アットウィキロゴ
創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki

carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle- St.8

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
管理者のみ編集可
20 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:56:04 ID:kEvpSScR0
 クーリーが新しく使える切り札の認証コードを言おうとした時、
頭の中に誰かの声が響いた。その声は、彼がよく知る人物にそっくりだった。

(クーリー!クーリー!)
「まさか…ユール?」

 無線ではない。突然、アルベルトと話している途中に切れてしまったのだから。
だとすると、これは幻聴なのだろうか…

(クーリー!聞こえる!?)
「ユール…ユール!君なのか!?」

 ユールの名を呼ぶのは久しかった。今まではログとかノエル1としか呼べず、
フラストレーションが溜まったせいだろうか。クーリーの口から出る言葉は興奮に満ち満ちていた。

(今、烏と交戦しているの)
「何だって?」
(アレは鷲じゃない。烏よ。クーリー、気分の方は?)
「僕の心配をするより、自分の心配をした方が良い。
 いま直ぐにそっちに行く。ユール、最後の切り札だ。こいつで勝負を決める」
(分かった。クーリー、今そっちに烏を誘導しているから、そこで待ってて!)

 オーケイ!クーリーはそう返し、そして涙を流していた。
烏賊の墨に精神を冒され、そしておかしくなってしまった自分が恥ずかしい。
そんな自分をさらけ出してしまっても、ユールはいつものように振舞ってくれたのだ。
もしかしたら自分を気遣っているのかもしれないが、とにかくそれが嬉しくてしようが無かった。



 クーリーのレーダーに赤い光点が現れた。
その方角を見ると、巨大な烏とそれにまとわりつく黒い点が見えた。

「あれはユールか!?あっ、ルセさんが…!」

 クーリーと同じく身を潜めていたルセが、急発進してユールの加勢に向かっていった。
彼女の後に続くクーリー。切り札をスタンバイしたままバルカンで攻撃を仕掛けていく。

21 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/02(水) 00:03:01 ID:m7OVOhQn0
 ユールは片手でP-UFOの操縦を、もう片方の手で携行型重火器を持って戦っていた。
通常、P-UFOでは考えられないアクロバットな機動をもってして
翼で打つなどの攻撃を避けつつ、的確に一発一発を烏の体へと撃ち込んでいく。
それでも烏は攻撃の手を緩める事も無く、何処かから煙を上げて壊れる事も無かった。

「あんな下らない童話の真似をして、何が楽しいっていうのよ!!」

 ユールは敵のあまりのタフさ加減に怒りを覚えていた。
いつの間にかルセとクーリーが自分の加勢に来てくれていたが、
三人分の攻撃をもってしても烏が倒れる気配はない。

 ほんの少し前からだが、ユールはテレパシーのような力を使う事が出来た。
それでクーリーと意思の疎通を取る事が出来たのだが、ルセとは取れないようだった。
こちらが念じて相手に自分の意思を伝える。相手の意思は相手の肉声を通して伝わる。
そんな能力を使ってユールは再度クーリーとコンタクトを取る事に決めた。

(切り札、撃てそう?)
「ダメだ、奴の機動はとても速い。正直言ってついていけない。
 ユールはよくあんなのについていけるね」
(そう?…それより、ダメージを蓄積させて動きを止めないと。
 ルセが敵を拘束する兵装を使わないのは、きっと彼女もついていけないから?)
「多分ね。だから、今は君が頼りだ」
(分かった。私を信じていて。こんな童話の産物なんかに負けやしないんだから!)

 ユールはそう念じてクーリーに送り、烏の真正面からP-UFOを突っ込ませる。
烏は両方の羽を閉じて自らを守るようにしてユールを迎え撃つ。
 それに対して、ユールは右手に構えたロケットランチャーに「光の力」を流しこんだ。
ロケットランチャーが白く発光したのを見てピク、と烏が微妙に動きを見せた。
ユールの行動が烏の予想に反していたのだろうとかいうのは分からないが、
とにかく、ユールはロケットランチャーの形をした発光体というべき代物を烏に投げつけた。

 それから、ユールは右手を首のネックレスへと持っていく。
P-UFO操縦の役目を担った左手を離して烏へと向ける。
左手の掌は開かれている。
その手のくぼみに白い光が集まる。

「こうすれば撃てる!こうすれば撃てるの!!こうすれば――!!!」

 自分に言い聞かせるように叫ぶユール。
三度目の叫びの途中で、彼女の左手から白い弾が飛び出す。
しかし、ユールの撃った白い弾の標的は烏ではなかった。
標的となったのは、烏へ向かって放物線を描いて投げられたユールのロケットランチャーであったのだ。

22 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/02(水) 00:05:57 ID:m7OVOhQn0
 一発撃ってダメージを与えられないのなら、一気に何発も撃ってダメージを与えればいい。
それが出来なければ、一気にドカンとやってしまえばいい。
ユールが自分の投げたロケットランチャーを撃った理由は、そんな簡単な発想だった。
もちろん、ただロケットランチャーを投げつけ、破壊させるだけではだめだ。
ユールはそれを見抜き、効果的にダメージを与えられるように光の力を流しこんだのだ。

