「愛とは何であろうな」
ぽつり、と目の前の男が呟いた言葉に島津義弘、いや今はチェスト島津と名乗っている彼女は
目を瞬かせてサンデーの端整な顔をまじまじと見た。
「我には未だ答えが出せぬ」
気難しそうに眉間へと皺を寄せて嘆息する。
「おまはんに分からんものはワシにも分からん」
チェストは手元の杯をぐいっと飲み干すと手酌で注ぎ足す。
「四六時中、難しい顔をしていると分かるもんも分からんようになる、まあ飲みんしゃい」
ぐい、と目の前に突き出された杯をじっと見下ろし、サンデーはちらりと切れ長の瞳をチェストに向ける。
「酒で鈍った頭では更に分からなくなるではないか」
「考えに詰まったら気分転換してみるのもよか」
「ああ、確かに」
サンデーとて全く飲めない訳ではないが、親兄弟の体質を考えると自身もそれほど強くないのだろうと思う。
だが、珍しくすすめられた杯を受け取った彼は、何を思ったかそのまま一気に空けてしまった。
すぐには顔に出ない性質なのか、表情は相変わらずかたい。
「まっこと良い飲みっぷりだわい」
豪快に笑いながら、チェストは空いた杯に更に注いだ。
「これは変わった味がする…強い酒ぞ」
そう言いながら二杯目も同様に空けていく。
相変わらず顔色は変わらない。
「こいつは焼酎じゃ」
暑い薩摩の地では普通の酒を作ろうとしても上手く行かないのでな、と言いながら、彼女も空いている杯へ注いだ。
「どうじゃ、少しは気も晴れてき…」
不意に手首を掴まれ、驚いたように顔を上げる。
剛刀を扱う為に鍛えられた彼女の腕は女性といえども並の男性より力強い。
しかしどういうことかサンデーの手を振りほどく事が出来なかった。
「…何じゃ」
内心は動揺しながらも、平静を装い相手の切れ長の瞳を睨む。
「そなたならば愛を知っているのではないか」
素っ気無い口調はいつもと変わらない。
ずいっと顔を間近に寄せられて、チェストはとても真剣な表情でサンデーに見詰められた。
「何故そう思うんじゃ」
「……我はまだ若輩故、知らぬ事も多い」
「そいつはワシも同じじゃ」
ザビー様の教えは奥が深い、と頷きながら、再びその手を振りほどこうとする。
「おぉっ…!?」
その隙をついて、床へと押し倒された。
咄嗟のことで何が起きたのか分からなかったが、眼前に迫る端整な顔に我へと返ると相手の薄い胸を押した。
いや、押そうとしたその手を捕らえられ、顔の横へと縫い付けるように押さえ込まれた。
「…愛を教えては下さらぬか」
覆いかぶさるサンデーの顔は影となり表情までは読み取れない。
だが、耳元で囁く低めの掠れた声に背筋がぞわりとする。
ちろり、と耳朶を食みながら、彼の指が顎へと添えられた。
ぽつり、と目の前の男が呟いた言葉に島津義弘、いや今はチェスト島津と名乗っている彼女は
目を瞬かせてサンデーの端整な顔をまじまじと見た。
「我には未だ答えが出せぬ」
気難しそうに眉間へと皺を寄せて嘆息する。
「おまはんに分からんものはワシにも分からん」
チェストは手元の杯をぐいっと飲み干すと手酌で注ぎ足す。
「四六時中、難しい顔をしていると分かるもんも分からんようになる、まあ飲みんしゃい」
ぐい、と目の前に突き出された杯をじっと見下ろし、サンデーはちらりと切れ長の瞳をチェストに向ける。
「酒で鈍った頭では更に分からなくなるではないか」
「考えに詰まったら気分転換してみるのもよか」
「ああ、確かに」
サンデーとて全く飲めない訳ではないが、親兄弟の体質を考えると自身もそれほど強くないのだろうと思う。
だが、珍しくすすめられた杯を受け取った彼は、何を思ったかそのまま一気に空けてしまった。
すぐには顔に出ない性質なのか、表情は相変わらずかたい。
「まっこと良い飲みっぷりだわい」
豪快に笑いながら、チェストは空いた杯に更に注いだ。
「これは変わった味がする…強い酒ぞ」
そう言いながら二杯目も同様に空けていく。
相変わらず顔色は変わらない。
「こいつは焼酎じゃ」
暑い薩摩の地では普通の酒を作ろうとしても上手く行かないのでな、と言いながら、彼女も空いている杯へ注いだ。
「どうじゃ、少しは気も晴れてき…」
不意に手首を掴まれ、驚いたように顔を上げる。
剛刀を扱う為に鍛えられた彼女の腕は女性といえども並の男性より力強い。
しかしどういうことかサンデーの手を振りほどく事が出来なかった。
「…何じゃ」
内心は動揺しながらも、平静を装い相手の切れ長の瞳を睨む。
「そなたならば愛を知っているのではないか」
素っ気無い口調はいつもと変わらない。
ずいっと顔を間近に寄せられて、チェストはとても真剣な表情でサンデーに見詰められた。
「何故そう思うんじゃ」
「……我はまだ若輩故、知らぬ事も多い」
「そいつはワシも同じじゃ」
ザビー様の教えは奥が深い、と頷きながら、再びその手を振りほどこうとする。
「おぉっ…!?」
その隙をついて、床へと押し倒された。
咄嗟のことで何が起きたのか分からなかったが、眼前に迫る端整な顔に我へと返ると相手の薄い胸を押した。
いや、押そうとしたその手を捕らえられ、顔の横へと縫い付けるように押さえ込まれた。
「…愛を教えては下さらぬか」
覆いかぶさるサンデーの顔は影となり表情までは読み取れない。
だが、耳元で囁く低めの掠れた声に背筋がぞわりとする。
ちろり、と耳朶を食みながら、彼の指が顎へと添えられた。




