翌朝、嵐のようにやってきた真田主従は、来たときと同じく、嵐のように去っていった。
「やれやれ、次からはきちんと連絡を寄越してほしいものだ」
「よく言うぜ小十郎。あの忍が来て嬉しいくせに」
「な、政宗様!」
「隠し事はNothingだぜ小十郎。惚れてんだろ」
うりゃ、とのしかかってくる政宗を品がない、と下ろさせる。
「よく言うぜ小十郎。あの忍が来て嬉しいくせに」
「な、政宗様!」
「隠し事はNothingだぜ小十郎。惚れてんだろ」
うりゃ、とのしかかってくる政宗を品がない、と下ろさせる。
「この小十郎のことなどよいのです政宗様。ご自分はどうなのですか、真田とは」
「振られた。好きだけど一緒にはなれないってよ」
「諦めるつもりなどないのでしょう」
「Ha、分かってんじゃねえか小十郎。俺は絶対あいつを正室にするぞ」
「振られた。好きだけど一緒にはなれないってよ」
「諦めるつもりなどないのでしょう」
「Ha、分かってんじゃねえか小十郎。俺は絶対あいつを正室にするぞ」
言い出したら絶対に聞かないことを、小十郎は長年の付き合いで知っている。
思わず深いため息がこぼれたのを、政宗は聞いてないふりをした。
思わず深いため息がこぼれたのを、政宗は聞いてないふりをした。
「旦那ぁ、どうしちゃったの」
いつもはやかましいくらいに話してくる幸村が、驚くほど無口で、思わず佐助は声をかける。
いつもはやかましいくらいに話してくる幸村が、驚くほど無口で、思わず佐助は声をかける。
「……佐助は、片倉殿から正式に求婚されたらどうする!」
あやうく馬から落ちるところだった。
「ちょ、旦那何言ってるの!」
「む。佐助は片倉殿と共にいるときは実に嬉しそうな顔をするのでな。違ったか?」
「……違わないけど」
つい数ヶ月前まで求婚の文一つで破廉恥と叫んでいた人に見抜かれるとは。
俺様、忍失格かも。とため息を吐いた。
「む。佐助は片倉殿と共にいるときは実に嬉しそうな顔をするのでな。違ったか?」
「……違わないけど」
つい数ヶ月前まで求婚の文一つで破廉恥と叫んでいた人に見抜かれるとは。
俺様、忍失格かも。とため息を吐いた。
「どうもこうもしないよ。あんた俺がいなくなったら困るでしょうが」
「うむ。しかし片倉殿にならば佐助を預けられると思うのだが」
「勘弁してくださいって。俺様は嫁になんか行きませんよ」
「うむ。しかし片倉殿にならば佐助を預けられると思うのだが」
「勘弁してくださいって。俺様は嫁になんか行きませんよ」
そうか、と一つ頷いたきり、再び幸村は黙り込んでしまった。
これは案外落ちるのは早いかもよ、竜の旦那。と思いつつ、馬を駆けさせた。
これは案外落ちるのは早いかもよ、竜の旦那。と思いつつ、馬を駆けさせた。
「じゃあ、また会おうな、幸村」
「はい、政宗殿もお元気で。またお会いいたしましょうぞ!」
「はい、政宗殿もお元気で。またお会いいたしましょうぞ!」
いつものように、そんな言葉を交わして、奥州の地を発った。
しかしそれは、永遠に果たされない約束となった。




