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ど田舎ゲーセンの怪 -後編-

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103 :旅人:2008/08/01(金) 22:33:34 ID:SiosApE90
 小暮探偵らが松木ゆうの車を調べていた時、町田は何をしていたのだろうか。
ここからは小暮たちの行動を敢えて書かず、町田の行動を書いていく。

 町田はIIDX筐体から落ちた後、岩肌がごつごつしている所に着地していた。
いや、着地なんてものではなかった。尻を思い切り打ち付けたので、しばらく動けずにいた。
痛みが引くのを待って、それから町田は尻をさすりながら歩き出した。
こんな所にいても仕方が無い。
先程小暮の名を呼んでも返答が無かった事から、自分が彼と遠く離れていることは 分かっていた。
彼に助けを求められない以上、どうにかして自力でこの洞窟のようなところを抜け出さねばならないと町田は思ったのである。

 町田が歩き出して一時間後。
すっかり尻の痛みも無くなり、左手で尻をおさえる事も無く右手で彼女から見て右側の壁を触りながら歩いていた彼女は、
今までの細い通路からかなり開けた場所へ出たのだった。
どこかの球場のように広いそこは、天井に小さな正方形の穴があり、そこから光が差し込んでいるために辺りの地形を確認し易いと町田は思った。
そして、視線を上に向かせる。何故、岩石の洞窟を正方形の形でくりぬく事が出来たのだろう?一体どんな手段でそんな事を成し遂げられたのだろうか…
そんな事を町田は考えて、答えは出ないのだろうなと思ったその時。後ろで何かが動いた感じがした。
存在感が自分の後ろからにじみ出ている。誰?と問いかけながら彼女は振り向いた。そこに居たのは二人の子供だった。

 二人の子供は共に男で、まだ小学校三年生くらいの年齢であった。
そんな事を聞きだした町田は、ここは君達の秘密基地か何かなのかと問うと、そうであるし、そうでもないと答えられた。
 どういうことなんだろうと町田は思ったが、自分には関係の無い事をあえて色々突っ込むのは面倒くさいと思えたのでそこの追求をやめた。
しかし、ここから出るための道は知りたい。この二人ならこの洞窟の出入口か何かを知っているに違いない。
そうでないと私も彼らも困る…そういう動機があって、町田は彼らに聞いた。
「洞窟の出入口って何処にあるの?」

「出入口?そんなの無いよ」

「だって、ここは半分君達の秘密基地のようなところなんでしょ?」

「そうは言ったけど、そうでもないって言ったよ」

「じゃあ何で君達はこんな所にいるの?」

「だって」

 そこで二人のうちの代表が口を止めた。町田が「日本人だから」と本当に一部の人にしか分からなさそうな言葉
を言って、代表にその続きを言うように急かせた。町田の真意を汲み取ってはいないだろうが、代表が続けた。




                 「だって僕ら、捨てられたんだもん」

104 :旅人:2008/08/01(金) 22:35:09 ID:SiosApE90
「捨てられた…?」

そう呟いたのは町田であった。捨てられたとはどういうことか。

1.この二人は親に「いらない子」として捨てられてしまったから。
2.単純な悪戯。
3.町田の気をひきたいから。

 どう考えても1の意味だ。誰がどう考えようが、絶対に1の意味でしかこれは捉えられない。町田はそう思って、二人の子供達に話しかけた。
「捨てられたって、親に?」

「そうだよ」

「何で?君達、なにかいけない事でもやらかしたの?」

 ここは田舎だ。なにか古くからの因習が根付いていて、それによって彼らはこんな目に会ってしまったのだろうとも町田は思えた。
それで彼女は、どうにかして明日中にはここを脱出したい旨を子供二人に伝えた。
「お姉ちゃん、何でそんなに早く出たがるの?」

「私、ここには旅行で来ているの。だから、帰る時間までには戻らないと…」

「そう。分かった。出口を一緒に探そう!」

 代表が言って、もう一人もそうしようそうしようと言った。町田はそれを見てなんだか嬉しくなっていた。

 それから何時間かして。昼間の二時三時といった辺り。洞窟の頂点の正方形の穴から声が聞こえた。声といっても
男二人の怒鳴り声であった。

「いくら今回のターゲットが女性とか、ランカー級の腕前を持つ音ゲーマーとか…
そういうの関係無しに、社長は色々と首を突っ込みすぎていると思います。それに…」

「言わないでくれ」

「言わせて下さい!」

「黙ってくれ!」


 何だ、彼らの会話は…ターゲットが女性?ランカー級の腕前?社長?
 音ゲープレー時にしか冴えない町田の脳が、急激に覚醒していく。そしてある一つの結論に至った。


 あれは、私がここに落ちる前の事だと思う。私の後ろで小暮君と知らない男が何かの話をしていた。
確か知らない男の方が「社長」だったような気がする。小暮君も一応は「塾長」とか「私立探偵事務所長」のような「長」がつく仕事をやってはいるが…
知らない男は多分「ゆ」が最初につく人だと思う。ゆう、という名前だったろうか………?
まぁその人は確か「何でも屋」の社長のはずだ。小暮君が彼に、いや、多分「彼ら」に依頼した可能性は十分ある。

