鉄の鎖の鳴るかすかな音に気付き、小十郎は広い堂内の一角に眼を走らせた。
そしてそこに枷に囚われた人影を認める。
梁から下がる拘束具に、頭の上で両の手首を一纏めに戒められ、
吊るされるような形で意識を失っているのは、見紛うはずもなく政宗だった。
そしてそこに枷に囚われた人影を認める。
梁から下がる拘束具に、頭の上で両の手首を一纏めに戒められ、
吊るされるような形で意識を失っているのは、見紛うはずもなく政宗だった。
「政宗様!!」
思うよりも先に駆け出し、拘束具を刀で叩き斬ると、
力無く倒れ込んで来る政宗のほそりとした身体を受け止めた。
その身体が暖かく、弱々しくはあるが確かに息づくいているのを認めて、
小十郎はようやく安堵の息を吐く。
怪我は無いかと政宗の顔や身体に改めて眼をやった小十郎だったが、
思わず慌てて眼を逸らす。
日頃政宗の身包んでいる鎧兜や陣羽織は、今は主の元にはなく、
代わりに政宗の白い裸体を包んでいるのは、優美な文様が透かし織られた
薄青い絽の着物だった。
着ている意味が無いのではないのかと思える程に薄い衣は、
素裸でいるよりも淫らに少女のなだらかな身体の線を際立たせていた。
眼を逸らしたものの、怪我をしていたらどうすると思い直し、
小十郎は何とも落ち着かない気分で政宗の顔や身体を調べた。
触れてみても骨に異常はなく、爆風で飛ばされた時の物なのか、
半分消えかかった打ち身の跡が所々見受けられる以外には、特に傷は無いようだった。
小十郎は再び安堵の息を漏らし、自らの陣羽織を脱ぐと
それで政宗の身体を包んでやった。
血で汚れてはいたが、無いよりはマシだろうと判断したのだ。
元々体格差のある二人なので、政宗の身体は
すっぽりと小十郎の陣羽織の中に収まった。
力無く倒れ込んで来る政宗のほそりとした身体を受け止めた。
その身体が暖かく、弱々しくはあるが確かに息づくいているのを認めて、
小十郎はようやく安堵の息を吐く。
怪我は無いかと政宗の顔や身体に改めて眼をやった小十郎だったが、
思わず慌てて眼を逸らす。
日頃政宗の身包んでいる鎧兜や陣羽織は、今は主の元にはなく、
代わりに政宗の白い裸体を包んでいるのは、優美な文様が透かし織られた
薄青い絽の着物だった。
着ている意味が無いのではないのかと思える程に薄い衣は、
素裸でいるよりも淫らに少女のなだらかな身体の線を際立たせていた。
眼を逸らしたものの、怪我をしていたらどうすると思い直し、
小十郎は何とも落ち着かない気分で政宗の顔や身体を調べた。
触れてみても骨に異常はなく、爆風で飛ばされた時の物なのか、
半分消えかかった打ち身の跡が所々見受けられる以外には、特に傷は無いようだった。
小十郎は再び安堵の息を漏らし、自らの陣羽織を脱ぐと
それで政宗の身体を包んでやった。
血で汚れてはいたが、無いよりはマシだろうと判断したのだ。
元々体格差のある二人なので、政宗の身体は
すっぽりと小十郎の陣羽織の中に収まった。
そう躾けたのは小十郎だが、
政宗は人前では決してだらしない格好はせず、寝間着姿すら人に見せない女子なので、
正直小十郎も政宗の裸体をこうもまじまじと見たのは初めての事だった。
まだ物心ついたばかりの政宗が、風呂上がりに素っ裸で城内を走り回り
追い掛け回して着物を着せるのに骨を折ったというような事ならいくらでも有るが、
何しろ昔の話だ。
政宗は人前では決してだらしない格好はせず、寝間着姿すら人に見せない女子なので、
正直小十郎も政宗の裸体をこうもまじまじと見たのは初めての事だった。
まだ物心ついたばかりの政宗が、風呂上がりに素っ裸で城内を走り回り
追い掛け回して着物を着せるのに骨を折ったというような事ならいくらでも有るが、
何しろ昔の話だ。