アットウィキロゴ
創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki

happiness

最終更新:

beatnovel

- view
管理者のみ編集可
219 :happiness:2008/09/27(土) 02:59:58 ID:89xuMU+o0
('A`)「はー、美味い!
    やっぱり美味いものを食べている時って、一番の幸せを感じるよなー」
(´・ω・`)「食いしん坊のドクオらしいねー
      確かに食事中、いつも良い表情してるもんなあ」

九月に入り、夏の暑さも落ち着いてきたとある日。
ドクオとショボンの二人は、とあるレストランで食事を取っていた。
ハイペースで食べていくドクオに対して、のんびりと食べ続けるショボン。
両者の性格と胃袋の違いがよく出ていると言える…のだろうか。

('A`)「そういうショボンも、甘いもの食っている時は凄い良い顔してるぜ?
    食い物で良い顔するという点では、俺もお前も同じだろうに」
(;´・ω・`)「あれ、いつも僕そんな表情になってる?
       自分じゃわかんないもんだなあ…」

いつも通りな日常を送り、いつも通りな会話を続ける二人。
しかし、そんな柔らかな雰囲気はドクオの『とある一言』によって変化する事となる。

('A`)「やっぱり仕事とかのストレス解消には、食うのが一番だなー」
(´・ω・`)「はは、まあ人にもよるだろうけどね。
      でもこうやって幸せを感じることができるのは、そのままリフレッシュにも繋がるからねえ」
('A`)「そうだな、歌うとか物を作るとか、人によって幸せを感じる瞬間って全く違うからなー」

気軽な言葉のキャッチボールが続いていく。
そんな中で何気なく発された一言。
それが、今回のちょっとした騒動の元となる…

220 :happiness:2008/09/27(土) 03:02:20 ID:89xuMU+o0
('A`)「…なあ、今何となく思ったんだけどさ…」
(´・ω・`)「何、いきなり?」
('A`)「…『人にとっての共通の幸せ』って何だと思う?」

いきなりの言葉に、ショボンは面食らった。
それもその筈、普段のドクオはこんな話題を出すような人間ではないからだ。
いつも話題に出す事といえば、遊びの事や食べ物の事、たまに仕事の愚痴を吐き出す位だった。
このような話題をドクオが出すという事は、極めて珍しい。
一瞬の間、ショボンは言葉を返すことができなかった。

(´・ω・`)「…何を言い出すかと思えば、これまた妙に重い話題を…
      どうしてそんな事を聞くんだい?」
('A`)「いや…何となくな。
    ちょっと思っただけだから、忘れてくれや」

言ってから気恥ずかしくなったのか、ドクオはショボンから顔を背ける。
だが、ショボンはドクオの問いに対して『考えて』いた。
普段の気軽な話もいいが、一度はこういう話をしっかりと腰を据えてしてみたい…
ショボンは、以前からそう思っていたのだった。
二人の間に沈黙が流れること数十秒。
しばらく顔を伏せ気味にしていたショボンが顔を上げ、答えを返した。

(´・ω・`)「そうだねえ…これはあくまで僕の意見だけど…
      共通の幸せというのは、『終わることが出来る』ことかな…」

予想外の言葉に驚くドクオ。
まさか先程の問いに答えが返ってくるとは思わなかったのだろう。
そして、返された問いへの答えもドクオにとっても衝撃的なものだった。
ショボンの返した回答が、自分自身の予想を大きく超えたものでもあったからだ。

('A`)「…終わること? どういう意味だよそれ」
(´・ω・`)「そのままの意味だよ。
      物事を終わらせることや、体の動作などを終わること。
      究極的に言ってしまえば、『自分自身の命を終えられること』なんかも入るね」

この言葉に、ドクオは大きく反応した。
常日頃から彼は、命が『人としての所有物』で一番大切なものだと思っている。
人はいずれ命が尽きることになるが、それは仕方が無い事。
しかし、それは同時に人としての一番の悲しみであると思っている。
それを否定するようなショボンの言葉に、ドクオは大きく反発した。

