「……」
何とか声をかけようとした利家は、夜具に正座したまつを横目で見た。
「…あの、まつ?」
「……」
「……」
まつは俯いたまま唇を噛む。夜具上に置かれた手がそっとシーツを掴んだ。
「ご、めんな、大人になるまでって約束してたのに…」
詰るような言葉に顔を上げたまつは、待ち構える視線に囚われる。
その語尾は徐々に強さを失くして行った。
その語尾は徐々に強さを失くして行った。
「だってそれは…元はまつめが我慢出来なくなったのでございます。」
「慶次に触られてちょっと濡れて、たのか?」
何て目ざとい、とまつは心の中で鬱ポーズを取る。
「…申し訳もございませぬ。修行が足りませねば、くすぐったく動きがその、なんとも。」
「そんなの、言えば某が塗ってやったのに。」
「犬千代様でございまするともっと大変なことになっておりまする!!」
「犬千代様でございまするともっと大変なことになっておりまする!!」
勢いがついてうっかり口を滑らせたまつは、ハッとして唇を引き結んだ。
利家は瞳を光らせて笑う。さっきまでと違う色をした視線に気づいた。
利家は瞳を光らせて笑う。さっきまでと違う色をした視線に気づいた。
いつの間にか隣に座る。
「某に触られたらもっと?」
逃がさないと言うように腰に手を回して顔を近づけた。
「修行して我慢出来るようになって貰っては某が、困る。」
う、と詰まったまつの背に手を滑らせ、もう片方の手で細い指を握り込む。
相手の瞳に自分の姿だけを映しながら、ゆっくりと指を絡ませ合い、吸い寄せられるように
唇が近づいて行った。
唇が近づいて行った。
吐息が触れ合っただけで、溶けそうな官能が全身を駆けめぐる。
柔らかく唇を重ね舌を絡め合うと、湿った音と息づかいだけが響いた。
柔らかく唇を重ね舌を絡め合うと、湿った音と息づかいだけが響いた。