 ユールの作戦の成果は……烏の翼に初めて目に見えるダメージを与える事が出来た。
パラパラと翼を覆う装甲が剥がれていき、海面に着水して沈んでいくのが見える。

「よしっ!どんどん行くよ!!」

 ユールは自らを鼓舞してP-UFOから飛び出した。
右手には大剣の姿に戻ったマキナが握られている。
マキナを手にしたユールは、恐らく高威力兵器の弾体のように見えただろう。
 烏はそんな突撃を敢行したユールを食い止めるために翼を閉じ続けた。
少女と巨大な烏の激突。どちらの力も殆ど同じ程度であった。
だから、ユールは烏を突き破る事も無く、烏がユールを撥ね退ける事も無い。
凄まじい力の衝突が継続しているからか、ユールは重力を無視して烏と激突していた。
普通なら重力に従って海面へと落下していく。しかしそれはなかった。
あらゆる法則を無視する、そんな力同士が衝突し続けていた。


 クーリーはユールと烏の激突を見た瞬間、ユールが自分に何を求めているのかが分かった。
十数年もの付き合いだ。相手が何を言わなくても何をして欲しいかくらいは分かる。そう、理解している。
 クーリーは烏の頭上に位置取り、切り札の発射準備を整える。
新しい切り札「ラストスタンド」はいつものようにIIDXのプレーによる認証を要さなかった。
白鍵を押すだけで、クーリーはこの新しい切り札を撃つことが出来る。

「最後の抵抗か……いいや、これは最後じゃない。
 僕らにとって、まだ中間点にしか過ぎない……」

 クーリーはそう呟き、そして白鍵を押した。
すると、目の前が全く見えなくなるほどに機体前面にエネルギーの凝縮体が現れ、直ぐに発射された。


「ぎゅおぉぉおぉお」とでも表現すれば良いのか迷う音が
烏と激突を続けるユールの耳に入った。音源は頭上。確信する。クーリーの準備が整ったのだ。
ユールはわざと力を抜いて激突から離脱、重力に従って落下していく。
力をぶつける相手を失った烏は、少し前進して一瞬の隙を見せる。
この一瞬の隙に、クーリーの切り札の初弾が烏に撃ちこまれた。

23 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/02(水) 00:11:06 ID:m7OVOhQn0
 「ラストスタンド」は強力無比なエネルギー弾を秒間3つの間隔で撃ち続けるものだった。
一発の威力が烏に確かなダメージを与えるものである。
それが秒間3つも当たるとなると、当然のことながら、烏の高度は次第に下がっていく。
これが一分間にも及ぶ猛攻となるのだから、
3×60=180発ものの高威力弾体がはじき出す攻撃力は、凄まじいという表現を軽く越える。

 総計180発もの弾体を浴びてもなお、烏はまだ飛行を続けていた。
飛行とはいっても、海面擦れ擦れの超低空飛行ではあったのだが。
 全身の駆動系統は殆どが駄目になった。それでもまだ墜落はしていない。
そう、烏のメインコンピュータを乗っ取った「全てを破壊するもの」の名を冠した闇はまだ諦めていなかった。
 この異常な耐久力は闇の力でもって、どうにか工面しているからだろう。
ノイズ混じりでいながらの自然な声で、烏が恨めしそうに言う。

「くそ、まだまだやれる!必要最小限のパーツだけ残して他をパージすれば…!」

 言い終わると、バラバラと烏の装甲が音を立てて剥がれ落ち、
それらは全て海に落ちる。海面から上がった飛沫が月の光を照り返す。
以前と比べると、明らかに威圧感が無くなった烏が羽ばたいて少しだけ高度を稼ぐ。

「どうだ!見てみろぉ!!まだまだお前らなんてぶっ殺せるんだよォ!!!」

 うおおぉおぉぉ!!!!と雄叫びをあげる烏。
クーリーとルセの二人は臨戦態勢を整えた。が、その必要はなかった。


「ナイン!お前はこれでお終いだ!!」
「そうだね!行くよマキナ!!…えぇい!!!」

 二つの大きな声がした。その後、ピアノのような鍵盤楽器風の音色が二度響く。
それからあっという間もなく、烏の二つの翼が機体から剥がれた。
烏は何かを言う暇もなく急速に高度を下げ、そして海に沈んでいった。

「ちくしょおぉぉおおお!!!誰がやったんだあああぁあぁあああ!!!!!」

 断末魔を上げていく烏の姿は、次第に海の底へと消えていく。


先程まで烏が滞空していた所に何者かが浮かんでいた。

 その人物は、腰にまで届く漆黒の髪を持つ、並より上の顔立ちをしている少女。
黒のロングコートと暗めの色の服と、動きやすい黒のズボンを身につける少女。
その少女の右手に握られているのは、どう見ても不釣り合いな大剣。
例えるなら……ライトな雰囲気を持つ、聖夜の夜に現れた魔女。 ……こんなものだろうか。

26 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/05(土) 23:40:46 ID:dnkqKzva0
 いつかルセの言っていた言葉を覚えているだろうか?

