入れ違いだった事と、脚の速さの違いもあって、氏政はあっさり見つかった。
雑木林の一番大きい木の下にうずくまり、じっと何かを見ていた。
雑木林の一番大きい木の下にうずくまり、じっと何かを見ていた。
…脚でも痛めたのだろうか。
小太郎は音もなく氏政の背後に立った。
小太郎は音もなく氏政の背後に立った。
よく見ると、氏政の視線の先には白い鳥の雛の亡骸が転がっていた。
氏政が独り言の様にぽつりぽつりとつぶやく。
「カラスは、白い子カラスが卵から孵ると、巣から放り出してしまうのじゃ。
放り出された子カラスは死んでしまう。…わしとて同じじゃ。
北条という巣から放り出されたら…もう生きる術はない。
……今はさしずめ、風魔という名の鳥篭で飼われておるに過ぎん。」
放り出された子カラスは死んでしまう。…わしとて同じじゃ。
北条という巣から放り出されたら…もう生きる術はない。
……今はさしずめ、風魔という名の鳥篭で飼われておるに過ぎん。」
「………」
相変わらず、小太郎は黙ったままでいる。
氏政はゆっくりと小太郎の方を振り向いた。
氏政はゆっくりと小太郎の方を振り向いた。
「…風魔。お前は、わしに空に焦がれながらも狭い鳥篭に囚われて
朽ちていく哀れな鳥になれと言うのか?」
朽ちていく哀れな鳥になれと言うのか?」
氏政が何を言わんとしているのか、小太郎にはわかりかねた。
風魔は「存在する」ただそれだけのために生きている。
存在した証を尽く消し、風の様に永遠にさすらい続ける。
…ただ存在するためだけに。
死んだらそれで終わりだ。…あるとすれば「風魔が死んだ」という証すら抹消するだけ。
存在した証を尽く消し、風の様に永遠にさすらい続ける。
…ただ存在するためだけに。
死んだらそれで終わりだ。…あるとすれば「風魔が死んだ」という証すら抹消するだけ。
巣の下で死ぬのも、籠の中で死ぬのも、死ぬ事に変わりはない。
…それはそんなに重要な事なのだろうか。
…それはそんなに重要な事なのだろうか。
飼い鳥には飼い鳥の幸せがあるのではないか?
そこまで考えて、小太郎ははっとした。
…自分は氏政を籠の中の鳥の様に飼い殺したいのだろうか、と。
…自分は氏政を籠の中の鳥の様に飼い殺したいのだろうか、と。
「風魔…頼む。わしを行かせてくれ。」
氏政の顔色はいつも以上に青白く、足元も少しふら付いている。
脇腹の傷も完治していないし、まだ熱も完全に下がっていない。
…体力的にも精神的にも限界なのは明らかだった。
脇腹の傷も完治していないし、まだ熱も完全に下がっていない。
…体力的にも精神的にも限界なのは明らかだった。
「………」
小太郎は、ふるふると首を横に振った。
「ならば、わしを殺してくれ。お前なら簡単じゃろう?」
寒さからか恐怖からなのか、氏政の身体は震えていた。
殺してくれと哀願するか細い少女の姿は何とも痛々しかった。
殺してくれと哀願するか細い少女の姿は何とも痛々しかった。
「見ていられない」と思った。
小太郎は、静かに両手を背中に背負った忍者刀に伸ばし、駆け出した。




