「すまぬ。」
ぐちゃぐちゃになるまで抱かれて、四肢を投げ出したままぼんやりとしていると大将は言った。
抱き寄せ、口を吸われる。大将はもう怖い顔をしていなかった。
優しい、いつもの穏やかな顔だ。
「大将……。」
手を伸ばし髭に触れる。
ぐちゃぐちゃになるまで抱かれて、四肢を投げ出したままぼんやりとしていると大将は言った。
抱き寄せ、口を吸われる。大将はもう怖い顔をしていなかった。
優しい、いつもの穏やかな顔だ。
「大将……。」
手を伸ばし髭に触れる。
「なんじゃ?」
「もう駄目なの?」
喉がかれて巧く話せないけど、なんとか絞り出す。
「何もなかった頃みたいにはいられないの?」
違う。喉がかれてるんじゃない。これは俺が苦しくて泣いてしまいそうなせいだ。
「無理じゃな。」
大将はあっけなくそういった。
「もう駄目なの?」
喉がかれて巧く話せないけど、なんとか絞り出す。
「何もなかった頃みたいにはいられないの?」
違う。喉がかれてるんじゃない。これは俺が苦しくて泣いてしまいそうなせいだ。
「無理じゃな。」
大将はあっけなくそういった。
「そうするには、お前を知りすぎた。」
「何で俺なの?固執するんならもっとあんたにふさわしい相手がいるでしょうに。」
「今、儂が欲しいのはお前だけじゃ。」
「馬鹿じゃないの?一国の主が忍相手に言う言葉じゃないよ。」
「じゃが、そうなのだから仕方あるまい。」
「何で俺なの?固執するんならもっとあんたにふさわしい相手がいるでしょうに。」
「今、儂が欲しいのはお前だけじゃ。」
「馬鹿じゃないの?一国の主が忍相手に言う言葉じゃないよ。」
「じゃが、そうなのだから仕方あるまい。」
「馬鹿……。」
どうして?俺なんかに?
悔しくて悲しくて嬉しくて涙が溢れ出してくる。
「お前が他の誰かを好いていると言うのであれば諦めもつく。じゃが……。」
優しい指が涙を拭ってくれる。
大将は一息ついて涙でびしょびしょの俺の顔を覗きこんだ。
どうして?俺なんかに?
悔しくて悲しくて嬉しくて涙が溢れ出してくる。
「お前が他の誰かを好いていると言うのであれば諦めもつく。じゃが……。」
優しい指が涙を拭ってくれる。
大将は一息ついて涙でびしょびしょの俺の顔を覗きこんだ。
「儂が好きじゃろう?」
「ふ……う、うぇっ。」
優しくそう言われて余計に涙が溢れてくる。
大将が好き。そんなの言われなくたって分かってる。
愚かで身の程知らずのあってはならない気持なのに。
優しくそう言われて余計に涙が溢れてくる。
大将が好き。そんなの言われなくたって分かってる。
愚かで身の程知らずのあってはならない気持なのに。
「お……教えない。」
好きとも嫌いとも言えなくて、俺はなんとかそう口にする。
強情じゃのうと大将は笑った。
唇が重ねられて大将が上にのしかかる。
柔らかく体をなぞられて俺は大将の首に手をまわした。
さっきの嵐が嘘のような穏やかな情交だった。
好きとも嫌いとも言えなくて、俺はなんとかそう口にする。
強情じゃのうと大将は笑った。
唇が重ねられて大将が上にのしかかる。
柔らかく体をなぞられて俺は大将の首に手をまわした。
さっきの嵐が嘘のような穏やかな情交だった。
明け方の薄い光が差しこんで来て目が覚めた。
こんな風に深い眠りがあるのだと大将に抱かれるまで知らなかった。
こんな風に無防備になって良い場所があると初めて知った。
自分の体に腕を絡めて眠る大将の顔を見る。
どうしてだろう、それだけで、どうしてこんなに嬉しいのか。
こんな風に深い眠りがあるのだと大将に抱かれるまで知らなかった。
こんな風に無防備になって良い場所があると初めて知った。
自分の体に腕を絡めて眠る大将の顔を見る。
どうしてだろう、それだけで、どうしてこんなに嬉しいのか。
きっと大将は俺を捕まえたと思っているのだろう。
そうできたのなら、気付けない程の馬鹿だったらどれほど良かったか。
だけど、気付いてしまった。
武田にいるだけで、もう、この人の邪魔にしかならないのだと。
上田から出ないようにしても気にせずやってくるだろう。
そして俺はそれを拒めない。
そうできたのなら、気付けない程の馬鹿だったらどれほど良かったか。
だけど、気付いてしまった。
武田にいるだけで、もう、この人の邪魔にしかならないのだと。
上田から出ないようにしても気にせずやってくるだろう。
そして俺はそれを拒めない。
俺は武田の忍で居たかった。
役に立ちたかった。
だけどもう駄目なんだ。
もう、戻れないんだ。
役に立ちたかった。
だけどもう駄目なんだ。
もう、戻れないんだ。
これからどうしようか。
出奔して抜け忍として処分を待つか、それとも——
出奔して抜け忍として処分を待つか、それとも——
『お前が他の誰かを——』
昨夜言われた言葉が脳裏を過ぎる。
確か朝早くに発つのだと聞いた。
あれは冗談だったかもしれない。
本音を言わない俺に対する、ただの嫌がらせだったのかもしれない。
だけど、出奔した所で大将や旦那が正当な判断をしてくれるとは思えなかった。
確固たる裏切り行為を働いたならまだしも、少なくとも今の自分にはそれを出来るとは思えない。
確か朝早くに発つのだと聞いた。
あれは冗談だったかもしれない。
本音を言わない俺に対する、ただの嫌がらせだったのかもしれない。
だけど、出奔した所で大将や旦那が正当な判断をしてくれるとは思えなかった。
確固たる裏切り行為を働いたならまだしも、少なくとも今の自分にはそれを出来るとは思えない。
もう一度顔を見る。
今からしようとしている事を思えば苦しくて悲しかった。
だけど……。
これが最後だと手で頬に触れる。
自分の手が滑稽なほど震えているのが分った。
聞こえないように口の中で小さく小さく呟く。
「大将、好きです。大好き。だから……。」
そっと唇を重ねる。
思えば自分から接吻した事なんて無かった。
「ごめんなさい。恨んで良いですから。」
今からしようとしている事を思えば苦しくて悲しかった。
だけど……。
これが最後だと手で頬に触れる。
自分の手が滑稽なほど震えているのが分った。
聞こえないように口の中で小さく小さく呟く。
「大将、好きです。大好き。だから……。」
そっと唇を重ねる。
思えば自分から接吻した事なんて無かった。
「ごめんなさい。恨んで良いですから。」
起こさないようにそっと手を解いた。
身なりを整えて、戸を音を立てずにあける。
「さいなら。」
身なりを整えて、戸を音を立てずにあける。
「さいなら。」