「そのうち、空、飛んじゃうんじゃない?」

 光の力はどんなものにも変換できる。あらゆる力に変換できる。
それは例えば、光弾を撃つための光弾が持つ熱量、エネルギー自体に変換される。
高速移動する際の推進力になる。強烈な威力を持つ打撃を放つための威力になる。
そして、ユールが空を飛ぶための、浮遊のための力となっている。

 ユール達と烏の戦いに終止符が打たれた。
ユールはP-UFOを捨て、烏への正面衝突を試みた。
そこで彼女は離脱し、次に烏を襲ったのが、クーリーの切り札「ラストスタンド」である。
これは、これまで撃ったどの切り札も比較にならない威力を秘めていた。
そんなものを喰らえば、流石の烏も超低空飛行しか出来なくなっただろう。
 そこにP-UFOを捨て、宙に浮き続けるユールの見えざる斬撃である。
真空波のような物を飛ばして(その点では9の「ステルス」に通じる)
烏の両の翼を切断し、烏を海中へと没せしめた。

 浮遊を続けるユールは、比較的被害の少ない第二ブロックへと降り立った。
何とも言えない心地よさを心に留めながら、クーリーにテレパシーを送る。

(クーリー、やっと終わったね、全部、終わったよ)
「まだ、全部じゃない」
(……総帥、いいえ、全てを回帰へと導くものがまだだった)
「そう。奴を倒して、この戦いは終わり」
(クーリー、無線は使えないまま?)
「……そうだね、もう一度試してみたけど、駄目だった」
(マキナが言ってるんだけど、光の力も闇の力も、色んなものに変えれるんだって)
「例えば?」
(例えば……電力とか)
「はぁー……そりゃあ、とても便利だね」
(電力だけじゃないよ。熱にも変えられるし、冷気にする事だって出来る)
「何でもありだな」
(そうよね。だから、全てを回帰へと導くものも自身の形を変えられる。たぶんね)

 そうユールがテレパシーを送った直後に割り込むように、ネックレスに戻ったマキナが言う。

『1000年前の9がそうだった。奴は自分の姿を獣に変えてきたりしていた』

 ユールはクーリーとのテレパシーを切ってマキナと話す。

「マキナも同じように?」
『そうだね。最初に君にに話しかけた時、こういうふうにしていたはずだ』
「……そういえば。それで、思ったんだけど」
『何を?』
「全てを回帰へと導くものが、ターミナルの基地に何かの形で入ってきて、無線を切ったとは考えられないかな」

27 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/05(土) 23:43:50 ID:dnkqKzva0
 ユールは適当に言ったのだろうが、それは合っていた。
女の勘、というやつなのだろう。マキナは少し考えるように間をおいてから言った。

『それは大いに考えられる。闇もコンピューターウィルスのような形にもなれるはずだ』
「となると、ウィルス説で考えると…どうやって相手を倒せばいいんだろう?」
『君の光の力でターミナルの基地にいる闇を取っ払う。吹き飛ばすんだ』
「でも、本当にターミナルにいるのかな……」
『考えてみて。今までに色んなトラブルがあった事を思い出すんだ。
 プロフェッショナルの集まる場所で、あんな失態が続くと考えられる?
 事前情報の間違い、管理体制の不備…色々挙げられるでしょ?ちょっと考えればわかる』
(それが全部闇の力によるものだって言うの?)
『その可能性は高いって言ってるんだ。確かにいるかどうかは分からない』

 そうね、と言ってユールはクーリーにテレパシーを送る。

(なんか、ターミナルタワーに闇がとりついているらしいの。
 そのことがこれまでの不自然に繋がるみたいで、
 私だけが何とか出来そうなんだけど、私、出来るのかな?)
「……よく言葉が分からないけど、ユールにしかできない事なんでしょ。
 ユールにしか出来ないって事は、僕は君の成功を信じるしかない。頼むよ、ユール」
(ありがとう、クーリー……ちょっとやってみるね……)

 ユールはここでテレパシーを切った。
そして両方の腕を伸ばしてターミナルへと向ける。
掌がターミナルの下、WSFの基地のある方へと近づくと、次第に熱を帯びてくる。

「掌が熱い!」
「きっと、そこに全てを回帰へと導くものがいる。そこに光の力を流し込めばいい」
「力の動かし方のコツは掴んだ。きっと、こういう事よね?」

 ユールの二つの掌から白い霧のようなものが流れ出た。
それはターミナルの基地へと動き、そことユールを光の線で結んだ。
 両手から光の霧を出し、ターミナルタワーへとそれを送る少女の姿は
月の明かりに照らされていて、妙に神秘的であった。
光の霧が消え、ユールの掌の熱が去った時、自分の無線機がざざっと音を立てた。