105 :旅人:2008/08/01(金) 22:36:35 ID:SiosApE90
 子供達が上を見上げて彼らの話を聞いていた。彼らの大きな話し声が聞こえなくなった後、子供達は町田に近づいた。
何、どうしたの?と町田は呼びかけたが、子供たちの目が先程とは違うのに気づいて後ずさった。
彼らの目は狂気に満ちている。町田は上擦った声を子供たちに向けた。

「な、何…?き、きき君達、どうしちゃったのよ?」

それに答えることなく、代表の子供がズボンのポケットから何か布のようなものを取り出した。
そして、もう一人の子供にそれを手渡し、布を受け取った子供が同じくズボンから香水のビンのようなものを取り出し、蓋を開けてそれを振った。
何かの液がそれに散布され、その液に濡れた布が代表の子供の手に返された。

「ど………毒?」

町田が答えが望める訳もないと分かりながらも、子供たちに聞いた。

「死にはしない。」

子供達は町田の予想を裏切って即答し、そして代表の子供が町田の首元に飛びついて布を強引に口元に当てていく。
町田の意識が急に薄らいでいく。気を失っていく感覚ではなかった。
急に眠くなるような…あぁ、さっきの香水のビンのあの液体は、眠り薬だったのか……と思ったのを最後に、町田は深く眠ってしまっていた。 

 その頃、松木ゆうは多田と共に「落としババア」という妖怪の手がかりをつかむ為に山を登っていた。
途中で口喧嘩もしたが、それ以外は何も問題なかった。もっとも、その喧嘩も丸く収まっていたのだが。
 口喧嘩を終えてから一時間以上が経ったが、落としババア(彼らはオトバと呼称する。以下、落としババアの事をオトバと表記する)
に関する手がかりが全く掴めていなかった。オトバは二人が登っている山の洞窟に棲むと言われているのだが、
伝承は伝承、と言わんばかりに洞窟が全然見つからないのである。

 多田がゆうに休憩を提案したが、ゆうはそれを却下した。それでも多田は「靴紐を結ぶ」と言ってしゃがみこんだ。
丁度その時だった。ゆうは「うわあぁぁぁぁ」とエコーのかかった声で叫び、どこかへ消えてしまった。多田は、

「社長!」

と呼びかけながらゆうが立っていた所まで駆け寄り、そこに人一人を落とすことが出来る落とし穴を確認した。

「オトバ…だと?まさか、まさか…!」

多田がゆっくり振り返り、そこに異形を見た。妙に背の高い老婆。だが、人の体とはどこかが違う。骨格だろうか。
白い体毛を持っている。どこか猫背気味だ。………まさに妖怪って感じじゃないか。多田はそう思って駆け出した。
今まで通ってきた道を戻って帰るのは長すぎる。もう山頂付近まで来ているのだから。どうすればホテルに直ぐに戻れる…?
 多田はいまだかつて無いスピードで頭を回転させ、一つの妙案を思いついた。ここからはホテルの外観全てを見回
す事が出来る。つまり、ホテルのある方角が分かるし、山の斜面に逆らわずに走っていけば案外直ぐに山を下りられるのではないだろうか?
…いける。いけるぞ、この作戦!
多田はそう思って直ぐに走った。



「社長、直ぐに皆に働きかけてどうにかしますからね!待っていてください!」




「うわあぁぁぁぁ!」とゆうは叫びながら落とし穴に落ちていた。
正確に言うと、まるでウォータースライダーか公園の滑り台で遊んでいるかのようにして滑っていた。
穴の作る道に傾斜があったから、そんな風になっている。
 ゆうは土の中にある小石などで体中に傷を作りながら滑っていた。
「痛たたた」という彼の声もザーッ!という摩擦音に掻き消されていってしまっていた。

106 :旅人:2008/08/01(金) 22:39:00 ID:SiosApE90
 ゆうが穴に落ちてから15秒は経ったかという時に、彼は穴の出口から放り出された。
穴の出口は地面と水平に開いていたのだ。盛大に尻餅をついてから、ズボンの尻についた汚れをポンポンとはたき、それから周りを見渡す。
そこは、地下牢のような場所だった。自分の目の前には鉄格子があり、残りの三方は全て土壁で固められている。
 そして、ゆうはもう一つ重要な事を見つけた。この鉄格子と土壁で造られた独房の隅に、一人の女性が倒れていたのだ。
ゆうに対して背を向けて横になっていて、肩が僅かに上下している事から彼女が寝ているのだと分かる。
 ゆうは女性に近づかず、先に鉄格子の方を調べた。ゆうから見て右端の方に扉となる部分がある。
鎖と南京錠さえ無ければ、簡単に押し引きが出来て脱出できそうだった。
 ゆうが閉じられた扉をガチャガチャやったせいか、背を向けて寝ていた女性が目を覚ました。
ここは…?と呟きながら彼女は立ち上がる。そして後ろを振り返ってゆうの姿を確認した。

