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夏休みの出来事

最終更新:

beatnovel

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628 :旅人:2007/11/28(水) 00:47:05 ID:Y+FNBFj70
ある男子高校生は五百円玉を左手に握り締め、近くのゲーセンに自転車を走らせた。
その日の天気は晴れ。
自転車を走らせるにはとても良い歩道の状態だった。

彼が家を出てから十分程経った頃、彼のホームとなっているそのゲーセンの前に彼は自転車を停めた。
そして自転車にホームセンターで売っているような鍵をかけて、ゲーセンの自動ドアを抜けて中に入っていった。

彼はドラマニにはまっていた。
夏休み前に友人とこのゲーセンに来たときに初めてプレーして、
意外にも面白かったので遊び続けている、というのがはまった理由である。
彼はUFOキャッチャーやメダルゲームの筐体が林立する入口付近を歩き、音ゲーコーナーに足を踏み入れた。

ちなみにこのゲーセンには、ドラマニとギタフリ筐体がそれぞれ二台、
ポップン筐体が三台、弐寺筐体が二台、DDR筐体が1台、太鼓筐体が二台ある。

629 :旅人:2007/11/28(水) 00:53:05 ID:Y+FNBFj70
二つあるドラマニ筐体は、1つがプレーされていて、もう1つが故障中だった。
彼はドラマニをプレーしてる細身の男の後ろに離れて立って順番を待っていた。

その男は軽々とlv70台の曲をクリアーしていく。
それは彼にとってみれば信じられない光景である。

そしてエクストラステージを出し、その男はコンチェ黄を選曲、プレーし始めた。
最初は順調にコンボを繋いでいっていた。
が、中盤でその男はジェットスティックをやらかしてしまった。
男は諦めたのか、スティックを取りに行くことも無く呆然とイスに座っていた。

その男は排出されたe-PASSをしょんぼりした様子で取って、後ろを振り向いた。
彼の目には見た感じ16,7歳位の男子が映っていた。
しばらくその男子を彼は見つめていた。そして細身の男は高校生に言った。

「僕が、全然上手くない奴だと思っている?」

「いいえ、僕からしてみればあなたはとても上手い人ですよ」

そう高校生が言うと、細身の男はありがとう、と返した。
そして続けた。

「昔、ここじゃないゲーセンの常連たちに馬鹿にされたことがあってね。
結構な間ドラマニをやっていなかったけど、久しぶりにやってみたんだ。
けど、ジェットして君が後ろから笑っているんじゃないかと思ってた。
けど、君には申し訳なかった。
勝手に被害妄想に駆られて、変な事聞いちゃって」

いえいえ、いいんです。高校生は男にそう言った。
そして両替した百円玉を受け入れ口に入れた。
細身の男は彼の後ろに立って順番を待っていた。
彼はスタンダードを選択、そしてチェリー緑を選曲、そしてB評価でクリアーしていった。
彼は小さなため息をついた。そして彼は後ろの男に言う。

「初めてやったとき、見下されると思ったことって無いんですよ。
けど最近はどう思われてるのかなって気になって仕方が無くて。
あなた、僕の事をどう思っています?」

男はこう答えた。

「初心者さんは人の目を気にしないで、好きなようにプレーしていったらいいよ。
人の目なんか気にしていたら、ゲームなんて全然面白くないでしょ?」

その出来事から約半年がたった今年の冬でも。
こういう風に客同士が交流しているから、そのゲーセンの音ゲーコーナーは平和である。
多分これからもずっと、平和である。



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