「こちらノエル2!誰か聞こえるか!?」

オールコネクションで聞こえてくるその声はクーリーのものだった。
思わず彼の名を呼びそうになったが、そこはぐっとこらえて応答に出る。

「こちらノエル1!ノエル2、聞こえてるよ!」
「そうかぁ、良かった!お、ルセさんとも繋がってるみたい。応答願います!」
「はい、こちらルセ。さっきの凄かった!ログ、あれが光の力ってやつ?」
「えぇ。さっき烏に止めを刺したのも、いま無線を回復させたのも、そう」
「グッジョブ、ログ!さ、一度基地へ帰還しましょう。
 タワーの屋上の一部が開いているから、そこに入って。
 ログは空を飛べるから…着いたら歩きで中に行って頂戴。出来る?」
「出来るよ!それにしても、生身で飛ぶのって気持ちが良いの!」
「それ、いいなぁ…」

 高所恐怖症だったはずのクーリーがそう呟いた。戦いのなかでそれを克服できたのだろう。

28 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/05(土) 23:48:29 ID:dnkqKzva0
 最初にユールがふわっと浮きあがってターミナルタワー屋上を目指した。
クーリーが「レディーファースト」と言ってユールとルセを先に移動させたのだが、
直ぐに自分で切り札を撃った反動で、移動可能なだけのエネルギーがない事を明かした。
 しばらく時間を置けば、行動可能になる程度のエネルギーが回復するという。
その無線を聞き、ユールは浮遊しながら空を見て、そして誰に言うでもなく呟いた。

「月が綺麗ね…」

 ユールは今の今まで戦いに集中していて
月が姿を現していることすら気付かなかったのだ。そんな彼女の呟きにマキナが相槌をうつ。

「気付かなかった?」
「気付けなかった、と言うべきかもしれない。だってあんな戦いをしていたもの。
 ……総帥は、いいえ、『全てを回帰へと導くもの』は今どこで何をしているんだろう…」

 ユールが話題を変え、マキナは考えているのか少し黙り、声を発した。

「さっきユールが奴のコントロールを解いた。
 だから基地の能力も回復するはずだ。
 そちらとの通信が可能になったら、ちょっと聞いてみないか?」
「何を?」
「奴とコンタクトをとったかどうかだ。
 それさえ分かれば、奴が憑依する総帥の体の居場所は絞られる」
「へぇ。じゃあマキナ、ちょっと聞くけど、あなたの予想ではどこにいそうなの?」
「これまでに獅子、蠍、烏賊、鷲…鷲は鷲ではなく烏だったけど、そいつらを倒したんだから…」
「倒したから?」

 ユールのその言葉に、マキナは答えるべきかどうか迷っていたようだ。
が、答えはあっさりとした口調で返された。


 「次は宇宙からやってくると思うよ」


 ユールとルセの移動が終わり、クーリーも移動できるようになったと思われた時だった。


 空からピンク色の光線が、一瞬の間に五本照射された。
照射された四つの箇所は海で、照射された海面だけが蒸発している。
もう一つの箇所はクーリーの機体だった。
ばごん。そんな気の抜けた爆発音を響かせ、クーリーの機体がゆっくりと高度を下げていった。

29 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/05(土) 23:54:21 ID:dnkqKzva0
 ピンク色の光線が五本照射された音も、
クーリーの機体が爆発した音も、ユールの耳にしっかり届いていた。
何が起きたのかは理解できたが、どうしてそうなってしまったのかが理解出来なかった。
どうして、あのレーザーが、クーリーに当たった?

「痛みがない……根幹までもがやられたとでも?
 くそ、無線は通じるか……?全員に告ぐ!ノエル2は完全に行動不能!
 グラビティコアのエネルギー生成能力が異常値を示している!
 動けば機体の大破は免れない!脱出装置もダウンしている!
 ……僕に残された道は死ぬことしかない!!……くそっ!!!」

 クーリーが無線で叫んでいた。他の人たちのざわめきも聞こえる。
ユールはそれらを聞いた。その内容を理解した。だが、どうしてこうなった?

「……このままだと機体が海面に落ちる。ちょっとの衝撃でも与えたらアウトだ。
 着水予測時間が残り約6分。それまでの間、ノエル1と話させてくれ。
 あと、厳重なプロテクトもかけておいてほしい。
 彼女といつものように話したい。それが、僕の望みだ」

 誰に言うでもなくクーリーは言った。
先の動揺に満ちた叫びの後の発言とは思えないほどに落ち着いていた。
それはきっと全員の耳に届いたのだろう、他の人達のざわめきが消えていった。
クーリーがそれを確認してから、ユールにログコネクションで語りかけた。