「あなたは…?」

「僕の名前はゆう。少し前に落とし穴に落ちて、ここへやって来ました」

 ゆうはそれだけを言って、さっきまでの経緯を話した。
自分が何でも屋とゲーセンの経営者、つまりは社長みたいな存在である事、小暮と言う依頼主からMACHIという女性を探している事……
ゆうが続きを言おうとすると、女性はゆうにこう言った。

「それ、私よ。やっぱり小暮君が私の事を探してくれているんだ。あなたとあなたの仲間達と共に」

「MACHIさん、小暮探偵にたいそう心配されているみたいですね」

「だって、私と小暮君は友達だもん。音楽ゲームで繋がった友達だもん、そんな簡単に諦められちゃ困るわ。
それに、小暮君は立派な探偵よ。ハッキリ言わなかったけど、あの事件…大桟幕橋爆破未遂事件を解決したのよ!」

 町田の「小暮は大桟幕橋爆破未遂事件を解決した」という発言を聞いたゆうは、えぇ!?と本気で驚いた。
それにはある特別な理由があったからだ。その理由を紹介してみよう。



 実はこの事件は全国的に報道された。マスコミの報道した態度はあまりよろしくなかった。
(音ゲー並びに他のゲームを叩いたりとか、それに煽られた一般人が関係の無いゲーマーを叩いたりとか色々)
それでも一部の人々はある噂を聞き、その中の一部の人はそれを信じた。
「小暮と言う探偵が、事件を解決に導いた真の人物」という噂が、ネット上で飛び交った。
それはゆうも目や耳にした事があったが、彼はそれを半信半疑の態度で認識していた。

 だから、二回目に小暮探偵と出会った時には内心、この人は噂の人と同一人物なのだろうか?と疑問を抱いていたのだった。
町田の発言で、小暮探偵と噂での小暮探偵が同一人物であると言う事を確信したゆうは、一つの真実に行き着いた。

「小暮探偵は実は事件を解決していなかった。
解決したとしても、事件解決に貢献できた割合としては恐らく半分程度か…?小暮探偵は、事件を丸まる解決した訳ではないのでは?」

 ゆうの仮説は良い所までいっていたが、これを町田本人や小暮本人に確認を取るわけにはいかなかった。だから、
ゆうは第三者で事件の真実に最も近づいたという事になる。………細かい点で相違点が生じるものであるが。


 それから、ゆうは町田と色んな話をした。ゆうは町田の名前を聞いたり、町田はゆうの素性を確かめていた。
それから、これからどうしようかという話になり、話の中でゆうがこう言った。

「前に何かのカンフー映画で見たような気がするんですが、濡らした服を鉄格子に巻きつけて、それを棒か何かに結
んで回して鉄格子をこじ開けるんです。映画の中では、服を濡らす方法が少々汚いものでしたが…」

「あ、それ私も見たことがある!あのシーンとっても面白かったなぁ…」

「あの方式で行こうかと思いましたが、流石に汚いし棒の代わりになる物が何処にもありませんからね…」

「あ~駄目かぁ」と町田が言って、ゆうは「でも、どうにかしてあなたは助けます。約束します」と誓った。

107 :旅人:2008/08/01(金) 22:41:38 ID:SiosApE90
 そんな会話が終わってから何時間か経った。ゆうが腕時計を見ると、それは18:20を指していた。
もう六時ですかとゆうが呟いて、そろそろ寝ましょうかと町田に言った。どうして?と町田が訊ね、ゆうがそれに答える。

「僕たちが今出来ることは特にありません。万一の為、僕は車のダッシュボードとトランクに『ある物』を積んで
います。今は言えませんが、明日になれば僕の部下達、いいえ仲間達が助けに来てくれます。それまで、ここで大富
豪かスピードでもやって夜を過ごしますか?一応僕はトランプ一式、持ってはいるのですが」

「いや、そんな気はさらさら起きないなぁ・・・分かった。起きてても無駄だから、さっさと寝る事にする。
それじゃあゆうさん、お休みなさい。布団もベッドも無いけどね」

シャワーもありませんからね、熱い湯を浴びたかったとゆうは返して、町田に倣って横になって目を瞑った。
ゆうは、自分が急速に眠気に襲われるのを心地よく思いながら、眠りについた…


