「それじゃ」
聞こえてきた声に顔を上げると、気色悪いほど邪気の
見えない笑みで慶次が立ち上がるところだった。
見えない笑みで慶次が立ち上がるところだった。
「俺はそろそろ引き上げるわ。」
「え、もう寝るのですか、慶次?」
「え、もう寝るのですか、慶次?」
利家と一瞬視線で会話して、早々と部屋を出てゆく。
どうやら、知らないところで何か示し合わせていたらしい。
ふたりの時間と空間を得るためとは言え、蚊帳の外。
少し面白くなかった。
ふたりの時間と空間を得るためとは言え、蚊帳の外。
少し面白くなかった。
唐突に訪れた静寂は、却って肌をひりつかせる。
ぷ、と少しむくれたふりをして湯殿に逃げようとするのを
あっさりと腕の中に引き込まれた。
あっさりと腕の中に引き込まれた。
初夏を思わせる陽気な笑顔、それに不向きなセクシャルな
意味を持った指の動きに火照る。
意味を持った指の動きに火照る。