「最後のお願いが二つあるんだけど」
「……」
「僕は君をいつものようにユールと呼ぶ。君も僕をクーリーと呼んで欲しい。これが一つ」
「うん……」
「もう一つは、さっき言った僕の犯した罪、その話をしたい。まぁ、懺悔だ。いいかな?」
「いいよ。でも、クーリーは、本当に死んじゃうの?」
「残念だけど。ユール達には本当に申し訳ないと思う」
「私が、私がクーリーを助ける。光の力で。それでいいでしょ?」
「触れられただけでアウトなんだ。誰の助けも借りられない。
 だから、このまま死ぬしかない。いつの日だったか忘れたけど……
 地球を破壊するほどの大きさの隕石が落ちてきた夢を見たって話、覚えてる?」
「ごめん、覚えてない。というか、初耳かも……ごめん」

 ユールが申し訳なさそうに返す。いいんだ、とクーリーが言って続ける。

「夢の中で僕は散歩をしていた。どこに行くってわけでもなく、そこら辺をうろうろしていた。
 で、空が熱いなぁと思ったらね、赤く燃えてこっちに突っ込んでくる隕石が見えた。
 やたらリアルだったし、感覚が現実に感じるものに近いし。得てして夢ってそういうものだけどさ。
 でね、その夢の中で僕は死んだ。目が覚めたらベッドの上だ。
 夢で死ぬ体験はしたからね、だから、今が怖いかと聞かれても、怖くないって返すさ」
「でも、私はクーリーのいない生活を体験していない。例え夢の中であっても」
「そうだね……で、小学校の時に犯した罪を、ここに告白しようと思う。いいかな?」
「いいよ。それでクーリーに悔いが残らないのであれば」

30 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:06:14 ID:vb59bTD70
 小学一年生の頃だった。入学式から日は浅いから、まだ春だった。
君も覚えていると思うけど、何故か僕と君はいつも同じ教室にいたね。
 で、一年生の時に出来た友人がいてね。男の子なんだけどさ。
入学から一週間とちょっとが経って、その彼が僕に一通の手紙を渡した。
彼には好きな人がいたようでね…初恋ってやつだね。
それで、その好きな人に近い僕に、この手紙を渡してくれって頼んだんだ。
今どき珍しいと思ったよ。ラブレターなんてさ、メールで送る人が殆どだからね、今もだけど。

 で……彼の好きな人は僕の好きな人でもあったんだな。
だから、僕はこの手紙を渡す事によって、僕と彼女の妙な関係を壊す事になったら、と恐れた。
それでね、僕の家に大きな暖炉があるでしょ?クリスマスになったら大きな丸太を入れているアレ。
パチパチと音を立てて燃えるそこに、僕は迷いなく手紙を放り込んだ。
手紙は直ぐに燃えて炎になった。灰になって、どこかへ消えた。

 それで…一日経って、彼から結果はどうであったかを聞かれたんだ。
彼女に手紙を渡していない僕は、こう答えるしかなかった。渡したはいいが、断られたって。
そう言ったさ。全くの虚構を、僕は初めて口にしたかもしれない。
彼は残念そうな顔をして、そして僕に言ったんだ。あの言葉はよく覚えている。

「そうか……じゃあクーリー、お前があの子を、ユールを……見守ってやってくれよな」

って言われたんだ。その時僕は……僕は、泣いていた。



 これが、クーリーの犯した罪だった。そして、ユールに特別優しくする理由だった。
これを読んで、大した事をしていないと感じる人もいるだろう。
それとは間逆で、とんでもない事をしでかしたと憤る人もいるだろう。
はたまた、別に何も感じないという人もいるだろう。
 十人十色だ。誰もがそれぞれの思った感情を抱く。全く同じ感情は抱けない。
だから…ユールの感情は、彼女の言葉を通してしか、知る事が出来ない。

31 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:08:45 ID:vb59bTD70
「私…」

 静かにユールが言った。

「私は、怒ってなんかない。
 流石に当時に聞いたら怒ってたかもしれないけど。
 でもね、クーリーが悪いと反省して、それでクーリーなりに成長したなら。
 それならね、私はいいと思うんだ。全然問題ない」
「ユール……」
「ねぇ、モンドさんの言葉、知ってる?」
「WOSの設立者の?」
「うん。モンド・スミスさん」
「……ごめん、知らないんだ」

 ユールは意外そうな顔をした。クーリーの知識量はユールのそれを上回っていたから。

「『成長は猛省と共に訪れる。人は罪を犯し、それを償おうとする過程でのみ成長する』」
「初めて聞いた」
「これ、クーリーの事を言っているみたいじゃない?」
「僕はあの時から成長なんてしてないさ。君を大切にすることしか考えてないんだから」
「でも、私にマイナスになるような事はしてないんでしょ?
 だったら、それはクーリーがとても成長したって事だと思うの。
 それに『光の力の引き出し方』もクーリーは一人で発見したの」
「それって?」
「それはね、クーリーが言ってたんだよ。
 人を信じて、理解して、人から信じられる人になるって」
「……言ったね、確かに。僕は、それを目指してきた」
「クーリーがどう思ってるかは分からないけど。
 私はクーリーはその目標にとても近づいてると思う。いいえ、達成したと訂正する」
「そうかな?」
「そうよ。じゃないと、今の私もいない。
 あなたをシンボルとした私の信条が存在しない。人は、ホントは良いんだって。
 根っからの悪人なんて、存在しない。その信条が、存在しない」
「性善説でも性悪説でもないよね…ユールらしくって、とてもいい考えだと思う。
 どうか、それを大切に思い続けていて。……それじゃ、あと30秒だ」