221 :happiness:2008/09/27(土) 03:04:01 ID:89xuMU+o0
('A`)「は!?
    何言ってんだよ、自分の命を終えられることが幸せだあ!?
    そんなのは人生の中で最も不幸な事じゃねえかよ!」
(´・ω・`)「…本当にそう思う?」
('A`)「当たり前だろうが!
    命を終える事に幸せを感じる奴なんて絶対にいねーよ!」

いつにない剣幕でショボンに迫るドクオ。
これまで見た事の無い様子を見せた彼に、ショボンは驚いていた。
…だが反面、その様子を嬉しくも思っていた。
いつかドクオと真正面から、こういう話題で意見を交わしてみたかった。
そんな機会が、今まさに目の前にある。
ショボンはドクオの目をしっかりと見据え、ゆっくりと話し始めた。

(´・ω・`)「…まあ確かに、『命を終えること』自体に幸せを感じるなんて人は少ないだろうね。
      でも僕が言いたいのはそういう事じゃないんだよ」
('A`)「だから、そこを説明しろよ…」
(´・ω・`)「そうだね…例えば君が永遠に死なない体になったとしたら、どう思う?」
('A`)「それはそれで結構面白そうじゃないか?
    数百年後の世界をこの目で見られると考えると、何だかわくわくするしな」

思わず体勢を崩しそうになったショボン。
まさか、そこまでテンプレート通りな回答が返ってくるとは思わなかった。
感情的になっていたのもあるのだろうが、せめて頭の中で噛み砕いてから返してほしかった…
そんな思いが、ショボンの頭の中を巡った。

(;´・ω・`)「もう少し深く考えなよ…
       君ってそんな単純思考だったっけ?」
(#'A`)「誰が単純思考じゃ!
    まあ、永遠に死なない体になったら…と言われても現実味が無いからな。
    正直、ちょっと想像し辛いんだよ」

222 :happiness:2008/09/27(土) 03:05:58 ID:89xuMU+o0
とはいえ、ショボンの例えが少し非現実すぎたのも確かだった。
ならば現実的にわかりやすい例で説明をするしかない。
ドクオに馴染みがあり、かつわかりやすい内容で説明するにはどうすればいいのか…
その直後、ショボンに一つの閃きが浮かんだ。

(´・ω・`)「んじゃ、もっとわかりやすい事で説明するね。
      確かドクオ、ゲーム好きだったよね?」
('A`)「ああ、最近はビーマニばっか遊んでるけど…何だよ、こんな唐突に?」
(´・ω・`)「ビーマニかあ…うん、丁度いいからそれで説明するよ。
      今から一時間半後に隣町のゲーセンに来てくれないかな。
      僕が何故『終わることが出来る』事が幸せであるという意見を持ったのか、
      多分少しだけど説明できると思うから」
('A`)「あ、ああ…わかった」
(´・ω・`)「それじゃ、準備してくるよ。また後でねー」

ショボンは自分の食べた分の料金をテーブルに置き、そのまま店を飛び出していった。
残されたドクオは、ショボンのいきなりの行動に唖然としていた。
まさか、自分の何気ない一言からこんな事になるとは…
そして、普段大人しいショボンの隠れた行動力にも驚いていた。
…ひとまずドクオは清算を済まし、ショボンの指定した時間まで街をぶらつくことにした。


隣町のゲームセンターと指定されたものの、その店へは先程のレストランから徒歩数分。
時間を潰す為に、ドクオは近所にあった古本屋でのんびりしていた。
色々な本を立ち読みしていたドクオだったが、いまいち内容が頭に入ってこない。
…先程のショボンの不可解な言葉が気になっていたのだ。

('A`)(まさか、あの一言でこんな事になるなんてなー
    …それにしても、ビーマニで説明?
    あんな事の意味をゲームでどうやって説明するっていうんだろうか…)

不思議に思いながらも、色々考えても結論には至らない。
普通は、あのような物事の説明にゲームを使うということは無い。
ある意味ショボンの行動は型破りなものなので、元々考えることが苦手なドクオにとって
益々不可解なものとなっていたのも原因であろう。
一体ショボンはビーマニを使って、どういう形で説明をするのだろうか。
そもそも、あの言葉の意味とビーマニと何の関係があるのだろうか?
…そんな自問を繰り返しているうちに、あっという間に時間は過ぎていった。
気が付けば約束の十分前。
ドクオはショボンと約束した通り、隣町のゲームセンターへと足を運んだ。

