「しかしな、俺ぁ本多と家康は一人一人でもすげえ魅力的だが、一緒にいた方がずっとずっといいと思うぜ」
困ったように家康が笑った。
「いい奴だな、元親」
「うん俺ぁいい奴だぜ、だから運がなかった時は二人纏めて俺んとこに……」
直後カルく吹っ飛ばされる。戦国最強最モテ本多忠勝、さすが、軽い平手も強力だぜぇ……
心配したのか、家康がててててと走って駆け寄ってくる。
「すまんな、忠勝はモテるわりに男慣れしとらんのだ。
ま、どちらにせよ本多を泣かせるような男の所にはやれんのだ、諦めてくれ」
何、と眉を寄せる。
「本多はそんな奴に惚れてんのか、駄目だろ!そいつは真面目で誠実な皮を被ったオオカミだ!」
「いや元親のことだ」
え、と首をかしげて起きあがる。
「何で?俺ぁ女にゃ優しいぜ?」
家康はこっくり頷いて、元親の手を握って本多の所へと歩みを進めた。
「おうよ。女が勝手に泣くんだ。元親、お前のように誰に好かれても変わらずにいられる男はな、
知らずと女を泣かせるものだぞ」
きらきらの眼差しが、仕方のないことだと言っている。
「そうなのか?」
「そうだ」
確信をこめた声音と肯き。
「大丈夫、泣いたら俺んとこ来い、泣くたび慰めてやるぜ!」
ぱっと家康が笑う。
「なら行ってこい、小耳に挟んだのだが毛利に惚れられたそうじゃねえか!そら、挨拶が始まるぞ!」
指が指す先、ちいちゃい細っこい姿が壇上に上がるところだった。
背後には厳島の海の闇、月の影が波間に揺れる。
浅い空色の衣装、とろりとした翠の翡翠の飾り。
淡い色の髪が海風に揺れ、小さな顔を彩る紅は桜貝の色合い。
緑色じゃないな、珍しいと家康が呟く。
「俺の目の色に合わさせたんだ」
似合うと思って、と続けたら惚気るなとひじ鉄を食らった。
別にそんなつもりでもないのだが、その時元親の体が突如強ばった。
足が勝手に動く。
毛利が開会の言葉を述べている。
困ったように家康が笑った。
「いい奴だな、元親」
「うん俺ぁいい奴だぜ、だから運がなかった時は二人纏めて俺んとこに……」
直後カルく吹っ飛ばされる。戦国最強最モテ本多忠勝、さすが、軽い平手も強力だぜぇ……
心配したのか、家康がててててと走って駆け寄ってくる。
「すまんな、忠勝はモテるわりに男慣れしとらんのだ。
ま、どちらにせよ本多を泣かせるような男の所にはやれんのだ、諦めてくれ」
何、と眉を寄せる。
「本多はそんな奴に惚れてんのか、駄目だろ!そいつは真面目で誠実な皮を被ったオオカミだ!」
「いや元親のことだ」
え、と首をかしげて起きあがる。
「何で?俺ぁ女にゃ優しいぜ?」
家康はこっくり頷いて、元親の手を握って本多の所へと歩みを進めた。
「おうよ。女が勝手に泣くんだ。元親、お前のように誰に好かれても変わらずにいられる男はな、
知らずと女を泣かせるものだぞ」
きらきらの眼差しが、仕方のないことだと言っている。
「そうなのか?」
「そうだ」
確信をこめた声音と肯き。
「大丈夫、泣いたら俺んとこ来い、泣くたび慰めてやるぜ!」
ぱっと家康が笑う。
「なら行ってこい、小耳に挟んだのだが毛利に惚れられたそうじゃねえか!そら、挨拶が始まるぞ!」
指が指す先、ちいちゃい細っこい姿が壇上に上がるところだった。
背後には厳島の海の闇、月の影が波間に揺れる。
浅い空色の衣装、とろりとした翠の翡翠の飾り。
淡い色の髪が海風に揺れ、小さな顔を彩る紅は桜貝の色合い。
緑色じゃないな、珍しいと家康が呟く。
「俺の目の色に合わさせたんだ」
似合うと思って、と続けたら惚気るなとひじ鉄を食らった。
別にそんなつもりでもないのだが、その時元親の体が突如強ばった。
足が勝手に動く。
毛利が開会の言葉を述べている。
「――この戦国では、強くなくては生きてゆけまい。だが、優しくなくては生きる資格はない。
その両方を兼ね備えるは愛を知ろうとも至難の業よ」
その両方を兼ね備えるは愛を知ろうとも至難の業よ」
何だその演説。足は変わらず勝手に動く。背後で家康がおい、と驚いたように声をかけてくる。
「ならば、己の欠けたる所を探すが必定!今ここに全戦国武将が集っている!
今は戦いを忘れ確執を流し、胸襟を開き語り合うが良かろう!
なぜならば、我も――戦いを通じ己の欠けたる物を埋め合わせる相手を見いだした!」
今は戦いを忘れ確執を流し、胸襟を開き語り合うが良かろう!
なぜならば、我も――戦いを通じ己の欠けたる物を埋め合わせる相手を見いだした!」
指を差される。おいおい俺か。演説はよどみなく続く。
「出会い方が違えばその後の運命もまた異なるものとなろうぞ、」
がくがくとぎこちなく歩くこの手足。くそう朝方やられたか。
「おい毛利!ちんたら歩くのは性にあわねえ、……俺を信じな!」
演説の邪魔をするように呼ぶと、毛利の桜色の唇がつっと持ち上がる。
手足が自由になる。以前は信じることをバカにしてたこの女が、技を解いたのか。
「おい毛利!ちんたら歩くのは性にあわねえ、……俺を信じな!」
演説の邪魔をするように呼ぶと、毛利の桜色の唇がつっと持ち上がる。
手足が自由になる。以前は信じることをバカにしてたこの女が、技を解いたのか。
なぁ毛利、策にハメようとして俺の行動だの考えだの読もうとしてんのか?
駆ける。
でもお前がし向けたんだとしても、おれがこういう場面で女に恥かかさねえって解ってても、
今走ってるのはちゃんと俺の意志だろが。
そしてお前が俺が駆け寄ってく事、信じたんだろが。
今走ってるのはちゃんと俺の意志だろが。
そしてお前が俺が駆け寄ってく事、信じたんだろが。
碇槍の鎖を天井に引っかけ、元親は飛んだ。
「ヒャッホゥ!」
狙い違わず壇上に着地して、毛利を抱え上げる。
なあ、逃げるのもこうやって抱っこするのも俺の考えだろう?
俺ぁずっと海風の吹くままだ!
「飛距離が短いな。あれでは十飛というより五飛だ」
「るせえ」
「ヒャッホゥ!」
狙い違わず壇上に着地して、毛利を抱え上げる。
なあ、逃げるのもこうやって抱っこするのも俺の考えだろう?
俺ぁずっと海風の吹くままだ!
「飛距離が短いな。あれでは十飛というより五飛だ」
「るせえ」
短く囁き交わして、毛利を肩の上に座らせた。