 ユールはその言葉を受けてから数秒黙った。カウントダウンが進む中、彼女は口を開く。

「これでクーリーと話が出来ないなんてね…もう、会えないなんてね……」
「僕は死んで、もうこれから音ゲーが出来なくなったり、
 ユールと面と向かって話したりできなくて残念だけど、まだ生き続けられるよ」
「え?」
「僕はユールの中に生き続ける。空に還ったとしても、僕はユールの中で生き続ける。
 ……だから、本当の最後のお願いだ。叶えてくれるかな?」
「うん」
「……僕が死んでも、時々で良いから、僕の事を思い出してほしい。
 そうじゃないと、ユールの中で生きられなくなるから。……どうか、お願いします」

 ユールはそこで少し間を開け、そして言った。 

「だいじょうぶ。クーリーの願いは、必ず叶える」
「ありがとう。これで、後悔しないで死ねるよ」


 直後、爆発音が轟く。そして、少女の泣き声が静かに響く。

32 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:14:47 ID:vb59bTD70
 烏は倒した。クーリーは死んだ。だが、まだすべては終わってはいない。
総帥を操る「全てを回帰へと導くもの」との決着がついていない。

「クーリー……」
「ユール、ここで泣いちゃ駄目だ。
 彼は、君に悲しみに浸っていて欲しくは思っていないはずだ。……僕がそうだった」

 ユールの呟きにマキナが言う。
彼はナインこと「すべてを破壊するもの」との最終決戦で死んだ。
そんな彼の言葉には重い説得力があった。
マキナの言葉を受けたユールは無線を使って本部と連絡を取った。

「こちらノエル1。ノエル2が死亡した……そうだ、敵の位置はどこ!?」
「十中八九、宇宙圏内にいる。大気圏内にあんな攻撃が出来るものは確認できない」

 応答したのはルセだった。いつの間に……と思う間もなくルセがまくしたてる。

「宇宙空間からの攻撃となると……駄目、こっちには対抗手段が何もない!」
「何もって、何も無いの?」
「そう。本当にお手上げね……あの攻撃を見た限りでは、
 再攻撃までにはまだ時間がある。試し撃ちをしたのかもしれない」
「試し撃ちって……彼は死んじゃったんだ!!」
「それは分かってる。でも、今はこの状況に集中して。
 私達は、私達の兵器の中にあんなレーザーを照射できるものを知らない。
 総帥が一から創り出したのかもしれない。でも、今はそれが問題じゃない」
「そうよね、ごめんなさ……そうだ、良い考えがある。ちょっとだけ耳を貸して……」


 この時、ユールの中に浮かんだ構想はとてもシンプルなものだった。
自分の光の力を使って、宇宙にいると思われる敵を攻撃するというものだ。
私に言わせれば、音楽ゲームのように指示されたからタイミング良く操作、というのと変わりない。
例えがおかしかったかもしれないが、それだけ純粋に単純な構想であった。 

「それ、出来るの?」
「ルセも見たよね。私が離れた位置から烏の翼を断ち切ったのを」
「アレをやるの?」
「応用を利かせるの。アレの応用は…光線を撃つ。敵をかき消してしまう程の」
「光線、ねぇ…あ、ログ、ちょっと聞きたいんだけど」

 ルセが訊ねた。ユールは一体何を聞きたいのかを問い、それを知った。

「今爆発した機体、あなたが乗っていた支援機もそうなんだけど、
 アレには莫大なエネルギーが詰まってる。それって吸収できないかな」

33 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:18:52 ID:vb59bTD70
「そういうものを吸収って出来るの?」

 ユールはマキナに小声で訊ねた。マキナは考えるそぶりも見せずに即答する。

「出来る。電力だったり、熱だったり、闇の力だって吸収して自分のものにできる」
「マキナに言わせれば出来るそうなんだけど」
「じゃあ、ちょっとやってみせて」

 それだけを言ってルセは無線を切った。


 ユールはクーリーが搭乗した機体が爆発した海面を見た。
そこには青色の霧がたちこめていた。機体の色と何の変わりもない。
 ユールはそこに両手を重ねて向けた。
頭の中で青い霧を掌に吸い込むイメージを思い浮かべて、実際に吸い込み始めた。

「…色んなものが、私の中に流れていく」

 ユールが独り言を言った。

「その中には、きっと、彼もいるかも」
「そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。
 でもクーリーは、私の中で生き続けていく。私が死ぬまで、生き続けるよ」
「そうかもしれないね。いや、そうじゃないかもしれないね…」