 夜が更け、日が昇り、緑泉村に鳥のさえずり声が響き渡る。その頃には農家の人が何かしらの作業をしていたりする。
時間は朝の5時である。それからも時間が経ち、ゆうと町田はずっと眠ったままでいた。

 ゆうが放り出された穴の下に、彼の上着が置かれてあった。
これは彼の作戦の一部であり、これが無いと作戦に支障をきたすかもしれないと彼は踏んでいた。
 町田にはこの作戦の全容どころかほんのさわり程度でも伝えていない。むしろ、少しでも知られて余計な行動をしてもらっては困るからだ。
 5:30をゆうの腕時計が指した。それから数秒して穴の方からなにかが滑り落ちる音が聞こえてくる。
その音は次第に大きくなり、そして一番大きくなった時にフッとその音は消えた。同時に、穴から何かが吐き出された。

 銀色の拳銃である。古めかしいリボルバー式の拳銃。それと共に宙に舞うのは、拳銃同様に銀色に塗装された紙箱であった。
中身は拳銃の銃弾のようであるが、ただのそれとは呼べそうも無い。


 宙を舞っている拳銃と紙箱はバシッと何者かによって掴まった。両腕を伸ばしてそれを取った者は、飛び起きて直ぐに行動したゆうである。
右手にリボルバー、左手に紙箱を掴んで、紙箱をズボンのポケットに押し込んでから立ち上がり、クルクルとリボルバーでガンプレイをしていた。
それからグリップを握り、紙箱から弾を取り出して弾を詰めてから狙いをつける。鉄格子の右端にある、南京錠と鎖に銃口が向けられる。

 バァン!と大きな銃声が独房の中で響いた。何!?と町田は飛び起き、銀色のリボルバーを持ったゆうを見て後ずさった。
かなり小さな声で町田はゆうに話しかける。

「ねぇ、何でそんなものを持っているのよ…?」

「さっき、仲間がこの穴に落として渡してくれました。それで、あの南京錠を撃ちました。だから、ここから出る事は可能です。
さぁ町田さん、一緒にここを出ましょう。寝起きなのは分かりますが、ついてきて下さい」

ゆうはそう言うと先に小さな扉を蹴り開けた。くぐるようにしてその扉を抜け、町田もそれに続く。
左右に土の床でと壁と天井で出来ている道が延びているが、ゆうは右に進む事に決めた。
町田に「どちらの道から運ばれましたか?」と聞いても良かったのだが、ゆうと初めて出会った状況から、恐らく眠らされていたのだろうと考えるのが筋だった。

108 :旅人:2008/08/01(金) 22:43:06 ID:SiosApE90
 ゆうが町田の手を引いて小走りで道を進んでいくと、町田が二人組の子供たちと話をしたあの開けた場所へやって来た。
町田がゆうに、ここで子供たちと出会って彼らに眠らされた旨を伝えると、ゆうはこう返した。

「もしかしたら、彼らは憑依されているのかも」

「え?どういうこと?」

「普通の子供なら、無抵抗の人間に危害を加えるなんて無茶な芸当だと思いませんか?
まぁ、怒り狂って我を忘れたり特殊な訓練を受けて、容赦なく誰かを殺せる冷徹な精神を持った子供だったとしたら…ありえない話ではないですが」

そうだけど…と町田が言って、ゆうの発言の続きを待つ。町田の様子を見て取ってゆうが続ける。

「落としババア…昨日説明しましたよね、あなたを落としたかもしれない妖怪の事ですが」

「うん」

「それが子供たちを操っているのかもしれません。
あの独房に骨が無かっただけで、オトバが人肉を食らっているのかもしれません。
かなり適当に喋っていますが…あの子供たちはオトバに利用されているだけかと思うんです」

 だから…とゆうは続けながら後ろを振り向く。その時にそう、と呟くように言いながらリボルバーを構える。そしてそのままか細い声で続けた。

「出て行ってもらいます」

町田は、ゆうがいつの間にか後ろにいた子供たちに銃口を向けているのを見て叫んだ。

「やめなさいよ!あなたどうかしている!」

「どうかしているのは、この妖怪です…!」

一瞬の躊躇いがあってから、ゆうはリボルバーのトリガーを引いた。横一列に並ぶ子供たちのどちらにも銃弾はか
することなく、二人の頭の間の空間を飛んだ。そしてそれは不可視の「何か」に命中する。


 この世のものとは思えないほどの絶叫が、その開けた場所で響き渡った。聞いた者を恐怖で震え上がらせる声。
町田は心の底からの恐怖に襲われたが、ゆうは何とか平常を保っていた。町田がゆうの隣で恐怖の絶叫を上げる。
そんな町田に対し、ゆうは彼女のみぞおちに一発拳を入れて気絶させた。これから起きるであろう事に耐えられそうもなさそうだからである。

