地が悪くなったように乱暴に喋った。
そのやり取りをみたアルベルトは居心地が悪くなったように乱暴に喋った。
「あーあー!全く仕方がねぇな姉ちゃんは!
姉ちゃんがユールの味方するってんなら、俺も加わらさせてもらうぜ」
「アル…!」
「おっと勘違いすんなよ。俺は姉ちゃんが心配で仲間になってやるって言ってんだからな」
姉ちゃんがユールの味方するってんなら、俺も加わらさせてもらうぜ」
「アル…!」
「おっと勘違いすんなよ。俺は姉ちゃんが心配で仲間になってやるって言ってんだからな」
アルベルトはそう言い、そしてユールに背中を向けた。
それと同時にトルセが晴れて全員が心の闇と戦う決意を示した一行に言う。
それと同時にトルセが晴れて全員が心の闇と戦う決意を示した一行に言う。
「よし、みんなやる気になったね。
それじゃあみんなでブリーフィングだ。ほら、ついて来て!」
それじゃあみんなでブリーフィングだ。ほら、ついて来て!」
| 109 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/12(金) 00:07:13 ID:Zyxp8G0d0 |
ここで話の整理をしてみようと思う。
聡明な読み手にとっては要らぬものと思われるが、私が混乱してきたのでまとめてみる。
この物語の主人公、ユールは友人と共に巨大遊園地「カーニバル」へと向かう。
ユールはそこでトルセと名乗る少女に千年に一度起きる世界終末の危機を知らされ、
三度目のミレニアムを迎えるこの年のこの日にその危機が迫る事をも知らされる。
世界終末の危機をもたらすのは人間の醜い心、心の闇と呼称される存在であり、
それに対抗するためアトランダムに一人の人間を選出する善い心、心の光が存在する。
三度目の危機を救うために選ばれてしまった(正確には前任者の血を継いでいたために選ばれた)ユールは
自分の友人たちに協力を求め、今ここでユールと友人たちとトルセの六人は一致団結した。
聡明な読み手にとっては要らぬものと思われるが、私が混乱してきたのでまとめてみる。
この物語の主人公、ユールは友人と共に巨大遊園地「カーニバル」へと向かう。
ユールはそこでトルセと名乗る少女に千年に一度起きる世界終末の危機を知らされ、
三度目のミレニアムを迎えるこの年のこの日にその危機が迫る事をも知らされる。
世界終末の危機をもたらすのは人間の醜い心、心の闇と呼称される存在であり、
それに対抗するためアトランダムに一人の人間を選出する善い心、心の光が存在する。
三度目の危機を救うために選ばれてしまった(正確には前任者の血を継いでいたために選ばれた)ユールは
自分の友人たちに協力を求め、今ここでユールと友人たちとトルセの六人は一致団結した。
そして六人はこれからブリーフィング、作戦会議を開く事にした。
一行はトルセの先導でターミナルタワーの地下深くの廊下を歩き回る。
廊下で他人とすれ違う事は無かった。この廊下にはこの一行しかいないらしい。
ユールはこの場所が海の底にある事が理由で寒く感じるので
クーリーにコートを取り出してもらうため、PSCRの封を切ってもらった。
PSCRから黒のコートを取り出したユールは壁にあるものを見つける。
一行はトルセの先導でターミナルタワーの地下深くの廊下を歩き回る。
廊下で他人とすれ違う事は無かった。この廊下にはこの一行しかいないらしい。
ユールはこの場所が海の底にある事が理由で寒く感じるので
クーリーにコートを取り出してもらうため、PSCRの封を切ってもらった。
PSCRから黒のコートを取り出したユールは壁にあるものを見つける。
「ねぇトルセ」
「どうしたの?」
「あの絵って…」
「どうしたの?」
「あの絵って…」
薄い青色の盾の後ろに地球と思しき星がが守られているような
構図になっている絵がユールから見て右側にある壁に描かれていた。
構図になっている絵がユールから見て右側にある壁に描かれていた。
「うん。WSFのエンブレムだけど」
トルセが返す。ユールはやはりそうだったかと思う気持ちと
何故ここにWSFのエンブレムが?と疑問する気持ちの二つを同時に抱いた。
何故ここにWSFのエンブレムが?と疑問する気持ちの二つを同時に抱いた。
「じゃあ何か?ここはWSFの基地だってのか?」とアルベルト。図らずもユールの疑問を代弁することとなった。
「そういうこと。あ、これ、オフレコにしておいて」とトルセ。
「そういうこと。あ、これ、オフレコにしておいて」とトルセ。
この瞬間、ユールの背筋がぞくっとした。
一気に現実という超重力が自分のの全身に重くのしかかったかのようにユールは感じた。
一行はターミナルタワーの地下深く、
秘密裏にWSFの基地のようなものとして造られたセクターのとある部屋の前に来ていた。
一体何だここは、とクーリーが呟いてトルセに訊ねる。
一気に現実という超重力が自分のの全身に重くのしかかったかのようにユールは感じた。
一行はターミナルタワーの地下深く、
秘密裏にWSFの基地のようなものとして造られたセクターのとある部屋の前に来ていた。
一体何だここは、とクーリーが呟いてトルセに訊ねる。
「トルセさん」
「何?」
「この部屋は一体何なんですか?」
「ここ?作戦会議室ね。とりあえずここでブリーフィングするから。それじゃ、入るわよ」
「何?」
「この部屋は一体何なんですか?」
「ここ?作戦会議室ね。とりあえずここでブリーフィングするから。それじゃ、入るわよ」
| 110 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/12(金) 00:16:57 ID:Zyxp8G0d0 |
奥行きの深い大きな部屋だった。
何のTVドラマだったかは忘れたが、商社マンのような男が主人公の
ドラマをユールは思いだした。確かあのドラマのワンシーンに
自社ビルの高い階にあるこんな会議室で彼はプレゼンをしていたのだった。
何のTVドラマだったかは忘れたが、商社マンのような男が主人公の
ドラマをユールは思いだした。確かあのドラマのワンシーンに
自社ビルの高い階にあるこんな会議室で彼はプレゼンをしていたのだった。
そんな部屋によく似ているなぁとユールは思いながら
この部屋のあまりの暗さに思わずMPDを取り出してライトを点灯する。
MPDの一部が発光し、そこから光が部屋を照らす。
限られた視界だが何も見えないよりはマシだとユールは自分に言い聞かせる。
トルセがユールに少し頭を下げながら部屋の中のどこかへ歩き出し、
立ち止まって何かを操作した。カチっと音がすると同時に
ユールのMPDは意味を成さなくなった。作戦会議室の照明が点灯したからだ。
ユールはMPDのライトを消灯してコートのポケットに仕舞い、適当な椅子に座った。
ユール以外の四人はそれに倣って適当な場所に座り始める。
トルセはというと、彼女は部屋の一番奥に移動して何かの装置を操作している。
ユールはその姿を見て先程脳裏をかすめたドラマのワンシーンをもう一度脳内再生させた。
主人公がプレゼンをする際、プロジェクターとそれから受け取った映像を
人々に教えるスクリーンを丁度トルセが立っている場所に近くで何かを操作して出現させたのだ。
トルセも商社マンの主人公も同じ事をやっていた、とユールは一人で納得していた。
この部屋のあまりの暗さに思わずMPDを取り出してライトを点灯する。
MPDの一部が発光し、そこから光が部屋を照らす。
限られた視界だが何も見えないよりはマシだとユールは自分に言い聞かせる。
トルセがユールに少し頭を下げながら部屋の中のどこかへ歩き出し、