223 :happiness:2008/09/27(土) 03:07:46 ID:89xuMU+o0

('A`)「ようショボン、来たぜー」
(´・ω・`)「おっ、タイミングばっちりだったね。
      丁度こっちもセッティングが終わったばかりだよ」
('A`)「一体何をやってたんだよ。
    大体、あの内容を説明するのに何でゲームを使うんだ?」
(´・ω・`)「まあまあ、とりあえず…」

ショボンはドクオの手を引っ張り、とあるゲームの筐体前に連れて行った。
引っ張られたドクオの目に入ったのは、普段から見慣れたbeatmaniaIIDXの筐体。
…しかし普段と違い、画面はタイトル画面のまま動いていない。
よく画面を見ると、右下のクレジット表示に9の文字が出ていた。

(´・ω・`)「このbeatmaniaIIDXは、見ての通りクレジットがある程度入っている状態なんだけど…
      ドクオ、君はこれから筐体の残りクレジットを全て使い切ってほしい」
('A`)「…は? そんだけでいいのか?」
(´・ω・`)「ああ、それだけだよ。
      ちなみにこれ、オンラインだからe-AMUパスも使えるからね」
('A`)「え、マジか?
    普通フリープレイ系ってオフライン状態なのが多いのに…」
(´・ω・`)「ああ、マジだよ。
      という訳で、『クレジット表示が0になるまで』遊んでね」
('A`)「よっしゃ、それ位お安い御用! それじゃ遠慮なくプレーさせてもらうぜー」

料金を払う必要も無く、9プレイ連続で遊ぶ事ができる。
しかもカードも使えるとなれば、プレイヤーとしてはこれ以上無い嬉しい環境だろう。
早速ドクオはカードを挿入し、プレーを開始した。


プレイを始めて数十分後、フリーモード粘着をしていたドクオは雄叫びを上げた。

('A`)「よっしゃ、穴ディープようやく難クリできたぜ!」
(´・ω・`)「おめでとー」
('A`)「へへ、やっぱりフリープレイってありがたいなあ。
    …っと、正確には回数制のフリープレイだったっけ。
    クレが無くなる前に越せて良かった……ん?」

プレイが一区切りついたドクオは、画面に違和感を感じた。
今回、ドクオはスタンダードとフリーを織り交ぜながらプレーしていた。
時間を考えれば、もうクレジットが尽きていてもおかしくない筈なのだが…
画面右下のクレジット表示は、残り4と表示されていた。

(;'A`)「…おっかしいな、もう結構な回数プレーした筈なのに…
    まだ残りクレジットが4?
    表示がバグってんじゃないだろな…」
(´・ω・`)「バグは何も無いよ、至って正常さ。
      それよりクレジットが0になるまで遊んでくれ、という約束だったろ。
      後4クレだからすぐじゃない」
('A`)「気のせいか。
    よっしゃ、後4クレならDoit辺りを粘着するかな…」

画面に残りクレジットがしっかり表示されている以上、間違いは無い筈。
自分がどう感じようと、これ以上の確たる証拠は無い。
プレーが長く感じたのは、自分の気のせいだろう…
ドクオはそう思って、残りのクレジット分のプレーを続行した。
…そして、更に二十分後…

224 :happiness:2008/09/27(土) 03:10:02 ID:89xuMU+o0
('A`)「よっしゃ、ようやくクリアできたぜ!
    どうもこういう規則系高速譜面苦手なんだよなあ…って…あれ?」
(´・ω・`)「ん、どうしたんだい?」
('A`)「俺さ…クリアするまで何クレやったっけ?」

流石におかしいと感じ始めたのか、ドクオはショボンに状況確認をした。
…が、ショボンは知らぬ存ぜぬを通した。
それにはもちろん理由があったのだが…

(´・ω・`)「さあ、数えていなかったからさっぱり…
      それに僕、このゲームに興味無いからあまり見てなかったしね」
(;'A`)「…それはそれで何だか酷くないかい…?」
(´・ω・`)「気にしちゃ負けだよ。
      ほら、まだクレジットが残っているからプレーして」
('A`)「あ、ああ……うん!?」

