「何が悪い!」
詰め寄って行くと珍しく佐助も怒った眼差しで見返してきた。
「何もかも悪いよ!もー人質の処理は俺に任せておいてよ忍びの仕事でしょー?」
「惚れたお方が囚われているならば助け出すがもののふというもの!そこを退け佐助ェッ」
怒号に佐助が立ち向かう。
「仕事を全うするのが一流の忍びの心意気ってモンですよ旦那!そこで見てて下さいよ!」
暫し火花を散らし、間合いを計る。佐助とは幾度も手合わせをした、と言うか修練に付き合わせた。
その技はよく知っている。佐助もこちらの技も間合いもよく知っている。
湯気がたちこめる室内。腰を落とし手を……なんと!槍を忘れた!
「……何やってんだあんたら」
腰の辺りまで湯に浸った独眼竜が呆れかえったように呟いた。
髪先からぽたぽた落ちる滴が桶に波紋をつくる。
いくつかが胸乳に落ちる。
「っ、失礼致した、その、ままままさむね殿を放っておくつもりではござらぬ、その何か希望は」
「手枷外せ、後は自分で体くらい洗える」
か、体を洗う!そう言えばそう、確かにそうだが何たることだ。
「了解致した、たたたしかに佐助に洗わせるわけにっ」
視線を逸らしたり落としたりしながら政宗を吊しあげている手枷に腕を伸ばすと、
「駄目だっつってんでしょうが!何どもりまくってんの旦那!逃げられたらどうすんの旦那!」
後ろ頭をぺしんと叩かれた。
「し、しかし男がみみ未婚の婦女子に触れるなどはははれんち極まりな……」
政宗の綺麗な背筋に汗が浮いて、つうっと滑りおちていく。
短く切られた髪から覗くうなじ、それがくっと捻られて幸村を見上げる。
「ha、おめでてーなとっくに触られてるぜ」
蒸されて上気した頬、その赤みが左右で違う。
いや、そもそも揺れる胸の片方にある爪の痕。至近距離での再確認に頭が殴られたような気持ちになった。
「さぁぁぁーすけぇぇぇぇーっ!」
お前力一杯握っただろう!
「だーっ!だからね旦那!何度繰り返す気なのどんだけテンパってんの!ああもう俺知りませんよ知りませんからね?
今すぐここ出て行くか独眼竜丸洗いをそこで見ているか、どっちか選んで!ホラ早くそら早く!」
幸村は迷わず佐助の額をぺしんと叩いた。
「俺がやる」
鉢巻きを握りしめて引きずり下ろす。うむ視界は塞がれた。
「あのね湯浴みの手伝いって言っちゃなんだけど下っ端の仕事でしょうが!なんで旦那が奉仕すんの!」
「佐助に任せると虐待をはじめる!」
手探りで気配に腕を伸ばす。指に張り付くような濡れた髪の感触。
「Ha!虐待でも拷問でもかまいやしねえよ、やるだけやってみな」
挑戦的な声に、髪をなで下ろす。引き寄せて自分の胸に抱え込んだ。
胸元に細い吐息がかかる。
思いの丈をこめ、弱った体に伝わるようにゆっくりと語った。
「政宗殿、某を佐助と一緒にしてくれるな。好いたお方を傷つけるような性癖は持ち合わせておりませぬ故」
「俺は独眼竜好きじゃないですよ旦那、いいからホラ止める、俺がするからさ、
今日はもう叩かないし殴んないから、だーんーなー!」
肩を押さえられたが腕は放さない。
「っ、」
苦しそうな政宗の吐息。申し訳ない政宗殿。
「今日は、では駄目だ!」
「んじゃどーすんの独眼竜を!」
「娶りたい!」
迷わず答える。
「……No……」
細い吐息が声を絞り出す。
「ホラ断られてんでしょうが一日に三度も!ああ解った、じゃあこうしよう独眼竜の気持ちはいったんおいといて、
とにかく丸洗いの上予定通り仕込みます、だから後は俺に任せてだん……」
見当だけで肘を繰り出した。気配がひょいと飛び退く。
片腕だけで捕まえた独眼竜が忙しい息を繰り返す。
「お苦しゅうござったか、申し訳ありませぬ……が佐助!お前それでは何一つ譲歩しておらぬぞ!」
「この程度で俺が弱音はくと思うか?」
「嘘だろー旦那が見抜いたよ、恋って凄いね」
目隠し越しに睨むつもりで声がする方向を振り向いた。
とたんに目隠しの布端が引っ張られて結び目がとける。
長くたなびく鉢巻きの片端は、政宗と己の体の合間に挟まっていた。
上田城の虜17
詰め寄って行くと珍しく佐助も怒った眼差しで見返してきた。
「何もかも悪いよ!もー人質の処理は俺に任せておいてよ忍びの仕事でしょー?」
「惚れたお方が囚われているならば助け出すがもののふというもの!そこを退け佐助ェッ」
怒号に佐助が立ち向かう。
「仕事を全うするのが一流の忍びの心意気ってモンですよ旦那!そこで見てて下さいよ!」
暫し火花を散らし、間合いを計る。佐助とは幾度も手合わせをした、と言うか修練に付き合わせた。
その技はよく知っている。佐助もこちらの技も間合いもよく知っている。
湯気がたちこめる室内。腰を落とし手を……なんと!槍を忘れた!