立ち止まって何かを操作した。カチっと音がすると同時に
ユールのMPDは意味を成さなくなった。作戦会議室の照明が点灯したからだ。
ユールはMPDのライトを消灯してコートのポケットに仕舞い、適当な椅子に座った。
ユール以外の四人はそれに倣って適当な場所に座り始める。
トルセはというと、彼女は部屋の一番奥に移動して何かの装置を操作している。
ユールはその姿を見て先程脳裏をかすめたドラマのワンシーンをもう一度脳内再生させた。
主人公がプレゼンをする際、プロジェクターとそれから受け取った映像を
人々に教えるスクリーンを丁度トルセが立っている場所に近くで何かを操作して出現させたのだ。
トルセも商社マンの主人公も同じ事をやっていた、とユールは一人で納得していた。
横長すぎる全長8メートルはあるオーバル状のテーブルの真ん中のあたりで
ういいいんと球体型のプロジェクターが台に乗せられて床から現れ、
テーブルの上には席に座った人間が見やすいようにこの部屋にある椅子の分だけの
ホログラフのようなスクリーンがびゅんと音を立てて現れた。
トルセを除く五人はおぉと驚きの声をあげ、これは凄いと誰かが言った。
「それじゃ始めるよ」とトルセが注意を促し、プロジェクターに近づいて何かのボタンを押した。
ういいいんと球体型のプロジェクターが台に乗せられて床から現れ、
テーブルの上には席に座った人間が見やすいようにこの部屋にある椅子の分だけの
ホログラフのようなスクリーンがびゅんと音を立てて現れた。
トルセを除く五人はおぉと驚きの声をあげ、これは凄いと誰かが言った。
「それじゃ始めるよ」とトルセが注意を促し、プロジェクターに近づいて何かのボタンを押した。
| 111 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/12(金) 00:26:54 ID:Zyxp8G0d0 |
するとテーブルの上のホログラフ上に世界地図が映し出される。
航海に使われるタイプのものだ。地図の種類の名前は忘れたので割愛する。
その世界地図の一つの大陸がピンク色に光る。
地理が苦手なユールでさえ、それを見てレイヴン大陸だと分かった。
自分の住んでる大陸ぐらいは覚えているに決まっていると思うが、一応。
次に、ピンク色のレイヴン大陸の最東端が赤く発光した。
丁度第十地区のあたり、つまりはカーニバルが建造された地域である。
ホログラフの映し出す映像はカーニバルを上空撮影したもののようになる。
そしてターミナルタワーにズームインし、そして視点は高度を下げて
海底に潜っていく。映像上の海底のターミナルタワーの一部がさらに赤く発光し、
「作戦会議室」と表示されてから一気にそこへズームインし、そして画面が暗転する。
ブラックアウトした映像は次にWSFのエンブレムを映しだし、そしてそのままになった。
航海に使われるタイプのものだ。地図の種類の名前は忘れたので割愛する。
その世界地図の一つの大陸がピンク色に光る。
地理が苦手なユールでさえ、それを見てレイヴン大陸だと分かった。
自分の住んでる大陸ぐらいは覚えているに決まっていると思うが、一応。
次に、ピンク色のレイヴン大陸の最東端が赤く発光した。
丁度第十地区のあたり、つまりはカーニバルが建造された地域である。
ホログラフの映し出す映像はカーニバルを上空撮影したもののようになる。
そしてターミナルタワーにズームインし、そして視点は高度を下げて
海底に潜っていく。映像上の海底のターミナルタワーの一部がさらに赤く発光し、
「作戦会議室」と表示されてから一気にそこへズームインし、そして画面が暗転する。
ブラックアウトした映像は次にWSFのエンブレムを映しだし、そしてそのままになった。
「それじゃ説明していくわね」とトルセ。何かのボタンを押した。
ホログラフに変化が起きる。再度世界地図が表示され、今度は別の大陸がピンク色になった。
何という名前の大陸だったかユールは思いだせなかったのだが
映像上に「ヴァルチャー大陸」と表示されたのでそれを理解する事が出来た。
何という名前の大陸だったかユールは思いだせなかったのだが
映像上に「ヴァルチャー大陸」と表示されたのでそれを理解する事が出来た。
「ここにWOSの本部があるのは知っているわよね?」とトルセ。ユール達五人は首肯してそれを返答とした。
トルセはそれを確認して話を続けていく。
トルセはそれを確認して話を続けていく。
「オフレコでお願いしたいんだけど、実は一週間前にWOSの会長が死んだの」
WOS会長。この世界の統治制度上独裁者というほどの権限を持ってはいないが
結構な権力を有する存在だ。WSFの総帥もいるのだが、
WOS会長である彼が(彼女が)WSFの総指揮を取ったりすることもある。
そんな会長が死んだというのだから、トルセを除く作戦会議室にいる人々は動揺した。
結構な権力を有する存在だ。WSFの総帥もいるのだが、
WOS会長である彼が(彼女が)WSFの総指揮を取ったりすることもある。
そんな会長が死んだというのだから、トルセを除く作戦会議室にいる人々は動揺した。
「まだ公表していない事だから。さっきも言ったけど、オフレコで頼むね。ヤバい事になるから。
それで、その死因なんだけど…何か不自然なのよ」
「不自然って?一体何で死んだの?」とユールが問う。
「何の前触れもなく急死。あの大陸の第一地区にあるWOS本部の施設を
歩いていると突然倒れて死んだそうよ」
それで、その死因なんだけど…何か不自然なのよ」
「不自然って?一体何で死んだの?」とユールが問う。
「何の前触れもなく急死。あの大陸の第一地区にあるWOS本部の施設を
歩いていると突然倒れて死んだそうよ」
「あっけねぇな」とアルベルトが言った。
「そうね……それで、これが誰かの手による殺人ではないかと囁かれ始めたの。
誰もが会長の下で仕事をしている大臣とか、そういう人達が犯人じゃないかって。
でも彼らにそれが出来るはずがないの」
誰もが会長の下で仕事をしている大臣とか、そういう人達が犯人じゃないかって。
でも彼らにそれが出来るはずがないの」
「どうしてですか」クーリーが言って続ける。
「何か、人の体に入れて内側から殺す事って出来るんじゃないんですか?
そういうのってあの人達くらいの力があれば用意できるんじゃないかと思ったんですが」
そういうのってあの人達くらいの力があれば用意できるんじゃないかと思ったんですが」
|BGCOLOR(D1D1FF):|112 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/12(金) 00:35:47 ID:Zyxp8G0d0
クーリーは何て恐ろしい事を口にしたのだろうとユールは思った。
これまで自分が見てきたクーリーの面影はない、と感じられるほどに
ユールの中に何か言いようのない迷いのような感情が芽生え始めた。
そんな事は露ほども知らないクーリーはトルセの返答を待つ。トルセの口が開く。
クーリーは何て恐ろしい事を口にしたのだろうとユールは思った。
これまで自分が見てきたクーリーの面影はない、と感じられるほどに
ユールの中に何か言いようのない迷いのような感情が芽生え始めた。
そんな事は露ほども知らないクーリーはトルセの返答を待つ。トルセの口が開く。
「確かに邪魔になりそうな人を殺したりっていうのは
良い手段だと思うわ。でも、そんな事は彼らに出来ないの。
というより、彼らがアレを手にする事は出来ない」
「手にする事は出来ない?一体どういう意味ですか?
