「佐助。」
そう呼び掛ける信玄の前に先程の部下が降り立った。
「長なら気になる事があると……呼んで参りますか。」
「いや、いい。下がれ。」
「は。」
す、と姿を消すのを見届けると信玄は一人溜め息をついた。
そう呼び掛ける信玄の前に先程の部下が降り立った。
「長なら気になる事があると……呼んで参りますか。」
「いや、いい。下がれ。」
「は。」
す、と姿を消すのを見届けると信玄は一人溜め息をついた。
「逃げおったか……。」
昨夜の様子を考えると今夜もまた夜鷹のように相手を探してさ迷うのだろう。
それを思うと胸の奥が煮えるように熱かった。
何が佐助をそうさせているか分かっていた。
だが、それでも手放す気にはどうしてもなれない。
昨夜の様子を考えると今夜もまた夜鷹のように相手を探してさ迷うのだろう。
それを思うと胸の奥が煮えるように熱かった。
何が佐助をそうさせているか分かっていた。
だが、それでも手放す気にはどうしてもなれない。
信玄はあの不安定な魂が自らに向いていると知っていた。
自分の腕の中だけで安心して眠ることも、自分の前でだけ苦しいのだと泣くことも。
それが何より愛しかった。
自分の腕の中だけで安心して眠ることも、自分の前でだけ苦しいのだと泣くことも。
それが何より愛しかった。
「愚かなことじゃな。」
思わず出た言葉に自嘲の笑みが溢れる。
思わず出た言葉に自嘲の笑みが溢れる。
儂が、か?それとも佐助が?どちらとも、か?
そう思いながらゆっくりと広間を出る。
床板の軋む音がやけに耳障りだった。
床板の軋む音がやけに耳障りだった。




