実は窪みに入って以降かすがの方を向けない理由がそこにあった。
余りに近過ぎるのだ。
暗闇の中とは言えなまじ戦の後で高ぶっているだけに、かすがの方を向いたら何をするか分からない。
彼女の閨で葬られる第一号になってしまう可能性があった。
そうならない為に佐助は辺りの警戒に神経を尖らせていた。
その時、かすがが背中で震えているのに気が付いた。
初めて人を斬った実感が湧いたのか、全身をわななかせている。
「………」
外を向いたまま佐助はかすがを自分の腕の中へ抱き寄せる。
(お前忍に向いて無いな)
しっかり胸にしがみついて震えるかすがの背を優しく擦りながら、
佐助は心の中で苦笑した。
かすがは何と脆く儚い存在である事か。
腕の中で震える温かく柔らかいものが今にも砕け散ってしまいそうな感覚を佐助は覚えた。
(本当、向いて無いな)
肌に感じる暖みを佐助はいつまでも覚えていた。
余りに近過ぎるのだ。
暗闇の中とは言えなまじ戦の後で高ぶっているだけに、かすがの方を向いたら何をするか分からない。
彼女の閨で葬られる第一号になってしまう可能性があった。
そうならない為に佐助は辺りの警戒に神経を尖らせていた。
その時、かすがが背中で震えているのに気が付いた。
初めて人を斬った実感が湧いたのか、全身をわななかせている。
「………」
外を向いたまま佐助はかすがを自分の腕の中へ抱き寄せる。
(お前忍に向いて無いな)
しっかり胸にしがみついて震えるかすがの背を優しく擦りながら、
佐助は心の中で苦笑した。
かすがは何と脆く儚い存在である事か。
腕の中で震える温かく柔らかいものが今にも砕け散ってしまいそうな感覚を佐助は覚えた。
(本当、向いて無いな)
肌に感じる暖みを佐助はいつまでも覚えていた。