109 :旅人:2008/08/01(金) 22:44:16 ID:SiosApE90
 「何か」は撃たれてから何秒かインターバルを置いて姿を現した。猫背で背が大きく、体毛は全て白い。
痛みを叫ぶその声はゆうの心の奥にある本能…「恐怖」を呼び起こさせるものであったが、どうにかしてゆうは気を保っていた。

「あと一発、あと一発ぶち込んでやる…!」

それだけを思ってゆうは姿を現した「何か」、恐らくは落としババアであろう老女の姿をしたその異形に立ち向かっていた。
ガタガタ震える指で、気力だけでトリガーを強引に引く。バァンと大きな銃声を立てて弾丸は異形に飛んでいった。


 その時、ゆうは信じられないものを見た。異形が手で何かをつまむ動作をしたのだ。
銀色に光る小さな何かは一体何なんだ…?とゆうは思考し、一瞬でその答えを導いた。
奴はゆうの撃った弾をつまんで、自分へのダメージをゼロにしたのだ。

「そんな馬鹿な…これはフィクションか何かか?」

その存在自体が架空でありそうな異形に向けて、ゆうはポツリと呟いた。
そして、横にさせている町田を抱えて異形から距離をとった。
異形は一歩も動こうとせず、二人の子供の頭に手をかざして何か小さな声でぶつぶつ言っている。
まるで何かの呪文のようだ…とゆうが思っていると、子供達が町田を抱えたゆうに襲いかかってきた。何処に隠し持っていたのか、包丁を持っている。
チッと舌打ちをして、町田を軽く放り投げるようにして子供たちから離してリボルバーを構える。
狙いは、町田と話していた時の代表格の頭であった。彼らだって自分に銃口が向けら
れていると知れば、すこしは怯むのではないかと思っていた。


 ゆうの予想は全く外れていた。リボルバーを狙いを代表の子供の頭につけても、子供たちは止まらなかった。
悪態をつきながら、ゆうは左足で地面を蹴って包丁の構えが甘い、狙いをつけていなかった方の子供に向かっていった。
そして右足で顔面に蹴りを入れ、子供の体を吹き飛ばさせる。ゆうが蹴りを入れた子供の手から包丁が飛んで
宙を舞った。それをゆうは絶妙のタイミングで腕を伸ばして掴み取り、もう一人の子供と対峙する。

 包丁を持った代表格の子供が、奇声を上げながらゆうに走って襲い掛かる。
その突進をゆうは体を一回転させるように動かして避け、回っている間に子供の腹を切りつけた。
傷は浅いが、子供相手なら泣き出すくらいのダメージを与えた…とゆうは思ったが、子供は泣き出しもせず、ただただゆうに向けて殺意の眼差しを向けていた。


 再び子供がゆうに攻撃を加えようとした時だった。ゆうの耳に聞き覚えのある音楽が聞こえてくるのだ。
音の発信源はゆうと町田が捕らえられていた独房である。
「来たぞ…」とゆうは呟く。音楽が聞こえてきてから、落としババアに対する恐怖も薄らいでいくような気もしてきた。
独房からゆうも町田も聞いた事のある声が大音量で流れる。

110 :旅人:2008/08/01(金) 22:46:00 ID:SiosApE90
「wow,year come on!I'm MIchael a'la'mode.Let's do the moneymaking as me. Are You Ready?」

「IIDX GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOLD!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

二つ目の発言は、ゆうとマイケルさんの同時に発せられたシャウトであるが、気持ちゆうの方が大声でシャウトしている。
流石に子供も警戒したようだが、もう遅かった。

「Make it! Make money!」

ゆうはそうノリノリで歌いながら、物凄い速さの右ストレートを子供に向けて繰り出した。
これには子供も面食らっただろうが、そんなことは知ったこっちゃないと言わんばかりに、ゆうは

「Make it! Make money!」とか

「year!year! I become a milionaire!」

と歌いながら紙箱から銀色に輝く弾丸を取り出して、それをリボルバーに詰めていく。
オトバは「コイツ一体何なんだろう」と言いたげな視線をゆうに送りながら、ゆうに向かって歩き出した。
オトバの手の爪が音も無く段々伸びていく。その爪はどんなものでも切り裂けそうな、そんな鋭さを光らせていた。


 オトバがその爪の射程範囲内にゆうを入れて、その爪で彼を切ろうとした時、ゆうは言った。

「Year year year, Make it?」

言い切った直後に「1st style!」と叫びながら一発、オトバの腹に向けてリボルバーの弾丸を撃ち込んだ。
完全にがら空きだった腹を狙われては、弾をつまんで無力化するなど出来ないだろう。
続いてゆうは「Sub Stream!」と叫び、腹を押さえているせいで突き出ているオトバの頭を撃った。
撃たれたオトバは、頭を思い切り弾かれたかのように後ろから倒れこみ、ゆうが「2nd style!」と叫びながら撃つ三発目の銃弾をオトバの喉元に撃ち込んだ。
その後もゆうはタイトルコールを続けながら射撃とリロードをして、最後の

