戦国BASARA/エロパロ保管庫

炎の微笑12

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bsr_e

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「幸村は、いかがじゃ」
幸村が上田に戻って十日になる。
その間、幸村は出仕せず、上田の自室に閉じこもっていた。
見舞うために上田を訪れた信玄は、幸村の代理として現れた佐助を見て、残念そうな顔をした。
「あー……と、ちょっと、酷い熱がありまして」
「……そうか」
「酷い扱いを受けたせいで、ちょっと」
「片倉小十郎……と、申したか。あやつがのう……」
幸村がどのように扱われていたかは、信玄の耳に入っている。信玄はいまだ信じられないらしい。

――格子に縛り付けられ、無理やり犯される様子を、佐助は見ていた。
小十郎を斬り捨てて幸村を助けようと思った。だが、幸村の様子を思うと、体が動かなかった。

「……旦那は、酷いもんですよ。体はともかく、心が折られてます。……元通りになるのに、
何年もかかるかと」
「そうか。……やはり、女子を戦場に出すべきではないのう」
男は首を取られて終わりだが、女はそうはいかない。
分かっていたつもりだったが、いざ幸村がその立場に落とされると、甘かったと思い知らされる。
幸村は、鞭で打たれた跡と縄目は残っているが、それ以上に心が酷い状態だった。
佐助は、幸村の心の様子までは報告していない。

――言えるはずが、ない。


「幸村は、どう申しておる」
「どう、って……」
(言えない)
報告できるはずがない。
上田で気がつくなり、幸村は狂ったように哭いた。
何故助けた。何故あのままにしてくれなかった。幸村は佐助の胸倉を掴み、泣きながら叫んだ。
一晩哭き続け、それからは糸が切れたように眠っている。酷い熱を出し、医者が詰めているような状態だった。

「……旦那は、右目の旦那――片倉小十郎に執着しています。でもそれは一時的なものだと思いますよ」
佐助がへらっと笑いながら言うと、信玄は渋い顔をする。出された茶を啜り、団子を手に取った。
「一時でも相手に深く執着したことを、そちは忘れられるか」
「…………」
「上田は、しばらく信尹(のぶただ・幸村の叔父)に任せよ。幸村は……しばらく休め。
健康を取り戻してから、改めて我が館に参れ」
信玄はぱくりと団子を頬張り、串を皿に置いた。
佐助は頭を下げた。

気の迷いだ錯覚だと言い聞かせても、幸村は首を振って言葉を拒み、哭いた。
一時の感情で、あんな風になれるだろうか。
悲痛な表情で幸村を介抱していた小十郎を佐助は見た。
互いに、深く執着しているのだろう。
その期間が長すぎた。


佐助といえども、時間を巻き戻す術は持ち合わせていない。

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