「ゆっくりしていかんのか」
声を掛けられ、ちらりと振り返ったサンデーはすぐに視線を戻した。
「朝の礼拝に遅れては他の者に対して示しがつかぬ」
「まあ、確かにそうかもしれんが」
既に身支度を終えたサンデーの背を眺め、情緒も何もあったものではない、とチェストは苦笑した。
まだ外もようやく白んできた頃である。
半刻ほどは寝ていても時間が余るぐらいだ。
「やれやれ、せっかちな御仁だわい」
寝台の上に身を起こしたチェストは、ふるりと揺れる胸元を隠そうともせず両腕を伸ばして伸びをする。
その肌に紅く残る痕を認め、サンデーの顔に複雑な笑みが浮かぶ。
あれもまた己の持つ一面には違いない。
「昨夜はすまぬ」
合意の上とは言い難い行為であったが、彼女は何も言わずに受け入れてくれたのだと思うと、
どのような言葉を掛けるべきかと思い悩む。
黙り込んだサンデーの顔を見上げていたチェストは、小さく溜め息をつくと無造作に髪を掻く。
「そういう不器用な所がおまはんの可愛いところじゃ」
「…やはり酒は好かぬ」
言うてはならぬ事をあっさりと吐いてしまう、と言うと彼は口を噤んだ。
「そうか、あのような事を言われたのは随分と久しくてな」
まるで娘の時分に返ったようで嬉しかったのだとチェストは柔らかな口調で答えた。
「難しい顔をするもんじゃなか」
「別に…」
にぃっと口元を歪ませると、サンデーの袖を引いて寄せる。
あっと思う間もなく、やや強引に肩を掴んで屈ませて口付けを交わす。
ほんの一瞬、触れ合うような。
琥珀の瞳を見開いたまま、サンデーは間近にあるチェストの伏せられた瞳を見詰める。
「…時には余裕も必要じゃ」
ゆっくりと離れていくと、器用に片目を瞑ってみせた。
「眉間の皺を伸ばしてみたら、何か答えは見付かるかもしれんの」
そうして微笑む彼女の顔を何よりも美しいと思ったが、言葉にするのも恥ずかしくなりサンデーはそのまま視線を外した。
声を掛けられ、ちらりと振り返ったサンデーはすぐに視線を戻した。
「朝の礼拝に遅れては他の者に対して示しがつかぬ」
「まあ、確かにそうかもしれんが」
既に身支度を終えたサンデーの背を眺め、情緒も何もあったものではない、とチェストは苦笑した。
まだ外もようやく白んできた頃である。
半刻ほどは寝ていても時間が余るぐらいだ。
「やれやれ、せっかちな御仁だわい」
寝台の上に身を起こしたチェストは、ふるりと揺れる胸元を隠そうともせず両腕を伸ばして伸びをする。
その肌に紅く残る痕を認め、サンデーの顔に複雑な笑みが浮かぶ。
あれもまた己の持つ一面には違いない。
「昨夜はすまぬ」
合意の上とは言い難い行為であったが、彼女は何も言わずに受け入れてくれたのだと思うと、
どのような言葉を掛けるべきかと思い悩む。
黙り込んだサンデーの顔を見上げていたチェストは、小さく溜め息をつくと無造作に髪を掻く。
「そういう不器用な所がおまはんの可愛いところじゃ」
「…やはり酒は好かぬ」
言うてはならぬ事をあっさりと吐いてしまう、と言うと彼は口を噤んだ。
「そうか、あのような事を言われたのは随分と久しくてな」
まるで娘の時分に返ったようで嬉しかったのだとチェストは柔らかな口調で答えた。
「難しい顔をするもんじゃなか」
「別に…」
にぃっと口元を歪ませると、サンデーの袖を引いて寄せる。
あっと思う間もなく、やや強引に肩を掴んで屈ませて口付けを交わす。
ほんの一瞬、触れ合うような。
琥珀の瞳を見開いたまま、サンデーは間近にあるチェストの伏せられた瞳を見詰める。
「…時には余裕も必要じゃ」
ゆっくりと離れていくと、器用に片目を瞑ってみせた。
「眉間の皺を伸ばしてみたら、何か答えは見付かるかもしれんの」
そうして微笑む彼女の顔を何よりも美しいと思ったが、言葉にするのも恥ずかしくなりサンデーはそのまま視線を外した。
了




