何を、とは聞かれなかった。
政宗は小十郎の腰の辺りを探る。足の付け根にようやく到達すると、のろのろと頭を下げ始めた。
「……どうやったら、いいんだ」
政宗に何かをさせたことなどない。小十郎以外の男も知らない。従って、男に奉仕をする
というのも初めて、ということになる。
ぞくり、と背筋が震えた。
「見えねぇし……噛むかも」
「大丈夫ですよ。小十郎が教えて差し上げます」
背を丸め、耳元で囁く。政宗はこくりと小さく頷くと、小十郎の男根に触れた。節くれだった
男のような手をしている。
ゆっくりと、確かめるように舌が触れた。そのまま下がっていく頭を止める。
「いきなり咥える必要はありません。舐めるだけで結構です」
首が傾き、舌が触れた。のろのろとした動きで小十郎を舐めていく。初めてなのだから、
技巧も何もない。政宗が望めば教え込んでもいいかもしれない、と思ったが、まさか
望むとは思えない。
「指を使って……そ、う。ただ舐めるだけじゃなくて、緩急をつけて」
小十郎の教えるまま、政宗は奉仕する。
教えたわけでもないのに政宗はぴちゃぴちゃと音を立て、小十郎の男根を舐める。政宗の
舌の温度と呼吸が、何よりも政宗がこうして舐めているという現実が加わるのだから、
小十郎の限界はすでに近づいていた。
変化に気づいた政宗が顔を上げる。見えていない右の目がじっと見つめる。
もっと、させてみたい。
口の中に吐き出したい。
「最後まで、していただきましょうか」
「――飲めってか?」
「そこまで望みませんよ。歯を当てないようにして、咥えてみてください」
政宗の顔がまた下がった。口内の温度がゆっくりと小十郎を包む。
鼻から漏れる呼吸が小十郎を撫でる。指で撫で上げ、顔をのろのろと上下に動かしながら
政宗は小十郎を昇らせていく。
こみ上げてくるものを抑えきれず、小十郎は政宗の口内に精を吐く。政宗の頭が跳ねる。
肩を震わせながらそれを受け止める。逃げないだけでも大したものだろう。全部口内に納め、
政宗は口を抑えて吐く場所を探す。
目の前に懐紙を差し出すと、政宗は小十郎の精を吐いて咳き込んだ。目元が隠れていても
しかめ面をしているのは明らかだ。
「も……いいのか?」
ようやく落ち着いた政宗がぽつりとつぶやいた。
ぺたん、と座ったまま、指が小十郎を探す。腕を取ると、いつものように胸に顔を寄せてくる。
さわさわとした髪が小十郎をくすぐった。
「お前に酷い事をした。……お前が許すまで、俺は、お前の言いなりだぜ」
そういう、ことか。
小十郎は笑みを止められなかった。
家康の下に行こうとしたことを、政宗は悔やんでいるのだ。
三河に嫁げば、小十郎は政宗の側近として仕えることはできない。
だからといって、本人同士がどれほど望んでも、主君と家臣が夫婦となることはない。
ずっと、傍に置くと言ってくれるのだろうか。
「どこにも行かないって、言ってたのにな。ちょっと、考えてしまった」
「政宗様」
「俺の婿は、決まってるのに」
腕が背に回る。
答えを待つように、白い顔が伏せられる。頭を寄せて、一心に甘えてくる。
「伊達の家はどうなさるおつもりか」
「……どうもしねぇよ。俺の代で滅ぼしてみろ、先祖に祟られる」
「俺は、あなたを娶るわけにはいきません」
「わかってるさ。俺は伊達に必要で、お前も必要だ。どっちも、勝手な真似はできねぇ。でも」
顔が動く。甘い息を首筋に吹きかけられる。背筋を何かが駆け抜けた。
ぴちゃ、と濡れた音を立てて首筋に口付けられる。指が背をなぞる。
「ずっと傍にいる男に惹かれて、抱かれたいって思う俺の気持ちを、誰が止められるんだ?」
強く、抱き締めた。
腕の中の温もりが、小十郎に答える。何度も頷く小さな頭を撫でた。
言葉をかければいい。睦言なら慣れている。
けれどどんな言葉も、今の胸のうちを表すのにふさわしくない。もどかしい。
言葉の代わりに唇を落とした。右目のある場所に触れ、背を抱いた。
政宗の手が、小十郎の髪に差し入れられる。白い手がゆっくりと髪を探る。甘い息が
耳をくすぐる。
小十郎の中の欲情が弾けた。