その言い回しだと、その技術と手段はあるように聞こえるのですが」
良い手段だと思うわ。でも、そんな事は彼らに出来ないの。
というより、彼らがアレを手にする事は出来ない」
「手にする事は出来ない?一体どういう意味ですか?
その言い回しだと、その技術と手段はあるように聞こえるのですが」
確かにそうだ、とユールは思った。
小型暗殺機械のようなものは現実に存在するが、
それを手にすることが出来るのは一握りの人間しかなれない
上級の政治家でさえ不可能である、と暗にトルセは言ったのだ。
まさか、とユールの頭の中に想像もしたくなかった嫌なシナリオが浮かび上がる。
トルセの口が開こうとするのを見てユールは何かにすがる思いで目を瞑った。
小型暗殺機械のようなものは現実に存在するが、
それを手にすることが出来るのは一握りの人間しかなれない
上級の政治家でさえ不可能である、と暗にトルセは言ったのだ。
まさか、とユールの頭の中に想像もしたくなかった嫌なシナリオが浮かび上がる。
トルセの口が開こうとするのを見てユールは何かにすがる思いで目を瞑った。
「その通り。確かに人体に入りこんで殺しを行う機械は存在する。
でも、それはまだ無い事になっている。表向きには存在していないわ。
アレが使えるのはWSFのエリート又は総帥といったあたりかしら」
でも、それはまだ無い事になっている。表向きには存在していないわ。
アレが使えるのはWSFのエリート又は総帥といったあたりかしら」
何て事だ、とユールは二重の意味で思った。
一つはクーリーもアルベルトもアリスもキリーも、同様に何て事だと思ったように。
もう一つは自分の思い描いたシナリオが何のズレも無くぴたりと当てはまったという意味で。
そんなユールの事を無視してブリーフィングは進んでいく。
一つはクーリーもアルベルトもアリスもキリーも、同様に何て事だと思ったように。
もう一つは自分の思い描いたシナリオが何のズレも無くぴたりと当てはまったという意味で。
そんなユールの事を無視してブリーフィングは進んでいく。
「それで」トルセが言う。
「WSF総帥がWOS会長を殺したんじゃないかってのが私たちの見解」
「私たちって?」とアリス。それにトルセが答える。
「もう言うまでも無いけど、私はカーニバルを護衛する
WSFの部隊に所属しているの。私はそこで副隊長をやっているわ」
「副隊長!?」とユールが、そして彼女を除く三人が驚きの声を上げた。
ふと、ユールの視界に驚きの表情をあまり見せなかったキリーの顔が入った。
ここに来る前の説得の際、トルセは交渉の切り札としてこの事を先に言ったのかもしれない。
「WSF総帥がWOS会長を殺したんじゃないかってのが私たちの見解」
「私たちって?」とアリス。それにトルセが答える。
「もう言うまでも無いけど、私はカーニバルを護衛する
WSFの部隊に所属しているの。私はそこで副隊長をやっているわ」
「副隊長!?」とユールが、そして彼女を除く三人が驚きの声を上げた。
ふと、ユールの視界に驚きの表情をあまり見せなかったキリーの顔が入った。
ここに来る前の説得の際、トルセは交渉の切り札としてこの事を先に言ったのかもしれない。
「そこまで偉くは無いんだけどね。さて、そろそろ本題に入るわよ。しっかり聞いててね」
| 113 :carnival (re-construction) Phase 2 -covered truth-:2009/06/12(金) 00:45:28 ID:Zyxp8G0d0 |
ホログラフの映像がWOS本部の地下の立体地図を映し出す。
そこの部屋名が順々に表示されてそれがどこにあるのかを示し、
そしてある部屋でその映像の動きが停止した。
そこの部屋名が順々に表示されてそれがどこにあるのかを示し、
そしてある部屋でその映像の動きが停止した。
「ここが兵器廠。WSFの武器を管理している場所ね。そこで…」
ホログラムの映像の静止が解かれ、そして映像が再び動き始めた。
映像は暗転し、黒の背景をバックに四つの大型兵器を映した。
映像は暗転し、黒の背景をバックに四つの大型兵器を映した。
「獅子型高機動制地兵器と蠍型高機動制地兵器と…
烏賊型超高機動制地兵器と人型可変機動型制地制空兵器ね。
これらがWOS会長が殺されたと同時に姿を消した」
烏賊型超高機動制地兵器と人型可変機動型制地制空兵器ね。
これらがWOS会長が殺されたと同時に姿を消した」
どう見てもライオン、蠍、烏賊、そして宙吊りになった鷹のような人間を模した
大型の機械、トルセの言葉を借りるなら兵器であるそれらは
トルセの言葉が途切れると同時に映像から姿を消した。それを見たトルセが続ける。
大型の機械、トルセの言葉を借りるなら兵器であるそれらは
トルセの言葉が途切れると同時に映像から姿を消した。それを見たトルセが続ける。
「総帥がこれを奪ったの。私たちの見解もそうだったし、
つい昨日に差出人が総帥の名前だったメールがこっちに来て、その内容がこれを示しているの」
つい昨日に差出人が総帥の名前だったメールがこっちに来て、その内容がこれを示しているの」
それに変な所を感じたクーリーは無言で手を挙げる。
「どうしたの?」
「変だなって思って。どうして総帥がわざわざ
『私が四つの兵器を奪いました』ってそんな重要な情報を渡すのかなって思ったんです」
「総帥はここを襲撃してくるから、私たちに選択を迫っているのだと思う。
総帥側の仲間になるか、それとも反発するのか……」
「それじゃまるで、総帥がクーデターを起こすって言いたいようですけど」
「その通り。さっき言ったメールの話も、そういうことを言っていたの。
つまり、総帥はあの四つの大型兵器を使って最初にここを襲撃して
それが成功したらここを拠点にし、総帥は世界を乗っ取ろうとしているの」
「変だなって思って。どうして総帥がわざわざ
『私が四つの兵器を奪いました』ってそんな重要な情報を渡すのかなって思ったんです」
「総帥はここを襲撃してくるから、私たちに選択を迫っているのだと思う。
総帥側の仲間になるか、それとも反発するのか……」
「それじゃまるで、総帥がクーデターを起こすって言いたいようですけど」
「その通り。さっき言ったメールの話も、そういうことを言っていたの。
つまり、総帥はあの四つの大型兵器を使って最初にここを襲撃して
それが成功したらここを拠点にし、総帥は世界を乗っ取ろうとしているの」
トルセの言葉が終わらない内に映像が文章を映しだした。
誰かからメールのようだ。ユールはそれを黙読する。
確かにそのメール―総帥から送られたと思われる―はクーデターを起こすから仲間になれ、
という旨のことが書いてあった。クーリーの横顔を盗み見ると、彼は驚いた顔をしていた。
勿論、そんな顔をしていたのは彼だけではなかった。皆が同じような顔をしていた。
誰かからメールのようだ。ユールはそれを黙読する。
確かにそのメール―総帥から送られたと思われる―はクーデターを起こすから仲間になれ、
という旨のことが書いてあった。クーリーの横顔を盗み見ると、彼は驚いた顔をしていた。
勿論、そんな顔をしていたのは彼だけではなかった。皆が同じような顔をしていた。
| 119 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:25:32 ID:uYkBRPey0 |
その後何分かが経過してブリーフィングが終了した。
内容を三行にまとめてみるとこうなる。
内容を三行にまとめてみるとこうなる。
- WSF総帥がWOS会長を殺した
- 総帥はWSFの秘密兵器四機を奪ってクーデターを企てている
- 最初の標的はカーニバルで、兵器運用の都合を考えると予測襲撃時刻は22:00頃になる
「夜の10時といえば、何かイベントがあったような気がするんだけどなぁ」
クーリーがターミナルタワーの最深部に位置する
WSFカーニバル基地の寒い廊下を歩きながらユールに言った。
ユールは頭の中で22時、22時は…と考えていると、
WSFカーニバル基地の寒い廊下を歩きながらユールに言った。
ユールは頭の中で22時、22時は…と考えていると、
「今日の22時といえばアレじゃない?トップランカー決定戦でしょ?」
アリスがそう言った。アルベルトは「そうだよそれそれ」と言って頷く。
クーリーも「あぁそうだった」と納得し、ユールだけが不安そうな表情を浮かべた。
それを見たクーリーがユールに声をかける。
クーリーも「あぁそうだった」と納得し、ユールだけが不安そうな表情を浮かべた。
それを見たクーリーがユールに声をかける。
「ユール、どうしたのさ」
「あの兵器達を使って攻めてくるんでしょ?
