下腹部のぬめりがいよいよ気になって、濃姫は半身を起こした。
借り物を汚してしまう。
丈の短い萌黄の布を腰から下げようとすると、そこに信長の手が絡みついた。
「上総介様」
と、名を呼ぼうとしたところ、首筋を舐め上げられながら組み伏せられる。
「んんっ、あぁんっ」
湿った吐息に接した肌を、ぞろりと舐める舌と口髭の感触。
喘ぎ悶えるうちに、信長は引ったくるような乱暴さで腰を覆っていた衣装を取り払った。
どこか遠くの方で、ぱさりと布が落ちる音がした。
まつの物だから大事にしろ、となど口が利けたとしても言えはしないが、濃姫は新たな
快感に襲われて、彼の名と高い声しか吐き出すことができない。
「上総介様ぁ……あ、ああっ、あああっ!」
衣服を脱がしたその手が、柔肌を指でなぞっている。
茂みを掻き分けた信長の指は濡れそぼった肉唇を、濃姫が瞠目するほど優しい手つきで撫でた。
愛液を指に絡めながら執拗に愛撫を繰り返し、入り口をつつくのもまるで中の様子を遠慮
がちに窺っているようなそぶりである。
それだけに……。
また例のごとく、急に乱暴に扱って濃姫を驚かせるのだろうと予想がついた。
「ん……んう、上総介様……」
期待とも恐れともつかないふるえ方で体を縮こまらせると、信長は上半身を起こして濃姫の
頬や額を唇で撫でる。
まぶたを熱い舌で舐められ、濃姫はそっと目を閉じた。
直後、信長の太い指が唐突に胎内に潜り込んだ。
「……っ、はあぁっ! ああうっ」
濃姫は悲鳴を上げる。
予想どおりの乱暴さだった。
「か、上総介、様……もっと優し……」
眉間にしわを寄せながら切れ切れに言うと、信長は鼻で笑った。
「――何か言ったか」
はっと息を呑んで、濃姫は信長の顔を上目遣いに見上げた。
鋭く言い放った信長の、声が優しい気がする。声が笑っているように聞こえる。
濃姫は目尻に涙を溜めたまま、泣き笑いにも似た微笑を浮かべた。
「……もっと」
もっと、お情けを。
そこまで言う代わりに信長にしがみついて、媚を売るように、ねだるように頭を擦りつけた。
「くっ、ふ……はあ、あぁあっ」
緩急と強弱、飴と鞭の愛撫を受けながら、喘ぐ。叫ぶ。すすり泣く。縋りつく。
そうしながら、信長が鎧を脱ぎ捨てるのを手伝った。
借り物を汚してしまう。
丈の短い萌黄の布を腰から下げようとすると、そこに信長の手が絡みついた。
「上総介様」
と、名を呼ぼうとしたところ、首筋を舐め上げられながら組み伏せられる。
「んんっ、あぁんっ」
湿った吐息に接した肌を、ぞろりと舐める舌と口髭の感触。
喘ぎ悶えるうちに、信長は引ったくるような乱暴さで腰を覆っていた衣装を取り払った。
どこか遠くの方で、ぱさりと布が落ちる音がした。
まつの物だから大事にしろ、となど口が利けたとしても言えはしないが、濃姫は新たな
快感に襲われて、彼の名と高い声しか吐き出すことができない。
「上総介様ぁ……あ、ああっ、あああっ!」
衣服を脱がしたその手が、柔肌を指でなぞっている。
茂みを掻き分けた信長の指は濡れそぼった肉唇を、濃姫が瞠目するほど優しい手つきで撫でた。
愛液を指に絡めながら執拗に愛撫を繰り返し、入り口をつつくのもまるで中の様子を遠慮
がちに窺っているようなそぶりである。
それだけに……。
また例のごとく、急に乱暴に扱って濃姫を驚かせるのだろうと予想がついた。
「ん……んう、上総介様……」
期待とも恐れともつかないふるえ方で体を縮こまらせると、信長は上半身を起こして濃姫の
頬や額を唇で撫でる。
まぶたを熱い舌で舐められ、濃姫はそっと目を閉じた。
直後、信長の太い指が唐突に胎内に潜り込んだ。
「……っ、はあぁっ! ああうっ」
濃姫は悲鳴を上げる。
予想どおりの乱暴さだった。
「か、上総介、様……もっと優し……」
眉間にしわを寄せながら切れ切れに言うと、信長は鼻で笑った。
「――何か言ったか」
はっと息を呑んで、濃姫は信長の顔を上目遣いに見上げた。
鋭く言い放った信長の、声が優しい気がする。声が笑っているように聞こえる。
濃姫は目尻に涙を溜めたまま、泣き笑いにも似た微笑を浮かべた。
「……もっと」
もっと、お情けを。
そこまで言う代わりに信長にしがみついて、媚を売るように、ねだるように頭を擦りつけた。
「くっ、ふ……はあ、あぁあっ」
緩急と強弱、飴と鞭の愛撫を受けながら、喘ぐ。叫ぶ。すすり泣く。縋りつく。
そうしながら、信長が鎧を脱ぎ捨てるのを手伝った。