戦国BASARA/エロパロ保管庫

北部戦線異状なし5

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そしてまた、世間的に女と知られ女扱いされるようになれば、少しはこの主の
妙な性癖も収まるのではないか、というのも、小十郎の隠れた本音だった。
「もう一度、お考え下され。この小十郎、御ためならばいかようにも動きます」
「……だから面倒くさいってんだよ。だいたいあの幸村が婿取れるんだ、俺なんか
その気になりゃもっとeasyだっての」
「政宗様、ですがあちらとこちらでは立場も状況も」
「だーもう、save it!酒がまずくなるだろうが!」
小十郎の思いも知らず、主の反応は無情なほどさばさばだ。
実につまらなそうに顔をしかめ、ひらひらと手を振り、これでこの話はThe endだ!と箸を放り出す。
「これ!そのようないい加減なことで」
「shut up!それ以上しゃべってみろ、庭に蹴り出すぞ!」
渡した杯を奪い返し、煽りながら、いいからとっとと餅を焼け、と催促してくる。
挑戦的に睨んでくる小生意気な顔に、小十郎は何度目かのため息をついて火鉢に向き直った。

そうしてうつむいていたため、小十郎は気づくことはなかった。
杯の陰から覗く隻眼が、冷たく探るような、それでいてひどく必死な光を浮かべて、
自分を見つめていることに。

灰の中の餅を転がしている間に、傍らで立て続けに空けられていく杯に、
小十郎は眉をひそめて主を振り返った。
飲みすぎですよとたしなめてみるが、聞こえているのかいないのか、政宗は無言で
杯を重ねるばかりだ。
肴に手もつけず、五杯も過ぎたあたりで、ようやく唇が杯を離す。
ちらりと見返してきた顔は笑っているようだったが、酔いのかけらも浮かんでいなかった。
「この程度じゃ酔わねえよ」
「そう言って先だっても、裸足で庭を駆け回って風邪を引きかけたでしょう。
まったく少しは小十郎の苦労も考えて」
「なあ。もしかして嫌になったのか?」
「は?」
ふいの言葉に、火鉢の灰をかき回す手を止め、小十郎は主の顔を見た。
浴びるほど酒を飲んでいるはずなのに、その頬は不思議なほど、白いままだ。
上目遣いに小十郎を見つめたまま、冬風に髪を揺らしながら、合わせるように体も前後に揺らしだす。
常に似合わぬ、うじうじとひどく子どもじみたその動作に不審を覚える前に、
静かな声がまた主の口から漏れた。

「女とも呼べない、男にもなれない主になんか、仕えるのは嫌になったか?」

身を切るような冷たい風に、粉雪が舞い上がった。
政宗の短い黒髪に、雪花が色を添える。冬のかけらは襟元にも忍び込み、雪より白い肌に
舞い降りては溶けて消えていく。
寒さなど感じぬように微笑みながら、見つめる顔は穏やかだが、ただ一つの目には
笑みのかけらも浮かんでいない。
探るように、試すように、脅すように、すがるように、自分を見据えるその目を、
数瞬黙って見返し、火鉢に伸ばしていた手を戻すと、小十郎は居住まいを正して向き直った。
氷のような床板に両手をつき、顔を上げ、叱るように、宥めるように、あやすように、
誓うように、真正面からひたと見据える。

「男だろうと女だろうと、小十郎にはあなた様が、ただ一人の主です」

体の揺れが、ぴたりと止まった。
すうっと頬に赤みが差し、薄い口元に浮かんでいた頼りない笑みが、にっと崩れる。
it's natural!当然だろ、とうなずき、再び杯を空けはじめた上機嫌な顔を眺め、
小十郎もふっと笑みを漏らした。
やれやれと膨れてはじけた餅を灰から取り出し、大根おろしもつけますか、と問えば、
うんと辛いのにしてくれ、とやはり上機嫌な返答が帰ってきた。
北部戦線異状なし6

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