ここに来ているお客さん方はどうしようと思って」
「あの兵器達を使って攻めてくるんでしょ?
ここに来ているお客さん方はどうしようと思って」
あ、とクーリーが間抜けな声で言った。どうやらそこの所を一切考えていなかったらしい。
そのやり取りを聞いたトルセがユールに言った。
そのやり取りを聞いたトルセがユールに言った。
「それは大丈夫。トプラン決定戦のような大きい大会が催されるとなれば
殆どの来園客がそっちに殺到するわ。私達はこれを来園客の陽動に使うつもり」
「どういうこと?」
「つまり、このターミナルタワー内でトプラン決定戦を開催するの。
その情報はまだ一般公開していないけど、15時丁度に情報公開する予定よ。
タワーは頑丈で強固だし、何より強力なシールドを常時展開させているの。今もよ」
「今もって事は、私達はどうやってターミナルに来れているの?
シールドを展開させているなら、普通なら私達、ここへは来れないはずでしょ?」
「各ブロックからターミナルへの移動手段はメトロに限定しているわ。
シールドは海底には殆ど及ばないの。だから海底を走るメトロしかターミナルへ移動できない」
殆どの来園客がそっちに殺到するわ。私達はこれを来園客の陽動に使うつもり」
「どういうこと?」
「つまり、このターミナルタワー内でトプラン決定戦を開催するの。
その情報はまだ一般公開していないけど、15時丁度に情報公開する予定よ。
タワーは頑丈で強固だし、何より強力なシールドを常時展開させているの。今もよ」
「今もって事は、私達はどうやってターミナルに来れているの?
シールドを展開させているなら、普通なら私達、ここへは来れないはずでしょ?」
「各ブロックからターミナルへの移動手段はメトロに限定しているわ。
シールドは海底には殆ど及ばないの。だから海底を走るメトロしかターミナルへ移動できない」
そうだったのとユールは合点がいった顔をした。
へぇーと話を聞いていたクーリーが言い、そして続けた。
へぇーと話を聞いていたクーリーが言い、そして続けた。
「そういう事だったんですか……あれ?トルセさん、言っていたのってアレですか?」
クーリーが指さした行き止まりの扉の上には「ターミナル基地 兵器廠」とネームプレートが貼ってあった。
| 120 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:30:54 ID:uYkBRPey0 |
ブリーフィングの終わる頃、トルセは最後にこう言った。
「まぁこんな奴らを相手に生身で戦ってとは言わないわ。
歩かせてばっかりだけど、多分これで最後だからついてきて」
歩かせてばっかりだけど、多分これで最後だからついてきて」
それから一行はWSFカーニバル基地であるターミナルタワー海底部の
寒い廊下を歩き、突き当たりにある兵器廠の扉の前まで到達した。
トルセが扉の横に設置されている暗証番号入力装置のテンキーを素早く操作する。
ポーンと気持ちの良い音が返り、扉は左右にしゃっと自動で開いた。
寒い廊下を歩き、突き当たりにある兵器廠の扉の前まで到達した。
トルセが扉の横に設置されている暗証番号入力装置のテンキーを素早く操作する。
ポーンと気持ちの良い音が返り、扉は左右にしゃっと自動で開いた。
やけに明るい大きな部屋だった。あちらこちらに置かれているコンテナ等が何とも言えない存在感を放っている。
トルセはこの部屋で何か武器を渡してくれるのだろうとユールは思ったが、
ライフル型レーザー銃が壁に設置されてある固定具にずらっと並べられてあっても
ブリーフィングの時に説明された四つの大型兵器に敵うものではないと思えた。
そんな事を思い、ユールはたまらずトルセに言った。
トルセはこの部屋で何か武器を渡してくれるのだろうとユールは思ったが、
ライフル型レーザー銃が壁に設置されてある固定具にずらっと並べられてあっても
ブリーフィングの時に説明された四つの大型兵器に敵うものではないと思えた。
そんな事を思い、ユールはたまらずトルセに言った。
「こんな銃じゃ、攻めてくるあの大きい兵器に勝てるわけないじゃない!」
ライフル型レーザー銃の一つをユールは指さした。
人に対しては絶大な威力を誇る銃だが、確かにあの大型兵器四機を相手にこれでは無理がある。
ユールの言葉にトルセを除く四人の思いは一致していた。これじゃ勝てないじゃないか、と。
トルセは「あーあーそれじゃなくて」と言いながら走って奥へ引っ込んでいった。
人に対しては絶大な威力を誇る銃だが、確かにあの大型兵器四機を相手にこれでは無理がある。
ユールの言葉にトルセを除く四人の思いは一致していた。これじゃ勝てないじゃないか、と。
トルセは「あーあーそれじゃなくて」と言いながら走って奥へ引っ込んでいった。
| 121 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:38:21 ID:uYkBRPey0 |
「バレンタイン姉弟は左に、キリーは右に、ユールとクーリーは私の所へ来て」
奥に引っ込んで物陰に隠れてしまったトルセが言い、続ける。
「それぞれが行った場所にWSFの技師がいるわ。
彼らからそれぞれの兵器の説明を聞いて頂戴ね」
彼らからそれぞれの兵器の説明を聞いて頂戴ね」
もし実際にあの四つの兵器を―それが虚像であれ現像であれ―見たとしたら、
私も抑えきれない不安に駆られるだろう。人間ならば誰しも、死への恐怖は拭えない。
それを撥ね退けるため、人は宗教に縋る。居るかどうかも定かではない神を信じて。
信じれば救われる。だが、それをアテにしない者がいることも事実だ。
WSFの兵士や幹部の殆どが無宗教の人間である。
信じられるのは自分と仲間だけ、というのがWSFのモットーらしい。
どうせ、死に際には信じていないはずの神に縋るのだろうけれども。
それはさておき、そんな精神があってこそ造り出された兵器というものがある。
それがWSF総帥のエースとなる四つの大型兵器だ。
神を信じないという事はそれだけの強さを求められる。色々な面での強さがだ。
なのでその強さを持つ者の手によって造り出されたモノは、当然ながら強い。
だが、それに対抗しようとする者達もまた無宗教の集まりだ。
だから、強い武器を造り出す事が出来た。強い兵器を作り出す事が出来た。
私も抑えきれない不安に駆られるだろう。人間ならば誰しも、死への恐怖は拭えない。
それを撥ね退けるため、人は宗教に縋る。居るかどうかも定かではない神を信じて。
信じれば救われる。だが、それをアテにしない者がいることも事実だ。
WSFの兵士や幹部の殆どが無宗教の人間である。
信じられるのは自分と仲間だけ、というのがWSFのモットーらしい。
どうせ、死に際には信じていないはずの神に縋るのだろうけれども。
