立てばいいのか座ればいいのか解らない。
うろうろ歩きだしそうな足を見つめる。
切実に槍が欲しい。槍さえ手に持てば落ち着く。
が、政宗殿は怯えるだろうか、彼女を気絶させたのは槍の柄での一撃。
うろうろ歩きだしそうな足を見つめる。
切実に槍が欲しい。槍さえ手に持てば落ち着く。
が、政宗殿は怯えるだろうか、彼女を気絶させたのは槍の柄での一撃。
真っ白い豊かなふくらみと、びしょびしょの頭と、痛々しい手枷と、潤んだ目を思い出す。
「ぬぉぉぉぉ………」
唸って誤魔化す。
辺りを他の忍び達が忙しげに立ち働いて、
焼いた石を詰め込んだ鉄壺だの大きいたらいだの用意しているが、それは特に気にならない。
「幸村様ー、石冷めちゃったら幸村様のお力で何とかして下さいねー」
焼石に注がれる水。立ちこめる蒸気。高まる期待。
「解った!」
「お水はたっぷり用意してありますから、気兼ねなく使って下さいよー」
「うむ!」
佐助の配下の忍び達は佐助に似てユルい。特に語尾が。
以前熱く燃えさせようとしたら、これ以上忍んでない忍びとして有名になるのやですよ旦那ァ、
とやっぱりゆるゆるに哀願された。
唸って誤魔化す。
辺りを他の忍び達が忙しげに立ち働いて、
焼いた石を詰め込んだ鉄壺だの大きいたらいだの用意しているが、それは特に気にならない。
「幸村様ー、石冷めちゃったら幸村様のお力で何とかして下さいねー」
焼石に注がれる水。立ちこめる蒸気。高まる期待。
「解った!」
「お水はたっぷり用意してありますから、気兼ねなく使って下さいよー」
「うむ!」
佐助の配下の忍び達は佐助に似てユルい。特に語尾が。
以前熱く燃えさせようとしたら、これ以上忍んでない忍びとして有名になるのやですよ旦那ァ、
とやっぱりゆるゆるに哀願された。
佐助の言葉も分かるのだ。
武田に形だけ恭順されても困るから、心から膝付くようにしなきゃ駄目だよね、という。
そんなもの、お館様の偉大さに触れれば即座に解決!と叫んだら、
お館様の手を煩わせる前にある程度大人しくさせなきゃねえと流された。
なるほど道理。
武田に形だけ恭順されても困るから、心から膝付くようにしなきゃ駄目だよね、という。
そんなもの、お館様の偉大さに触れれば即座に解決!と叫んだら、
お館様の手を煩わせる前にある程度大人しくさせなきゃねえと流された。
なるほど道理。
だがあのかいま見た姿。
佐助それは任務といいつつ役得を得ようとしているのだろう。
はれんちな。
しかし幸村自身も正面から口説きたいのだが、政宗の姿を思い出しただけで真っ直ぐ立てない。
はれんち極まりない、未熟極まりない。
「はい旦那ー待ったー?」
お気楽な、しかしどこか苛立っているような声が耳に届いた。佐……
「ななな!政宗殿何故その様なお姿で!」
「………」
政宗は能面のような無表情で、しかも何たる事か、全裸で佐助に抱えられていた。
「答えなさいよ竜の姫君、どうせあーとしか言えなくなるんだからさ、今のうちだよ?」
佐助が低く恫喝する。
政宗は無表情で抱かれている。その柔らかそうな胸に爪痕を見た瞬間脳味噌が沸騰しそうになった。
「さ、佐助ェ!とりあえずその手を……」
「駄目でしょ旦那、手枷足枷付いてるからって油断できる相手じゃないでしょが!」
佐助は手慣れた様子で手枷に付いた金具と、天井の滑車から下がる鉄糸を縒った縄をつなぎ合わせる。
「ま、まさむねどの、その、お、ぉ、お久しゅうござる」
挨拶する間に政宗は足がつくか付かないかの高さに吊された。肩が腕が苦しげだ。
なぜなら吊した高さは、足を踏ん張ろうとしてもつま先が少し掠る程度、揺れに合わせ豊かな胸がふるふると震える。
柔そうで、しかし張りがあって、つんと上を向いたその形。
鍛えられた痕跡が見てとれる腹は川魚のように滑らかで、腰のなだらかな張りに比べても十分細い。
もう、否応なしに見とれてしまう。
「政宗殿?その、もしやお声が出ぬのでは……」
佐助を横目で睨む。佐助は肘で独眼竜を突っつく。ふわん、と揺れる体突っ張る足たわわな胸。
鼻息が荒くなる。
「Ha……そうだな。まあいいか。hey幸村どうしたよ、鼻息荒いぜ?」
指摘されて落ち込むと、直後佐助が政宗の頬を張った。
「幸村様、だ。何以前と変わらないつもりで居るの?」
「佐助!動けぬ婦女子に手をあげるものではないぞ!」
一歩迫ると佐助がひょいと肩をすくめた。
上田城の虜15
佐助それは任務といいつつ役得を得ようとしているのだろう。
はれんちな。
しかし幸村自身も正面から口説きたいのだが、政宗の姿を思い出しただけで真っ直ぐ立てない。
はれんち極まりない、未熟極まりない。
「はい旦那ー待ったー?」
お気楽な、しかしどこか苛立っているような声が耳に届いた。佐……
「ななな!政宗殿何故その様なお姿で!」
「………」
政宗は能面のような無表情で、しかも何たる事か、全裸で佐助に抱えられていた。
「答えなさいよ竜の姫君、どうせあーとしか言えなくなるんだからさ、今のうちだよ?」
佐助が低く恫喝する。
政宗は無表情で抱かれている。その柔らかそうな胸に爪痕を見た瞬間脳味噌が沸騰しそうになった。
「さ、佐助ェ!とりあえずその手を……」
「駄目でしょ旦那、手枷足枷付いてるからって油断できる相手じゃないでしょが!」
佐助は手慣れた様子で手枷に付いた金具と、天井の滑車から下がる鉄糸を縒った縄をつなぎ合わせる。
「ま、まさむねどの、その、お、ぉ、お久しゅうござる」
挨拶する間に政宗は足がつくか付かないかの高さに吊された。肩が腕が苦しげだ。
なぜなら吊した高さは、足を踏ん張ろうとしてもつま先が少し掠る程度、揺れに合わせ豊かな胸がふるふると震える。
柔そうで、しかし張りがあって、つんと上を向いたその形。
鍛えられた痕跡が見てとれる腹は川魚のように滑らかで、腰のなだらかな張りに比べても十分細い。
もう、否応なしに見とれてしまう。
「政宗殿?その、もしやお声が出ぬのでは……」
佐助を横目で睨む。佐助は肘で独眼竜を突っつく。ふわん、と揺れる体突っ張る足たわわな胸。
鼻息が荒くなる。
「Ha……そうだな。まあいいか。hey幸村どうしたよ、鼻息荒いぜ?」
指摘されて落ち込むと、直後佐助が政宗の頬を張った。
「幸村様、だ。何以前と変わらないつもりで居るの?」
「佐助!動けぬ婦女子に手をあげるものではないぞ!」
一歩迫ると佐助がひょいと肩をすくめた。
上田城の虜15




