苦水を飲み干したような気持ちだった。
自分は忍びだ。情も何もない、今更だというのに何を。
旦那は自分の布団に横たわる、面やつれして微かな息を洩らす独眼竜をじっと見つめている。
命の多寡を計るように。
自分は忍びだ。情も何もない、今更だというのに何を。
旦那は自分の布団に横たわる、面やつれして微かな息を洩らす独眼竜をじっと見つめている。
命の多寡を計るように。
独眼竜は気絶した。
まあ体力なんてほとんどなかったし、蒸気がむわむわしてる中にいるだけで、
湯を使うだけで体力削れてく事なんて解ってたしね。
起こそうと思って側によって、なんだか違和感を覚えた。達した後の様子にしては何かが、違う。
額に手を当て、それでも納得できなくて、滑車を操作して独眼竜の体を下ろして、爪の色を見た。
青紫のその色、ふるえが走るその体。
今はまだそんなでもない、けど直ぐに高熱が出る印。
手当てしながら、俺はさくさくと旦那に説明した。
伊達領の暴動とか。北に一揆の動きが高まって面倒だとか、
独眼竜も指摘した、旦那がこの女手に入れちゃいけない訳だとか、もっとずっと柔らかい言葉で。
真田の旦那は燃えたぎって視野が狭まってない限り、
素直で聞き分けがいい。こんな、俺みたいな下郎の言葉でも納得すればきちんと受け入れる。
血と滾りは独眼竜、あんたが鎮めてくれたし。ほんっと役に立ってくれたよありがとうね。
うん、本当倒れてくれて良かったよ。
まさか本当に旦那が独眼竜の陰毛燃やすと思わなかったし。
きっと怒って止めると思ったよ。いいや、受け入れられもしないのに、手を出すとも思わなかったよ。
旦那のことだからさ、誠心誠意かき口説けば靡いてくれて、そしたら閨に堂々と連れ込むとか、
脳味噌あったかい事考えてたのに違いなくって、さあ。
……独眼竜の狂熱に呑まれてたね、旦那。影響、受けやすい方だったのかな。
それともあの、来なって叫んだ言葉を、拷問じゃないと言い切った強がりをそのまま受け止めたのかな。
まさかそこまで馬鹿じゃないと思いたいけど、……いいや止めよう。
ま、トチ狂ってても旦那はやっぱりワンコ系で、なんか凄くしみじみしたけどね。
でも倒れた独眼竜を見て冷静になったし、一瞬たがが外れることくらい誰にでもある。
まあ体力なんてほとんどなかったし、蒸気がむわむわしてる中にいるだけで、
湯を使うだけで体力削れてく事なんて解ってたしね。
起こそうと思って側によって、なんだか違和感を覚えた。達した後の様子にしては何かが、違う。
額に手を当て、それでも納得できなくて、滑車を操作して独眼竜の体を下ろして、爪の色を見た。
青紫のその色、ふるえが走るその体。
今はまだそんなでもない、けど直ぐに高熱が出る印。
手当てしながら、俺はさくさくと旦那に説明した。
伊達領の暴動とか。北に一揆の動きが高まって面倒だとか、
独眼竜も指摘した、旦那がこの女手に入れちゃいけない訳だとか、もっとずっと柔らかい言葉で。
真田の旦那は燃えたぎって視野が狭まってない限り、
素直で聞き分けがいい。こんな、俺みたいな下郎の言葉でも納得すればきちんと受け入れる。
血と滾りは独眼竜、あんたが鎮めてくれたし。ほんっと役に立ってくれたよありがとうね。
うん、本当倒れてくれて良かったよ。
まさか本当に旦那が独眼竜の陰毛燃やすと思わなかったし。
きっと怒って止めると思ったよ。いいや、受け入れられもしないのに、手を出すとも思わなかったよ。
旦那のことだからさ、誠心誠意かき口説けば靡いてくれて、そしたら閨に堂々と連れ込むとか、
脳味噌あったかい事考えてたのに違いなくって、さあ。
……独眼竜の狂熱に呑まれてたね、旦那。影響、受けやすい方だったのかな。
それともあの、来なって叫んだ言葉を、拷問じゃないと言い切った強がりをそのまま受け止めたのかな。
まさかそこまで馬鹿じゃないと思いたいけど、……いいや止めよう。
ま、トチ狂ってても旦那はやっぱりワンコ系で、なんか凄くしみじみしたけどね。
でも倒れた独眼竜を見て冷静になったし、一瞬たがが外れることくらい誰にでもある。
旦那のカンで容態を判別しきれなかったのか、その目がふっとこちらを向いた。
「佐助。政宗は助かるか?」
旦那はごく自然に、独眼竜を呼び捨てにしていた。
そうだね旦那、この女はあられもない声上げて達したね。
囚われのうちは良き敵であった方、敵ながら素晴らしかった、……そんな風に賞賛できても、うん。
入れてなくてもまあ一応、ヤっちゃったうち…だよねえあれ。なら自分の女って気はするよ。普通だよ。
でもさ、この女の気位は本物だ。声を上げても達しても高慢な眼差しに変化はなかった。
嫌悪と絶望を強情にも見せなかった。
痛みにも屈辱にも恥辱にも泣きを入れなかった。
それは、頭が悪くないからかもしれないけど。
嫌だとか、止めろとかさ。
そんな言葉は聞き入れる対等な相手か、目下の者にしか有効じゃないもんね?
自分の意志が通ることに慣れた、高貴な人ほどそういう言葉を簡単に使う。
けど独眼竜、あんた姫君な割りによく解ってるね。言ったって無駄だって、さ。
上田城の虜25
「佐助。政宗は助かるか?」
旦那はごく自然に、独眼竜を呼び捨てにしていた。
そうだね旦那、この女はあられもない声上げて達したね。
囚われのうちは良き敵であった方、敵ながら素晴らしかった、……そんな風に賞賛できても、うん。
入れてなくてもまあ一応、ヤっちゃったうち…だよねえあれ。なら自分の女って気はするよ。普通だよ。
でもさ、この女の気位は本物だ。声を上げても達しても高慢な眼差しに変化はなかった。
嫌悪と絶望を強情にも見せなかった。
痛みにも屈辱にも恥辱にも泣きを入れなかった。
それは、頭が悪くないからかもしれないけど。
嫌だとか、止めろとかさ。
そんな言葉は聞き入れる対等な相手か、目下の者にしか有効じゃないもんね?
自分の意志が通ることに慣れた、高貴な人ほどそういう言葉を簡単に使う。
けど独眼竜、あんた姫君な割りによく解ってるね。言ったって無駄だって、さ。
上田城の虜25