それはさておき、そんな精神があってこそ造り出された兵器というものがある。
それがWSF総帥のエースとなる四つの大型兵器だ。
神を信じないという事はそれだけの強さを求められる。色々な面での強さがだ。
なのでその強さを持つ者の手によって造り出されたモノは、当然ながら強い。
だが、それに対抗しようとする者達もまた無宗教の集まりだ。
だから、強い武器を造り出す事が出来た。強い兵器を作り出す事が出来た。
だから、ユール達には大きな希望があった。その推測混じりの理由は、上の通りだ。
宗教云々というのは、私の戯言であるので、軽く流してもらっても全く構わない。
大方、頭の悪い人が何か変な事を口走っているようにしか見えないだろうから。
宗教云々というのは、私の戯言であるので、軽く流してもらっても全く構わない。
大方、頭の悪い人が何か変な事を口走っているようにしか見えないだろうから。
| 122 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:44:07 ID:uYkBRPey0 |
「なんだ(なによ)これ!?」
アルベルトとアリスはいつものようにハモらせて驚いた声を上げた。
トルセに言われて歩いた先にはWSFの技師の白い制服を着た男がおり、
その脇には黒い布で隠された人一人分は入れそうなほど大きな箱があった。
技師は待ってました、と言うとテーブルクロスでもするかのように
素早く黒い布を引っ張って箱を見せた。
箱は透明なので中身がアッサリと二人には確認できた。
そしてそれが上の驚きの声に繋がっていく。
トルセに言われて歩いた先にはWSFの技師の白い制服を着た男がおり、
その脇には黒い布で隠された人一人分は入れそうなほど大きな箱があった。
技師は待ってました、と言うとテーブルクロスでもするかのように
素早く黒い布を引っ張って箱を見せた。
箱は透明なので中身がアッサリと二人には確認できた。
そしてそれが上の驚きの声に繋がっていく。
「これ、どう見てもギタフリのコントローラーじゃねぇか!」
アルベルトが叫んだ。「これが武器?ふざけてんじゃねぇぞ」とその声が叫んでいるようだ。
「これ、家庭用のものでもアーケードスタイルコントローラーのものでもないわね。
エフェクターのつまみもあるし、筐体からぶっこ抜いたって感じ」
エフェクターのつまみもあるし、筐体からぶっこ抜いたって感じ」
アリスは冷静さを取り戻そうとするかのように
努めて静かに呟くように誰に言うでもなく言った。
そう。姉弟に与えられた武器はギターフリークスのコントローラーだった。
ネックでも持ってブンブン振り回すとしても、
人には効き目は大いにあるのだろうがあの巨大兵器に敵うとは到底思えない。
技師が静かに箱を開け、そしてコントローラーを手にした。
ベルトを体に正しく巻き、普通にゲームをプレーするかのように構え、
次の瞬間にはネックを誰もいない方向に向け、
技師は赤のネックボタンを押し、思いっきりピッキングした。
努めて静かに呟くように誰に言うでもなく言った。
そう。姉弟に与えられた武器はギターフリークスのコントローラーだった。
ネックでも持ってブンブン振り回すとしても、
人には効き目は大いにあるのだろうがあの巨大兵器に敵うとは到底思えない。
技師が静かに箱を開け、そしてコントローラーを手にした。
ベルトを体に正しく巻き、普通にゲームをプレーするかのように構え、
次の瞬間にはネックを誰もいない方向に向け、
技師は赤のネックボタンを押し、思いっきりピッキングした。
ネックが赤く光った。轟音がした。赤色の何かが飛んだ。
「嘘だろ、オイ…」「こんな武器ってアリなの?」
ネックの先端から赤いレーザーが照射された。
二人はレーザーの飛んでいった誰もいない方向の果てにある壁を凝視した。
二人はレーザーの飛んでいった誰もいない方向の果てにある壁を凝視した。
照射されたレーザーを受けた壁は、高温の熱でドロドロに溶けていた。
| 123 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:51:04 ID:uYkBRPey0 |
その頃、キリーはなぜか四つのパーノゥを踏んでいた。
簡単に書けば、DDRをプレーしていたということである。
時は数分さかのぼる。バレンタイン姉弟が見せられた箱のように
キリーが見せられた箱も同じように透明で、サイズはアレの比ではなかった。
何しろDDR筐体を納めるほどの箱なのだから。どんな大きさかは容易に想像できるだろう。
そして、キリーは技師に一曲踊って欲しいと言われた。
一曲踊れと言われても、この筐体のバージョンはキリーは全く見たことが無いものだった。
WSFが独自に製作したものなのだろうか、とキリーは訝しがりながら「PARANOIA(楽)」を選曲した。
余談だが、操作系には大きな変更が無かったので、彼女はスムーズに選曲する事が出来た。
簡単に書けば、DDRをプレーしていたということである。
時は数分さかのぼる。バレンタイン姉弟が見せられた箱のように
キリーが見せられた箱も同じように透明で、サイズはアレの比ではなかった。
何しろDDR筐体を納めるほどの箱なのだから。どんな大きさかは容易に想像できるだろう。
そして、キリーは技師に一曲踊って欲しいと言われた。
一曲踊れと言われても、この筐体のバージョンはキリーは全く見たことが無いものだった。
WSFが独自に製作したものなのだろうか、とキリーは訝しがりながら「PARANOIA(楽)」を選曲した。
余談だが、操作系には大きな変更が無かったので、彼女はスムーズに選曲する事が出来た。
初代DDRが登場した時、この曲のこの譜面がクリアー出来た者は上級者扱いされた。
同作では最高BPMの曲としても知られている。その値は180。アーティスト名にもなっている。
今ではこれを軽く超える譜面を持つ高難度曲がかなりの数を数える。
それらの曲の中には簡単にBPM180を越えるものもある。物凄いスピードで大量の矢印がせり上がっていく。
そうして、プレーヤーの足はシリーズを重ねるごとに進化していった。
同作では最高BPMの曲としても知られている。その値は180。アーティスト名にもなっている。
今ではこれを軽く超える譜面を持つ高難度曲がかなりの数を数える。
それらの曲の中には簡単にBPM180を越えるものもある。物凄いスピードで大量の矢印がせり上がっていく。
そうして、プレーヤーの足はシリーズを重ねるごとに進化していった。
大のDDR好きのキリーも、その例外ではなかった。
彼女が選曲したこの曲、この譜面は、わざと選ぶ言葉を悪くするなら「玩具」と彼女は呼ぶことが出来た。
それ程の技術を彼女は持っているからだ。軽やかに、そして計画的に運ばれていく