「IIDX GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOLDDD!!!!!!!!!!」

でリロードしてから三発目の銃弾をオトバの額に撃ち込んだ、その時であった。



 独房から流れる曲が変わった。GOLD RUSHはフェードアウトしていき、冥のラストの物悲しいピアノが流れて、独房からの演奏が終わった。





 緑泉村の名物である、高級ホテル。その裏にある山にある洞窟で。その洞窟の中の、かなり開けた場所で。
三人の人間―女が一人、子供が二人―が倒れていた。一人の銀色に光るリボルバーを持った男が、人と似ても似つかぬ、床
に倒れこんでいる老女を見下ろしていた。その老女は、この村に伝わる伝説の妖怪「落としババア」と酷似していた。
落としババアを見下ろしている男がポツリと呟く。

「話には聞いていた…昔、口減らしのために可愛い孫二人を追いかけ、行方不明になった老女が妖怪となって今を生
きているらしいという噂…銀の銃弾でダメージがあるかどうか心配だったが、それは大丈夫だったな…」

111 :旅人:2008/08/01(金) 22:47:35 ID:SiosApE90
 それから数日が経った。町田は自分が住んでいる町に戻ってきていた。
あの旅行は最悪だった…と彼女は回想しながら外を歩く。
あの日の事を思い出していると彼女の顔にも変化が起きたのか、すれ違った男の自分を見る顔が怪訝そうなものに変わった。


 ゆうが最後のタイトルコールを決めて、落としババアを殺した後の話である。
ゆうが気絶させた子供二人は骨に変わり、落としババアもまた、人骨へと変わり果てた。
その後、ゆうと町田がいる場所の天井にある正方形の穴から縄が垂れてきた。
これは作戦の内の行動ではなかったが、ゆうはそれで町田を縛り、クイッと縄を引っ張って洞窟の外で待機しているであろう仲間に合図した。

 その出来事が起きた昨日に時間を戻して話を進める。
ゆうの車でメモを見つけた小暮とゆうの部下の多田と島谷は早速行動を起こした。
車のトランクにある、やたらと緩衝材を貼り付けられた小さなCDラジカセを取り出し、電池がセットされている事を確認し、
中に指定のCDがセットされている事も確認した。
そして、銀色のリボルバー拳銃とそれ専用の銀色に塗装された銃弾が入っていた紙箱があることも確認した。

 翌日、小暮たち三人は多田の案内でゆうが落ちてしまった所まで歩き、先にリボルバー拳銃を落とした。
しばらくしてから一発銃声が響いた。ゆうのメモには「二発目の銃声が聞こえたら、CDを再生させているCDラジカセを投入せ
よ」とあったので、そこの穴にCDを再生させているCDラジカセを落とした。

 それから山の調査を続けて、何故か山頂に人一人分が落ちてしまいそうな正方形の穴が開いていたのを知り、念の
ために持っていたロープを垂らしてゆうからの合図を待った。下の洞窟から、ゆうの叫び声と銃声が響いていた。こ
の二つの音を聞いて多田が心配げに言った。

「社長、大丈夫だろうか?」

言いたい事は分からないでもない。恐らく、ゆうは今オトバという戦い方も分からない妖怪と戦っているのだ。
ゆうは髪の毛から針を飛ばすことも出来なければ、体から放電する事もできない。
靴を飛ばしたって、明日の天気は何だろな~という子供の遊びにしかならない。それに今のゆうには、共に戦う仲間がいない。
彼の唯一の武器は、攻撃回数に制限のあるリボルバー拳銃だけである。

「社長なら大丈夫。あの人、喧嘩がメチャクチャ強いじゃないか」

そう返したのは島谷だ。確かに、旅人と別れてからのゆうは自己流のトレーニングを積んでいた。
自分の理想のゲーセンを建てる為には、あった方が良いものであろうからだ。
実際は、自分を恨んで攻撃的な行動を起こす輩との喧嘩に大いに役立っているのだが…
この喧嘩の腕が無ければ、今頃ゆうは恐れをなしていて、今のゆうは存在し得なかっただろう。


 CDラジカセを穴に落としてから数分後、小暮が持っていたロープが軽く引っ張られた。
小暮の持つロープを先程からずっと見ていた多田と島谷は、その少し動いたロープを見て喜びの声を上げた。