その直後、ドクオは決定的な違和感に気が付いた。
先程残り4クレジットと確認した筈だったのだが、画面には残り7クレジットと表示されていたのだ。
明らかに先程より増えている…もちろん、この原因は…

(;'A`)「ちょ、ちょっと待ってくれよ、何だこれ!?
    さっきは残り4クレだった筈だろ?
    何でさっきよりクレ数増えてんだよ!」
(´・ω・`)「気のせいじゃないの?
      それより、クレジットを0にするまでプレイする約束でしょ。
      後もう少しだし、『頑張ろう』よ」
(;'A`)「そう…だな、『頑張る』か…」

ショボンの言葉にそのまま押し切られ、納得いかないままプレーを再開したドクオ。
残り7クレジット…後7回プレーすれば終わる。
ドクオの頭は、もうそれだけで一杯になっていた。
ところが…

225 :happiness:2008/09/27(土) 03:12:20 ID:89xuMU+o0
('A`)「ん…?」

残り1クレジットになり、最後のスタートボタンを押したドクオ。
それと同時に、残クレジット数が不可解な動きをした。
ドクオがスタートボタンを押した瞬間、クレジット数が3へと跳ね上がったのだ。

(;'A`)「おい、何なんだよこれ!
    今残クレ1だったのに、スタートしたらクレ数3に上がったじゃねーか!
    これじゃいつまで経っても終われないじゃねーかよ!」
(´・ω・`)「あれ、忘れてもらっちゃ困るなあ。
      このゲームを『クレジット数を0にするまで』プレイするって約束だったろ?
      まだクレジット数は3なんだから、止めちゃ駄目だよ?」
('A`)「な…な…っ!?」

0にならないクレジット表示。
それでもドクオは意地になってプレーを続けていった。
無限にクレジットが追加される筈は無い…
ショボンがそこまでの意地悪をするはずがない、という思いだけを支えにプレーするドクオ。
しかしそんな思いを打ち砕くかのように、クレジットがじわじわと増えていく。

(;'A`)「…何なんだよ…やればやる程クレジットが増えていくじゃないか…
    減ったと思ったら、知らない間にまた増えていってるし…」

一度1まで下がった後、1プレー毎にゆっくりとクレジット表示が増えていく。
一旦9クレジットまで上がった後は、残り1に下がるまで増えることは無い。
残り1まで下がった後は、再び1プレー毎にクレジット数が上がっていく。
その繰り返しは、ドクオの精神を次第に追い詰めていった。

(;'A`)「も…もう嫌だ…もう疲れた…止めたい…終わりたい…!」
(´・ω・`)「ほら、まだクレジット残ってるよ?
      約束だろ、ちゃんとクレジットが無くなるまでプレーしてくれよ」
(:'A`)「あ……ぁ…ぐ……」

自分が好きなはずだったゲームが、今は苦痛を与えるものでしかない。
もはやドクオは、意地と精神力だけでプレーを続けていた。
しかし、そんな状態でのプレーは長くは続かない。
異変に気が付いてから一時間後、遂にドクオに限界が来た。

226 :happiness:2008/09/27(土) 03:14:45 ID:89xuMU+o0
(#'A`)「…や…やってられるかあぁぁぁぁぁっっ!!!!」

曲の途中であるにも関わらず、ドクオはそのプレーを捨てて筐体を離れた。
そのままショボンに詰め寄るやいなや、怒気を込めた声で問いただした。

(#'A`)「こんないつまで経っても終わらないものなんか、やってられっか!
    お前がやってた準備って、この細工の事だったのかよ!?」

クレジットが無くなるまでプレーしろと言っておきながら、実際にクレジットが尽きる事は無い。
そんな環境へ半ば強制的に放り込まれたドクオとしては、怒りたくなるのも当然だろう。

(#'A`)「何でこんな仕様に改造した上で、あんな条件を提示したんだ?
    こんな『絶対に終われない』状況にしやがって!」
(´・ω・`)「…ほら、わかったろ?
      物事を『絶対に終わることが出来ない』というのが、どれだけ恐ろしいのかを…」
('A`)「…え?」