彼女の両足や全身の動きを見ればその位のことは容易に察しがつく。
しかし、彼女は彼女にとって簡単な譜面を踏むことを「玩具で遊ぶ」とは言わなかったし思わなかった。
いや、そう言ったり思ったりする心が無かった。彼女にはそう思う理由がなかった。
やってて楽しいからやる。彼女の行動原理にはそれが組み込まれている。
その証拠として、曲の始めは乗り気ではなかった彼女の顔が、
最後の矢印を踏み終えた時には満面の笑みと変わっていた、その事実が挙げられる。
彼女が選曲したこの曲、この譜面は、わざと選ぶ言葉を悪くするなら「玩具」と彼女は呼ぶことが出来た。
それ程の技術を彼女は持っているからだ。軽やかに、そして計画的に運ばれていく
彼女の両足や全身の動きを見ればその位のことは容易に察しがつく。
しかし、彼女は彼女にとって簡単な譜面を踏むことを「玩具で遊ぶ」とは言わなかったし思わなかった。
いや、そう言ったり思ったりする心が無かった。彼女にはそう思う理由がなかった。
やってて楽しいからやる。彼女の行動原理にはそれが組み込まれている。
その証拠として、曲の始めは乗り気ではなかった彼女の顔が、
最後の矢印を踏み終えた時には満面の笑みと変わっていた、その事実が挙げられる。
「ありがとうございます。では、リザルト画面をどうぞ」
技師がそう言って曲が終了し、次にリザルト画面が出る。
その画面にはきっとAAの評価が出るはずだとキリーは思った。
そのはずは潰えた。AAの字は出ず、それどころか次に出た画面はリザルト画面ですらなかった。
その画面にはきっとAAの評価が出るはずだとキリーは思った。
そのはずは潰えた。AAの字は出ず、それどころか次に出た画面はリザルト画面ですらなかった。
「パワーゲージって…なに?」
キリーはあっけらかんとした顔で呟いた。
現れた画面に映っていたのは円柱のグラフだった。その上に「パワーゲージ」と表示がある。
そのグラフの30分の1が黄色くなっていた。
現れた画面に映っていたのは円柱のグラフだった。その上に「パワーゲージ」と表示がある。
そのグラフの30分の1が黄色くなっていた。
「見ていてください」技師が言った。
そしてフットパネルを指さし、キリーに見るよう指示した。
確かに今まで気がつかなかったが、そこには筐体に繋がるケーブル以外のもう一つの図太いケーブルがあった。
それの果てには小さな白の四角のパネルがあり、その上には空のアルミ缶が一つあった。
技師がいつの間にか手に握っていた装置の一つのボタンを押す。画面の中のパワーゲージが減少していく。
それにつれて白のパネルが黒く変色し、技師が装置の別のボタンを押した。
そしてフットパネルを指さし、キリーに見るよう指示した。
確かに今まで気がつかなかったが、そこには筐体に繋がるケーブル以外のもう一つの図太いケーブルがあった。
それの果てには小さな白の四角のパネルがあり、その上には空のアルミ缶が一つあった。
技師がいつの間にか手に握っていた装置の一つのボタンを押す。画面の中のパワーゲージが減少していく。
それにつれて白のパネルが黒く変色し、技師が装置の別のボタンを押した。
ドーン!!!と音を立て、アルミ缶は粉々に吹っ飛んでいった。
キリーはそれを見て、ただただ立っている事しか出来ず、次の選曲画面が出たことにも気がつかなかった。
| 124 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/21(日) 23:56:46 ID:uYkBRPey0 |
ユールとクーリーはトルセの後をに続いた。
屋内のライトで照らされてはいるものの、灰色のコンクリートのような床と壁と天井が、
ここはモノクロの世界なのではないかと錯覚を与える、とユールは感じた。
トルセが立ち止まった所には、先に書いた三人のように黒い布に覆われた箱が置いてあった。
だが、一つだけ違うところがあった。この二人のために用意された箱は
三人のためのそれと比べると規格外の大きさだったのだ。
屋内のライトで照らされてはいるものの、灰色のコンクリートのような床と壁と天井が、
ここはモノクロの世界なのではないかと錯覚を与える、とユールは感じた。
トルセが立ち止まった所には、先に書いた三人のように黒い布に覆われた箱が置いてあった。
だが、一つだけ違うところがあった。この二人のために用意された箱は
三人のためのそれと比べると規格外の大きさだったのだ。
「戦闘機くらいの大きさくらいはあるんじゃないかな」とクーリーがそれを見て呟いた。
「戦闘機ってどういう事よ」
「だって、ここは兵器廠でしょ?それに、こんなに部屋の中は広いんだし。
戦闘機の一機や二機くらい、置いてあっても不思議ではないと思うよ」
「だからって、わざわざあの箱みたいな物に収める必要はないでしょ」
「僕が見たところ、この箱にはステルス機能が付いていると思うんだ。
つまり、この箱に収められている物はスイッチか何かを押すと外から見えなくなる。
大事なものだって注意して運搬すれば人目についても不思議ではないよ。
あ、コレは本で読んだんだ。僕、ちょっと軍事系っていうか、そっちの方に興味があって」
「戦闘機ってどういう事よ」
「だって、ここは兵器廠でしょ?それに、こんなに部屋の中は広いんだし。
戦闘機の一機や二機くらい、置いてあっても不思議ではないと思うよ」
「だからって、わざわざあの箱みたいな物に収める必要はないでしょ」
「僕が見たところ、この箱にはステルス機能が付いていると思うんだ。
つまり、この箱に収められている物はスイッチか何かを押すと外から見えなくなる。
大事なものだって注意して運搬すれば人目についても不思議ではないよ。
あ、コレは本で読んだんだ。僕、ちょっと軍事系っていうか、そっちの方に興味があって」
クーリーの言葉の最後の方はトルセに向けられたものだった。
言い訳がましく言った理由は、トルセの目がみるみる大きくなっていったからだ。
それが驚きからかある種の恐怖からかは分からないが、彼女の目のことに関してはそうだった。
目を限界まで大きくしたトルセは目のサイズを元に戻しながらクーリーに言った。
言い訳がましく言った理由は、トルセの目がみるみる大きくなっていったからだ。
それが驚きからかある種の恐怖からかは分からないが、彼女の目のことに関してはそうだった。
目を限界まで大きくしたトルセは目のサイズを元に戻しながらクーリーに言った。
「いや、君、凄い。よくこんなものを知っているわね」
「たまたまですよ。それより、この中には何が入っているんです?
ステルス運搬のコンテナだったら、黒い布なんか必要ないじゃないですか。
それが演出だったとしても、箱の中身は一体何なんですか?僕が一番知りたいのはそれなんです」
「たまたまですよ。それより、この中には何が入っているんです?
