「まずは小手調べ。100人の漢どもの荒波に揉まれてもらう!武田道場名物・100人組み手!始めえい!」
「望むところじゃ!」
「うおっ、もう始まってる!お姫様を守らないと…」
「望むところじゃ!」
「うおっ、もう始まってる!お姫様を守らないと…」
佐助が道場に足を踏み入れた時には、既に兵に取り囲まれた氏政が、愛用の槍を携え構えていた。
怪我でもされてはマズいと、佐助は氏政の傍に駆け寄り、手裏剣を身構えた…が
怪我でもされてはマズいと、佐助は氏政の傍に駆け寄り、手裏剣を身構えた…が
「ぎゃああああ!」
「いてててっ!手加減してくださいっ」
「いてててっ!手加減してくださいっ」
武田の兵たちが、氏政の振り回す槍によって氷漬けにされ、ふっ飛ばされていく。
「なんの、まだまだ!!」
あの大層な槍を、細い身体で上手くバランスを取りながら、ぶんぶんと振り回している。
しかも、闇雲に振り回している訳ではなく、正面から斬りかかってきた兵に一撃見舞うと、返す手で背後の兵をなぎ払う。
無駄な動きを一切せず、的確に敵を捌いている。
しかも、闇雲に振り回している訳ではなく、正面から斬りかかってきた兵に一撃見舞うと、返す手で背後の兵をなぎ払う。
無駄な動きを一切せず、的確に敵を捌いている。
…へえ。結構やるじゃん。
氏政の健闘振りに、佐助は感心した。
そういえば、先代当主の爺さんも、腰痛持ちで何とも頼りない感じだったが、それでも
大層な槍で敵をなぎ倒していく様は、少し不恰好ではあったが「名門北条家の名は伊達じゃない」と納得せざるを得ないものだった。
大層な槍で敵をなぎ倒していく様は、少し不恰好ではあったが「名門北条家の名は伊達じゃない」と納得せざるを得ないものだった。
これも血…なのかねえ。
まるで槍に振り回されてるかのように頼りなく見える氏政を見ながら、佐助はそう思った。
「そこまで!見事じゃ!」
大将の号令と共に、武田の兵がぞろぞろと引いていく。
兵が引いたと同時に、氏政ががくんと腰を落とした。
兵が引いたと同時に、氏政ががくんと腰を落とした。
「あいたたた…腰が…」
気が抜けたのか、氏政が腰を抑えてへたり込んだ。
だから今夜は駄目じゃというたのに…と半泣きでぼやいている。
だから今夜は駄目じゃというたのに…と半泣きでぼやいている。
ああ、ヤりすぎて腰に力が入らないんですか。
いやはや、お盛んな事…
いやはや、お盛んな事…
「…では、これはどうかな?」
そんな氏政を気にも留めずに、次の手を出そうとするお館さまに、佐助は慌てて制止を呼びかける。
「ちょ、ちょっとちょっと!たんま!…って、え?」
佐助の前に背を向けて立ちはだかった小太郎が、背中に背負った忍者刀の柄に手をかけて構えている。
次の瞬間には、お館様に喝を入れられた武田の兵達が、風に飛ばされ宙に舞っていた。
次の瞬間には、お館様に喝を入れられた武田の兵達が、風に飛ばされ宙に舞っていた。
…その後は…言わなくてもわかるっしょ?
風魔がぜーんぶ片付けちゃったよ。いとも簡単に。
大将と旦那も流石に空気読んで、また次の機会にって事になった。
…まあまた隙を見て仕掛けて来るんだろうけど。
風魔がぜーんぶ片付けちゃったよ。いとも簡単に。
大将と旦那も流石に空気読んで、また次の機会にって事になった。
…まあまた隙を見て仕掛けて来るんだろうけど。
どうも風魔はお姫様の意思を尊重して、ヤバくなるまで手出ししなかったみたいだ。
俺様からしたら「美味しいトコ持って行っちゃったなー」って感じだけど。
俺様からしたら「美味しいトコ持って行っちゃったなー」って感じだけど。
ただ、風魔に抱えられて道場を出て行く時の白いお姫様がしょんぼりとしていたのが、印象的だった。