予想外の言葉に、ドクオは怒りを止めた。
ドクオの予想通り、これはショボンが自分の意見を説明する為に仕組んだもの。
だがここで話の核に突っ込んでくるとは、ドクオにとっても予想外だった。

(´・ω・`)「ちなみに今の状況は、ドクオが『プレーする事を放棄する』という形で『終われた』よね。
      これがもし、今みたいに放棄する事さえもできないとしたら…?」
(;'A`)「う…」

ドクオは言葉を返せなかった。
確かに、もしあのまま逃げることさえ許されなかったら、自分の精神状態はどうなっていたのか。
プレーしている最中で、それ自体に苦痛を感じるまでになっていたドクオ。
改めてショボンの言葉の意味を考えたドクオは、『その事』への恐ろしさを感じていた。

(´・ω・`)「どんな楽しい事や面白い事でも、永遠に続けばそれは苦痛にしかならない。
      どの出来事や物事も、全て『終わり』があるからこそ面白かったり楽しく感じられるものでしょ。
      さっきドクオ、プレー中に『頑張って終わらす』って言ってたじゃない?
      あの時点で、ドクオはゲームを『楽しむもの』として見ていなかったって事だね」

ドクオはその場に立ったまま、静かに言葉へ耳を傾けていた。
ショボンは更に言葉を続ける。

(´・ω・`)「同じように、辛いことや嫌なことも必ず終わりが来る。
      それがどういう形での終わり方であろうとも、ね。
      もしこの世に『終わり』という概念が無かったらと思うと、ぞっとするだろ?」
('A`)「…あ、ああ…」

ショボンは筐体へと歩き、ブーイングが鳴り続けているリザルト画面をキャンセルした。
強烈なSEと共に、画面にGAME OVERの文字が出る。
ゲームが終わり、タイトル画面に戻ったIIDXを見つめながら、更にショボンは話し続けた。

227 :happiness:2008/09/27(土) 03:19:53 ID:89xuMU+o0
(´・ω・`)「最初にドクオに、永遠に生きる事ができたらどう思うって聞いたよね。
      人にとって生きるという事は、多分一番の喜びだと思うんだよ。
      でも、その喜びが永遠に続くという事はまず無い筈だ」

言葉を確かめるように、ショボンはゆっくりと話し続ける。
いつもとは違う、『真剣』で話しているショボンがそこにはいた。

(´・ω・`)「人が生きていて嬉しいと思える期間なんてのは、その人の元々の寿命程度だと思う。
      今は医療技術の発達もあって、百年近く生きることも可能だけれども…
      それを遥かに越えて、五百年以上生きることができたらどうなる?
      …多分、さっきのドクオみたいな状態と同じような事になると思うよ」
('A`)「………」

その真剣を、ドクオはしっかりと受け止めた。
『友人間』で今までに交わしたことの無い言葉、そして受け止めたことが無い意見。
いつものような気軽な空気ではなく、しっかりとした『言葉』をドクオは確かに受け取っていた。

(´・ω・`)「…だから、僕は人にとっての『共通の幸せ』は…
      『物事を終えること、終わらせる事ができること』だと思っているんだ」

ショボンは喋りながら、比較的音が少ない休憩所へと歩いていく。
ドクオも後を追って、休憩所に置いてある椅子に腰掛けた。
気持ち上を仰ぎ見た後、一呼吸置いて更に言葉を続けるショボン。

(´・ω・`)「何かを始めることができれば、終わることもできる。
      自然の摂理ではあるけれど、そんな当たり前の事って重要なものが多いと思うんだ」
('A`)「…そうかもな…」

同じように、ドクオも上を仰ぎ見た。
目に入ってくるのはゲームセンターの天井だが、今の彼にとってそれはどうでも良い事だった。
ショボンの自分へと向けられた言葉、それに答える為の言葉を考えていたのだった。

('A`)「確かに人にとっての幸せ観なんてのは、個人個人でまちまちだろうし。
    しかし『共通の幸せ』という観点だと…そんな『当たり前のこと』に行き着くのかもしれないな」