上からは「社長だ!」「よし、早くロープを引っ張るぞ!」

下からは「僕じゃない!先にMACHIさんをくくりつけた!怪我させないように慎重に引っ張り上げてくれ!」

と声が飛び、多田と島谷は同時に小暮に向かって言った。




「良かったな!あんたの彼女が無事に帰ってくるぜ!」

「いや、彼女じゃないですから。友人ですから」

132 :旅人:2008/08/07(木) 23:58:30 ID:7EKl75+R0
 町田は自分の市の外を歩いていた。行き先はもう決まっている。
彼とも約束はしてあるし、彼が誘ったという人も十分気になる。まぁおおよその推測は立つが、確信は持てない。
歩を進めるうち、彼女は「タラッタタラッタタララララー」と口の中で歌いだした。
町田の横を通り過ぎる見知らぬ人々が、通り過ぎた彼女を振り返っていく。


 町田の住む市の名物はゲーセン「白壁」である。そこには市の音ゲーマーの大半が集まる。
彼らの大半はマナーを守り、全ての音ゲーマーの規範と呼べる…と町田は思う。
 町田と彼の待ち合わせ場所は、白壁の二階にある休憩スペースだ。そこには数多くのテーブルと、それを囲う数多いイスがある。
大半は町田の顔見知りが座っていて、彼女が彼の座っている席を見つけるのに苦労はしたが、それはすぐに終わった。
彼が席から立って、その場で「町田さーん」と呼びかけたからだ。


 白壁の二階にある休憩スペース。そこにはいろんな意味で凄い三人が一つのテーブルを囲いながら、人の中に紛れていた。
一人はトップクラスの腕前を持つ音ゲーマー。一人は凶悪な事件を未遂にした探偵。一人は平和なゲーセンを追い求める青年。
その青年が口を開いた。

「こんにちは、町田さん」

「こんにちは、…えーと、ゆうさんだよね。苗字は何て言うの?あの時聞けなかったし」

町田と呼ばれた女性が、彼女に挨拶をした青年に問うた。
青年は、あっすみませんでしたなどと言いながら、床に置いてあった自分のバッグから自分の名刺を取り出し、町田に渡した。

「あ、松木ゆうって言うんですね」

「えぇ。あ、その名刺にもあるように、僕は…何でも屋の社長と、ゲーセンの店長をやってます」

「凄い人なんですね。結構忙しいでしょ?」

「いえいえ。僕は自分の好きな事をやれているから、あまり仕事を苦には感じません。
それは多分、町田さんが何か音ゲーのエキスパートコース5連チャンをやっても疲れないというのと同じだと思いますよ」

いいや、疲れますよ~と返しながら、町田は青年の隣に座る探偵に話しかける。

「小暮君、私思ったんだけどね」

「何を?」

「自分が言うのもなんだけど…私達って、凄いのかな……」

「何がどのように凄いのさ」

えーと…と考えながら町田は小暮と呼ばれた探偵に答える。

「私は、日本全国で十本の指には入らなくても、それなりに凄い音ゲーマーだって思っているんだ。松木さんは二つ
のお店のトップをやって、それでいてゲーセンマナーの徹底にも力を入れている。
日本全国のゲーセンに飛び回る事もあるんでしょう?ネットで見たよ」

「ありがとう。でも、松木さんじゃなくてゆうって呼んでいいですよ。っていうか、むしろそう呼んでください」

「分かった。…私は実力のある音ゲーマー、ゆうは兎に角凄い人。そして小暮君は大勢の命を救った…」

133 :旅人:2008/08/08(金) 00:00:38 ID:7EKl75+R0
「………何で町田さん、僕があの事件を解決したって知っているの?」

「そんなの分かるわよ!あなたはあの時、私に一言置いて百万円を残していったでしょう!?」

「…その一言って何?」

小暮が本当に覚えていないと言うように、町田に問うた。
町田は本当に覚えていないのかと小暮に確認して、小暮が本当に覚えていない、思い出せないんだと返してから町田は言った。

「…音楽ゲームクロスワードパズル事件」

少し間があいてから、あぁと間の抜けた声が小暮の口から出た。
そして、町田があの事件の真相に触れたかなと思って微笑した事も思い出した。


 それから、三人は数日の出来事をネタに話をした。小暮が語った、勉強を教えている子供のオリジナルのギャグ。
それを小暮が再現して、町田とゆうが笑った。
 町田が語った、自分の腕前の小さな衰え。最近正規の灰冥で鳥がでなくなって来たよと少し落ち込み気味になり、
話を聞いたゆうが「えっ、正規譜面の灰冥でAA出る!?…僕じゃ無理だ、全く考えられ無いよ」と言った。
その言葉に町田は少しばかり元気を取り戻したようである。「まぁ少し指を慣らしてやれば、前みたいなプレーが出来るかも」と彼女は言った。
 ゆうが語った、これまでの自分の体験談。自分と同じ名前を持った旅人との出会い。
近所に住む人々との交流と彼らにかけてしまった迷惑。そして色んなところで体験した非常識なプレーヤーの実態。
小暮と町田の二人は、彼の話を聞いていくうちに「まるでフィクションのようだ」と感じていた。
それをゆうに言うと、よく言われますと返した。


