戦国BASARA/エロパロ保管庫

信長×濃姫 3

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後姿を見るのが目的なのだろうと言わんばかりに、決してまつに正面を向けずにモジモジ
していると、遠くから馬のいななきが聞こえてきた。
「何かしら?」
外へ目を向けると、聞き慣れた声が耳に届く。
「濃姫様ぁーっ!」
「蘭丸君?」
馬から転げ落ちるような勢いで前田邸に駆け込んできたのは、森蘭丸である。
あれっ、と一瞬戸惑ったような声を上げ、しかしすぐに濃姫の顔を見上げた。
「やっぱりここにいたんですね」
まつが差し出した湯呑みを辞退した蘭丸は、茶菓子を口に放りながら言った。
「信長様がお呼びですよ、濃姫様。遅い、とお怒りになってます」
濃姫は短い悲鳴を上げた。
「大変!」
書状ひとつ届けるのも満足にできぬのか、と低い声で唸る信長の姿が目に浮かぶようだ。
「濃姫様、申し訳ござりませぬ」
「あなたのせいじゃないわ」
飛び上がるようにして立ち上がった濃姫は、一刻も早く安土城に戻るべく馬を駆り――その
途中で再度、悲鳴を上げた。
まつと交換した着物、それを身につけたままだったのだ。

「上総介様。も、申し訳ございません」
「遅い!」
もう西の空は赤く染まっている。
背中を向けたまま天守閣に佇む信長に深く頭を垂れ、萌黄色の戦装束もそのままに濃姫は
萎縮していた。
こういった場合に信長は振り向きもせず、無言の威圧を与えてくることが多い。
視界にさえ入れてもらえないのは悲しいが、今回は振り返らないでいてくれた方がありがたい
かも知れなかった。
この格好を見てなおさら怒るだろうかという恐れと、それさえ無視されるかもしれない恐れ。
交互にふたつの不安が押し寄せて、心臓が挙動不審になっている。
振り返る気配がして、濃姫はさらに萎縮した。
「使えぬ――」
『女よ』
そう言おうとしたのだろうか?
紅い外套を大仰に払いながら振り返った信長は、そこで言葉を切った。
頭を下げているので彼の表情を確認するすべもないが、どうも絶句したような感じがする。
――と、顔を上げる間もなく、信長は怒ったようにガシャガシャと甲冑を揺すりながら、
こちらに歩み寄ってきた。
冷たい指が頤を無理に掴んで、濃姫の顔を上向かせる。
「か、上総介様……」
濃姫は驚いて、目を見開いた。
奇妙なものを見つけた。信長が、笑っているのである。
「面白い」
短く言うと信長は、頭に巻いた萌黄の布越しに濃姫の頭に手を乗せた。
――そうだった!
濃姫はまつの格好をしているのだ。
信長は驚いたに違いない。濃姫の声のする方向に振り返ったものの、そこには前田利家の
嫁の姿をした、見慣れぬ女が平伏していたのだから。
夫の機嫌がよろしいことは喜ばしいが、しかし濃姫は気恥ずかしさが込み上げてき、真っ赤な
顔で目を伏せるのがせいいっぱいだった。
「濃!」
と呼ばれ、
「は、はい」
ふるえる声で返事をすると、やはり信長は機嫌よさそうに口の端で笑う。
「――ついて来い!」
言うなり再度外套を払って、信長は濃姫に背を向けた。

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