「ここがその村か……」
元親たちが、目的の村にたどり着いたころ、
いつの間にか吹雪は止み、空は先程までの悪天候が嘘だといわんばかりに晴れていた。
物陰から様子をうかがうと、数人の村人が外に出ており、
吹雪によって痛んでしまった民家の補強や、積もりに積もった雪を降ろしていた。
村中に平和な時が流れており、かき乱すことに罪悪感を覚えてしまいそうなほどだ。
が、この男だけは違った。
「こんなド田舎に眠るお宝か……。一体どんなモンなんだろうねェ」
ニヤリと、悪戯っ子のような笑みを浮かべると、
元親は碇槍を担ぎ、堂々と村人たちの前へ歩み出た。
元親たちが、目的の村にたどり着いたころ、
いつの間にか吹雪は止み、空は先程までの悪天候が嘘だといわんばかりに晴れていた。
物陰から様子をうかがうと、数人の村人が外に出ており、
吹雪によって痛んでしまった民家の補強や、積もりに積もった雪を降ろしていた。
村中に平和な時が流れており、かき乱すことに罪悪感を覚えてしまいそうなほどだ。
が、この男だけは違った。
「こんなド田舎に眠るお宝か……。一体どんなモンなんだろうねェ」
ニヤリと、悪戯っ子のような笑みを浮かべると、
元親は碇槍を担ぎ、堂々と村人たちの前へ歩み出た。
肩に武具を担ぎ、後ろには無数の男たちを従えた元親の姿は、
すぐに村人たちの目に入った。
突然の闖入者に、村が騒然となる。
悲鳴を上げて逃げ惑う者、どこからか武器を取り出して牽制する者、
幼子を抱え、家へ逃げ込む者―――随分と嫌われてるもんだなァ……と、
聞こえるか聞こえないかの声量でつぶやき、真っ向から立ち向かってきた若い男の喉元に槍の先を向ける。
「ひっ……!」
「安心しろ、危害を加えるつもりはねェ……。この村に眠る最高の宝―――在り処を吐けばな」
抵抗力を失った男に、低い声で尋ねる。
「宝……?っそれだけは渡すわけにはいかねぇ!!」
男の目に、抵抗の光が宿る。
「ほぉー……。なら実力行使といこうかね……」
槍の先を男から外し、再び肩に担ぐ。
「野郎共!喰っちまいなァ!!」
「おぉーっ!!」
どこからともなく現れた男たちに、村人は死を覚悟した。
―――その時だった。
「やめるだー!!」
突如、高く澄み切った声が響いた。
と同時に、絶望に染まっていた村人の表情が希望へと変わる。
「い、いつきちゃぁぁぁん!!」
「なんだァ?」
声のした方へ顔を上げると、珍妙な衣装に身を包んだ男たちと、一人の少女が立っていた。
齢は十二・三歳といったところか。
銀色に輝く髪を二つに束ね、華奢な身体に藁で作られた防具をまとっていた。
動きやすいようになのか、大きく露出させた肩は、
周囲の雪のように白いが、お互い溶け合うことはなく、むしろ瑞々しい輪郭を感じさせた。
「悪いお侍……。おらが来たからには、もう好きにはさせねぇ!!」
純真な輝きを宿した瞳で、こちらを牽制するように睨みつける。
そして、小柄な体躯では持て余してしまいそうな巨大な槌を構えると、
「みんな!行っくぞー!!」
彼女の号令と共に、男たちが一斉にこちらに向かってきた。
「ちっ……。野郎共!!迎え撃ってやんな!!」
急襲に舌打ちしながら、部下に指示を出す。
すぐに村人たちの目に入った。
突然の闖入者に、村が騒然となる。
悲鳴を上げて逃げ惑う者、どこからか武器を取り出して牽制する者、
幼子を抱え、家へ逃げ込む者―――随分と嫌われてるもんだなァ……と、
聞こえるか聞こえないかの声量でつぶやき、真っ向から立ち向かってきた若い男の喉元に槍の先を向ける。
「ひっ……!」
「安心しろ、危害を加えるつもりはねェ……。この村に眠る最高の宝―――在り処を吐けばな」
抵抗力を失った男に、低い声で尋ねる。
「宝……?っそれだけは渡すわけにはいかねぇ!!」
男の目に、抵抗の光が宿る。
「ほぉー……。なら実力行使といこうかね……」
槍の先を男から外し、再び肩に担ぐ。
「野郎共!喰っちまいなァ!!」
「おぉーっ!!」
どこからともなく現れた男たちに、村人は死を覚悟した。
―――その時だった。
「やめるだー!!」
突如、高く澄み切った声が響いた。
と同時に、絶望に染まっていた村人の表情が希望へと変わる。
「い、いつきちゃぁぁぁん!!」
「なんだァ?」
声のした方へ顔を上げると、珍妙な衣装に身を包んだ男たちと、一人の少女が立っていた。
齢は十二・三歳といったところか。
銀色に輝く髪を二つに束ね、華奢な身体に藁で作られた防具をまとっていた。
動きやすいようになのか、大きく露出させた肩は、
周囲の雪のように白いが、お互い溶け合うことはなく、むしろ瑞々しい輪郭を感じさせた。
「悪いお侍……。おらが来たからには、もう好きにはさせねぇ!!」
純真な輝きを宿した瞳で、こちらを牽制するように睨みつける。
そして、小柄な体躯では持て余してしまいそうな巨大な槌を構えると、
「みんな!行っくぞー!!」
彼女の号令と共に、男たちが一斉にこちらに向かってきた。
「ちっ……。野郎共!!迎え撃ってやんな!!」
急襲に舌打ちしながら、部下に指示を出す。