だが、その答えの言葉はドクオ自身にも信じられないほどあっさりと出た。
相手に真剣に向き合うと、『答えるための言葉』は自然と出てくるものなのかもしれない。
仕事でのコミュニケーションや、意見を述べたりする時とはまた違う感覚。
それは、ドクオにとって懐かしいような感覚だった。

228 :happiness:2008/09/27(土) 03:21:47 ID:89xuMU+o0

(´・ω・`)「どう、これで納得してくれたかな」
('A`)「ああ、お前の意見はよくわかったよ。
    …どうやら俺、結構考えが浅かったのかもしれないな。
    最初の自分の意見を振り返ると、何だか笑えてきちまったよ」

自嘲気味に笑いながら話すドクオ。
それを見て、ショボンがフォローするように言葉を返す。

(´・ω・`)「いやいや、これはあくまで僕の意見だからね。
      もしかしたら間違っているかもしれない訳だし…」
('A`)「こういうのって、結論は出せないもんだしなあ。
    まあ、こんな機会でもないと考えない事だったし、参考にさせてもらうよ」
(´・ω・`)「ははは…」

最後には、二人の顔に笑顔が浮かんでいた。
ドクオは多少きつい目に遭ったものの、最終的にはショボンの意図をしっかりと受け止めた。
それぞれの意見を分かりあえた事により、その友情もより深まった事もあるのだろう。
椅子から立ち上がり、笑いあいながらゲームセンターの外へと足を運ぶ二人。
その時の二人の会話は、いつもの雑談ムードへと変化していった。

('A`)「それにしてもゲーセンの筐体を改造させて貰うなんて、よくそんな思い切った事したよな。
    お店の人から何で断られなかったんだよ?」
(´・ω・`)「あ、実はここ…うちの親戚が経営してるんだ。
      それに改造と言ったってプログラムの方じゃなく、クレジット感知の部分に少し手を加えただけだからね。
      後でその部分だけを元に戻せば、また問題なく使えるし」
(;'A`)「親戚って…お前、さり気なく意外な繋がりを持ってるんだな…」

ショボンが何故こんな大掛かりな仕掛けをすることが出来たのか、ドクオは疑問に思っていた。
その疑問は今のやり取りで氷解したが、ショボンの意外な繋がりと手先の器用さに驚きを隠せなかった。
不器用であり、特に特別な繋がりも無い自分としては、ちょっぴりショボンが羨ましい…
そんな事をドクオは思っていた。

229 :happiness:2008/09/27(土) 03:23:18 ID:89xuMU+o0
('A`)「ところでショボン…」
(´・ω・`)「ん、何だい?」
('A`)「いくら自分の意見を説明する為とはいえ、よくもあんなキッツイ目に遭わせたよなあ…?」
(;´・ω・`)「え? ちょ、ちょっと…?」

含み笑いをしながら、ショボンに近付くドクオ。
その不気味な雰囲気に、思わずショボンは後ろへ一歩引いた。
…どうやらドクオは、説明の為とはいえエンドレス状態でゲームをプレーさせられた事にまだ怒りを持っていたらしい。

('∀`)「つー訳で、次はお前の番な。
    さーて、ショボンはあまりゲームをしないから…何をエンドレスでやらせようかなあ…」
(;´・ω・`)「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!?
       あれはドクオに説明する為に…」
('A`)「言い訳無用じゃ!
    少なくとも、俺がプレーしていた時間分はやってもらうからな!」
(;;´・ω・`)「そんな、ちょっと待って…ちょっとおおおぉぉぉっ!!!!」

ショボンを引きずる形で、半ば無理矢理にどこかへと連れて行くドクオ。
連れて行く先は、ショボンの趣味に関係しているバッティングセンターかプールか…
どちらにしろ、これから数時間はドクオの監視の下『何か』をエンドレスでやらされる事になるだろう。
しかしこのような事が出来るのも、また二人の絆の深さを示しているのかもしれない。

夜が段々と涼しくなり、いよいよ秋も本番。
もう少しすれば、やがて身を切るような寒さを持つ冬がやってくる。
しかし二人の絆はいつまでも固く、冬にも負けない夏以上の『熱さ』を持ち続けていく事だろう。
本当の信頼関係というものは、それぞれの『本当の言葉』をぶつけあって築かれていくものなのだから。



コメント

名前:
コメント:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー