別に案内させても良かったのだ。
だが、我と話す徳川の頬を時折本多の指が撫で、目の光が優しく瞬いた。
まさかあれで人であったとはな。
気付けば口に笑みが浮かぶ。
他人に気遣うとは我も祭りの熱気に当てられたか。
あの二人の時間を邪魔する事ほど愚かな事は無いように思えたのだ。
空にきらびやかな色が散る。
日輪ほどではないがやはり美しい。
一瞬で消える色取り取りの火花など無駄でしかない。
分かっては居るが今はそのような無粋な事を言うべきではないのだろう。
だが、我と話す徳川の頬を時折本多の指が撫で、目の光が優しく瞬いた。
まさかあれで人であったとはな。
気付けば口に笑みが浮かぶ。
他人に気遣うとは我も祭りの熱気に当てられたか。
あの二人の時間を邪魔する事ほど愚かな事は無いように思えたのだ。
空にきらびやかな色が散る。
日輪ほどではないがやはり美しい。
一瞬で消える色取り取りの火花など無駄でしかない。
分かっては居るが今はそのような無粋な事を言うべきではないのだろう。
どれが我に見せたい花なのか。
長曾我部の間抜けさに口許が歪むのを押さえながら我は歩いた。
「あー!いた!居やがったー!」
「アニキに知らせろー!」
今ではすっかり聞きなれた声が近寄ってくる。
「あー見付かって良かったっすよ。」
「我を探していたのか。」
「アニキに見掛けたら連れてこいって言われてたんだけど、あんた気付いたら居なくなってんだもんよ。」
「ほう。」
良く見ると始めに声をかけた屋台の店主か。
「貴様、仕事はどうした。」
「へ?交代の時間だから別の野郎に変わったけど。」
「ふん。ならば良い。」
仕事を放り出したのであれば采配を振るい追い返したところだ。
長曾我部の間抜けさに口許が歪むのを押さえながら我は歩いた。
「あー!いた!居やがったー!」
「アニキに知らせろー!」
今ではすっかり聞きなれた声が近寄ってくる。
「あー見付かって良かったっすよ。」
「我を探していたのか。」
「アニキに見掛けたら連れてこいって言われてたんだけど、あんた気付いたら居なくなってんだもんよ。」
「ほう。」
良く見ると始めに声をかけた屋台の店主か。
「貴様、仕事はどうした。」
「へ?交代の時間だから別の野郎に変わったけど。」
「ふん。ならば良い。」
仕事を放り出したのであれば采配を振るい追い返したところだ。
後から来た長曾我部の部下に案内され河に浮かんだ船に乗る。
なるほど、この船から花火を上げていると言うわけか。
「よう、何処行ってたんだよ元就!」
甲板に続く扉が開いた瞬間、いつもの塊が抱きついてくる。
「待ち合わせの場所を指定しない貴様の不備が招いた事よ。」
采配で近すぎる顔をぐりぐりと押し返すと長曾我部は顔を青くした。
「何を持ってきてんだ。引火したらあぶねえだろ。」
「ここで火を出すほど愚かではないわ。」
はいはい没収没収と長曾我部は我の采配を取りあげる。
まあ、仕方あるまい。危険なことには変わり無い。
なるほど、この船から花火を上げていると言うわけか。
「よう、何処行ってたんだよ元就!」
甲板に続く扉が開いた瞬間、いつもの塊が抱きついてくる。
「待ち合わせの場所を指定しない貴様の不備が招いた事よ。」
采配で近すぎる顔をぐりぐりと押し返すと長曾我部は顔を青くした。
「何を持ってきてんだ。引火したらあぶねえだろ。」
「ここで火を出すほど愚かではないわ。」
はいはい没収没収と長曾我部は我の采配を取りあげる。
まあ、仕方あるまい。危険なことには変わり無い。
「じゃあ、こっち来て座んな。ここが絶景なんだって。」
甲板の端の方に目をやると座布団や酒やら餅やら色々用意してある。
「我を待っていたのか。」
愚かな。と続けようとしたが止めた。
理由など無い。ただの気まぐれだ。
甲板の端の方に目をやると座布団や酒やら餅やら色々用意してある。
「我を待っていたのか。」
愚かな。と続けようとしたが止めた。
理由など無い。ただの気まぐれだ。
「っ!何を。」
用意された席に着こうとすると既に座についていた長曾我部に手を引かれた。
ふらついてそのまま長曾我部の腕に雪崩込む。
「そんな、怒んなって。ほら、上見てろよ。」
促され仕方なく指差された空を見上げる。
ひゅっと下方から光が走り、今日見た中で一番大きく鮮やかな花が咲いた。
少し遅れて、どん、と震動が走る。
我は思わず長曾我部の膝に座り直し姿勢を正した。
用意された席に着こうとすると既に座についていた長曾我部に手を引かれた。
ふらついてそのまま長曾我部の腕に雪崩込む。
「そんな、怒んなって。ほら、上見てろよ。」
促され仕方なく指差された空を見上げる。
ひゅっと下方から光が走り、今日見た中で一番大きく鮮やかな花が咲いた。
少し遅れて、どん、と震動が走る。
我は思わず長曾我部の膝に座り直し姿勢を正した。
その余韻が醒めやらぬ内に幾つもの仕掛け花火が夜空を埋める。
我を見つめる長曾我部の纏う気配が緩み腰に手が回される。
「綺麗だろ。」
と耳元で囁かれ、素直に頷くと頬に口付けられた。
「あんたの為に造ったんだ。」
今のが。と思う。我に会うまで上げるのを待っていたのか。
「あれ、驚かねえの?」
「さきほど徳川に聞いた。」
「家康に?」
内緒にしてて驚かせようと思ったのになーと、がっくり頭を垂れる。
知っていようがいまいが我に見せる予定の物を我が見たのだから良いではないか。
相も変わらず馬鹿な男よ。
我を見つめる長曾我部の纏う気配が緩み腰に手が回される。
「綺麗だろ。」
と耳元で囁かれ、素直に頷くと頬に口付けられた。
「あんたの為に造ったんだ。」
今のが。と思う。我に会うまで上げるのを待っていたのか。
「あれ、驚かねえの?」
「さきほど徳川に聞いた。」
「家康に?」
内緒にしてて驚かせようと思ったのになーと、がっくり頭を垂れる。
知っていようがいまいが我に見せる予定の物を我が見たのだから良いではないか。
相も変わらず馬鹿な男よ。
長曾我部の胸によりかかり「貴様にしては良くできていた。」と言ってやる。
長曾我部は体をびくりとさせ、目をしばたかせ此方を見た。
顔に少し赤みがさしているが我は気付かない振りをした。
我を見つめる長曾我部の向こうに何度も花が咲き散ってゆく。
口を吸われ目を閉じても瞼の向こうに光が瞬き、音が体を揺らす。
「何か今日は素直だな。」
「不満か?」
「嫌、嬉しいけどよ。」
長曾我部の戸惑う様子に興が乗る。
首に手を回し此方から口付けてやれば更に戸惑いが顔に浮かぶ。
「も、元就?」
「ふ…祭りとはおかしなものよ。」
たまには熱に浮かされるのも悪くはない。
我はもう一度戸惑う男に口付けた。
長曾我部は体をびくりとさせ、目をしばたかせ此方を見た。
顔に少し赤みがさしているが我は気付かない振りをした。
我を見つめる長曾我部の向こうに何度も花が咲き散ってゆく。
口を吸われ目を閉じても瞼の向こうに光が瞬き、音が体を揺らす。
「何か今日は素直だな。」
「不満か?」
「嫌、嬉しいけどよ。」
長曾我部の戸惑う様子に興が乗る。
首に手を回し此方から口付けてやれば更に戸惑いが顔に浮かぶ。
「も、元就?」
「ふ…祭りとはおかしなものよ。」
たまには熱に浮かされるのも悪くはない。
我はもう一度戸惑う男に口付けた。