 それから二人は黙っていた。ユールはエネルギーの吸収に集中しなければならないし、
マキナも喋ってユールの気を散らそうとは考えていなかった。
それから30秒もたたない内にユールが呟いた。

「……終わった」
「どう?どんな感じ?」
「さっきよりも、体の内側から力が溢れだすような…それに、心も暖かくなった」
「良い事じゃないか」

マキナが言って、そして続ける。

「あそこにいる敵は、もう烏のように黒に染められているはずだ。
 だからもう、生半可な攻撃は効かない。下手に挑めばしっぺ返しを食らう」
「私の光の力と、さっき吸い上げた力だけじゃ足りないの?」
「はっきり言うよ。足りない。アレをクリアー出来た人間はそれ程いないからね」
「アレって?」
「何でもない。こっちの話だよ。それより、こうしてみたらどうかな…」

マキナの言葉に耳を傾けるユール。マキナの言葉が終わった時には、彼女の顔には驚きが広がっていた。

34 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:24:36 ID:vb59bTD70
「はぁ!?そんなことしたら、あなたが死んじゃうでしょうが!!!」

 ルセは怒鳴っていた。怒鳴られていたのはユールだった。
これが本来のルセの姿だ。先に登場したウィーグルも少しばかり恐れるほどの。


 何故ユールが怒鳴られなければならなかったのか。その理由は少しさかのぼる。
マキナはユールに、キリーが担当するパワー生成装置について説明したのだ。

「カーニバルを建てた時から存在するパワー生成装置?」
「あぁ。君の友人が、多分それの担当をしているはずだ。DDRで遊んで、力を作る。
 力ってのは何にでも変換できる。その意味では光や闇の力に共通するね」
「じゃあキリーが担当だね。それで、それが第一ブロックと第二ブロックを結ぶ橋を壊したの?」
「そう。それだけでも大変なエネルギー量になると思うでしょ?
 ところが、それ程のものでもないみたいなんだ……何が言いたいか分かる?」
「分かった。橋を爆破した時は大してエネルギーを使っていなかった。
 私が全部のエネルギーを吸収して、敵にありったけの力を込めた攻撃をぶつける!」
「そういう事。それじゃ、ルセと相談してみようか……」


 そしてユールがルセにそれを提案し、そして怒鳴られてしまったという話だ。
予想もしていなかった大音声に耳を痛めながら、ユールは反論する。

「でも、相手がどんな奴か分からないでしょ?
 常に全力で臨まないと、絶対に敵は倒せないよ!」
「知ってる?教えちゃいけないんだけど教えてあげる。
 橋の爆破に使ったのは5/30程度だった。
 単純計算であれだけのエネルギーの六倍、
 けれども単なる倍数計算で結果が求められない。どういう事か分かる?」
「…加速度的にエネルギーの総量は上昇する」
「頭が良いのね。だったら、その良い頭でよく聞いてよく考えなさい!
 全部のエネルギーは大型核弾頭十発分に相当するのよ!!」

 世界を終焉へと導くことのできる負の遺産、それが核兵器だ。
第三次世界大戦の背景として、それは色濃く歴史の教科書には書かれている。
一発でも放たれたら大変なことになる核兵器が、十発分。
それを聞いてユールは一瞬頭をふらっとさせた。だが、一瞬だった。

「それがどうしたっていうの?敵を倒すのには不足なんてない!」
「そんなものを吸収して、宇宙空間に放出して、そしたらどうなると思う?
 間違いなくカーニバルは、あんたの攻撃の反動を受けて跡形も無く崩壊してしまう!!」

35 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:33:52 ID:vb59bTD70
 何だ、そんな事か。ユールは素直にそう思った。

「別に大したことじゃない。カーニバルを壊そうなんて思ってもいない。
 自分が空に昇って、そこから攻撃をすればいいだけの話。ね、そうでしょ?」
「…ログを信じよう。おい、彼女に全部のパワー生成機の力を…」

 無線の奥で「了解」と声がしたと同時に、ターミナルタワー屋上の床が強烈な光を発した。
ユールは自分が大木になったと想像し、その大きな根で莫大なエネルギーを
吸い上げていくのをイメージし、実際に足元から吸い上げていく。
 徐々にタワーの床の光が弱くなっていき、最後には元のように光らなくなった。
大型核弾頭十発分という驚異のエネルギーを吸収したユール。
彼女の体はそんな吸収に耐えられたのだろうか。

「……全部…吸い取ったよ、マキナ………」

 疲労困憊した声でユールが言った。
彼女の体は立っているのがやっとという感じだ。
マキナは信じられない、と返してから続ける。

「体、大丈夫じゃないよね」
「当り前じゃない…」
「ユール、僕を構えて。早く」

 マキナに指示され、ユールはどこか無気力な様子でネックレスを引きちぎり、マキナを大剣に変えた。

「……もし、無理かもしれないって言ったら?」
「僕は何とも思わない。でも、彼はとても悲しむだろうね」
「…彼?」
「そうさ。君の中で生き続けているって言った彼だよ」
「……クーリーのこと?」
「うん。君の中に生きているんだろ?
 苦しんでる君の中に生きる彼も、きっと苦しんでる。
 でもね、絶対にクーリーは、諦めてしまう君の姿なんか見たくないだろうね」
「……どうしてよ」

