まだ日が高い時間であったことが幸いしたのか、捜索を開始して半刻を過ぎた頃に、元親は船に戻ってきた。
こちらに向かって腕を大きく振っている元親の姿を見つけた野郎共は、快哉の声を上げて彼らを出迎えた。
「元就はどこだ」
甲板に上がると、元親は家康を抱えたまま、彼女の姿を探した。
「大声を出さずとも聞こえておる」
かつかつと足音高くやや苛立ち気味に近寄ると、元就は彼の腕に抱えられている家康の顔を覗き込んだ。
元就は家康の首の脈を診てから、口元の呼吸を確かめる。
意識がなく、ぐったりとしているようだが、ほとんど水は飲んでいないようだ。
「…息はしているな、これなら大丈夫であろう」
ある程度医術の心得のある彼女の言葉を信じ、元親は安堵の笑みを見せた。
「すぐに着替えさせよう、こちらへ連れて来い」
既に濡れた体は相当の体温が奪われており、冷たくなってきていた。
小柄な家康の体を抱えたまま、元親は彼女の後をついていく。
空いている船室へと横たえると、冷えた頬に手を添えて顔を覗き込んだ。
「…すまねぇな」
いつも見上げてくるくりくりとした愛くるしい瞳は閉じられている。
青白い顔をしている家康の額へと元親は軽く口付けると、元就の方を見た。
「そこへ置いたら貴様は出て行け」
元就はびしっと出口を指差し、元親をじっと睨んだ。
「え、ここに居ちゃ悪いのかよ」
「……女の着替えを見たいのか、貴様は」
そこまで言われてようやく気が付いた元親は、彼女に攻撃される前に、と部屋を飛び出した。
終わったら教えてくれ、と言い残すと、甲板に残った部下達を引き連れて去っていった。
こちらに向かって腕を大きく振っている元親の姿を見つけた野郎共は、快哉の声を上げて彼らを出迎えた。
「元就はどこだ」
甲板に上がると、元親は家康を抱えたまま、彼女の姿を探した。
「大声を出さずとも聞こえておる」
かつかつと足音高くやや苛立ち気味に近寄ると、元就は彼の腕に抱えられている家康の顔を覗き込んだ。
元就は家康の首の脈を診てから、口元の呼吸を確かめる。
意識がなく、ぐったりとしているようだが、ほとんど水は飲んでいないようだ。
「…息はしているな、これなら大丈夫であろう」
ある程度医術の心得のある彼女の言葉を信じ、元親は安堵の笑みを見せた。
「すぐに着替えさせよう、こちらへ連れて来い」
既に濡れた体は相当の体温が奪われており、冷たくなってきていた。
小柄な家康の体を抱えたまま、元親は彼女の後をついていく。
空いている船室へと横たえると、冷えた頬に手を添えて顔を覗き込んだ。
「…すまねぇな」
いつも見上げてくるくりくりとした愛くるしい瞳は閉じられている。
青白い顔をしている家康の額へと元親は軽く口付けると、元就の方を見た。
「そこへ置いたら貴様は出て行け」
元就はびしっと出口を指差し、元親をじっと睨んだ。
「え、ここに居ちゃ悪いのかよ」
「……女の着替えを見たいのか、貴様は」
そこまで言われてようやく気が付いた元親は、彼女に攻撃される前に、と部屋を飛び出した。
終わったら教えてくれ、と言い残すと、甲板に残った部下達を引き連れて去っていった。
「全く…騒々しい男よ」
足音が遠ざかると呆れた声で溜め息をついて、元就は床に寝かされている家康へと視線を移す。
濡れた帯は滑りが悪く外しにくいが、器用に緩めていき、着物を脱がせていく。
用意させた乾いた布で丁寧に水分を拭き取りながら、全裸にして外傷がないか確認していく。
柔らかな皮膚に軽い擦過傷はいくつか見られたが、どれも致命傷には程遠い。
「運の良い奴め」
短く刈られた家康の髪は半ば乾きかけており、ぼさぼさとしてきた。
青白かった肌に仄かに赤みが差してきている所を見ると、どうやら容態も落ち着いてきたようだ。
新しい着物へと着替えさせようと、脇に置いてあったものを手にした時、家康がうわ言のように何かを呟いた。
「……も…ちか」
ぴくり、と元就の動きが止まり、強張った顔で家康を見下ろす。
彼の、元親の名を無意識に何度も呼んでいるのだと気付くと、秀麗な顔を顰めて唇を噛み締めた。
足音が遠ざかると呆れた声で溜め息をついて、元就は床に寝かされている家康へと視線を移す。
濡れた帯は滑りが悪く外しにくいが、器用に緩めていき、着物を脱がせていく。
用意させた乾いた布で丁寧に水分を拭き取りながら、全裸にして外傷がないか確認していく。
柔らかな皮膚に軽い擦過傷はいくつか見られたが、どれも致命傷には程遠い。
「運の良い奴め」
短く刈られた家康の髪は半ば乾きかけており、ぼさぼさとしてきた。
青白かった肌に仄かに赤みが差してきている所を見ると、どうやら容態も落ち着いてきたようだ。
新しい着物へと着替えさせようと、脇に置いてあったものを手にした時、家康がうわ言のように何かを呟いた。
「……も…ちか」
ぴくり、と元就の動きが止まり、強張った顔で家康を見下ろす。
彼の、元親の名を無意識に何度も呼んでいるのだと気付くと、秀麗な顔を顰めて唇を噛み締めた。