政宗は小十郎の腰の辺りを探る。足の付け根にようやく到達すると、のろのろと頭を下げ始めた。
「……どうやったら、いいんだ」
政宗に何かをさせたことなどない。小十郎以外の男も知らない。従って、男に奉仕をする
というのも初めて、ということになる。
ぞくり、と背筋が震えた。
「見えねぇし……噛むかも」
「大丈夫ですよ。小十郎が教えて差し上げます」
背を丸め、耳元で囁く。政宗はこくりと小さく頷くと、小十郎の男根に触れた。節くれだった
男のような手をしている。
ゆっくりと、確かめるように舌が触れた。そのまま下がっていく頭を止める。
「いきなり咥える必要はありません。舐めるだけで結構です」
首が傾き、舌が触れた。のろのろとした動きで小十郎を舐めていく。初めてなのだから、
技巧も何もない。政宗が望めば教え込んでもいいかもしれない、と思ったが、まさか
望むとは思えない。
「指を使って……そ、う。ただ舐めるだけじゃなくて、緩急をつけて」
小十郎の教えるまま、政宗は奉仕する。
教えたわけでもないのに政宗はぴちゃぴちゃと音を立て、小十郎の男根を舐める。政宗の
舌の温度と呼吸が、何よりも政宗がこうして舐めているという現実が加わるのだから、
小十郎の限界はすでに近づいていた。
変化に気づいた政宗が顔を上げる。見えていない右の目がじっと見つめる。
もっと、させてみたい。
口の中に吐き出したい。
「最後まで、していただきましょうか」
「――飲めってか?」
「そこまで望みませんよ。歯を当てないようにして、咥えてみてください」
政宗の顔がまた下がった。口内の温度がゆっくりと小十郎を包む。
鼻から漏れる呼吸が小十郎を撫でる。指で撫で上げ、顔をのろのろと上下に動かしながら
政宗は小十郎を昇らせていく。
こみ上げてくるものを抑えきれず、小十郎は政宗の口内に精を吐く。政宗の頭が跳ねる。
肩を震わせながらそれを受け止める。逃げないだけでも大したものだろう。全部口内に納め、
政宗は口を抑えて吐く場所を探す。
目の前に懐紙を差し出すと、政宗は小十郎の精を吐いて咳き込んだ。目元が隠れていても
しかめ面をしているのは明らかだ。
「も……いいのか?」
ようやく落ち着いた政宗がぽつりとつぶやいた。
ぺたん、と座ったまま、指が小十郎を探す。腕を取ると、いつものように胸に顔を寄せてくる。
さわさわとした髪が小十郎をくすぐった。
「お前に酷い事をした。……お前が許すまで、俺は、お前の言いなりだぜ」
そういう、ことか。
小十郎は笑みを止められなかった。
家康の下に行こうとしたことを、政宗は悔やんでいるのだ。
三河に嫁げば、小十郎は政宗の側近として仕えることはできない。
だからといって、本人同士がどれほど望んでも、主君と家臣が夫婦となることはない。
ずっと、傍に置くと言ってくれるのだろうか。
「どこにも行かないって、言ってたのにな。ちょっと、考えてしまった」
「政宗様」
「俺の婿は、決まってるのに」
腕が背に回る。
答えを待つように、白い顔が伏せられる。頭を寄せて、一心に甘えてくる。
「伊達の家はどうなさるおつもりか」
「……どうもしねぇよ。俺の代で滅ぼしてみろ、先祖に祟られる」
「俺は、あなたを娶るわけにはいきません」
「わかってるさ。俺は伊達に必要で、お前も必要だ。どっちも、勝手な真似はできねぇ。でも」
顔が動く。甘い息を首筋に吹きかけられる。背筋を何かが駆け抜けた。
ぴちゃ、と濡れた音を立てて首筋に口付けられる。指が背をなぞる。
「ずっと傍にいる男に惹かれて、抱かれたいって思う俺の気持ちを、誰が止められるんだ?」
強く、抱き締めた。
腕の中の温もりが、小十郎に答える。何度も頷く小さな頭を撫でた。
言葉をかければいい。睦言なら慣れている。
けれどどんな言葉も、今の胸のうちを表すのにふさわしくない。もどかしい。
言葉の代わりに唇を落とした。右目のある場所に触れ、背を抱いた。
政宗の手が、小十郎の髪に差し入れられる。白い手がゆっくりと髪を探る。甘い息が
耳をくすぐる。
小十郎の中の欲情が弾けた。