 クーリーはいつも自分を気遣ってくれたじゃないか。
私が苦しんでいるなら、癒してくれるはずじゃないか……
そう思っていたユールの心に、マキナの言葉がずぶりと突き刺さる。

「勝手なこと言って申し訳ないんだけどね。
 きっと彼なら、自分がどれだけ苦しんでも構わないだろうさ。きっと彼ならね。
 でも、彼は君が苦しんでいるのには耐えられないだろう。たとえあの彼であっても。
 さらに言うよ。君がそこで諦めようってんなら、きっと彼はもう一度死ぬことを選ぶだろうね!!」

36 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:38:44 ID:vb59bTD70
 マキナの叫びを聞いて、ユールは自分の心が壊されたような思いをした。
そしてそれと同時に、心が急速に再建されていくような感覚もあった。


 そうだった。クーリーは自分の中に生きさせて欲しいって言った。
そして私が生かすって言った。そうだ、クーリーは自分の中に生きているのだ。
 今や私は、私ひとりのために生きているのではない。
クーリーと共にこれからも生き続けなければならない。
それを…マキナに言われるまで忘れてしまっていたのだ。

「クーリー、ごめん。私はきっと……絶対にやってみせるから」

 ユールはそう呟き、そしてふわっと空に浮きあがった。
ゆっくりと高度を上げていくユールの体。
それを迎えるように照射される、クーリーを殺したピンクのレーザー群。
ユールに向かって照射されたレーザーは、不可視の障壁によって軌道を捻じ曲げられた。
光の力による現象だ。もうここまでくれば何でもありだ。
 ユールはタワーの屋上から5000メートルほど浮上した。
眼下のものが小さな点に見えてしまう程に高い位置にいるユールは
ゆっくりとマキナを自分の胸の前で構え、その切っ先をレーザーを放つ巨大な黒点に向ける。
もうこの高度まで上昇すれば、敵の姿もどうにかして見えることが出来ていた。

「こちらログ。そこの大きな飛行機に告ぐわ。危ないからそこをどいて」
「話は聞いている。計算ではこの位置が安全圏だと出ている。遠慮なくやってくれ」

ユールとイロンの短い会話が交わされ、そしてユールは目を瞑った。


  今日は色んな事があった。


 カーニバルに遊びに行ったり、途中の喫茶店で不味いオススメの飲み物を飲んでみたり。
不思議な子供に会ったり…そういえば、彼はこのことを予見していたような。何者だろう?
まぁいいや。私自身のルーツを聞かされてびっくりした事の方がもっと重要だから。
 そして、いつも一緒にいる皆がこんなに心強い存在だという事に気づけた。
私が思っていたよりも、クーリーはずっとすごい人だってことに気づけた。
そのクーリーは死んじゃったけど、私の中に生き続けている。
 そのことをもう一度気づかせてくれたのはマキナだ。
これまでに私を支えてくれた多くの人が、とっても大切だという事に気づけた。

 ただ遊びに来ただけだと思った一日が、私に教えてくれた。

  私は、多くの人たちに支えられて存在しているんだ。

 だから、自分の勝手で全部を台無しにしようっていう闇を、このまま許すことはできない――!!!

37 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/06(日) 00:45:07 ID:vb59bTD70
 私の限界はここまでだった。
自分でもその天井を突破できたような気はするが、だが駄目だった。

 何にも目的を達成できていないのだ。
ここで今一度、私の抱いていた目的を明かそう。
前にも書いていたかもしれないが、今抱いている目的の方が正しいはずだ。

「2999年12月25日に起きた『カーニバル事件』の真相を描く」

「この時代での文化などの背景を伝えていく」

 これが今現在に私が抱いている目的だ。
前に書いたものと違うというなら、こちらが正しい目的になる。
言い訳になるが「不変のものなど存在しない」という言葉がある。私はそう思う。

 この「Phase」の物語は前の項で完結を迎える。
私は長いものを書くというのが初体験であるので、十分に納得のいく結末にはならなかった。
手にした資料の不足もその原因となっているのだろうが、明らかに私のレベルが足りていない。
私は限界を超えたと自覚した。だが、それでは駄目だったのだ。


 ここで、私では駄目であったのだということを謝らせて下さい。
本当に、本当にここまで読んでくださった方には申し訳ないと思っています。





 …思いついた。


 私がこれを書くきっかけになった事、それから続く様々な出来事。それらを書けば。

 カーニバル事件のその後を描くことができる。果たせなかった目的も果たせる。

 …もう少しだけ、この愚かな私に、付き合っていただく時間を。もう少しだけ、お願いします。




コメント

名前:
コメント:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー