戦国BASARA/エロパロ保管庫

禁じられた火遊び3

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nozomi

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気が付くと、土手に転がっていた。水の匂いを強く嗅ぐ。
戦勝に沸く陣から離れ、すぐに戻るつもりで小十郎と歩いた。腕を取って歩くだけで
満足だったが、いい雰囲気だから口づけの一つでも、と思った。
だが、どうして土手に転がされているのだろう。
「小十郎殿っ……!」
草の匂いが濃い。蛍が目の前を横切る。景色はこの世のものとは思えぬ美しさだというのに、
小十郎の手がひどく乱暴に幸村を探った。
「なに、を……」
肌が粟立つ。
否応なく記憶が遡る。
大きな手で口を塞がれ。手を縛られ、脚を無理やり広げられ。胸に首筋に噛みつかれ、容赦なく嬲られ。
泣き叫んでも、罵っても、止まってくれなかった。

忘れた訳ではない。ただ、思い出さなかっただけ。

ひ、と喉が鳴った。
その音が聞こえたのか、小十郎の手が止まった。深いため息が聞こえる。
胸に重みがかかった。呻くような声がする。
恐る恐る抑えつけられている手から逃げ出し、装束を調える。
「すまん。……どうかしていた」
小十郎はごろりと土手に転がった。
幸村は四つん這いになって小十郎の顔を覗き込む。
「……物の怪にでも憑かれたのか」
「かも、しれねぇな」
ふう、と小十郎は目を閉じる。強面だが端整な顔に疲労が浮かんでいる。
幸村はぺたりと座り込んだ。しばらくそのままじっとしている。
小十郎は目を開けた。一気に老け込んだような印象だった。
体を起こし、頭を振る。髪が乱れるが、気にする様子はない。
少しだけ体を寄せると、小十郎の手が幸村の頬に伸びた。太く土の匂いがする指が、
頬を擦って首筋に移動する。

「……時々、お前を犯したいと思う」

す、と肝が冷えた。首筋にかけられた手が恐ろしいもののように思え息を飲む。
小十郎は、厳しいが優しい。幸村が嫌な事は絶対にしない。甘く優しい交情は、幸村を幸せにする。
あんなに優しい男が、そんな事を考えるなんて。
「優しくしたい。だが、酷い事もしたい」
唇に指が触れた。息を飲む気配が伝わったのか、小十郎は困ったように笑った。
「……暫く、俺から離れろ。次は止まる自信がない」
小十郎は立ち上がって背を向け、かちゃかちゃと具足を鳴らして闇の中に消えた。
幸村は座り込んだまま、ぼんやりと小十郎が消えた闇を見つめた。

汗と埃と血の匂い。それから沈香が残っている。小十郎の匂いだ。
かたかたと体が震えた。強く肩を抱いて震えをごまかし、膝を立てて顔を埋める。
優しく抱かれるのが好きだった。自分が幸せになれるから、小十郎も幸せなのだと思っていた。
違うのか。
ならば、あの優しさはなんだったのか。
荒くまさぐる手の感触が蘇る。今すぐ消してしまいたくなって、川に飛び込んだ。
冷たい水だが、肌を刺す程ではない。
流水の心地よさが小十郎の手を忘れさせる。川の真ん中に座り込み、小十郎は首を振った。
あんなに優しかった手が、今は恐ろしい。

怖い。恐ろしい。近づきたくない。
しかし離れたくない。傍にいたい。


政宗が幸村を見つけたとき、幸村はそのままの姿勢で川の中にぼんやりと座り込んでいた。


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