越後に入って佐助は愕然とした。
かすがは生きていた。怪我を負っていたわけでもない。
だが、彼女の心は完全に謙信に囚われてしまっていた。
彼女の目に映るのは謙信の姿だけ。彼女の耳に入るのは謙信の言葉だけ。
謙信に囁かれるまま、かすがは何の躊躇も見せず猛然と佐助に斬り掛かって来たのだ。
「おいおい、冗談だろ?」
最初の一撃でかすがが本気だと分かった。苦無と手裏剣が火花を上げてせめぎ合う。
二人の距離は肉薄していた。まるであの夜の時のように。
「お前、自分が一体何してるのか分かってるのかよ!!」
「黙れ!!」
謙信はかすがの背後で悠然と二人の斬り結ぶ様を眺めている。
「みせておくれ、わたくしのうつくしきつるぎよ」
「はい、謙信様」
佐助は舌打ちして謙信の方へ狙いを変え、地中に潜って距離を詰める。
至近距離まで近付き謙信を仕留めようとした。その刹那、佐助の前にかすがが割って入る。
「させるか!!」
「どけ!!かすが!!」
「うるさい!!」
激しい剣戟が続いた。
一体この半年の間に何があったというのか。
かすがに何が起ったのか。
何も分からぬまま、佐助は戦った。
かすがは生きていた。怪我を負っていたわけでもない。
だが、彼女の心は完全に謙信に囚われてしまっていた。
彼女の目に映るのは謙信の姿だけ。彼女の耳に入るのは謙信の言葉だけ。
謙信に囁かれるまま、かすがは何の躊躇も見せず猛然と佐助に斬り掛かって来たのだ。
「おいおい、冗談だろ?」
最初の一撃でかすがが本気だと分かった。苦無と手裏剣が火花を上げてせめぎ合う。
二人の距離は肉薄していた。まるであの夜の時のように。
「お前、自分が一体何してるのか分かってるのかよ!!」
「黙れ!!」
謙信はかすがの背後で悠然と二人の斬り結ぶ様を眺めている。
「みせておくれ、わたくしのうつくしきつるぎよ」
「はい、謙信様」
佐助は舌打ちして謙信の方へ狙いを変え、地中に潜って距離を詰める。
至近距離まで近付き謙信を仕留めようとした。その刹那、佐助の前にかすがが割って入る。
「させるか!!」
「どけ!!かすが!!」
「うるさい!!」
激しい剣戟が続いた。
一体この半年の間に何があったというのか。
かすがに何が起ったのか。
何も分からぬまま、佐助は戦った。