ステルス運搬のコンテナだったら、黒い布なんか必要ないじゃないですか。
それが演出だったとしても、箱の中身は一体何なんですか?僕が一番知りたいのはそれなんです」
クーリーはそう返し、勝手に箱に近づいて黒い布に手をかけようとした。
ユールは制止を呼びかけたが、クーリーは振り返ってにこやかに笑い、黒い覆いを取り去った。
ユールは制止を呼びかけたが、クーリーは振り返ってにこやかに笑い、黒い覆いを取り去った。
| 125 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/22(月) 00:05:44 ID:uYkBRPey0 |
一つ目の箱には青い大きな立方体が収められていた。
中に反重力コアでも埋め込んでいるのか、ステルス箱の底部に
青い箱の底部は接触せずにふわふわと浮かんでいる。
クーリーは二つ目の箱の黒い布を取っ払った。
その箱の中にはエメラルドグリーンの大きな直方体が収められていた。
青い箱と同様に反重力コアを埋め込んでいるらしく、
ふわふわと浮かんでその存在感を誇示しているかのように見える。
一つ一つ、箱の中身を見せつけられたユールはうわぁ、と驚きの声を上げた。
布を引っ張るクーリーもおぉ、と何か素晴らしい芸術作品を見たかのような声を上げた。
我慢できなかったのか、ユールは緑の箱に近づいて触れようとした。
ステルス箱にユールの指が触れそうになった時、
箱の手前に水面で踊る波のような物が浮かび、ユールの手の進入を拒んだ。
そんな二人を見ていたトルセはこれら二つの箱について説明を始めた。
中に反重力コアでも埋め込んでいるのか、ステルス箱の底部に
青い箱の底部は接触せずにふわふわと浮かんでいる。
クーリーは二つ目の箱の黒い布を取っ払った。
その箱の中にはエメラルドグリーンの大きな直方体が収められていた。
青い箱と同様に反重力コアを埋め込んでいるらしく、
ふわふわと浮かんでその存在感を誇示しているかのように見える。
一つ一つ、箱の中身を見せつけられたユールはうわぁ、と驚きの声を上げた。
布を引っ張るクーリーもおぉ、と何か素晴らしい芸術作品を見たかのような声を上げた。
我慢できなかったのか、ユールは緑の箱に近づいて触れようとした。
ステルス箱にユールの指が触れそうになった時、
箱の手前に水面で踊る波のような物が浮かび、ユールの手の進入を拒んだ。
そんな二人を見ていたトルセはこれら二つの箱について説明を始めた。
「青い箱が高速戦闘機。あの緑の箱が迎撃戦闘機よ。どれも試作型なんだけど」
それを聞いたユールは「え?」と返し、クーリーと言えば「凄いですね」と答えていた。
「それで」トルセは説明を続ける。
「ユールには迎撃戦闘機に、クーリーには高速戦闘機に乗ってもらうわ」
「私が?」
「僕が、あの戦闘機に?」
「そう。この二機に適任だと思ったのはあなた達だから」
「アル達がいるじゃない。あのツインズの方が適任じゃないの?」
「あなた達を見て、バレンタイン姉弟よりは、と思ったの。
ユールは気づいていないかもしれないけど、クーリーはあなたの事を大事に思っているみたいだから」
「え?いや、僕は、その、ユールとは友達っていうか……」
「私が?」
「僕が、あの戦闘機に?」
「そう。この二機に適任だと思ったのはあなた達だから」
「アル達がいるじゃない。あのツインズの方が適任じゃないの?」
「あなた達を見て、バレンタイン姉弟よりは、と思ったの。
ユールは気づいていないかもしれないけど、クーリーはあなたの事を大事に思っているみたいだから」
「え?いや、僕は、その、ユールとは友達っていうか……」
親友?とクーリーが最後に言って変な顔をした。
ユールに対する気持ちを見破られた事やこれまでの驚きの出来事に対する表情が
入り混じったような顔だった。トルセはそんなクーリーに向けて言った。
ユールに対する気持ちを見破られた事やこれまでの驚きの出来事に対する表情が
入り混じったような顔だった。トルセはそんなクーリーに向けて言った。
「そう。親友として」
「そうよね。一瞬クーリーが私の事を好きなのかと…」
「いや、そんな事ないよ!?いや、違う、確かに君は可愛いけどさ、よくもてるし。
でも、えーほら、何て言うの、えーと、ほら、親友でいたいっていうか。っていうかそんな感じ?」
「分かった分かった。クーリーは私の親友だよ。落ち着いて」
「そうよね。一瞬クーリーが私の事を好きなのかと…」
「いや、そんな事ないよ!?いや、違う、確かに君は可愛いけどさ、よくもてるし。
でも、えーほら、何て言うの、えーと、ほら、親友でいたいっていうか。っていうかそんな感じ?」
「分かった分かった。クーリーは私の親友だよ。落ち着いて」
混乱気味のクーリーをユールがなだめ、トルセはその光景を見て微笑した。
それからバレンタイン姉弟とキリーの分であろう三つの足音がこちらにやってくるのが聞こえた。
それからバレンタイン姉弟とキリーの分であろう三つの足音がこちらにやってくるのが聞こえた。
| 126 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/22(月) 00:15:35 ID:aiYIN7ss0 |
「うはっ、これが戦闘機だって?」「嘘でしょー?」
「あなた達、これに乗って戦うの?凄いわねぇ」
「あなた達、これに乗って戦うの?凄いわねぇ」
順にアルベルト、アリス、キリーが次々に言った。
凄いだろー、とユールが返し、クーリーといえばこれは
自分には不釣り合いな武器、いや兵器ではないかと考えているような顔をしていた。
凄いだろー、とユールが返し、クーリーといえばこれは
自分には不釣り合いな武器、いや兵器ではないかと考えているような顔をしていた。
「はいはいはいはい」トルセが手を叩きながら五人の意識を自分に集中させる。
「という訳で、みんな各々の武器の取扱いは教わったよね?」
「おう」「えぇ」「はい」「え?」「いや、まだ何も…」
「それじゃ、18:00まで自由行動。何か緊急の用事があれば…
そうだ、皆のMPDの電話番号を交換しましょ。私だけ皆の電話番号や
メールアドレスを知らないもの。これじゃ不便すぎるわ」
「おう」「えぇ」「はい」「え?」「いや、まだ何も…」
「それじゃ、18:00まで自由行動。何か緊急の用事があれば…
そうだ、皆のMPDの電話番号を交換しましょ。私だけ皆の電話番号や
メールアドレスを知らないもの。これじゃ不便すぎるわ」
その言葉で五人は自分の個人情報の一部をトルセに伝えた。
トルセはありがとうと微笑みを返し、そして、出口に案内すると言って後についてくるように言った。
言われた通りにトルセの後をついて行く一行。
あの寒い廊下を歩く途中、ユールとクーリーは最後尾のポジションについていた。
寒さのせいで体を微かに震わせながら、ユールはクーリーに耳打ちした。
トルセはありがとうと微笑みを返し、そして、出口に案内すると言って後についてくるように言った。
言われた通りにトルセの後をついて行く一行。
あの寒い廊下を歩く途中、ユールとクーリーは最後尾のポジションについていた。
寒さのせいで体を微かに震わせながら、ユールはクーリーに耳打ちした。
「ねぇ、クーリー」
「え?どうしたの?」
「私たち以外の皆は各々の武器のレクチャーを受けたって言ってたっけ?」
「どうもそうみたいだね」
「おかしくない?」
「どうして」
「だって、私達だけあんな扱いの難しそうなモノを使わされるんだよ?」
「うん。それは光栄に思わなくちゃ」
「そうは思うけど、でも、アレでしょ?