「……何やってんだあんたら」
腰の辺りまで湯に浸った独眼竜が呆れかえったように呟いた。
髪先からぽたぽた落ちる滴が桶に波紋をつくる。
いくつかが胸乳に落ちる。
「っ、失礼致した、その、ままままさむね殿を放っておくつもりではござらぬ、その何か希望は」
「手枷外せ、後は自分で体くらい洗える」
か、体を洗う!そう言えばそう、確かにそうだが何たることだ。
「了解致した、たたたしかに佐助に洗わせるわけにっ」
視線を逸らしたり落としたりしながら政宗を吊しあげている手枷に腕を伸ばすと、
「駄目だっつってんでしょうが!何どもりまくってんの旦那!逃げられたらどうすんの旦那!」
後ろ頭をぺしんと叩かれた。
「し、しかし男がみみ未婚の婦女子に触れるなどはははれんち極まりな……」
政宗の綺麗な背筋に汗が浮いて、つうっと滑りおちていく。
短く切られた髪から覗くうなじ、それがくっと捻られて幸村を見上げる。
「ha、おめでてーなとっくに触られてるぜ」
蒸されて上気した頬、その赤みが左右で違う。
いや、そもそも揺れる胸の片方にある爪の痕。至近距離での再確認に頭が殴られたような気持ちになった。
「さぁぁぁーすけぇぇぇぇーっ!」
お前力一杯握っただろう!
「だーっ!だからね旦那!何度繰り返す気なのどんだけテンパってんの!ああもう俺知りませんよ知りませんからね?
今すぐここ出て行くか独眼竜丸洗いをそこで見ているか、どっちか選んで!ホラ早くそら早く!」
幸村は迷わず佐助の額をぺしんと叩いた。
「俺がやる」
鉢巻きを握りしめて引きずり下ろす。うむ視界は塞がれた。
「あのね湯浴みの手伝いって言っちゃなんだけど下っ端の仕事でしょうが!なんで旦那が奉仕すんの!」
「佐助に任せると虐待をはじめる!」
手探りで気配に腕を伸ばす。指に張り付くような濡れた髪の感触。
「Ha!虐待でも拷問でもかまいやしねえよ、やるだけやってみな」
挑戦的な声に、髪をなで下ろす。引き寄せて自分の胸に抱え込んだ。
胸元に細い吐息がかかる。
思いの丈をこめ、弱った体に伝わるようにゆっくりと語った。
「政宗殿、某を佐助と一緒にしてくれるな。好いたお方を傷つけるような性癖は持ち合わせておりませぬ故」
「俺は独眼竜好きじゃないですよ旦那、いいからホラ止める、俺がするからさ、
今日はもう叩かないし殴んないから、だーんーなー!」
肩を押さえられたが腕は放さない。
「っ、」
苦しそうな政宗の吐息。申し訳ない政宗殿。
「今日は、では駄目だ!」
「んじゃどーすんの独眼竜を!」
「娶りたい!」
迷わず答える。
「……No……」
細い吐息が声を絞り出す。
「ホラ断られてんでしょうが一日に三度も!ああ解った、じゃあこうしよう独眼竜の気持ちはいったんおいといて、
とにかく丸洗いの上予定通り仕込みます、だから後は俺に任せてだん……」
見当だけで肘を繰り出した。気配がひょいと飛び退く。
片腕だけで捕まえた独眼竜が忙しい息を繰り返す。
「お苦しゅうござったか、申し訳ありませぬ……が佐助!お前それでは何一つ譲歩しておらぬぞ!」
「この程度で俺が弱音はくと思うか?」
「嘘だろー旦那が見抜いたよ、恋って凄いね」
目隠し越しに睨むつもりで声がする方向を振り向いた。
とたんに目隠しの布端が引っ張られて結び目がとける。
長くたなびく鉢巻きの片端は、政宗と己の体の合間に挟まっていた。
上田城の虜17