 話のネタも尽き、下に降りて遊びましょうと小暮が誘った。
折角だから三人いるしセッションしません?とゆうが言い出し、小暮も町田も二つ返事で了承した。
小暮がドラム、町田とゆうがギターとベースでプレーする事にして、三人は百円を投入した。
後ろでは、白壁では滅多に見られないセッションプレーを、
いや町田が二人に合わせていつもより難度の低い曲をプレーするのを見るギャラリーが沸いていた。
そんな中、一曲目を選曲する小暮がぼそりと呟いた。

「……なんか緊張しますね」

「大丈夫大丈夫!馴れれば意外と気持ちいいものよ!」

「ギャラリーなんて普通つかないと思うんだけどな…」

三番目の台詞はゆうが呟いたものである。彼が呟き終わった後、小暮が「これで良い?」と聞いてきた。
カーソルに合わされている曲は「puzzle」である。優しいギター、少し激しいドラム、癒される樽木さんの歌声。
作者がおススメする一曲である。この曲を知らない人は、是非この曲をプレーする事をおススメする。

 演奏が終了すると、小暮が二人に「いい曲でしょ?」と問いかけた。
二人は「私の(僕の)好きな曲BEST10入りですよ?いい曲に決まってるよ」と返した。

 ちなみに、リザルトは、小暮が緑譜面でA、町田が赤譜面でエクセ、ゆうが黄色譜面でSである。

134 :旅人:2008/08/08(金) 00:04:11 ID:peJmUJqn0
 その後、ゆうがペパーミントは私の敵を選曲、リザルト画面で「良曲良ムービー」と三人が同じタイミングで言って、それからクスッと笑った。
小暮が緑譜面でA、町田が赤譜面でS、ゆうが黄色譜面でSである。三曲設定なので町田が「エキストラ狙い?それとも特攻?」と聞いた。
二人は同時に「特攻!」と答えて、それを聞いた町田が選んだのは、Timepiece phase IIである。
私が引っ張って行くよ!何て言いながら町田は赤譜面を躊躇無く選ぶ。小
暮が緊張気味にスティックを握りなおし、黄ベースを担当するゆうが「オルタ…オルタ…」と呟きながらピックを弾いていた。

「ジャーン…ジャーン…ジャーンジャーンジャーン………」
こんな感じの出だしで曲が始まった。
「ドラム…案外簡単なんだけど」と小暮が一人ごちたが、直ぐに町田が、「スネア連打!」と叫んだ。
おぉっ!?と小暮は驚き、それでも降り続けるスネアに対応していく。一気に激しくなる曲調に合わせて町田の譜面がヤバくなる。
そんな譜面を正確に捌いて演奏する町田の腕前に見惚れてか、ゆうがオルタはまりを起こしてしまった。
「あっ…ヤバいヤバいヤバい!」ゆうが担当するベース譜面は終始オルタが延々と続くものなのだが、オルタはまりを起こしてしまったのは悲劇だった。
ゲージがギュイーンと下がる。町田がゆうを「頑張って!」と両手を常人では考えられないような速さで動かしながら励ましたが、
ゆうの無念そうな大きな一声と同時にステージフェイルドとなった。


 三人は再び二階に上がり、自動販売機で思い思いの飲み物を買って、それを飲みながら話をし始めた。

「ゆう、いくら私の腕前が~って言い訳しても、あなたのせいで落ちちゃったんだからね?」
「すみません…まだまだ、僕の腕が足りませんでした」
「いやいや、そんな本気で謝らなくても。元々特攻だったじゃない。
ゆうがオルタはまり起こさなくても小暮君が失敗してたかもしれないし。私が失敗していたかもだし。
…でも、ゲームだしね。そんなので一々文句たれてたら駄目よ。私、私の価値を自分の手で下げたくないもの」

町田はそう言って、そして笑った。ゲームなのだから、誰のせいで落ちた落ちないなんてムキになっていがみ合う事ではない。
それは小暮も、ゆうも、共に分かりきっていた事である。

 三人は再び話をし始めた。その途中でゆうがこんな提案をした。

「いつの日か、また3人で…いや、僕と小暮探偵、町田さんが誘いたい人を誘ってパーティでもしません?」

小暮と町田はその提案に同時にこう答えた。

「いいですね、それ!」「いいじゃん、やろうよ!」
「ありがとう!じゃ…今年中にはやりましょう。いつやるかは分からないけど…お互いの携帯電話の番号も交換しましたしね。
相互で連絡は取れるから…日時が決まった日に、電話をかけますよ」


 こうして、彼ら三人の再会は約束された。
2008年のいつか…彼らはまた出会い、彼らそれぞれの友人を伴って、交流の輪がどんどん広がっていくのだろう。
それは静かで、ゆっくりとした流れながら、確実に広がっていく。



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