そんなものを使わせるのにマニュアルの1ページも寄越さないなんて、どう考えても変よ」
「それはそうだけどね、それは次の集合の時に渡されると思うよ。
まぁそんなに気を負う事はないんじゃないかな。大丈夫だよ、きっと」
「え?どうしたの?」
「私たち以外の皆は各々の武器のレクチャーを受けたって言ってたっけ?」
「どうもそうみたいだね」
「おかしくない?」
「どうして」
「だって、私達だけあんな扱いの難しそうなモノを使わされるんだよ?」
「うん。それは光栄に思わなくちゃ」
「そうは思うけど、でも、アレでしょ?
そんなものを使わせるのにマニュアルの1ページも寄越さないなんて、どう考えても変よ」
「それはそうだけどね、それは次の集合の時に渡されると思うよ。
まぁそんなに気を負う事はないんじゃないかな。大丈夫だよ、きっと」
クーリーの楽観的な返答にユールは次第に頭に血が上っていた。
自分のために、恐らくは変に不安や焦りを募らせないように、そう答えたのかもしれない。
しかし、それはその時のユールにとって不快感を与える返答以外の何物でもなかった。
自分のために、恐らくは変に不安や焦りを募らせないように、そう答えたのかもしれない。
しかし、それはその時のユールにとって不快感を与える返答以外の何物でもなかった。
| 127 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/22(月) 00:28:11 ID:aiYIN7ss0 |
「ねぇクーリー、私達、今日には死ぬかもしれないのよ」
「大丈夫だって。僕たちは絶対に死にはしない」
「どうしてそんなに楽観しているの!?もうちょっと危機感を持ってよ!」
「ユール、落ち着こうよ。君がそんなにイライラしたって…」
「私がイライラしているのは、クーリーの態度よ!
もういい、もう私に口をきかないで!!」
「大丈夫だって。僕たちは絶対に死にはしない」
「どうしてそんなに楽観しているの!?もうちょっと危機感を持ってよ!」
「ユール、落ち着こうよ。君がそんなにイライラしたって…」
「私がイライラしているのは、クーリーの態度よ!
もういい、もう私に口をきかないで!!」
ユールは冷たく言い放ち、そしてそっぽを向けてしまった。
クーリーはといえば、怒っても不思議ではなかったのだが
彼は申し訳なさそうな顔をして、しかし謝罪の言葉を述べるきっかけが見つからなかった。
周りにいた彼ら以外の人々は、どうすればよいのかよく分からない表情を浮かべ、
そして黙って先に進むことにした。二人も無言でそれに倣って歩きだした。
クーリーはといえば、怒っても不思議ではなかったのだが
彼は申し訳なさそうな顔をして、しかし謝罪の言葉を述べるきっかけが見つからなかった。
周りにいた彼ら以外の人々は、どうすればよいのかよく分からない表情を浮かべ、
そして黙って先に進むことにした。二人も無言でそれに倣って歩きだした。
それからターミナルタワー屋上に戻ってきた一行は
18:00までに時間厳守でここに集合することを確認し直してから一度解散した。
バレンタイン姉弟の二人は早々にタワー屋上の散策に出かけた。
それを見送ったクーリーがユールに声をかけるが、ユールはそれを無視して
何の為に行ったのかは分からないが、恐らくはメトロに乗るためにタワーの下へ戻っていった。
それを見たクーリーの顔にはさらに落ち込みの影が濃くなった。
そんな彼の様子を見ていたキリーがクーリーに声をかけた。
18:00までに時間厳守でここに集合することを確認し直してから一度解散した。
バレンタイン姉弟の二人は早々にタワー屋上の散策に出かけた。
それを見送ったクーリーがユールに声をかけるが、ユールはそれを無視して
何の為に行ったのかは分からないが、恐らくはメトロに乗るためにタワーの下へ戻っていった。
それを見たクーリーの顔にはさらに落ち込みの影が濃くなった。
そんな彼の様子を見ていたキリーがクーリーに声をかけた。
「あなたの態度は間違ってはいないわよ」
「でも、ユールにとっては問題があった。だからあんな態度を……」
「そうね。あなたに導いていってもらいたかったんじゃないかしら」
「導く?僕が?」
「そう。あなたがユールの手を取って行くべき方向へ導くの。
そして彼女に良い方向へ彼女を導かなければならないわ」
「でも、ユールにとっては問題があった。だからあんな態度を……」
「そうね。あなたに導いていってもらいたかったんじゃないかしら」
「導く?僕が?」
「そう。あなたがユールの手を取って行くべき方向へ導くの。
そして彼女に良い方向へ彼女を導かなければならないわ」
それだけを言ってキリーはクーリーから目をそらした。
クーリーはしばし沈黙し、一度鼻水をすすったような音を立ててから口を開いた。
クーリーはしばし沈黙し、一度鼻水をすすったような音を立ててから口を開いた。
「キリー」
「なに?」
「僕の誕生日は1月31日なんだ」
「それで、それが?」
「その日の…誕生花の花言葉って、知ってるかい?」
「知らないわ。花については詳しくないの」
「なに?」
「僕の誕生日は1月31日なんだ」
「それで、それが?」
「その日の…誕生花の花言葉って、知ってるかい?」
「知らないわ。花については詳しくないの」
そうだよね、そう見えるもん。そうクーリーは言って、そして続けた。キリーはクーリーの顔を見ながら聞いた。
「僕の誕生花は『しろたえぎく』っていう花。花言葉は『あなたを支える』って言うんだ」
そう言ったクーリーの声はどこか震えていて、そして彼の両眼がどこか潤んでいるように見えたのは、錯覚ではないかもしれない。
| 128 :carnival (re-construction ver) Phase 2 -covered truth-:2009/06/22(月) 00:38:48 ID:aiYIN7ss0 |
ここに、この物語は二つ目の段階を終えた。
ユールを気遣おうとしたクーリー。
クーリーのその態度にイラついたユール。
どちらも自分は正しいと思った事を成していたし、
どちらの言い分、理由も正しい。私はそう思う。
ユールを気遣おうとしたクーリー。
クーリーのその態度にイラついたユール。
どちらも自分は正しいと思った事を成していたし、
どちらの言い分、理由も正しい。私はそう思う。
この後から作中の18:00までの各登場人物の
その後を描こうかと私は思ったのだが、意外にコレが面倒臭い。
申し訳ないが「疲れるから」というふざけた理由で割愛させて頂こうと思う。
暇があれば書こうとは思うが、その暇は見つかるだろうか。
もし見つかっても、それを書く気には到底なれないだろう。
その後を描こうかと私は思ったのだが、意外にコレが面倒臭い。
申し訳ないが「疲れるから」というふざけた理由で割愛させて頂こうと思う。
暇があれば書こうとは思うが、その暇は見つかるだろうか。
もし見つかっても、それを書く気には到底なれないだろう。
次の「Phase」ではいよいよ闇の手勢がカーニバルへと襲来する。
とんでもない兵器をもってして迫る闇。
それに対抗するに相応しい武器をもって立ち向かう主人公たち。
危機を前に距離を開いてしまったユールとクーリーの仲は修復できるのだろうか。
それらの要素を楽しみに、次の「Phase」を待っていて欲しい。それでは、次のプロローグで。
とんでもない兵器をもってして迫る闇。
それに対抗するに相応しい武器をもって立ち向かう主人公たち。
危機を前に距離を開いてしまったユールとクーリーの仲は修復できるのだろうか。
それらの要素を楽しみに、次の「Phase」を待っていて欲しい。それでは、次のプロローグで。